女装男子だけどね?

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第4章 女装男子とラブラブに

33 1週間と蘇る悲しみの記憶side真琴

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 冬也さんの、絽衣あの人を追う後ろ姿。何故だか、安心して…首を傾げた。
 しばらくして、知らない人が入ってきた。その人を見た瞬間、心が締め付けられるくらい切なくなった。

 でも、しばらく話して告げられた約束と条件。
「僕の事、考えなくていいから」
その言葉が自分の中に暗く重く突き刺さった。

 秋桐と名乗ったその人が部屋を出て行く瞬間に感じた心の痛み。

(…おかしいな…冬也さんの時と、違う…。)

 伸ばしかけた手を静かに下ろして考えた。

(あの人は…僕とどういう関係だったんだろう…)

 その時、初めて思い出したいと思った。自分の記憶…あの人の事…。

(きっと、とても大切な人だ…大事な人だ…)

 そう、思うのに…思い出したいという気持ちとともに湧き上がる恐怖。

(でも、もし…違ったら…?僕の望む答えが、僕の中に無かったら?)



(僕の、望む…答え…?)

 そう考える内に時間は過ぎていった。
















「…もうすぐ、1週間だね。そろそろ考えられた?僕が誰で、君の何なのか…そして、君が僕をどう望むのかを…。」

 大学で、すれ違いざまに秋桐君は言った。

 明日で1週間になる時だった。

 僕は何も言えなくて、そこで立ち止まった。

(君は、君は僕の…)

自分と反対の方向へ進む足音が遠くなる。

(嫌だ、君が僕から離れていくのは嫌だ。は、もう………。あんな、思い?)

頭の中で引っかかった記憶のカケラ。

何かが掴めそうで、何かを掴みたくて…

僕は、遠く離れた足音を振り返る。



全身の血の気が引けたみたいに体が重く、冷たくなった。まるで、僕の時間だけ…止まったみたいだった。

「あっきー、一緒に授業いこーよぉ」
「ねぇ~、あっきー今度遊びに行こぉ~」

(なん…で?)

 沢山の女の子とその中心にいる1人の男。

 秋桐君がどんな表情をしているのかは、僕からは見えなかった。

「ねぇ、あっきー…彼女とぉ、別れたって、本当?」

「え…」
(彼…女…?)

「彼女って、やっぱりあの、前に大学に来た女の子なんだよね?」

(…?)


 僕は、全ての考えを置いて行きたくて、突然の悲しみに耐えられなくて、その場から走って逃げた。

(なんで…彼女?じゃあ、僕は…?あの人とどういう関係?なんで、あの人は…?)

ドンッ

曲がり角で誰かとぶつかった。

「っ、ごめんなさい、大丈夫?」
「ったた…大丈夫です。…って、華宮君?」

 そこにいたのはツインテールの女の子だった。彼女は僕の事を見て少し驚いたような表情を見せてから困ったように笑った。

その顔を見た時、頭の中に雨の音が響いた。

傘に弾かれる音々。
痛いくらい早く走るハイヒールの音。

引き裂かれた胸の痛みと雨とは別の瞳から零れ落ちる雫。











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