グローリー・リーグ -宇宙サッカー奮闘記-

山中カエル

文字の大きさ
97 / 109
第四章 新たな一歩

97 メラキュラ・パーリーデイズ

しおりを挟む
 龍也たちがお化け屋敷で過酷な特訓を行っている中、ある星でもまた特訓が行われていた。

 ー同時刻 メラキュラ星ー

 「「「「つっかれた~~~~~」」」」

 「はあ、まだ半日しか経ってないけど、もうへばったの、あんたたち」

 「いやいや、無理だって、カミーラちゃん。
 俺、興味無いこと長いことできないタチなの」

 「俺も」
 「俺も俺も」

 「あーもう! わかったから!
 ちなみに……あたしも!」

 「だよね~~~! 興味無いことやり続けるとか拷問っしょ、うぇーい!」
 「半日だけでも頑張っただけ褒めてほしい、みたいな?」

 「それに、カミーラちゃんの作戦があれば、オグレスがどんな実力であれ確実に勝てるしね~。
 練習とかまじやってらんね~~~」

 龍也たちの次の対戦相手であるメラキュラ星。当然、ここでもサッカーの練習は行われているのだが、その様子はオグレス星とはかなり違っているようだ。

 「ていうか、今更っすけど、オグレスってほんとにサッカー上手いんすかー?
 なんか科学科学のザ・陰キャってイメージあるんすけどー」

 「そうなめちゃいられねえぜ。聞いた話によると、ホームのフロージアに相手に1-2だったらしい」

 「1-2って、負けてるじゃないっすか」

 「馬鹿言わないの! ホームのフロージアってやばいわよ! 今回の予選でもトップクラスにやばい!
 そんなとこに1点差はやばいわね。うん、やばい」

 「カミーラちゃん、語彙力語彙力」

 「でだ。そんなやばいやつが相手なわけですが……俺たちの今日の練習はここで終わりでーす!
 理由は~~~めんどくさいから~~~!」

 「いぇーい!」
 「ボール蹴るとかしょうもね~! 蹴るなら女っしょ~!」

 「おいおいカイン、その発言は流石にアウト……ぶふっ」

 「なるほど。よーく覚えたわ。あんたの大好きな女の子たちに伝えておくわね。あ、笑ったから、同罪ね、ジル」

 「ちょちょちょ、それは酷いってカミーラ姉さーん」

 面倒くさいと半日で練習を切り上げ、次の予定に思いを馳せている。
 彼らのサッカーに対する向き合い方は、オグレス星のそれとは大違いだ。

 「でも実際さー、負けは無いよね、あの作戦があれば」

 「エクセラルの時は流石に相手が強すぎたけど、まあオグレスならなんとかなるっしょ」

 「それもこれもカミーラちゃんが作戦を考えてくれるから!」
 「そうそう! 流石カミーラちゃん! 天才っ!」
 「よっ! 宇宙一の敏腕マネージャー!」

 「こんなん誰でも思いつくわよっ!
 ていうかオルロック、あんたもう少ししっかりしなさいよね。仮にもキャプテンでしょ」

 「いやいや、俺たちはカミーラちゃんの指示通り戦うだけだしー?」

 「そっすねー」
 「考えるとか無理無理ゲーゲー」

 「はあ、まあ知ってたけど。
 前言った通り、口滑らすのだけはやめてよね」

 メラキュラ代表のマネージャー、カミーラ。どうやら、メラキュラ代表メンバーは彼女の考えた作戦に余程の自信があるらしいが、その詳細は現状不明だ。

 「りょかいりょかいりょうのかーい。
 それよりー、今からどっか行かね?」

 「いいっすねー、キャプテン!」
 「どこいきます? この時間クラブ空いてないっすよね?」

 「うーん、無難に飲み行くか……」

 「あたしお化け屋敷いきたーい」

 「えー、カミーラちゃんお化け屋敷ー? なんでー?
 人気無いっしょー?」

 「いや、少し前から人気出始めたらしいっすよ。
 なんかあいつらが通ってるとか何とか」

 「はーっ、あんなとこ通うとか暗え暗え。
 まじあいつら辛気臭くて敵わんわー」

 「まじ、俺たちの目の前から消えてってほしいっすよねー。
 あ、消えるってか、成仏か!」

 「それ酷~~~ぎゃははは」

 「ふははっ、で、なんでカミーラちゃんはお化け屋敷行きたいのー?」

 「別にー、あんたたちが今言ってたみたいに、お化け屋敷にあいつらが集まってるらしいじゃない。
 だからー、冷やかしー」

 「ぶははっ! 結構クズな理由だった!」

 「それにぃ、あたしもぉ、女の子らしくぅ、怖がったりしたいしぃー」

 「ははっ、カミーラちゃんが女の子らしくって」

 「え、笑いどころじゃないんだけど」

 「……じょ、冗談だって~~~!
 カミーラちゃんはメラキュラ一可愛いんだから、何しても可愛いに決まってるじゃ~~~ん!」

 「そうそう。あたし、メラキュラ一可愛いから!
 てなわけで、あたしの友だちも呼んどいたから、行くわよ、お化け屋敷」

 「え~~~まじ~~~!?
 カミーラちゃんの友だちレベル高いから嬉しいな~~~」

 「と、カインは誰を蹴ろうか考えております」

 「いや、蹴らないって~!
 掘り返すなやー!」

 「ふははっ、集団デートか! で、お化け屋敷の後はみんなで飲みだろ? んでんで、その後はオールでクラブっしょ! 楽しみだなあ! 
 うーん、今日も今日とて毎日楽しい!」

 「これで毎日半日の玉蹴りが無かったら言うことなしなんだけどなぁ」

 「玉蹴りって……ふふっ」

 「ま、試合に出るのも、毎日遊べるのも、どっちも上位種の務めと考えたら仕方ねえか」

 「でも最低限はしっかりしてよね。
 敗退が確定したらもうこんな大量のお金もらえないんだから」

 「はーい。頑張りまーす」

 「あんたら絶対今この後の遊びのことしか考えてないでしょ」

 「へへ、バレた?
 まあ、これからのことはこれから考えたらいいっしょ!」

 「まあ、そうね。じゃあ……」

 「「「「遊ぶぞー(わよー)!」」」」」

 「「「「うぇーい!!!」」」」

 こうして練習を中断し遊びへと向かうメラキュラ代表のメンバーたち。
 彼らにとって、遊びとは星の命運と同じくらい大切なものなのである。

 ー翌日 練習場ー

 「うう、昨日飲みすぎて、あとクラブで叫びすぎて喉と頭が痛い」

 「はーい知らなーい、練習頑張ってー」

 「カミーラちゃんの鬼ー!」

 「鬼はあたしたちにとっては罵倒になってないけどねー」

 「クソっ、頭いいやつとは言い合いしても勝てない!」

 「メラキュラ史上最弱の言い合いだと思うんだけど。
 まあいいわ、今日も半日頑張ったら、また夜まで遊んであげるから。
 もちろん、友だちもたくさん呼んでるわよ!」

 「うおおおおおおおおおおお!
 お前ら! 頑張るぞおおおおおおおおお!」

 「「「「うぇうぇーい!」」」」

 メラキュラ代表はブレない。
 その後も、半日の練習を終えると、すぐに頭を切り替え遊びに出かけたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

立花家へようこそ!

由奈(YUNA)
ライト文芸
私が出会ったのは立花家の7人家族でした・・・―――― これは、内気な私が成長していく物語。 親の仕事の都合でお世話になる事になった立花家は、楽しくて、暖かくて、とっても優しい人達が暮らす家でした。

悪役令嬢の騎士

コムラサキ
ファンタジー
帝都の貧しい家庭に育った少年は、ある日を境に前世の記憶を取り戻す。 異世界に転生したが、戦争に巻き込まれて悲惨な最期を迎えてしまうようだ。 少年は前世の知識と、あたえられた特殊能力を使って生き延びようとする。 そのためには、まず〈悪役令嬢〉を救う必要がある。 少年は彼女の騎士になるため、この世界で生きていくことを決意する。

目立ちたくない召喚勇者の、スローライフな(こっそり)恩返し

gari@七柚カリン
ファンタジー
 突然、異世界の村に転移したカズキは、村長父娘に保護された。  知らない間に脳内に寄生していた自称大魔法使いから、自分が召喚勇者であることを知るが、庶民の彼は勇者として生きるつもりはない。  正体がバレないようギルドには登録せず一般人としてひっそり生活を始めたら、固有スキル『蚊奪取』で得た規格外の能力と(この世界の)常識に疎い行動で逆に目立ったり、村長の娘と徐々に親しくなったり。  過疎化に悩む村の窮状を知り、恩返しのために温泉を開発すると見事大当たり! でも、その弊害で恩人父娘が窮地に陥ってしまう。  一方、とある国では、召喚した勇者(カズキ)の捜索が密かに行われていた。  父娘と村を守るため、武闘大会に出場しよう!  地域限定土産の開発や冒険者ギルドの誘致等々、召喚勇者の村おこしは、従魔や息子(?)や役人や騎士や冒険者も加わり順調に進んでいたが……  ついに、居場所が特定されて大ピンチ!!  どうする? どうなる? 召喚勇者。  ※ 基本は主人公視点。時折、第三者視点が入ります。  

高身長お姉さん達に囲まれてると思ったらここは貞操逆転世界でした。〜どうやら元の世界には帰れないので、今を謳歌しようと思います〜

水国 水
恋愛
ある日、阿宮 海(あみや かい)はバイト先から自転車で家へ帰っていた。 その時、快晴で雲一つ無い空が急変し、突如、周囲に濃い霧に包まれる。 危険を感じた阿宮は自転車を押して帰ることにした。そして徒歩で歩き、喉も乾いてきた時、運良く喫茶店の看板を発見する。 彼は霧が晴れるまでそこで休憩しようと思い、扉を開く。そこには女性の店員が一人居るだけだった。 初めは男装だと考えていた女性の店員、阿宮と会話していくうちに彼が男性だということに気がついた。そして同時に阿宮も世界の常識がおかしいことに気がつく。 そして話していくうちに貞操逆転世界へ転移してしまったことを知る。 警察へ連れて行かれ、戸籍がないことも発覚し、家もない状況。先が不安ではあるが、戻れないだろうと考え新たな世界で生きていくことを決意した。 これはひょんなことから貞操逆転世界に転移してしまった阿宮が高身長女子と関わり、関係を深めながら貞操逆転世界を謳歌する話。

処理中です...