78 / 110
第三章 真実
巣立ち※-③
しおりを挟む
*
「……っ、う……」
ぷは、と布団から柚琉が顔を出す。
正臣の上に裸の身体を乗せながら、冷ややかな顔でこちらを見下ろしてくる。
今している行為に見合わない表情に、正臣は笑った。
「どうせもう、何をしても一緒だよ」
「ヤケになっておられるのであれば、よくな……あ……ッ、んん……っ」
途中から、彼女の声が甘くなる。
足を開かせ、下から埋め込んでやったのだ。
「大丈夫? もう俺、何もなくなっちゃうけど」
「……ッ、……っ、あ……」
(えろ)
自分の上に座り。とろける目でこちらを見下げてくるのがたまらない。
(たしかに、ヤケになっているのかもしれないな)
病院長との面談は、正臣の心にいろいろな黒い感情を湧き起こした。
『今までの経歴に泥を塗ることになる』
『真面目に目の前の医療に向き合いなさい』
それを思い出して眉間に皺を寄せていると、挑むような口づけが下りてくる。
うっとりと蹂躙されるのを楽しんだ。
唇が離れ、それがまだつきそうな距離で柚琉が言う。
「絶対、離れませんよ」
「情熱的だね」
自分をあっという間に切り捨てようとする病院と違い、この子の執着に喜びを感じる自分はおかしいのだろうか。
「先生、ただ、記者への持ち込みに、ついて、は……っ」
「続けて」
「もっと、よく、考え、て……っ」
「えろいなぁ」
「あああっ、~~……っ」
続けてと言っておきながら、しゃべれなくなるほどごんごんと腰を突き上げる。
彼女が崩れ落ちるまでそれを繰り返した。
ベッドに身体を並べながら、ぽつりぽつりと会話する。
「俺を心配してくれてるけど、君も無関係ではいられないよ。君の家族も」
「……理解しています」
はぁ、と柚琉が溜め息をついた。
まだ決断はできないだろうが、もう、正臣の決断が揺るがないこと、手段を選んではいられないことは分かっている様子だった。
「……っ、う……」
ぷは、と布団から柚琉が顔を出す。
正臣の上に裸の身体を乗せながら、冷ややかな顔でこちらを見下ろしてくる。
今している行為に見合わない表情に、正臣は笑った。
「どうせもう、何をしても一緒だよ」
「ヤケになっておられるのであれば、よくな……あ……ッ、んん……っ」
途中から、彼女の声が甘くなる。
足を開かせ、下から埋め込んでやったのだ。
「大丈夫? もう俺、何もなくなっちゃうけど」
「……ッ、……っ、あ……」
(えろ)
自分の上に座り。とろける目でこちらを見下げてくるのがたまらない。
(たしかに、ヤケになっているのかもしれないな)
病院長との面談は、正臣の心にいろいろな黒い感情を湧き起こした。
『今までの経歴に泥を塗ることになる』
『真面目に目の前の医療に向き合いなさい』
それを思い出して眉間に皺を寄せていると、挑むような口づけが下りてくる。
うっとりと蹂躙されるのを楽しんだ。
唇が離れ、それがまだつきそうな距離で柚琉が言う。
「絶対、離れませんよ」
「情熱的だね」
自分をあっという間に切り捨てようとする病院と違い、この子の執着に喜びを感じる自分はおかしいのだろうか。
「先生、ただ、記者への持ち込みに、ついて、は……っ」
「続けて」
「もっと、よく、考え、て……っ」
「えろいなぁ」
「あああっ、~~……っ」
続けてと言っておきながら、しゃべれなくなるほどごんごんと腰を突き上げる。
彼女が崩れ落ちるまでそれを繰り返した。
ベッドに身体を並べながら、ぽつりぽつりと会話する。
「俺を心配してくれてるけど、君も無関係ではいられないよ。君の家族も」
「……理解しています」
はぁ、と柚琉が溜め息をついた。
まだ決断はできないだろうが、もう、正臣の決断が揺るがないこと、手段を選んではいられないことは分かっている様子だった。
10
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
【完結】指先が触れる距離
山田森湖
恋愛
オフィスの隣の席に座る彼女、田中美咲。
必要最低限の会話しか交わさない同僚――そのはずなのに、いつしか彼女の小さな仕草や変化に心を奪われていく。
「おはようございます」の一言、資料を受け渡すときの指先の触れ合い、ふと香るシャンプーの匂い……。
手を伸ばせば届く距離なのに、簡単には踏み込めない関係。
近いようで遠い「隣の席」から始まる、ささやかで切ないオフィスラブストーリー。
病弱な彼女は、外科医の先生に静かに愛されています 〜穏やかな執着に、逃げ場はない〜
来栖れいな
恋愛
――穏やかな微笑みの裏に、逃げられない愛があった。
望んでいたわけじゃない。
けれど、逃げられなかった。
生まれつき弱い心臓を抱える彼女に、政略結婚の話が持ち上がった。
親が決めた未来なんて、受け入れられるはずがない。
無表情な彼の穏やかさが、余計に腹立たしかった。
それでも――彼だけは違った。
優しさの奥に、私の知らない熱を隠していた。
形式だけのはずだった関係は、少しずつ形を変えていく。
これは束縛? それとも、本当の愛?
穏やかな外科医に包まれていく、静かで深い恋の物語。
※この物語はフィクションです。
登場する人物・団体・名称・出来事などはすべて架空であり、実在のものとは一切関係ありません。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!
satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。
働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。
早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。
そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。
大丈夫なのかなぁ?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる