手繋ぎ蝶

楠丸

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10章

~ボトム~

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 その家は、成田線沿いの一角にあった。立ち枯れた木々が伸びた枝を垂らし、傾いた卒塔婆が並ぶ荒れた狭い墓地の、道路を挟んだ隣だった。新木駅から徒歩三十分の所にある、今にも頽れそうな木造家屋だった。敷地は二十坪ほどで、小さな庭に楓の木が立っている。ブロック門の表札には、「金沢益男 和子 直人 和美」とある。この一帯は、この時間には人通りもほとんどなく、また、近隣住民は高齢者の割合が高い。地元警察署の警邏も、ちょうど手薄になる時間帯だった。家の雨戸は閉まっていた。

 貧弱な外灯に照らされて、家に面した細い道路の端に停車しているのは一台の白いメルセデスベンツだった。そのメルセデスの尻にバンパーをぶつけんばかりに、黒のライトバンが滑り込んで停まった。ライトバンから、四人の影が静かに降りた。

 家の玄関前には男が二人、立哨するように立っている。サイドを青々と刈った短い髪をした、ノーネクタイでスーツを着た若者と、影形で中年の年齢らしいことが分かる、ブルゾン姿の男だった。

 闇に溶ける色合の服を着、般若の能面を被った男が足音を殺すようにして外問から入ってきたのと正面から対峙した立哨の男達は、声を出すことなく臨戦の恰好になった。若いほうの男がさっと間合を詰め、懐から黒い持ち柄を取り出した。それを軽く振ると、六十センチの銀色の棒が伸びた。一般的に殺傷能力は低いとされているが、打つ箇所によっては致命傷を与えることも出来る伸縮式警棒だった。後ろに構える年嵩の男は、こちらも懐に手を入れて、般若面の男を見据えている。

 二人ともに、場数を踏んでいることが窺える。だが、若い男は般若の鎖骨を狙って打ち下ろしたところでごく軽い上体の捌きでそれをかわされ、かわした勢いを利用した左背刀を、鼻と上唇の間の「人中」に打ち込まれ、警棒を取り落として、少量の血を鼻から流し、目を剥いたまま、顔面を石畳に突っ込ませるようにして倒れ臥した。

 後ろの男の手には、滑り止め付きのナイフが軽く握られていた。その男が場慣れした足捌きで般若面の男の前に出た時、左から一人、右から二人、男が現れて迫った。左の男は童子、右は翁と、目の細い増女の面を着けていた。翁はブラックジャック、童子面の男は木製のバットを手にしている。男が動きを止めた刹那、翁が男の後頭部にブラックジャックを叩きつけた。目が虚ろになり、口の端から泡を垂らした男が膝を着き、ナイフを手にしたまま、横薙ぎに倒れた。

 能面の男達は、倒れている二人の懐を始めとするあらゆるポケットをまさぐった。二つのスマホを取り出すと、何度も靴の踵を落として踏みにじり、破壊した。それが終わると、般若面の男が、警棒の男の側頭部に鋭いキックを叩きこんで気絶させた。

 般若の男がドア前に立つと、他の男達が両脇に身を潜めた。加工ガラスの窓がついた木製のドアだった。般若がドアを七回ノックし、耳障りな音の、チャイムではないブザーを五回鳴らした。

 日中、今この家の中にいる者達の別動隊の男に拷問を加えて吐かせた合図だった。

 ドアが半開きになり、不機嫌な顔色の男が半身を乗り出した。来訪者の般若面と、その後ろに倒れている僚者を見たその顔に驚きが走った瞬間、般若がドアを思い切り引いた。脚をもつれさせて前のめりの体勢になった男の頸に、般若の両腕が撫でるような手つきで巻きついたと思いきや、男の鼻梁に四回、突き上げられた膝がめり込んだ。

 鼻骨の爆ぜる音と男の押し殺された声に異変を察した仲間の一人が、奥の居間から出てきて、荒い息を呑み込んだ。紺色の地味な安スーツの姿だが、いかにもな曲者の顔をした男だった。般若が男の茶髪の髪を革手袋の右手に掴み、古武術の技を応用したように片腕を極めながら土足で上がると、能面の男達が続いた。増女面の男は、黒の大きなトランクを手に提げている。

 般若が男を押しながら進み、翁、増女、童子を従えて居間に入った。

 六畳の茶の間は、分かりやすい年寄りの部屋だった。大きな本棚や、使わない飾りの湯飲みや茶碗を並べた食器棚が密集し、四角い和風調電灯から蠅取りのガムテープがぶら下がっている。西側には仏壇が設置され、供えっ放しの飯が固くなり、白い骨箱が二つ、置かれたままになっている。その上の壁際には、現在の住み主の祖父母と思われる、白黒の老いた男女の遺影がかけられていた。

 居間には、男が三人と、女が一人いた。立ち尽くす紺のスーツの男と、胡坐で座る白シャツに黒のスラックスという姿で、首元から彫物を覗かせた体格のいい男だった。眉上に刃傷のあるその男はスマホを手に、能面の男達と、関節を固められて動きを封じられた仲間を見上げたが、起こっていることを吞み込みかねているようだった。

 スマホのファインダー先には、小柄なほうの身長をした中年の男と、若いというよりは幼いと言ったほうがいい女がいる。その幼さは実際的な実年齢よりも、化粧気のなさ、整容が行き届いていない短い髪によって強調されたものだった。畳の上に跪く男は、トレーナーの下に靴下だけを着けた下半身裸の恰好で、女は全裸だった。女のそばには、安物の衣類と、白いスリップ、エイジフリーの大きなパンツが撒かれたように散らばっている。

 女は四つ這いになり、半端に勃起した男の性器を舐めている。男は全てを諦めきった視線を、女の頭上に這わせている。横顔を見て、かなりの豚鼻であることが分かる。
「一興中、悪いな」般若がおびただしい量の血で顔と白シャツを汚した茶髪の男を固めたまま言うと、彫物の男がびくりと体をわななかせた。

「お互い揃った雁首の数は元々はちょうどよかったけど、外の二人は今、ちょっと夢見てもらってっとこだ。カチコミとかタタキとか特攻とか、俺達をどう見るかはそっちの自由だけど、これから稼ぎ直すと割りきって、教えたほうが、そちらの被害が拡大しねえで済むってことははっきり言えるぜ。今日、ここに運び込まれた二億の置き場所だよ」般若はからかう調子で言って笑った。

「誰だ、てめえら‥」彫物の男は、目の色にすでに出ている内心の恐慌を隠すように唸ると、スマホを置いて、後ろに立てかけてあった白鞘の長ドスを取った。紺のスーツの男は、翁と増女に両脇を取られながらもがいているが、取り出すも奪われたボウイナイフが、すでに童子の面を着けた男の手に渡っていた。童子が髪を掴んで、紺スーツの鳩尾にバットを三発抉り上げると、男は唾液と鼻水を流して呻き、両腕を持たれたまま膝をぶらつかせた。

「結構な勢いで売り出してるだけあって、なかなか備えに抜かりがねえな。物も人もな。けど、その体たらくを見る限りじゃ、表の奴らを買い被りすぎてたと見るね。お前、見た感じ、そこそこの座布団みてえだな。今から俺とかち合うか?」般若の囁きに反射した風に、下半身裸の男と全裸の女が顔を上げた。般若に腕を極められた男は、髪を後ろに引かれて上を向き、濁った吐息を洩らしている。

 無様な恰好の豚鼻の小男は、何もかもがもうどうなってもいい、と言いたげな目で般若を見た。女は、自分の目前で起こっていることが何事かがまるで解っていない顔をしている。女は顔立ちはわりと愛らしいほうだが、片目は、白濁した瞳のない目だった。般若を見つめるもう片方の目と、顔つきには表情が乏しい。今の自分がどんな姿をし、先まで自分がやらされていたことも、どこまで理解が及んでいるかも分からない。般若は面の下から小さな笑いを短く吐いた。

「お前らが考えたこういう女の調達ルートは、難しいようでわりと単純なんだよな。子供の行方なんかいちいち気にしねえ、親も子供もろとも低い家の娘とか、自覚がなくて、その日の飯とか寝る場所の保証もねえ女を、判断力がねえのをいいことに、この名ばかり教祖様を置くフロントが折伏して、カードで金を借りさせることを前提に、オケラの性倒錯野郎に差し出すわけだ。今の世の中じゃ、法律事務所をバックにつけた破格の金持ちは何かとやりづれえからな」般若は述べて、小男を指差した。

「さあ、この家のどっかにある現生、持ってきてもらおうか。でなきゃ、これからのしてこうとしてるそっちの勢力に損失が出ることは分かんだろ」「図に乗んじゃねえ、このハンチクが!」彫物の男は鞘を抜き払って長ドスを抜いた。

 般若が、極めていた男の腕を一気に頭上近くまでたくし上げた。上腕骨の折れる音と、大きく開いた口から上がる悲鳴が重なった。同じくして、童子のバットが紺スーツの男の膝をしたたか打った。こちらは裏返った声の絶叫を撒いて、畳の上に転がったところを、バットが五回、腰に打ちつけられた。男の体が、一撃を数えるごとに海老の恰好に反って伸びた。苦痛の咽びを喉からほとばしらせる男の後頭部を、童子が革靴の踵で踏みつけ、その頭を転がすように嬲った。

 般若が腕を折った男を放るように離した時、彫物の男が般若の頸を狙う恰好で刃身を振り上げた。袈裟懸けの振り下ろしが来た。般若は瞬く間に男の右へ脚を捌いて移動し、柄を持つ手の手首に左手を当て、刃の峰を右手の三本の指で軽くつまんだ。長ドスは、半円を描いて後ろの空間に飛び、男の手を離れた。人間業離れした刃物捌きだった。

 般若が男の膝上を蹴ると、男の体が大きく泳いだ。体を泳がせた男のシャツの両襟を持ち、鍋のように男の体をひっくり返し、仰向けに転がされた男の胸元をブーツの踵で踏みつけた。

「そら、形勢は完全にこっちが上だぜ。今、この家の外と中にいる兵隊さんは、もう誰一人動けやしねえからな」般若が男の体を足で留めながら、馬鹿明るいトーンの声を落とすと、彫物の男はまだ衰えぬ殺意を込めた目で般若を睨み上げたが、目の奥には絶望の光が見えた。そこへ、飛んで落ちた長ドスを拾い持った翁と童子が寄ってきて、童子がバットでこんこんと男の頭部をノックした。増女面の男は後ろに立ち、その光景を静かに見遣っている。

 呻きと咽びが低く響く居間で、全裸の女は畳の上に座り、感情を窺い知れない視線を投げかけるばかりで、教祖と呼ばれる地位に担ぎ上げられているらしい小男も、感情と呼べるものをすでに喪失したような表情で、おかしな方向を見つめているだけだった。般若を始めとする四人の男は、それに特に憐れみと呼べるものを表立ってかける様子はない。

「今、まともに聞けんのは、お前と、こっちの大法裁様とやらだけだ。お前がしゃべらなきゃ、こいつに訊くしかねえ。どこだ」般若に問われた彫物の男は、バットを顔に突きつけられて、目線を左右に遣りながら口を開いた。

「助けてくれ‥」男は汗に顔を濡らし、胸を激しい呼吸に上下させながら懇願の声を発した。「これでもガキが二人いるんだ」「そうか。でも、お前が生きようが死のうが同じことだろう。お前のガキがいくつか知らねえし、別に知りたくもねえけど、お前じゃ養育拒否の好き勝手が関の山だろうし、お前がいようがいまいが、そもそもお前のガキなんざ出来悪に決まってるだろうからな。こんな持ち物持ちの奴ら、嬲りものにして楽しむ遊びを、お前、これからものうのうと生きて、てめえのガキに教えるつもりか?」般若は言うと、身繕いもすることなく下半身裸で立ち尽くしている小男を振り返った。

「おい、お前知ってんだよな」般若が小男に問うと、男はしばらく貝のように黙っていたが、その態度から知っていると察せられた。「‥教えろ」般若が言った時、増女の面の男が寄り、般若にトランクを差し出した。般若は小男に目を据えながらトランクを受け取った。般若は小男にパンツを履けと命じた。女はぼっとした表情を変えることなく、少女のような小さな乳房と陰毛を露わに座り込んでいるだけだった。般若を含む四人に対し、この状態の自分をどうしてほしいという気持ちの伝わりは全く感じられなかった。

 三十年と少し前に私的な苛々から子供を殺した豚鼻の小男、金沢直人は、二階を指した。「上か?」般若が訊くと、金沢は伏目の顔で、聞き取れない声で、はい、と言ったらしい呟くような返事をした。一切を投げきった表情に変化はなかった。般若は金沢に着いて、トランクを手に二階へ続く階段を昇った。ちらりと振り返った後ろでは、女が畳に虚ろな目線を落とし、彫物の男が顔にバットを当てられ、胸を踏まれて体を固定されていた。


 村瀬は午前までに、三回、菜実を抱いた。回数が進むごとに、菜実も激しく村瀬を求めた。枕元に顔を伏せた菜実の両乳房を掌で覆いながら、後ろから体を合わせた。抱きながら、彼女が大きな声を出さないタイプらしいことが分かった。男に悦びを完全に与え切る、作法としての前戯の術、男の欲望を引き出す褥姿も知っている。その姿が、美しく可愛いだけに、理性での抗いようがなかった。経緯は、見たわけではない。だが、薄ら、いや実ははっきりと分かる気がするそれすらも、体が繋がっているさなかは、村瀬には無いものとなっていた。ただ幸福で、それはこれまでの人生では求め得なかった幸福以外の何物でもなかった。
 二人、裸のまま軽く掌を取り合い、村瀬の肩に頬を着けて、菜実は静かな寝息を立てている。掛布団は半ばほどでめくれ、菜実の乳房、村瀬の大胸筋が出ている寝恰好だった。
 カーテンレールの影が月明りに浮かぶ白い天井を見ながら、自分の体と胸に残る幸せを心で愛でたが、その気分をじわりと掻き乱したのが、娘からの手紙のことだった。
 村瀬はゆっくりと上体を起こすと、眠る菜実の乳房に軽くキスをして、トランクスとインナーを着けた。一階へ降り冷蔵庫の牛乳を一杯飲み干すと、居間の箪笥の引き出しから、「eternal badwoman・e」が差し出したブラウンの封筒を出した。食卓の椅子に腰を降ろし、前回二回の美咲からの手紙よりも、いくらか躊躇が出ていると自分でも分かる手つきで、封を切った。

 四隅に兎、猫のイラストが描かれた、女の子らしい便箋が現れた。「お父さん、おひさ。今、どうしてるの?」と、わりと綺麗な字で書かれた文の出だしが目に入った。字だけを見ると、偏差値は五十台ほどありそうに見える丁寧さだったが、その時、封筒にもう一枚、便箋よりも厚めの髪が入っていることに気づいた村瀬は、封筒を振って、それを食卓の上に落とした。

 ぱさりと落ちたものは、紺地のダイレクトメールで、ポルックスファイナンスという社名、その下に、年利12・00%で安心! とあり、090の携帯電話番号がある。村瀬は隅の糊付を剥がし、中身を開いた。

 生活費、マイカー資金、ギャンブル軍資金、その他遊興費、使い道は自由。5000円から300万円まで、貴方のために用立てます、とあり、他社ブラック、生活保護受給者の方もOK、とのことだった。どう見ても見まごいようのない闇金のダイレクトメールだ。

 村瀬は恐怖の一歩手前の不安にそれを持つ手を震わせながら、娘・恵梨香の手紙を取り、紙面に目を這わせた。初めに、アジコという名前が目に入ったが、それが全国にチェーン展開すし、有名タレントを起用したテレビCMも流れている味々工房という居食屋であることは村瀬も知っている。

 あのさ、実はさ、こないだ上野のアジコでユニオンの連れと飲んでたら、うちらのことめっちゃちらちら見てる超バカの女がいたから、あたしらでそいつボコにして骨折っちゃったのね。そしたら、そいつの男が出てきて、その男、台東区と江東区束ねてるトップだったんだよ。あたしもそういうのといくらか付き合いあるから、そん時は別になんとも思わなかったんだけど、その男に治療代と、店からは、壊した物の修理代で、全部で200万請求されてるんだよね。だから悪いんだけどさ、このダイレクトメールの業者から200万借りて、あたしの口座に振り込んでくれるかなぁ。お父さんしか頼れる人いないからさ‥‥。あ、言っとくけど、今から1週間以内に振込が確認できなかったら、それ、その人の組織をシカトすることになるんだよ。そしたら、あたしだけじゃなくてそっちもただじゃ済まないことになるからね。じゃあ、今月の半ばぐらいまで200万宜しく。北総銀行二和支店 口座番号‥ 恵梨香

 たった一枚きりの短文が記された手紙を卓上に置いた村瀬は、腕組みをして椅子に背中をもたれ、天井を見上げた。

 文中に反社らしい人間が登場すること、幼い頃の小さな姿のみを覚えている娘が飲食店でとっぽい暴力沙汰を起こしたという話には、恐怖のようなものはそれほど感じられないが、代わりに何とも言えない空虚さが胸に広がっていた。

 間違いなく、手紙の話は嘘八百だろう。確かに村瀬の勤務先は、昔のとあるやくざ映画の台詞を借りて表現すれば「担いどる神輿が」というところで、吉富のようなチンピラ客の迷惑行為に及び腰で、それらへの対処を平の人間に投げる有様の職場だが、名の知れた店なら、まあ、暴排条例などの後押しもあるにせよ、多くは店や善良な客の安全に対処しながら営業しているものと思う。そんな事態が発生すれば最初にやってくるのは警察と救急車だし、「こないだ」から昨日、今日までの期間に、都内の居酒屋で女同士の「骨を折る」ようなトラブルがあって逮捕者が出た、などというニュースなど村瀬は見ていない。

 恵梨香が所属するらしいユニオン、とは何だろう。どのみち、ろくでもないものであることははっきりと言っていいほど分かるが、その団体で、娘は何をやり、また、やらされているのか。だが、それよりも、こういう嘘をいつからつくようになったのかが気になった。

 文面の言葉つきからは、いかにも反社に狙われて命からがらという切迫感は窺えない。感じられるのは、こいつなら自分に言われるがままに要求した額の金を借りて、口座に振り込むだろうという舐めだけだ。美咲による吹き込みもあってのことだろう。

 それでも怒りもさほどは覚えなかった。こういう人間を作り出してしまったのは、過去の時間に父親だった自分自身に他ならない。そんな自責が胸につかえたが、思い出せば今日はそういう日ではない。すっきりとしない思い直しを試みた村瀬は、この手紙を、そう遠くないうちに元の主という立場で元妻子と会わなくてはいけなくなるような時、問い質しのための物品として保管すべく引き出しにしまった。二階の寝室では菜実が眠っている。ふと目を覚ました彼女が不安にならないよう、初冬の陽が昇るまで、同じ布団で寄り添おうと思って、階段を上がった。幸福感が、また胸に戻ってきた。

「もっぺん詰めんのがいいんじゃないすかね」増女の面を外した男が言った時、般若面を脱いだ義毅は、その話を流すように、バカラグラスの縁を口に当てて、裸電球が下がる、梁の剥き出しになった天井を目で仰いだ。後輩であり、今回仕事で義毅の指揮下に入ったその男は三十半で、松前、と名乗っているが、勿論本名は分からない。濃い眉の脇に傷が走り、頬肉の削げた顔をしていて、右眉脇と手の甲に走る傷跡が、まだ若いながらこれまでの人生で対面してきた修羅の数を表している。

 安物の折り畳み式机の上に、ウイスキーの角瓶と、グラスが二つ、紙皿に盛られた干肉が置かれている。それを二人でかじり、つまみながら、角瓶のオンザロックを傾けている。角には、畳まれた薄い布団が二人分置かれていた。

 ここは手賀川の支流にあり、柏寄りの場所に建つトタンとベニヤで作られた簡素な小屋で、高齢の釣り人達が市から許可を得て建てた休憩と談義の場所だが、義毅達は、このあたりを釣り縄張とするボスの人間にいくらかの金を握らせてスペアの南京錠の鍵を預かり、今回の仕事の仮の行動拠点とした。ここには流し台と旧式のトイレと、年代物の冷蔵庫も、テレビもあり、流し台を風呂代わりにする根性があるなら暮らそうと思えば暮らすことも出来るが、エアコンはなく、夏場は扇風機で涼み、冬はストーブで暖を取るしかない。

「詰めるってと?」「あの恩田とかいうらしい話の出元の人間ですよ。二億って話が、一桁下がりの二千万だったじゃないすか」「そいつはそういうもんだ。万一ってことは向こうも常に考えてるはずだ。総額じゃ、合わせて何十億と儲けてるはずだがな、それを分散するために、関東甲信越各地の土地を買い占めて、幽霊まがいの法人を創立してやがる。そして、それらも、用が済みゃ相場のいかんで転売だ。あいつらが扱う男と女と同じように転がして、金と、権力を蓄えるための布石だよ」義毅は机に肘を突き、琥珀の色をした酒に沈む、氷山のようなロックアイスを、からから、しゃりん、と揺らした。

 なお、今回の仕事に使用したライトバンは二十年近く前に遠くの土地で盗難被害に遭ったが、見つからないために捜査取り下げになった旧式車で、義毅はそれを変造ドローンなども扱う不良チェチェン人の盗品ブローカーから買いつけ、ナンバープレートと車検証は知己の仕事師に報酬を支払って偽造させた。その車はこれから、それを必要とする別の犯罪勢力の人間の手に渡り、各種違法、脱法の現場を転々とすることになり、足がつきそうになる頃に人知れず解体されるか、どこかの発展途上国へ密輸出されることになる。

「荒川さんは、この山、今回きりにするつもりすか? それとも、もう一丁、七丁行く気でいるんすか?」松前は義毅の仕事名を呼んだ。義毅はそれに答えず、口角の上がった厚い唇にイタリア製の煙草を咥え、銀のジッポーで点火し、撒くように煙を吐いた。

 二千万の小山は、金沢の家の二階の、二つある部屋の階段寄りの八畳間、寝具を収納する押し入れの奥深くの頑丈な金庫の中にあった。和彫物の男を、一階の男達が体を拘束しつつ引きずり昇らせ、連れてきた。般若面の義毅が番号を言うように促すと、一度、子供がいるから助けてくれと命乞いした男は、誰がしゃべるか、どチンピラが! 明日にゃてめえら全員、うちが買い取った斎場で骨だ! てめえらの親兄弟もみんな嬲り殺しだぞ! と虚勢の啖呵を吠え立てた。

 その時、増女の松前と童子が男のベルトのバックルをかちゃかちゃと外し、スラックスとパンツを引き下ろして下半身を剥いた。長刃がある以上、やることは阿吽だった。翁が腕で首を固定して鳩尾を拳で抉り、男が上体を折ったところで、童子以外の三人で、男を押さえて、裸の尻を突き出す恰好にした。翁が、スラックスと一緒に引き抜いたトランクスを男の口に押し込んだ。

 童子が、露わになった男の肛門に、長ドスの刃身を浅く挿入した。こいつをお前の十二指腸までぶち込むことを、俺らは何とも思っちゃいねえんだ。関係ねえんだよ、お前の出来悪の子供が、親父がくたばってどうなろうがな。義毅が男の首を踏みつけながら、静かな囁きを落とした。

 肛門に潜った刃身は、これから回る金庫のダイヤルと同じように右、左へ力任せに回転した。

 肛門から大量に滲んだ血が、どろりと滴って男の大腿まで汚した。痙攣は男の頭から始まり、尻、足先まで伸び、抑えかけたが抑えようがなくなったという風の叫びが上がった。この界隈は、すでに「目も耳もアレ‥」の独居者を主とする高齢の人間が寄り合って、ごく短い老い先を、他人のことなどに関心を持つべくもなく、残った命を極めて緩慢にちびちびと消化しながら生きていることは、充分以上の下調べで掴んでいる。この時刻にもなると、人通りもないに等しい。それでも長居は禁物であることは、無論の心得だ。

 男が涙と鼻水で顔を濡らして呻き、のたうつ様子を、上がトレーナー、下が白のブリーフの姿をした金沢が、表情もなく見ていた。拳か、何かの鈍器によるものと思われる穴が至る所に開いた壁に沿って、何百本ものゲームソフトが並ぶラックが置かれている。床にはアニメやゲーム関係の雑誌、ムック本が散らばり、壁に掛かっているカレンダーは、十年以上前の五月のものだった。

 階下で骨箱に収まっている親は、彼をどうにも出来なかった。どうにか出来る親ではなかったのだ。

 義毅は、少なくとも今の稼業に入ってからは、一般に弱者と呼ばれる人間達に必要以上の憐憫の念を持たない方針を貫いてきた。それが自分の仕事の妨げになるということもあるし、弱者を売りにする看板が、しばしば狡いことがあると分かっているからだ。だが、今日はこれまでのそんな思いから心なしか離れた気分が胸に巡っている。

 誰がどうあがいてもどうにもならないこと。人の思いが及ばず、思って行動しても、出来ることの限界。作られる底辺。

 “あんたも大変だな” 能面の仲間が、男から番号を歌わせて開けた金庫から札束をトランクに移して入れる様を横目で見ながら、般若面の義毅は、立ち尽くすだけの金沢に労う体の言葉を投げかけた。

 “他人の身で知ったかぶったこと言うようだけどさ、朝晩吸う空気が重てえ思いを散々してきたんだろう? いつもぐずついた空の下を歩ってるみてえな感じだったわけだ。晴れ空が恋しいって思ったことが、一度二度じゃあなかったはずだ。あんたがそれを見るために必要だったことは、誰かに訊けば分かることだったはずだろうが。人にもよるから一概には言えねえけどさ、早くにそれをやってりゃ、ガキなんか殺して食らい込むこともなかったはずじゃねえのか”

 金沢の態度は変わらず、義毅の言っていることが理解出来ているかどうかも疑わしい。

 “まだ遅えことはねえと言っとくぜ。手ぇ打って、これからの二十年か三十年か分からねえけど、殺した子供に詫びて、弔って生きてくのがいいはずだよな。俺は何も助けねえよ。あんたが自分でやんだよ‥”

 義毅はひとしきり言うと、手と短い声かけで撤収の合図をしたのち、この手勢に加わる前はやくざだったと分かる男のこめかみを蹴り下ろして気絶させて、仲間とともに階下へ降りた。

 居間では腕を折られた男が涙と鼻水、涎で顔を濡らして身をよじり、女が全裸のまま立っていたが、義毅が前に立つと、彼の手を取って自分の陰部にそれを導いた。義毅はその手を引いて、服を着ろと女に命じるように言った。女は言葉は重いが、他者の言うことはある程度分かると見え、おぼつかない手つきでのろのろと下着を着け始めた。下は大きなパンツで、上はスリップ、ブラジャーはなかった。それ以上は介助がいるようで、義毅はジャージのズボンを渡して腰まで上げてやり、トレーナーと、幼いセンスの上着を、袖を通して着せた。

 女に断って子供向け仕様の財布の中を見ると、五百円と少しの現金が入っており、緑色の療育手帳が挟まれていた。口語の会話に難があるためか、携帯は持っていなかった。
 山本知佳。生年月によると数え歳は十九歳。住所は千葉県野田市瀬戸。

 義毅は知佳という女の顔写真と障害等級、住所が記載された面をスマホで撮影した。金のかかっていない衣類を着た人間の親戚筋など身内全員が、まるっきりのオケラとは限らないことは、稼業の倣いでよく知っている。それから、声を出すこともままならず苦悶している紺スーツの男に寄り、懐から覗く茶革の財布を抜いた。二十枚ほどの渋沢栄一が唸っているが、義毅が覚えたのは変わらない「こういうもの」感だけだった。ただし、もっともこれは、その人間の命ともども、明日、あるいは場合によっては、ほんの数分後にある保証などはどこにもない金だが。

 財布の金は丸ごと抜いたが、うち一割の使い道は決まったも同じだ。

 ドア前では二人の男がまだ昏倒、警棒の男は石畳の血の池に顔を埋め、年嵩の男は体をぴくつかせ、仰向けに体を伸ばしている。知佳をライトバンに乗せ、皆で車内で面を脱いだが、彼女には人相の証言能力はないはずだ。

 人気のない、闇に落ちた緑が広がる中峠地区の一角で、別働の連中が乗りつけてきた車に分乗して解散、現金を載せたライトバンは金のデポへと走り去り、義毅と松前は知佳をセダンに乗せ、何台もの車両が客待ちする柏のタクシーロータリーへ急いだ。厄介事はごめんですよ、と半泣きで訴える若い運転手の懐に数万円の札を捻じ込み、凄味もたっぷりと効かせ、番地を言って知佳を送らせたのだ。

「荒川さん、ここんとこ、変わりましたね」松前がグラスの底近くまで減ったウイスキーをつぎ足しながら言うと、向かいの義毅がとぼけた風に目を丸くした。

「へ?」「前と比べて、仕事姿のシルエットにエッジが立ってねえし、追い込み方も甘くなったっつうか、何だかふにゃついてる感じがするんすよ」氷を鳴らしてウイスキーを啜った松前が評論するように言うと、義毅はイタリアンシガレットの煙を小さな一笑とともに唇から立ち昇らせた。

「お前の考えすぎだよ。俺は自分のゴトに手心を加えてるつもりはねえし、自分を引くもんもねえ。いつ地獄へ召されることになっかは分かんねえけどな」「めとる気ねえとかって盛んに言ってましたけど、気持ちが揺れてんじゃないっすか?」「てめえ、あんまし馬鹿抜かすとぶっ飛ばすぞ」
 しばらく、煙の吸い吐きと、傾いたグラスの中で氷が弾ける音のみの沈黙が続いた。松前は義毅に穿った目を遣り、義毅は余裕を装う顔をしている。

「まあ、自由に考えろや。個人の勘繰りに戸は建てられねえからな」義毅は真面目な顔で言って、きゅう、とウイスキーを飲み干した。

「こっちが図星刺したってことでいいっすね。こないだ荒川さんが懐から出して、わりとまじまじ見てた写真っすよ。あの、顔の半分、伸ばした前髪で隠してる女の子の」松前が揃えた四本の指を顔の左半分に当てて、すっと顎まで下ろす仕草をして言ったが、義毅はそれには答えず、グラスを軽く握ったまま、煙草の煙を吐き続けた。

「減らず口ばっか叩いてねえで、適当に飲んだら寝ろよ。お前、明日もゴト、あんだろ?」「荒川さんは、明日はその子と会うんすか?」「さっきから本当にうるせえな。てめえがうざってえから、俺は車で寝るわ」義毅は怒った顔を作り、煙草を灰皿になすって、座布団から腰を上げた。背後から松前の失笑が聞こえた。

 ブナが高く生い茂る手賀川の土手に立った義毅は、数キロ向こうに灯る柏の常夜の光を睨んだ。あの灯りの下には、今日も成功を謳歌する命が律動し、歯を食いしばってその日の糧を得る命達、成功への望みも最低限の頑張りも投げて、白昼から快楽に身を溶かして蠢く命が入り混じって、不協和の光を形成している。

 今の稼業に足を踏み入れてからおよそ二十年の歳月が経つが、これまでどれだけの人間を絶頂から底へ落とし、また、苦労の中で蓄えた金を奪ってきたことか。覚えている顔と覚えていない顔がある。暗部を探り、突きつけた相手もいれば、その暗部を工作して作った相手もいた。

 憐みの感情を持ったことはなかった。自分が動く論理は、利益だけに集約されていたからだ。

 だが、今日は非人の扱いを受けた上、表情を殺して目前の残忍な光景を見ていることだけを強いられていた金沢の姿と、体に暴力が染み込んだ男達の目下にさらされていた、自分の境遇すらも分からないような知佳という女の幼さを残す細い肢体が、とうに棄てたつもりの良心らしいものが、形を成さずに渦巻く思考の奥へ自分を体ごと引いていると感じていた。

 世の中の底辺は作られる。それを書き込んだ者達の悪意の働きによって。努力で成功を成す者もいる。だが、自分が積んできたものが、笊に汲んだ水のように抜けていく感覚が常という者もいる。夢、羨望の実現をどれだけ望んでも得られない質の者もいる。まるでその人生を描いた者の脚本通りに。

 自分はそうした下界の無言の掟に乗り、利用を出来るものを全て利用してきたが、所詮これも、不埒な手段で手に入れた金は持っていても、人としての底、の行状だという自覚が芽生え始めて、いくらかの時間が経っている。

 冬の入り口が到来したことを表す、冷たく強めの風が一陣、土手に立つ自分の体とブナの草群を下ろすように吹き抜けた時、義毅は近くの土手に停めた自車のソアラに踵を遣った。そこで振り返り、柏の光を再度見た。

 隠し通すつもりが、松前の目に留まってしまった女の一葉。明日にでも、また抱きに行こう。枕物語に、その女が形ばかりの嫁に収まる家の情報と近況をより聞き出し、自分の仕事に繋げるために。だが、それと、あともう二、三件で、自分は今の生業から退くだろう。理由は、女のため、この一つだ。
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