ヒモ聖女の半百合冒険譚 ~美女に転生した前世ヒモ男は、令嬢たちを囲って百合ハーレムを作りたい、ついでに世界を救う~

@midorimame

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第二章 聖女改革

第44話 教会本部

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 俺とスティーリアは、訪問の打診をしていた教会本部へと視察に来た。教会全体が腐っているわけではないので、真面目な司祭もたくさんいる。俺達の訪問は真面目な視察と捉えられていて、俺が現れただけで教会の修道士達に緊張が走るのが分かる。俺は既にそれほどの存在になっているのだ。とにかく俺達は作戦遂行のため全力を尽くすまでだ。

「みなさまごきげんよう」

 俺が教会に入り、立ち並んだ修道士達に声をかけると、皆堅くなって頭を下げ挨拶を返してくる。普段は教皇と話す事が多く、皆にとってみれば俺は天の上の人だ。カチコチになってしまうのは仕方のない事だろう。そして俺が聖女に転生する直前まで、物凄く堅い人で有名だったため殊更緊張してしまうようだ。

 すると俺達の前に修道服を着た顔見知りの老人が近づいて来る。

「これは聖女様。お越しいただきありがとうございます」

 声をかけてきたのはメナス枢機卿だった。この枢機卿は真面目な老人で、いつも忙しく仕事をしていた。次期教皇候補の一人として人格者であることは間違いない。だがそれだけ。俺にとってはウザいジジイだ。

「これはメナス枢機卿、お出迎え痛み入ります」

「いやいや。聖女様がおいでになられるとなれば、それ相応の人間がお出迎えしませんと」

「教皇様はいらっしゃらないのですか?」

「本日は王宮へと出向いております」

 知ってる。教皇が居ない時を見計って来たんだから。

「それは残念でございます。教皇様とはしばらくゆっくりとお話をしておりませんで、いらっしゃいましたらお話でもと思っておりましたのに」

 したくねえけど。

「教皇様も残念がるでしょうね。聖女様とお会いするのをお楽しみになさっているようでしたので」

 そうなんだよね…、あの爺さん若い女の子が好きらしくて、俺と話をするのが楽しみらしいんだ。だからこそ、いない時を見計らって来たんだけどね。

「それはそれは光栄です。ですが仕事は仕事、今度お時間がある時にでもお話ができれば」

「そのように申し伝えましょう。それでは若い神父を及びいたします」

「はい」

 あとの実務は若い奴にってね。そしてメナス枢機卿の後ろから、若い修道士の男が来た。どう見てもイケメンなので俺の敵だ。短髪の茶色い髪に端正な顔立ち。ウザい。

「それではスフォルツォよ、聖女様のお仕事をお手伝いしてください」

「はい。お任せください」

「ではメナス枢機卿。ご機嫌麗しゅう」

「聖女様も」

 俺が挨拶をすると、メナス枢機卿は出迎えの修道士達と共に奥へと下がっていった。残ったスフォルツォ神父が、俺の顔を見て頬を染め指示を待っている。

「神父、私達を書斎に連れていきなさい」

「かしこまりました」

 俺達はスフォルツォについて、教会本部の廊下を歩いて行く。すると廊下の向こう側からも大勢の人が列をなしてやって来た。

「あれは見習いです」

 俺が聞いてもいないのに、スフォルツォが勝手に説明して来た。だがその修道士見習いを見て俺の顔は綻んだ。集団で来たのは全て若い修道女だったからだ。先頭には厳しそうな顔をしたベテラン尼さんが居て、どうやら尼さんの卵を連れて教会本部を見て回っているようだ。

 俺はつい、かわいい修道女達に近づいて声をかけてしまう。

「皆様」

 すると先頭に居た超ベテランのおばあちゃんの修道女が、緊張した顔つきで皆に言った。

「皆様! 聖女様ですよ! ご挨拶を! 聖女様おはようございます!」

「「「「「「おはようございます!」」」」」」

 あら初々しい。

「おはよう。これからお勉強かな? 頑張って立派な修道士になってください」

 将来俺のもとで働くためにね。

「「「「「「はい!」」」」」」

するとベテランの修道女が俺に頭を下げて言う。

「聖女様からのお声がけ、この子達の励みになる事でございましょう」

 そうか。それは嬉しい。

「皆さんの中でいつか私の所で働く人が出るかもしれませんね」

 すると緊張する若い修道女の顔に少しの綻びが出る。だがベテラン修道女に厳しくされているのか、それ以上に表情に表す事は無かった。

「なんとありがたいお言葉でしょう。皆さんも励んで聖女様のお役に立てるように頑張りましょう」

 ベテラン修道女がそう言うと、ひよこちゃん達が大きな返事をした。

「それではこれで」

 俺が軽くお辞儀をすると、イケメンのスフォルツォが再び歩き出す。若い修道女の卵たちは、ベテランに連れられて反対側へと歩き去って言った。

 するとスフォルツォが言ってくる。

「あの子達も頑張るでしょう。聖女様の元で仕事をするのが夢でしょうから」

「私の所で働くのが夢?」

「ええ。聖女様のお噂は王都中に広がっております。あの子らの何人かは聖女様の噂を聞いて、修道士になろうと思っているのですよ」

「そうなのですね」

「はい」

 俺の話が尾ひれはひれがついて大きくなっているのだろう。そのおかげで、彼女達の意識が変わる事は悪い事ではない。ただ…余り俺が偉くなっちゃうと、ソフィアとの距離がどんどん開くのでそれは困る。

「こちらが書斎です」

「はい」

 俺達が書斎へ通されると、多くの人間達がせわしなく働いていた。スティーリアのような事務的な事が得意な修道士達だった。教会の中枢なので各地の教会の取りまとめがここでなされているのだ。

「それではスフォルツォ神父。私が必要としているのは、孤児院に関する情報です。そちらの課に連れていきなさい」

「はい」

 スフォルツォについて行くと、こじんまりとした部屋へと通される。どうやら孤児院は教会とは別の扱いになっているようだ。俺とスティーリアはスフォルツォについて中に入っていく。

「こちらで孤児院の情報が見られます」

「わかりました。それでは私達が呼ぶまで、席を外してくださってよろしいですよ」

「えっ?」

 なんだよ。聞こえなかったのかよ! 聞き返すんじゃねぇ!

「スフォルツォ神父もお忙しいでしょうから、私達におかまいなく仕事をしてください」

「はは…。失礼ながら、これが仕事です」

 あ、そうなんだ。案内役としてずっとついてろって言われてるのね。邪魔くせえ。

「なら私達は調べ物をしますので、貴方は邪魔にならないように端の席に座っていてくださいますか? 必要ならお声がけします」

「わかりました」

 スフォルツォは素直に従って、端の方の席に座った。

「さてスティーリアやりますか」

「はい」

 俺達が部屋の奥に入っていくと、数名の座って仕事をしていた人らが立ち上がる。

「あ、そのままお仕事をお続けください。私達はちょっと調べ物をするだけです。仕事の邪魔にならないようにしますので、お気になさらぬようにお願いします」

 俺がそう言うと、事務官らはコクリと頭を下げて、再び仕事に取り掛かり始めた。

「さてと、孤児院の書類はと…」

 するとスティーリアが見つけて俺に報告してくる。

「聖女様。この一角です」

 スティーリアに言われた場所に行くと、棚いっぱいにをまとめた束が並べられていた。

 正直多いな…まあそりゃそうか。だけど俺達が知りたいのはただ一つ、クビディタスの経営する孤児院の報告書のみ。

「ありました」

 流石はスティーリア仕事が早い。

「ありがとう」

 どれどれ? 俺は早速その冊子をめくり始めた。そこには孤児院の金の流れや、経費がどれくらいかかっているかなどが記されている。一通り見るがその冊子には経営に関する内容しか記されていなかった。

「なるほどね。これだけ見ると質素な孤児院みたいだ」

「そのようです。あの羽振りの良いクビディタス司祭の雰囲気から想像できませんね」

 そして俺とスティーリアが目配せをして頷く。

「おそらく…」

 その回りには仕事をしている司祭がいるので、公に話をすることは出来ない。

「そしてこちらが…」

 スティーリアが出して来たのは、孤児院のこれまでの子供達の名簿だった。それらがどんな感じなのか? 俺が見たいのはこの冊子だ。

「ふむ…」

「おかしいですね」

「名簿の数と働きに出た子の数が合わない」

「冒険者になった、商人の小間使いとして働いている、キッチンメイドになった子もいるようです」

 まあこれだけ見るとまともな孤児院だ。きちんと教育して世に送り出している事が分かる。だが名簿の総数と、就職して出て言った子供の数が全く合わないのだ。

「と言う事は、後は中で働かせているって事か?」

「そうであればいいのですが」

「何の仕事をしているかだね」

「はい」

 その冊子の表面上の情報からは、凄く健全な孤児院経営しているように見えるが、総合的な数の異常値を俺達は見逃さなかった。決定打ではないが、そのおかしな数字からするとクビディタスが何かをやっている事は確かだった。

「まあ噂通りかもね」

「はい」

 そして俺達はその後も他の冊子を確認し、更に違う孤児院との比較などをしていよいよ核心に至るのだった。分かった事は何かがおかしいと言う事。それが分かっただけでも良しとするしかない。俺とスティーリアは半日をかけて洗い出しをした。

 仕事を終えてスフォルツォに声がけをする。

「スフォルツォ神父」

「はい! やはり熱心に仕事をされるのですね! 噂通りです」

 おべっかなどつかいやがって、キモイ。

「さて、私達は今日はこれで帰ります。教皇様及びメナス枢機卿によろしくお伝えください」

「はい! 確かに!」

 そして俺とスティーリアは教会本部を後にするのだった。
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