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57:直接、くちで※
しおりを挟む颯斗の足の間に身を寄せてごろんとシーツに転がり、顔だけを上げれば目の前に雄々しい熱が反り発っている。間近で見るそれは言い知れぬ迫力がある、思わず「わっ」と小さく声を漏らしてしまった。
体の一部ということは分かっている。手で触れた事は何度もある。だがこうやってまじまじと見るのは初めてだ。
じっと見つめ、柔く掴むと恐る恐ると顔を寄せ……、むにと唇で触れた。
コンドームの素材越しでさえ熱いと分かる。
その感覚を確かめるように何度か唇を寄せて、今度は舌で。ゆっくりと舌を這わせるようにして根本から上へと舐めあげればピクリと熱が反応するのが分かった。
「ん……、ちょっと甘い、かな」
「甘いって感想を聞くのも微妙だな……、くっ……」
「ね、きもち、いい?」
何度もねっとりと舐めあげながら問えば、颯斗が深く息を吐きながら頷いた。
眉根を寄せているのは快感に流されまいとしているからか。だが舐め方を変えたり舐める部分を変えればそのたびに息を詰まらせる。更には手の中の熱がピクと反応するのだからどちらを見ても分かりやすい。
彼の反応を注意深く観察しながら気持ち良いところを探せば、先端にちゅうと吸い付いた時の反応が一番顕著だと分かった。
「……んっ」
堪えきれなかった声が彼の喉から漏れる。
気持ちよさそうで、艶めかしさも感じさせる声。聞いているだけで雛子の胸までドキドキしてきてしまう。
なによりこの声を聞いていると、もっと、と思えてくるのだ。もっと気持ちよくさせたい、気持ちよくなってほしい、気持ちよくしてあげたい……。
そんな思いのままに全体を出て扱きながら先端に唇を寄せ、ちゅうと吸い付き、時には舌でぐりと刺激をしてみる。そのたびに颯斗は体を震わせ、声を詰まらせ、そして体の内側に溜まる快感を逃がすように深く息を吐いた。
「あ、……く……、それやばいな」
「ここ、気持ち良いの?」
先端を一度舐めてから問えば、颯斗がふるりと体を震わせたのちに頷いた。
それならもっと……、と雛子は考え、ふと目の前の熱に視線を落とした。手の中で脈打ち、口で刺激するたびに反応する。この行為を始める前より熱く硬くなっているのは気のせいではないだろう。
先端部からは先走りの液が零れはじめているが、密着するコンドームのせいで伝い落ちることが出来ずにいる。試しにと溢れた液を舌で掬うように舐めてみるも、舌に感じるのは無味、既に甘味すらも薄くなってしまった。
「……ねぇ、もう味しなくなっちゃった」
「お前そんな……、さすがにここで終わりは無しだろ」
「分かってる。だから、これ使わない?」
傍らに置いていた一つの箱を手に取る。
ローションの入った箱だ。先程使ったのはモノクロのシンプルなデザインの箱だったが、対してこちらはイチゴの絵が描かれていて可愛らしい。仮に甘いコンドームの箱にキャンディーが入っていたとすれば、こちらにはストロベリージャムでも入っていそうだ。
そんな外箱を手早く開けて中から容器を取り出す。外装に合わせてイチゴの絵が描かれたパッケージの容器。これもまたジャムのようだ。
快感に意識が蕩けかけていた颯斗がぼんやりとそれを見て、「ローション?」と呟いた。
「これも甘い香りがするの。もちろん口に入れても問題は無いし、ストロベリーの味を再現してるのよ」
「……なるほど、糖分追加ってことか」
「追加したいけど……、元々甘いのにストロベリーを追加したら濃すぎじゃないかしら」
どう? と尋ねてみる。この間も片手では彼の熱を扱き、その硬さと反応を手のひらに感じながら。
颯斗からの返事は「んー」と少しぼんやりとしている、話しかけられているため快感に酔いきれず、かといって扱かれ続けているため冷静さを取り戻せも出来ないからか。どことなくもどかしそうだ。雛子が指の腹で先端を擦れば眉根を寄せてビクリと肩を震わせた。
そんな彼の反応を眺めつつ、雛子は手元の容器を揺らした。中の液体がたぷんと揺れる。
「私の言いたいこと、分からないの?」
「……この状況で頭の回る男がいるならお目にかかりたいもんだ」
眉根を寄せた渋い表情で颯斗が呻くように告げてくる。辛うじて残った理性を総動員しての反論と言ったところか。
だが余裕が無いのは一目瞭然で、ならば話を引き延ばすのも酷かと考えて雛子は結論をはっきりと口にする事にした。
……少し、どころかだいぶ恥ずかしく、彼の熱からそっと手を放して両手でローションの容器を持つ。今更ながらに落ち着かず、もじもじと手の中の容器を動かしてしまう。
「だから、その……。ゴムを外して、直接してあげるって言ってるの」
「直接……?」
「そう。直接、口で」
なんて事を言ってるのだろうかと己の発言に恥じてしまうも、次の瞬間、視界全てがバスローブのふわふわ素材で覆われて目を丸くさせてしまった。
またも頭から被せられたのだ。もしやと思いしばらく待てば、今度はばっとバスローブが取り払われる。
その間ほんの僅か。まさにあっという間で、どこに行くことも出来ず、殆どのことは出来ないだろう。
……だけど、コンドームを外すことは出来るようだ。
先程までコンドームに覆われていた彼の熱は露わになっており、傍らには外したばかりのコンドームが放り捨てられている。
「雛子、頼む……。そろそろ辛い」
急かしてくる颯斗の目は鋭くギラギラとしており、見つめられると雛子の背がそわと震えた。
今すぐに襲い掛かりたいのを理性で保っていると言いたげな鋭さだ。このまま焦らしていたら危ないと、雛子は「分かってるから」と宥めて彼の股座へと身を寄せた。
目の前に再び雄々しい熱が反り発つ。先程までは薄いコンドームで覆われていたが、今はそれすらも無い。
これを直接……、と考えれば僅かな躊躇いが生まれるものの、雛子はそれを胸の奥に押し留めて手にしていた容器を傾けた。とろりと流れる液体がそりたつ熱へと落ちる。ローションでぬらぬらと光る様はなんとも卑猥で、それでいてふわりとストロベリーの香りがする。
「……なんか、甘い香りがするっていうのも変な感じね」
「雛子……」
「分かってる。分かってるから」
唸るような声で名前を呼ばれ、慌てて彼の熱を手で柔く握る。
ぬちゃと水音がする。握っているだけで手が滑りそうだが、このまま手で果てさせるのはあんまりな気がする。
だからこそと意を決し、雛子はゆっくりと顔を近付けて舌でそっと舐めあげた。雄々しい熱、男の象徴とも言える部位。だというのに香るのはストロベリーの香りで、ゆっくりと舐め挙げれば口内にも香りと甘さが広がる。
不思議な感覚で混乱しそうだが、確かに抵抗感は無くなるかもしれない。
「んむ……ぷぁ……」
粘度の高いローションは口内に入ると舌に絡みつき、唾液と混ざり合う。
濡れた舌でもう一度舐め上げ、先端を唇で擽る。ゆっくりと舌を放せば舌先から艶めかしい糸が引いた。
手でゆるゆると根元を扱けばローションがより水音をたて、指の合間から漏れた液体が泡を作っている。それすらも卑猥でぞわぞわと背を震わせ、その言いえぬ感覚のままに硬い熱に舌を這わせた。
頭上から聞こえてくる颯斗の息遣いも次第に荒くなり、時折はくぐもった声が呼吸の合間に混ざる。
見れば与えられる快感に集中するように目を瞑っており、シーツを掴む手にも力が入っている。
そんな颯斗の様子を窺いつつ、雛子は片手をそっと伸ばしてシーツの上に放られているローターを手に取った。彼が目を瞑っているのを良い事に、ローションを追加するついでにローターもローションで濡らす。
そうしてローターも手も手の中の熱もどろどろに濡れた状態でスイッチを入れ、ヴヴヴと音をあげるローターの振動部を手の中の熱の先端に押し付けた。
瞬間、颯斗の体が今までで一番強く跳ね上がり、驚愕と言わんばかりに目を見開いた。
ひゅっと高い音は彼が息を詰まらせた音だろうか。
「うっああ! まっ、雛子っ!」
彼の手が制止しようと伸びるが、強い快感にうまく動かせないのかシーツを掴むだけに終わった。そうとう強い力で掴んでいるのかシーツがよれる。
先程までのくぐもった声とは違う颯斗の声に雛子は自分の背が震えるどころか下腹部が熱くなっていくのを感じ、そして早く彼を果てさせてあげようと刺激を受けて精を零す熱へと唇を寄せた。
片手では先端を責めるローターを押さえ、もう片手では根本を扱く。舌ではカリ首と呼ばれる傘のようにくびれた部位をねっとりと舐めた。
ローションが溢れる精と混ざり合い水音がより増して、颯斗が荒い呼吸の中で必死に雛子の名前を呼んでくる。
「雛子っ……! んっぅう!」
「ねぇ颯斗、これ気持ち良い?」
「くぅっ、う、うぅ……! 雛子っ、駄目だもう! 顔、はなせっ……でるっ!」
「えっ? ……きゃっ!」
顔を放せと言われ、なぜと問おうとした瞬間、手の中の熱がドクンと脈打って溢れた精が雛子の顔に掛かった。
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