グローリー・リーグ -宇宙サッカー奮闘記-

山中カエル

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第三章 謎と試練

59 それぞれの休日

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 「ワープ完了っ!
 行きと違って帰りは楽でいいねぇ」

 「ほんと。ワープ機能には感謝だな」

 宿舎に戻ってきた俺と未来。
 そろそろ夕飯の時間なのでそのまま食堂へと向かう。

 食堂にいたのは、クレネイトファクタの3人組と凛とラーラの2人組。
 凛とラーラはともかく、もう1組は中々珍しいメンツだな。
 何やら話が弾んでいるみたいだ。ネイトも気兼ねなく話せているみたいで何より。

 「ちょっと、何ジロジロ見てるの」

 すると、よく耳にするきつーい声が聞こえてくる。声の主は当然

 「んだよ、凛。別に一瞬見ただけだろ?」

 「怪しい目付きなのが悪い」

 まためちゃくちゃなことを……。

 「凛先輩! 未来ただ今帰りました!」

 「ん、未来ちゃんおかえり。 大丈夫? こいつに酷いことされなかった?」

 「あははっ、全然大丈夫ですよぉ~」

 おいおい、いつの間にそんな仲良くなってたんだ。
 で、その俺に対する信頼の無さはなんなんだ。何もしないって!

 「そう? こいつほんと帰ってくるや否やすーぐラーラちゃんの方チラチラ見て。
 ね、ラーラ。あんたも迷惑よね?」

 「…………」

 「ラーラ?」

 「……え? あ、えっと、なんだっけ? 迷惑?
 うん、迷惑だよ。あはははは」

 「え……。迷惑なの……?」

 「え!? あ、あれ? 何の話!? ごめん、ちょっと聞いてなかった……」

 「全く、あんたさっきからちょくちょく上の空だけど? 何かあったの?」

 そういう凛さんもいつにも増して当たり強いですが何かあったのですか? と言いたいところを仕方なく我慢する。

 「えへへ、なんでもないよ。
 それで? なんの話?」

 「えっとね、こいつが未来ちゃんとデートした帰りに即あんたに声かけようとしてたから気をつけた方がいいよって話」

 「デ、デートじゃないよ!?」
 「声かけようともしてないって!」

 「え、えっと、キャプテン、二股はやめた方が……」

 「だ、だから違うっ――」
 「二股だ!!!」

 「いやだから違……え?」

 声の主は明らかに違う場所。ちょうどドアを開けて入ってきたばかりのレオだった。
 隣にはペペとアラン。3人とも走ってきたのか息を切らしている。

 「へ? どうした? レオ」

 「聞いてくれよ! って、あ、龍也!!!」

 「え、なに?」

 「お前いつの間に帰ってたんだよ、探したんだぜー?」

 「探した? 俺を? 何か用か?」

 「……あ、やべ。いや、別に、なんと言うか、あはは」

 「いやいや何を露骨に誤魔化してんだ」

 「いやぁ、俺たちさー、キャプテンと未来ちゃんが2人で出かけるの見かけたからさー、後つけてたんだよー」

 「おいペペ!」

 「いいじゃん、こうなったら言った方が面白いって!」

 「は、つけて……は!?」

 「そう怒るなって。女の子とのデート、文句は言えねえぜ、キャプテンさんよお」

 「デ、デートじゃないですからね!?」

 「それでさー、あの神社っぽいところまでは尾行成功してたんだけど、なんか2人ともトラブって? 中入っていったじゃん。
 そこからは追えなくて、泣く泣く断念ってわけー」

 「それで龍也くん。貴方、あのエリラで何をしていたのですか?」

 「…………」

 「龍也くん?」

 「まあまあ、レオとペペはいつも通りだから別にいいとしよう。
 でもアラン! お前まで何後つけてきてんだ! しかもなんか何事も無かったかのように質問してきやがって!」

 「!?
 い、いや、僕は違いますよ!? 偶然近くにいたので彼らに連れて行かれただけで、別に貴方が誰とデートをしてようが興味はありませんから」

 「デートじゃないですからあ!?」

 「み、未来ちゃんがデートじゃないですbotになってる……」

 「で、ですからそのようなことは気にしないで僕の質問に答えていただけると助かり――」
 「い! や! だ!
 アランだけは2人を止めてくれると信じてたのに、俺は悲しい……」

 すると、またもや食堂のドアが開く。

 「なーに騒いでんのよ」

 入ってきたのはミアとアリスと……ヒル!?

 「わ、そうだ! これを伝えたかったんだ!」

 「おいヒルー! お前何ハーレム築いてるんだよー!?」

 「は!? はーれむ? なんの話だ」

 「またまたー、ミアちゃんにアリスちゃん。地球のトップアイドル2人とお出かけなんて、ヒルさんも中々隅に置けませんなぁー」

 「は、ちが、これは」

 「そうなんですよぉ~。
 3人で、楽しーく映画を鑑賞してきましたぁ」

 「そ、そんな……アリスちゃん……」

 「こ、ら!
 あんたそういう思わせぶりな発言して何回か炎上しかけたの忘れたの?」

 「あれ? そうだっけ?」

 「とぼけても無駄!
 あんたたちも。私たちとヒルくんはたまたま同じ映画観てただけだからね! 勘違いしないでよね!」

 あー。これヒルの反応的に事実なんだろうけど、その言い方しちゃうと嘘ついてるみたいに聞こえちゃうぞー……。

 「こいつの言う通りだ。それに俺もこんな女たちに興味なんかねえ。わかったら失せ――」
 「ヒルくん?」

 「あ? なんだ――」
 「ちょーっと今のは聞き過ごせないなあ。アリスはともかくこーーーんなに可愛いミアちゃんのことを興味が無いなんて、どういう了見か説明してほしいなぁ?」

 「は、いやそれは……」

 うわあ凄い圧。あのヒルが押されてるよ。

 「き、き、き……きたー!!! これはアリスちゃんのヤンレズモード! まさか生で見られるとは!」

 うわ、ネイト! それにクレとファクタも。いつの間にこんな近くに。

 人数も増え、場がごちゃごちゃしてきたな。

 「「「どりゃあー!」」」

 またまた大声とともにドアが開く。
 ほんとにごちゃごちゃしてきたな!

 「お、俺様が1番だ。ガハハ……」

 「いやいや、俺だろ……」

 「お、俺も頑張ったぞ……」

 ブラドと将人とヘンディ。この感じだと競走でもしてたのかこいつらは、元気だなあ。

 「はあ……はあ……」

 「あ、ザシャも来た。おつかれ」

 「おつかれじゃ……ないっ……スよ……。
 3人とも……ずっと……全速力で……死ぬっ……ス」

 アホどもの張り合いに付き合わされたのか。
 うんうん、気持ちはよくわかるぞ。
 ザシャ、南無。

 「ほっほ、騒がしいと思ったら全員集まっておったか」

 その流れで部屋に入ってくるアウラス監督。隣にはルカとフィロさんもいる。

 「全く、夕飯まではまだ少し時間あるのに、気が早いわね。
 それだけ休暇日を満喫できたってことかしら?」

 そう言いながら、フィロさんは全員を見回す。

 「数名、休息を取れてなさそうな人もいるけど……」

 「み、水……ほしいっ……ス」

 「はい、水」

 「ファクタ先輩……感謝っス……」

 「そんな休暇日を最後まで満喫してもらうために! 今日は結構豪華な料理を用意してるわよー!
 さあ! しっかり食べて明日からの練習に備えるのよ!」

 「「よっしゃあああ」」

 「全く、騒がしいやつらだな」

 「クレ。……そうだな、でも楽しいやつらだ」

 「……ふっ、確かにな」

 今回エリラで話を聞いたことで、俺には新たな目標が追加された。
 これから先、更に険しい道が広がっていることだろう。

 しかし、この仲間たちとなら大丈夫。俺はどんな目標も達成できる。
 そう確信できた素晴らしい1日だった。
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