27 / 68
三、カールロット公爵令嬢は魔女になった
27
しおりを挟む
「はぁ。レダリカ、あんた要は逆恨みで拗ねてるだけじゃない」
「……」
「……ダリエル、猪飾りの暖炉の間で待っててくれ、お茶持ってくから」
嫌みったらしいダリエルを、ロザロニアがなだめて外に連れ出そうとする。客人は「お湯と葉っぱだけ持ってきて。自分で淹れるわ」と固い声で返していた。気持ちはわかる、ロザロニアは香り豊かな紅茶を不思議な薬湯もどきに変えてしまうから。
……気持ちはわかるが、今日は私も虫の居所が良くない。
「お叱り痛み入るわダリエル。ところで、呼ばれてもないのにあなた何しに来たの? 客先のお茶を飲み干して、新しいのを売り付ける商法に変えたの?」
強くなりすぎたかまどの火を鎮めながら挑発してやると、出口に向かいかけていたダリエルが案の定、眉を跳ねあげて応戦してきた。
「呼ばれてないとは言ってくれるわね、この生意気娘っ! こっちはあんたに荷物持ってきてんだっての!」
予想外の言葉に驚いて振り返ると、ダリエルは小脇に抱えていた白い箱をずいっと私に突きつけていた。ロザロニアは包丁を持ったまま、「待って待ってダリエル」と駆け寄ろうとする。
「ちょっとロザロニア、包丁を置いて!……ダリエル、それ、私に?」
「そうだっつってんじゃん! ほら、ちゃーんと上に書いてあるでしょ、レ・ダ・リ・カって!」
ロザロニアが包丁片手にわたついているうちに、ダリエルはぱかっと箱の蓋を開けた。
すると、大きな四角い器から溢れそうなアップルクランブルが現れ、そして厨房いっぱいに甘い香りが広がった。まるで、たった今焼き上がってオーブンから出されたかのように。
そして煮詰めたリンゴを覆う、香ばしいクランブル生地の中央には平たいクッキープレートが乗り、そこに確かに私の名前が彫ってあった。『ようこそレダリカ』と。
「超急いで焼いてきたんだからね! 本当はアップルパイのが得意なんだけど、パイ生地作ってたら夜になっちゃうしさー」
作ったのか。ダリエルが。
「………凄いわ」
明らかに私を祝うために用意されたであろう、かぐわしい贈り物。差し出された箱を思わず受け取って、私は素直に感想を漏らしていた。同時に、喧嘩を売った自分の幼稚さが恥ずかしくなってきた。
とにかく礼を述べなくてはと、目の前の三つ編みの魔女に向かって口を開いた。が。
「そーいうわけで、ロザロニア。当日緊急配達と、ダリエルちゃんの手作り手間賃のダブル割り増しだからね。きっちり払っておくんな!」
「だーっ、もう、今料金の話をするなよ!」
開いた口を、そっと閉じた。なんだ。ダリエルは注文を受けて、仕事をしただけか。
「だいたい、お茶の時間に披露するサプライズ計画だって最初に伝えたんだから、レダリカの前で勝手に開けた分はむしろ値下げしてよ」
「え~、やーねぇ、ちっちゃいことにこだわっちゃって。でっかいのは見た目だけかしら」
豊かな胸の上に伝票を置かれたロザロニアが、ダリエルの額に指を向ける。何かが弾けるような音に、「あっづ! 冗談よぉごめんって」っとダリエルの悲鳴と謝罪が続いた。
アップルクランブルを抱えたまま二人のやりとりを見ていると、そのうちの一人と目が合った。注文主の方だ。
「ありがとうロザロニア。わざわざ用意してくれたのね」
ロザロニアは微笑んだが、その表情はすぐに不満げなものに変わった。
「いやぁ、ほんとは二人が洗礼に向かってるうちに自分で作りたかったんだけど、久しぶりに厨房来たら、道具も材料も何がどこにあるのかわかんなくなってて。で、そうこうしてるうちに時間なくなっちゃってさ。やっぱり弟子によって、厨房の使い勝手って違うんだねぇ」
時間がなくてよかったと、口には出さず、しみじみと思った。そんな祝い甲斐のない私の本音も知らずに、ロザロニアは「でも」と顔をほころばせる。
「あんたが喜んでくれてうれしい。はみ出し者しかいない世界へようこそ、魔女レダリカ」
……ああ、だから、プレートが『ようこそ』なのか。
腑に落ちた私が見つめる先で、目を細めて笑うロザロニア。濃い化粧の向こうの素顔は、存外あどけないようだ。
「ええ、改めてよろしく。魔女ロザロニア」
自然と口元が緩んだ。
はみ出した私を受け止めて、たらいいっぱいのシチューで暖めようとしてくれた黒猫の魔女。思えば、この城にやってくる同業者は数多くとも、彼女ほど気の良い魔女はそういない。
ダリエルなど、こんなときに「ちょっと、お代はまだ?」と口を挟んでくるのだから。
「わーかったから、あんたは先に猪の間に行っててよ。まったく、せっかく驚かそうと思ったのにさ!」
爪がピンク色に塗られた手が空中を一撫ですると、革の財布が現れた。そこからロザロニアが硬貨を数枚取り出し渡すと、「はーい、毎度ありー」とダリエルは軽い足取りで厨房から出ていった。
調理台の上の芋をよけて箱を置く場所を作りながら、私は肩を落としたロザロニアへと言葉をかける。
「驚いたわよ、十分」
「もっとだよ。もっと『わーすごい! 洗礼は今朝だったのに、いったい誰が?』って、言わせたかったのになぁ」
「かえってわざとらしいじゃない、それ」
沸騰した鍋の蓋がカタカタと揺れているのを気にしながらそんなことを言っていると、また厨房の出入り口が開く音がした。
「ねぇ、レダリカまだ怒ってんの?……あ。わー、すごい!」
扉の隙間から顔を覗かせてきたフラウリッツが、通常ではそう見ないほど目を丸くして、調理台のそばへと寄ってきた。
「アップルクランブルか。いい匂いだ、良かったねぇレダリカ。おや、洗礼したの今朝だったのに、いったい誰が用意したんだろう?」
魔法使いは箱を覗きこんで手を叩いて喜び、そしてこちらを見ながら大袈裟に首をかしげた。私は隣の魔女へと体を寄せ、そっと耳打ちする。
「……サプライズ、成功したわね」
『違う、こうじゃない』とでも言いたげに顔を歪めた姉弟子に、こっそり忍び笑いを漏らしながら指をならす。かまどの火が消え、鍋の蓋が大人しくなった。
「……」
「……ダリエル、猪飾りの暖炉の間で待っててくれ、お茶持ってくから」
嫌みったらしいダリエルを、ロザロニアがなだめて外に連れ出そうとする。客人は「お湯と葉っぱだけ持ってきて。自分で淹れるわ」と固い声で返していた。気持ちはわかる、ロザロニアは香り豊かな紅茶を不思議な薬湯もどきに変えてしまうから。
……気持ちはわかるが、今日は私も虫の居所が良くない。
「お叱り痛み入るわダリエル。ところで、呼ばれてもないのにあなた何しに来たの? 客先のお茶を飲み干して、新しいのを売り付ける商法に変えたの?」
強くなりすぎたかまどの火を鎮めながら挑発してやると、出口に向かいかけていたダリエルが案の定、眉を跳ねあげて応戦してきた。
「呼ばれてないとは言ってくれるわね、この生意気娘っ! こっちはあんたに荷物持ってきてんだっての!」
予想外の言葉に驚いて振り返ると、ダリエルは小脇に抱えていた白い箱をずいっと私に突きつけていた。ロザロニアは包丁を持ったまま、「待って待ってダリエル」と駆け寄ろうとする。
「ちょっとロザロニア、包丁を置いて!……ダリエル、それ、私に?」
「そうだっつってんじゃん! ほら、ちゃーんと上に書いてあるでしょ、レ・ダ・リ・カって!」
ロザロニアが包丁片手にわたついているうちに、ダリエルはぱかっと箱の蓋を開けた。
すると、大きな四角い器から溢れそうなアップルクランブルが現れ、そして厨房いっぱいに甘い香りが広がった。まるで、たった今焼き上がってオーブンから出されたかのように。
そして煮詰めたリンゴを覆う、香ばしいクランブル生地の中央には平たいクッキープレートが乗り、そこに確かに私の名前が彫ってあった。『ようこそレダリカ』と。
「超急いで焼いてきたんだからね! 本当はアップルパイのが得意なんだけど、パイ生地作ってたら夜になっちゃうしさー」
作ったのか。ダリエルが。
「………凄いわ」
明らかに私を祝うために用意されたであろう、かぐわしい贈り物。差し出された箱を思わず受け取って、私は素直に感想を漏らしていた。同時に、喧嘩を売った自分の幼稚さが恥ずかしくなってきた。
とにかく礼を述べなくてはと、目の前の三つ編みの魔女に向かって口を開いた。が。
「そーいうわけで、ロザロニア。当日緊急配達と、ダリエルちゃんの手作り手間賃のダブル割り増しだからね。きっちり払っておくんな!」
「だーっ、もう、今料金の話をするなよ!」
開いた口を、そっと閉じた。なんだ。ダリエルは注文を受けて、仕事をしただけか。
「だいたい、お茶の時間に披露するサプライズ計画だって最初に伝えたんだから、レダリカの前で勝手に開けた分はむしろ値下げしてよ」
「え~、やーねぇ、ちっちゃいことにこだわっちゃって。でっかいのは見た目だけかしら」
豊かな胸の上に伝票を置かれたロザロニアが、ダリエルの額に指を向ける。何かが弾けるような音に、「あっづ! 冗談よぉごめんって」っとダリエルの悲鳴と謝罪が続いた。
アップルクランブルを抱えたまま二人のやりとりを見ていると、そのうちの一人と目が合った。注文主の方だ。
「ありがとうロザロニア。わざわざ用意してくれたのね」
ロザロニアは微笑んだが、その表情はすぐに不満げなものに変わった。
「いやぁ、ほんとは二人が洗礼に向かってるうちに自分で作りたかったんだけど、久しぶりに厨房来たら、道具も材料も何がどこにあるのかわかんなくなってて。で、そうこうしてるうちに時間なくなっちゃってさ。やっぱり弟子によって、厨房の使い勝手って違うんだねぇ」
時間がなくてよかったと、口には出さず、しみじみと思った。そんな祝い甲斐のない私の本音も知らずに、ロザロニアは「でも」と顔をほころばせる。
「あんたが喜んでくれてうれしい。はみ出し者しかいない世界へようこそ、魔女レダリカ」
……ああ、だから、プレートが『ようこそ』なのか。
腑に落ちた私が見つめる先で、目を細めて笑うロザロニア。濃い化粧の向こうの素顔は、存外あどけないようだ。
「ええ、改めてよろしく。魔女ロザロニア」
自然と口元が緩んだ。
はみ出した私を受け止めて、たらいいっぱいのシチューで暖めようとしてくれた黒猫の魔女。思えば、この城にやってくる同業者は数多くとも、彼女ほど気の良い魔女はそういない。
ダリエルなど、こんなときに「ちょっと、お代はまだ?」と口を挟んでくるのだから。
「わーかったから、あんたは先に猪の間に行っててよ。まったく、せっかく驚かそうと思ったのにさ!」
爪がピンク色に塗られた手が空中を一撫ですると、革の財布が現れた。そこからロザロニアが硬貨を数枚取り出し渡すと、「はーい、毎度ありー」とダリエルは軽い足取りで厨房から出ていった。
調理台の上の芋をよけて箱を置く場所を作りながら、私は肩を落としたロザロニアへと言葉をかける。
「驚いたわよ、十分」
「もっとだよ。もっと『わーすごい! 洗礼は今朝だったのに、いったい誰が?』って、言わせたかったのになぁ」
「かえってわざとらしいじゃない、それ」
沸騰した鍋の蓋がカタカタと揺れているのを気にしながらそんなことを言っていると、また厨房の出入り口が開く音がした。
「ねぇ、レダリカまだ怒ってんの?……あ。わー、すごい!」
扉の隙間から顔を覗かせてきたフラウリッツが、通常ではそう見ないほど目を丸くして、調理台のそばへと寄ってきた。
「アップルクランブルか。いい匂いだ、良かったねぇレダリカ。おや、洗礼したの今朝だったのに、いったい誰が用意したんだろう?」
魔法使いは箱を覗きこんで手を叩いて喜び、そしてこちらを見ながら大袈裟に首をかしげた。私は隣の魔女へと体を寄せ、そっと耳打ちする。
「……サプライズ、成功したわね」
『違う、こうじゃない』とでも言いたげに顔を歪めた姉弟子に、こっそり忍び笑いを漏らしながら指をならす。かまどの火が消え、鍋の蓋が大人しくなった。
1
あなたにおすすめの小説
乙女ゲームの悪役令嬢の兄の婚約者に転生しましたが傷物になったので退場を希望します!
ユウ
恋愛
平凡な伯爵令嬢のリネットは優しい婚約者と妹と穏やかで幸福な日々を送っていた。
相手は公爵家の嫡男であり第一王子殿下の側近で覚えもめでたく社交界の憧れの漆黒の騎士と呼ばれる貴族令息だった。
結婚式前夜、婚約者の妹に会いに学園に向かったが、そこで事件が起きる。
現在学園で騒動を起こしている第二王子とその友人達に勘違いから暴行を受け階段から落ちてしまう…
その時に前世の記憶を取り戻すのだった…
「悪役令嬢の兄の婚約者って…」
なんとも微妙なポジション。
しかも結婚前夜で傷物になる失態を犯してしまったリネットは婚約解消を望むのだが、悪役令嬢の義妹が王子に婚約破棄を突きつける事件に発展してしまう。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』
鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」
公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。
だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。
――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの?
何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。
しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。
それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。
そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。
温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。
そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。
「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」
「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」
離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。
そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。
前世の記憶を取り戻した元クズ令嬢は毎日が楽しくてたまりません
Karamimi
恋愛
公爵令嬢のソフィーナは、非常に我が儘で傲慢で、どしうようもないクズ令嬢だった。そんなソフィーナだったが、事故の影響で前世の記憶をとり戻す。
前世では体が弱く、やりたい事も何もできずに短い生涯を終えた彼女は、過去の自分の行いを恥、真面目に生きるとともに前世でできなかったと事を目いっぱい楽しもうと、新たな人生を歩み始めた。
外を出て美味しい空気を吸う、綺麗な花々を見る、些細な事でも幸せを感じるソフィーナは、険悪だった兄との関係もあっという間に改善させた。
もちろん、本人にはそんな自覚はない。ただ、今までの行いを詫びただけだ。そう、なぜか彼女には、人を魅了させる力を持っていたのだ。
そんな中、この国の王太子でもあるファラオ殿下の15歳のお誕生日パーティに参加する事になったソフィーナは…
どうしようもないクズだった令嬢が、前世の記憶を取り戻し、次々と周りを虜にしながら本当の幸せを掴むまでのお話しです。
カクヨムでも同時連載してます。
よろしくお願いします。
二度目の子育て~我が子を可愛がったら溺愛されました
三園 七詩
恋愛
私は一人娘の優里亜の母親だった。
優里亜は幼い頃から体が弱く病院でほとんどの時間を過ごしていた。
優里亜は本が好きでよく私にも本の話をしてくれた。
そんな優里亜の病状が悪化して幼くして亡くなってしまう。
絶望に打ちひしがれている時事件に巻き込まれ私も命を落とした。
そして気がつくと娘の優里亜が大好きだった本の世界に入り込んでいた。
【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました
いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。
子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。
「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」
冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。
しかし、マリエールには秘密があった。
――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。
未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。
「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。
物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立!
数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。
さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。
一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて――
「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」
これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、
ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー!
※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。
『白い結婚だったので、勝手に離婚しました。何か問題あります?』
夢窓(ゆめまど)
恋愛
「――離婚届、受理されました。お疲れさまでした」
教会の事務官がそう言ったとき、私は心の底からこう思った。
ああ、これでようやく三年分の無視に終止符を打てるわ。
王命による“形式結婚”。
夫の顔も知らず、手紙もなし、戦地から帰ってきたという噂すらない。
だから、はい、離婚。勝手に。
白い結婚だったので、勝手に離婚しました。
何か問題あります?
悪役令息(冤罪)が婿に来た
花車莉咲
恋愛
前世の記憶を持つイヴァ・クレマー
結婚等そっちのけで仕事に明け暮れていると久しぶりに参加した王家主催のパーティーで王女が婚約破棄!?
王女が婚約破棄した相手は公爵令息?
王女と親しくしていた神の祝福を受けた平民に嫌がらせをした?
あれ?もしかして恋愛ゲームの悪役令嬢じゃなくて悪役令息って事!?しかも公爵家の元嫡男って…。
その時改めて婚約破棄されたヒューゴ・ガンダー令息を見た。
彼の顔を見た瞬間強い既視感を感じて前世の記憶を掘り起こし彼の事を思い出す。
そうオタク友達が話していた恋愛小説のキャラクターだった事を。
彼が嫌がらせしたなんて事実はないという事を。
その数日後王家から正式な手紙がくる。
ヒューゴ・ガンダー令息と婚約するようにと「こうなったらヒューゴ様は私が幸せする!!」
イヴァは彼を幸せにする為に奮闘する。
「君は…どうしてそこまでしてくれるんだ?」「貴方に幸せになってほしいからですわ!」
心に傷を負い悪役令息にされた男とそんな彼を幸せにしたい元オタク令嬢によるラブコメディ!
※ざまぁ要素はあると思います。
※何もかもファンタジーな世界観なのでふわっとしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる