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第四章 新たな一歩
95 お化け屋敷大作戦②
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「なあなあなあなあ、お化け屋敷って言ったらさ、怖がる女子を頼れる系男子の俺がかっこよく守って、好感度をがっつり上げるイベントだよな?
なのに……なんで男しかいねえんだよ!?」
メンバーの割り振りに文句のあるレオが声を上げる。
そんなレオを見て、冷ややかな目をしながらアランが口を開く。
「遊びとしてのお化け屋敷の役割はそうかもしれませんが、今回は対メラキュラを想定した特訓のようなものなのでレオくんの認識は違うかと」
「ああもう固いこと言うなってアラン~~~。
お前だってさ、できることなら女子と2人きりになりたかっただろ?」
「そんなこと思っているわけないじゃないですか。変なこと言ってないで先に進みますよ。
とはいえ、僕もレオくんも幽霊に恐れを抱いていないのならあまり意味の無い特訓になりますが。
ブラドくんも、先程までの雰囲気からして特に怖くはないのでしょう?」
「ガハハ、そうだな。幽霊くらい俺様の拳で一撃よ!」
「意味無いならいいじゃん! 恋バナしようぜ恋バナ!
恋人の有無! 理想のタイプ! この2つを言うまで帰さないぜ!」
「別に興味無いですって。そんな状況でも無いですし」
「予想通りの答え! ブラド、お前はどうだ??」
「そうだな、俺様より強い女がいるなら惚れてやってもいいかもしれんな!」
「恋愛事情すらゴリラじゃねえか! いいね!」
「それにしてもテンションが高いですねレオくんは。
そんなに特訓相手が厳しいのですか?」
「うっ、思い出させないでくれ……。
厳しいなんてもんじゃないぜ……あれはトラウマ……。
まさかこの俺が男と会話して安心する日がくるとは思わなかったぜ……」
「大変そうだな。
俺様も特訓相手は俺様なんだが、俺様と違って腹立つやつで大変だぜ」
「お、おう。お前それ本気で言ってるのか……。
そういえばアラン、お前は誰と特訓してるんだ? 全然話聞かなくて知らないんだけど」
「あ、いえ、僕の特訓相手は……秘密で」
「は? 秘密ってなんだよー。まさか、俺と同じで美人が相手なんじゃないだろうなあ?」
そんな気の抜けた会話をしている3人。しかしここはお化け屋敷。当然このままの雰囲気では終わらない。
「「「!?」」」
突如上から何かが降ってくる。
「なんだこりゃ!? 水か!?」
「いえ、この色、匂い……血」
「うひゃあ! 本格的だなあ!
……うおっ!? なんだなんだ!?」
落ちてきた血が変形して手の形に。そしてその手がレオたち3人の足を捕まえた。
「うわわっ」
それだけでは終わらない。
足を捕らえられ動けない状態のまま、奥から複数体のゾンビが現れ、3人の元へと向かってくる。
「おいおい、これやばいって!?
クソっ、お……らっ!」
掴んできた手を振り払うようにレオは力強く、そして大きく足を振り抜く。すると、掴んでいた手はあっけなく、また液体の血へと戻り飛散した。
「おおお、意外と簡単に振り解けた。
アラン! ブラド! 逃げるぞ……って、おーい、どうしたー……」
レオが困惑するのも当然。2人は恐怖のあまり立ったまま気絶していたのだ。
「はー!? お前ら、怖いの無理なら強がらずに先言っとけや!
そういうギャップが可愛いのは女子だけなんだよ!!!」
レオが叫ぶも2人が起きる様子はない。
「もおおおおおおおおおおお。
やっぱ女の子と一緒がよかったあああああああ」
レオのように本当にホラーに耐性がある者。そして、ブラドやアランのようにホラーが苦手なことを悟られぬよう隠していた者。
今回の特訓では、その全てが明らかにされる。
***
「アリス……ごろじでやるゔ」
「えっ……!?」
場面は変わり、アリス。隣にいたミアが急に豹変し襲ってきた場面だ。
「…………」
「あれ? 驚きすぎて失神しちゃった!?」
「……ちょっと」
「え?」
「ちょーっと、静かにしてほしいですぅ~」
ニコッと笑いながらミアゾンビに話しかけるアリス。しかし、彼女の目は笑っていない。
ミアゾンビは怖がらせるどころか、逆にその圧に気圧されてしまった。
「ミアちゃんの偽物……ミアちゃんはここにいない……」
「え、えっと……」
「ダメダメダメ! これはダメ!
怖がりなミアちゃんの怯える顔アリスも見たいのに!
はっ!? ちょっと待って!? この状況……場合によってはラブコメが起こっちゃうかも……。
きゃー! ほんっとダメ! ミアちゃんちょろいから! アリスが守らなくちゃなのに……!
ねえあなた、ミアちゃんどこにいるか知らない!?」
「し、知らないです……」
「そう、ありがとう、じゃあ」
「あ、でも」
「?」
「一応、この道の先のゴールまで辿り着いたら、クリア扱いで宿舎に戻れるんです。
宿舎からならミアさんのいる場所へいけると思います……」
「…………」
「あ、あの……」
「……貴重な情報ありがとうー!
アリス嬉しい! 大好き!」
「あ、ありがとうございます……」
「じゃあ、それを目標に行ってくるね!
ミアちゃーん! 待っててねえええええ」
呆気に取られるミアゾンビにはそれ以降目もくれることもなく、一目散に駆け出すアリス。
途中様々な幽霊やゾンビ、ギミックに襲われるが、大した関心を払うことなく突き進み、誰よりも早くゴールへと到着する。
そして、意気揚々と宿舎に戻ったのだった。
アリスもレオと同じく、いやそれ以上にホラーに耐性がある人間。
もしかすると、このチームで一番ホラー耐性が強いのかもしれない。
なのに……なんで男しかいねえんだよ!?」
メンバーの割り振りに文句のあるレオが声を上げる。
そんなレオを見て、冷ややかな目をしながらアランが口を開く。
「遊びとしてのお化け屋敷の役割はそうかもしれませんが、今回は対メラキュラを想定した特訓のようなものなのでレオくんの認識は違うかと」
「ああもう固いこと言うなってアラン~~~。
お前だってさ、できることなら女子と2人きりになりたかっただろ?」
「そんなこと思っているわけないじゃないですか。変なこと言ってないで先に進みますよ。
とはいえ、僕もレオくんも幽霊に恐れを抱いていないのならあまり意味の無い特訓になりますが。
ブラドくんも、先程までの雰囲気からして特に怖くはないのでしょう?」
「ガハハ、そうだな。幽霊くらい俺様の拳で一撃よ!」
「意味無いならいいじゃん! 恋バナしようぜ恋バナ!
恋人の有無! 理想のタイプ! この2つを言うまで帰さないぜ!」
「別に興味無いですって。そんな状況でも無いですし」
「予想通りの答え! ブラド、お前はどうだ??」
「そうだな、俺様より強い女がいるなら惚れてやってもいいかもしれんな!」
「恋愛事情すらゴリラじゃねえか! いいね!」
「それにしてもテンションが高いですねレオくんは。
そんなに特訓相手が厳しいのですか?」
「うっ、思い出させないでくれ……。
厳しいなんてもんじゃないぜ……あれはトラウマ……。
まさかこの俺が男と会話して安心する日がくるとは思わなかったぜ……」
「大変そうだな。
俺様も特訓相手は俺様なんだが、俺様と違って腹立つやつで大変だぜ」
「お、おう。お前それ本気で言ってるのか……。
そういえばアラン、お前は誰と特訓してるんだ? 全然話聞かなくて知らないんだけど」
「あ、いえ、僕の特訓相手は……秘密で」
「は? 秘密ってなんだよー。まさか、俺と同じで美人が相手なんじゃないだろうなあ?」
そんな気の抜けた会話をしている3人。しかしここはお化け屋敷。当然このままの雰囲気では終わらない。
「「「!?」」」
突如上から何かが降ってくる。
「なんだこりゃ!? 水か!?」
「いえ、この色、匂い……血」
「うひゃあ! 本格的だなあ!
……うおっ!? なんだなんだ!?」
落ちてきた血が変形して手の形に。そしてその手がレオたち3人の足を捕まえた。
「うわわっ」
それだけでは終わらない。
足を捕らえられ動けない状態のまま、奥から複数体のゾンビが現れ、3人の元へと向かってくる。
「おいおい、これやばいって!?
クソっ、お……らっ!」
掴んできた手を振り払うようにレオは力強く、そして大きく足を振り抜く。すると、掴んでいた手はあっけなく、また液体の血へと戻り飛散した。
「おおお、意外と簡単に振り解けた。
アラン! ブラド! 逃げるぞ……って、おーい、どうしたー……」
レオが困惑するのも当然。2人は恐怖のあまり立ったまま気絶していたのだ。
「はー!? お前ら、怖いの無理なら強がらずに先言っとけや!
そういうギャップが可愛いのは女子だけなんだよ!!!」
レオが叫ぶも2人が起きる様子はない。
「もおおおおおおおおおおお。
やっぱ女の子と一緒がよかったあああああああ」
レオのように本当にホラーに耐性がある者。そして、ブラドやアランのようにホラーが苦手なことを悟られぬよう隠していた者。
今回の特訓では、その全てが明らかにされる。
***
「アリス……ごろじでやるゔ」
「えっ……!?」
場面は変わり、アリス。隣にいたミアが急に豹変し襲ってきた場面だ。
「…………」
「あれ? 驚きすぎて失神しちゃった!?」
「……ちょっと」
「え?」
「ちょーっと、静かにしてほしいですぅ~」
ニコッと笑いながらミアゾンビに話しかけるアリス。しかし、彼女の目は笑っていない。
ミアゾンビは怖がらせるどころか、逆にその圧に気圧されてしまった。
「ミアちゃんの偽物……ミアちゃんはここにいない……」
「え、えっと……」
「ダメダメダメ! これはダメ!
怖がりなミアちゃんの怯える顔アリスも見たいのに!
はっ!? ちょっと待って!? この状況……場合によってはラブコメが起こっちゃうかも……。
きゃー! ほんっとダメ! ミアちゃんちょろいから! アリスが守らなくちゃなのに……!
ねえあなた、ミアちゃんどこにいるか知らない!?」
「し、知らないです……」
「そう、ありがとう、じゃあ」
「あ、でも」
「?」
「一応、この道の先のゴールまで辿り着いたら、クリア扱いで宿舎に戻れるんです。
宿舎からならミアさんのいる場所へいけると思います……」
「…………」
「あ、あの……」
「……貴重な情報ありがとうー!
アリス嬉しい! 大好き!」
「あ、ありがとうございます……」
「じゃあ、それを目標に行ってくるね!
ミアちゃーん! 待っててねえええええ」
呆気に取られるミアゾンビにはそれ以降目もくれることもなく、一目散に駆け出すアリス。
途中様々な幽霊やゾンビ、ギミックに襲われるが、大した関心を払うことなく突き進み、誰よりも早くゴールへと到着する。
そして、意気揚々と宿舎に戻ったのだった。
アリスもレオと同じく、いやそれ以上にホラーに耐性がある人間。
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