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2章
6話 いつわりがまことになる時(3)Side瑞樹 & Side陽毬
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<サイド瑞樹>
自分の腕の中にある温もりが、今まで感じたことがないほどに大切だと思った。
それが恋とか愛とか、名前のつくものなのかは判断できない。
ただただ、愛おしい……失いたくない……そんな感じだ。
「陽毬」
全身の力が抜けてすっかり俺に身を委ねる彼女の肩を引き寄せる。
このまま全てを奪ってしまっていいのだろうか。
今更にそんな不安がよぎった。
想いいが通じ合ったと感じたのは生まれて初めてだ。
告白するとかされるとか、そういうのは全て事前に察知して避けてきた。
(恋愛初心者なのは俺の方だな……)
この俺が、この後に及んでひるんでいる。
欲に負けて突っ走ったら、陽毬を傷つけるんじゃないだろうか。
(恋人になるまではいいけど、その先は親やら親戚やら……うるさいのが待ってる)
兄の冬馬がどうやって両親を説き伏せたのかはわからない。
あの人が選んだ女性は、お見合いではなく自由恋愛で得た人だ。
それでも快活な女性で、側から見ていてもあの人は心配ないだろうと思っている。
でも、陽毬は違う。兄のお相手よりずっと弱くて脆い。
(誰よりも緊張しやすい陽毬が、人の前に出る機会の多い立場にした場合……幸せだろうか)
妻という立場になれば、参加しなくてはならないパーティーや会食は驚くほどにある。
その全てに俺は顔を出せないだろうし、完璧に守ることは難しいだろう。
(陽毬を悲しませたくはない)
具体的に結婚というものを視野に入れた時、残酷なほどの冷静さが強引に戻ってきた。
「瑞樹、さん?」
俺の熱量が下がったことに気付いたのか、陽毬が心配そうに俺を見る。
「どうかしましたか」
「……ごめん、ちょっと大事なことを思い出した」
「お仕事ですか」
「ん、そうだね」
「大変! 私、帰りますね」
疑うことなんか微塵もなく、陽毬は起き上がって服を整え始める。
その姿が健気で、胸がチクリと痛んだ。
彼女は俺をスターか何かと勘違いしていて、釣り合わないということを気にしている。
(そんなんじゃない。俺は驚くほど臆病で弱いんだよ)
俺の性格上、本気で恋に沼ったら陽毬への態度が変わる恐れがある。
ずっと一人でいることでバランスをとってきたんだ。
陽毬をパートナーにしたら確実に今より彼女のことを考える時間が増える。
自分も彼女も苦しいような関係性にしてしまうかもしれない。
「もう遅いし、ここで寝ていったら?」
そう声をかけたけれど、彼女が頷かないことは知っていたような気がする。
「いえ、タクシーで帰りますよ。今日は美味しいご飯、ごちそうさまでした」
「また誘うよ」
「はい」
はにかんだ様子で頷くと、陽毬は自分でタクシーを呼び俺に遠慮しながら帰って行った。
「俺……何やってるんだ?」
(手に入ると知った途端に逃げたくなるなんて)
自分の弱さに本気で向き合ったのは初めてだ。
俺は陽毬が乗ったタクシーが信号を超えた先で曲がっていくのを、黙って見送った。
*
<SIDE 陽毬>
*
帰りのタクシーの中で、私はまだ火照る体をさすっていた。
異性に触れられてあんなに我を忘れるような感覚になったのは初めてで……
(誤魔化せない。瑞樹さんが好きだ)
最後まで受け入れるつもりでもいたけれど、瑞樹さんが途中冷静になってくれて正直ホッとした。
後悔はしないって自信があるけれど。
そこから先、どういう態度で過ごしたらいいのかは全く想像ができていなかったし。
それよりも私には先にやらなくちゃいけないことがある。
(タカちゃんと、きちんとお別れしなくては)
*
週末。
タカちゃんも休日だという確認をとって、私はもう一度だけ会う約束をした。
「この店、陽毬好きだったろ。なんでも好きなの頼みなよ」
「うん。でも今日はコーヒーだけでいいかな」
「そう?」
彼はいつになく神妙で、少しだけ優しい。
この時々優しいというところに、私はずっとブレていた。
一緒に過ごした時間が長いと、それが安定した自分の当たり前の風景になる。
だから、日常を変化させる恐怖のようなものが湧いてくる。
(でも、きちんと言わないと)
「……ごめん。気持ちは変わらなかった」
「他に男がいるの?」
予想していたようで、鋭く切り込んでくる言葉には棘があった。
瑞樹さんの存在を、どう表現していいかはわからないけれど……確かに揺れるきっかけになった人ではある。
「気になっている人はいるよ」
「ふーん。俺と付き合いながら、二股してたんだ?」
「そういうつもりなかったけど……結果的にそうだったのかもしれない」
「サイテーだな」
明らかに傷ついた顔。
私が傷ついても笑っていた彼だけれど、私は彼が傷ついた顔を見るのは耐えられない。
どうしてだろう。
自分を泣かせて苦しめてきた人でも、自分のせいで悲しむのはやっぱり見たくないのだ。
(嘘だよって言ったら笑ってくれるのかな)
(ううん……それは私が傷つきたくないだけの行為だ)
逃げたい気持ちを必死に押し殺し、タカちゃんが納得してくれるのを待った。
でも、彼は長々と遠回しに私を責めてから、別れることは認めないと言った。
「認めないって……どうして」
「言わせる気?」
「言ってくれないとわからない」
するとタカちゃんは今まで泣きそうな顔をしていたのに、急に鋭い目つきになって私を睨んだ。
「すぐに別の男と付き合う気なんだろ? ふざけんな。俺に恥をかかせたんだ、土下座して謝れ」
(そういう言い方になっちゃうのか……)
せめて私が好きだからと言ってくれたら、気持ちは違ったかもしれない。
誰のところにも行ってほしくないって言ってくれたら……
でも、彼にそんな言葉を期待をしたって無駄なのは私がよく知っていた。
「じゃあ、認めてもらわなくていいよ」
「は?」
「タカちゃんとは、もうこれきり会わない」
私の人生は私のものだ。
タカちゃんの機嫌をとるために生きているんじゃない。
この人のために心と時間をすり減らすのはもう終わりだ。
私は数年付き合った恋人と、とうとう別れることを決めた。
自分の腕の中にある温もりが、今まで感じたことがないほどに大切だと思った。
それが恋とか愛とか、名前のつくものなのかは判断できない。
ただただ、愛おしい……失いたくない……そんな感じだ。
「陽毬」
全身の力が抜けてすっかり俺に身を委ねる彼女の肩を引き寄せる。
このまま全てを奪ってしまっていいのだろうか。
今更にそんな不安がよぎった。
想いいが通じ合ったと感じたのは生まれて初めてだ。
告白するとかされるとか、そういうのは全て事前に察知して避けてきた。
(恋愛初心者なのは俺の方だな……)
この俺が、この後に及んでひるんでいる。
欲に負けて突っ走ったら、陽毬を傷つけるんじゃないだろうか。
(恋人になるまではいいけど、その先は親やら親戚やら……うるさいのが待ってる)
兄の冬馬がどうやって両親を説き伏せたのかはわからない。
あの人が選んだ女性は、お見合いではなく自由恋愛で得た人だ。
それでも快活な女性で、側から見ていてもあの人は心配ないだろうと思っている。
でも、陽毬は違う。兄のお相手よりずっと弱くて脆い。
(誰よりも緊張しやすい陽毬が、人の前に出る機会の多い立場にした場合……幸せだろうか)
妻という立場になれば、参加しなくてはならないパーティーや会食は驚くほどにある。
その全てに俺は顔を出せないだろうし、完璧に守ることは難しいだろう。
(陽毬を悲しませたくはない)
具体的に結婚というものを視野に入れた時、残酷なほどの冷静さが強引に戻ってきた。
「瑞樹、さん?」
俺の熱量が下がったことに気付いたのか、陽毬が心配そうに俺を見る。
「どうかしましたか」
「……ごめん、ちょっと大事なことを思い出した」
「お仕事ですか」
「ん、そうだね」
「大変! 私、帰りますね」
疑うことなんか微塵もなく、陽毬は起き上がって服を整え始める。
その姿が健気で、胸がチクリと痛んだ。
彼女は俺をスターか何かと勘違いしていて、釣り合わないということを気にしている。
(そんなんじゃない。俺は驚くほど臆病で弱いんだよ)
俺の性格上、本気で恋に沼ったら陽毬への態度が変わる恐れがある。
ずっと一人でいることでバランスをとってきたんだ。
陽毬をパートナーにしたら確実に今より彼女のことを考える時間が増える。
自分も彼女も苦しいような関係性にしてしまうかもしれない。
「もう遅いし、ここで寝ていったら?」
そう声をかけたけれど、彼女が頷かないことは知っていたような気がする。
「いえ、タクシーで帰りますよ。今日は美味しいご飯、ごちそうさまでした」
「また誘うよ」
「はい」
はにかんだ様子で頷くと、陽毬は自分でタクシーを呼び俺に遠慮しながら帰って行った。
「俺……何やってるんだ?」
(手に入ると知った途端に逃げたくなるなんて)
自分の弱さに本気で向き合ったのは初めてだ。
俺は陽毬が乗ったタクシーが信号を超えた先で曲がっていくのを、黙って見送った。
*
<SIDE 陽毬>
*
帰りのタクシーの中で、私はまだ火照る体をさすっていた。
異性に触れられてあんなに我を忘れるような感覚になったのは初めてで……
(誤魔化せない。瑞樹さんが好きだ)
最後まで受け入れるつもりでもいたけれど、瑞樹さんが途中冷静になってくれて正直ホッとした。
後悔はしないって自信があるけれど。
そこから先、どういう態度で過ごしたらいいのかは全く想像ができていなかったし。
それよりも私には先にやらなくちゃいけないことがある。
(タカちゃんと、きちんとお別れしなくては)
*
週末。
タカちゃんも休日だという確認をとって、私はもう一度だけ会う約束をした。
「この店、陽毬好きだったろ。なんでも好きなの頼みなよ」
「うん。でも今日はコーヒーだけでいいかな」
「そう?」
彼はいつになく神妙で、少しだけ優しい。
この時々優しいというところに、私はずっとブレていた。
一緒に過ごした時間が長いと、それが安定した自分の当たり前の風景になる。
だから、日常を変化させる恐怖のようなものが湧いてくる。
(でも、きちんと言わないと)
「……ごめん。気持ちは変わらなかった」
「他に男がいるの?」
予想していたようで、鋭く切り込んでくる言葉には棘があった。
瑞樹さんの存在を、どう表現していいかはわからないけれど……確かに揺れるきっかけになった人ではある。
「気になっている人はいるよ」
「ふーん。俺と付き合いながら、二股してたんだ?」
「そういうつもりなかったけど……結果的にそうだったのかもしれない」
「サイテーだな」
明らかに傷ついた顔。
私が傷ついても笑っていた彼だけれど、私は彼が傷ついた顔を見るのは耐えられない。
どうしてだろう。
自分を泣かせて苦しめてきた人でも、自分のせいで悲しむのはやっぱり見たくないのだ。
(嘘だよって言ったら笑ってくれるのかな)
(ううん……それは私が傷つきたくないだけの行為だ)
逃げたい気持ちを必死に押し殺し、タカちゃんが納得してくれるのを待った。
でも、彼は長々と遠回しに私を責めてから、別れることは認めないと言った。
「認めないって……どうして」
「言わせる気?」
「言ってくれないとわからない」
するとタカちゃんは今まで泣きそうな顔をしていたのに、急に鋭い目つきになって私を睨んだ。
「すぐに別の男と付き合う気なんだろ? ふざけんな。俺に恥をかかせたんだ、土下座して謝れ」
(そういう言い方になっちゃうのか……)
せめて私が好きだからと言ってくれたら、気持ちは違ったかもしれない。
誰のところにも行ってほしくないって言ってくれたら……
でも、彼にそんな言葉を期待をしたって無駄なのは私がよく知っていた。
「じゃあ、認めてもらわなくていいよ」
「は?」
「タカちゃんとは、もうこれきり会わない」
私の人生は私のものだ。
タカちゃんの機嫌をとるために生きているんじゃない。
この人のために心と時間をすり減らすのはもう終わりだ。
私は数年付き合った恋人と、とうとう別れることを決めた。
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