【BL】シロとクロ ※R-15

コウサカチヅル

文字の大きさ
7 / 10
本編+挿話

最終話【後編】

しおりを挟む
「シロさ、ま……どうして……」
「その、足飾あしかざり。まんいち、クロが迷子まいごになってもさがせるように……場所ばしょ辿たどれるじゅつをかけておいたんです」
「あ……」
 足飾あしかざりを、る。ぼくをまもるために、『ちから』を。『おもい』を、つかってくれていたなんて。
 きそうになってシロ様にけると、シロ様は、へなへな、とそのすわりこんでしまった。
「シロ様……っ!?」
 ぼくは『異形いぎょう』への恐怖きょうふで、まだもつれるあし必死ひっしうごかして、シロ様のもとへけよる。
「だいじょう、」
「ばか!!」
「っ、え、」
「やっとのおもいで部屋へやかえったら、どうして私が突如とつじょ『クレナイとおしあわせに』なんですか!!? なんで勝手かってにいなくなって、べられかけてて、もう、わけがわからなくて……っ。私の心臓しんぞうツブすですか、クロのばかっっ!!」
「なっ……!?!」
 シロ様のあまりのいきおいに、ぼくはあたましろになって、そのあと、かああっと、沸騰ふっとうしたみたいになった。『ばか』なんて、シロ様にはじめてわれた。ぼくはぼくなりに、精一杯考せいいっぱいかんがえたのに。だってあんな状況じょうきょう、だれだって――。
「っ、『ばか』は、シロ様でしょう!? こえたもん、クレナイ様に〝あいしているからおそいたい〟って!! ぼくがいたら、『じゃま』だもん!!」
「は? え、アレを、い……??」
多分たぶん、ぼくのみみじゃなくてもこえてたよ! もはや『たましい咆哮ほうこう』、だったもん!!」
 シロ様が、みるみるあかくなる。
 もういやだ、こんな、ほかのひとをおもってかわいいシロ様、たくない。またなみだが、ぽろぽろあふれる。ぼくは本当ほんとうに『いやな子』だ。
「『ばか』はシロ様だもん……っ、ばか、ばかぁ……」

 きじゃくるぼくのそばで、シロ様がひざをつく気配けはいかんじる。
「……ごめんなさい、クロ。ひどいことをいました。とりあえず、屋敷やしきもどりましょう。クレナイのことは誤解ごかいです。ちゃんと『真実しんじつ』をはなしたい」
「ききたくない。……かえれ、ないもんっう、うぅ~……!」
 ……もう『無理むり』だよ。『かえ資格しかく』なんてない。
 いやいや、となおもくびってぼくのあたまを、こまったようになでるシロ様。
 それは、おかあさんが大切たいせつあかちゃんをあやすような、うやうやしいもので。

「やだぁっ……!!」
 ぼくが『ほしい』のは、『それ』じゃなくて――。発作的ほっさてきに、シロ様のをぱんっとはらいのけてしまった。
 ぼくの行動こうどうに、見開みひらくシロ様。
 こおりついた空気くうきが、いたいくらいにはだす。


「っ、あの、ちが、さわりかた、や、で……」
 はらはら、なみだが、ぼくのほおつたって、くちびるがわななく。くるしすぎて、いま上手じょうず説明せつめいなんてできなかった。
 『ちがう』の。『そう』じゃなくて。

「……クロ、」
「ごめんな、さい……っ。……あなたが、『いとしい』、から」
「!」

「あいしてるの、あいされたい……っ。そのふれかたじゃ、やなの……!」

 シロ様から、ぎりって、を食いしばるようなおとこえた。気持きもちをげてしまったのがこわくて、まっすぐシロ様をられない。ただ、涙腺るいせんこわれちゃったみたいになみだまらなくて。

「ご、ごめん、なさ、っ、シロさ」
 いおわるまえに、シロ様は。


 ぼくのくちびるをうばっていた。
「!?」

 びっくりするほどふかくちづけに混乱こんらんする。『むさぼられる』みたいな、キスだった。
 しばらくしてシロ様は、ぼくのなかからめていたしたをぷはっとはなし、いきおいよく、ぼくをしたおした。

「――あれは全部ぜんぶ、あなたのことです!!」
「……え、っ」

「あなたのことばかりかんがえていた。いつも、おかしたいとかそんなことばかり……っ。でも、えるわけなくて。いつだって我慢がまんして、かっこつけて。よく、られたくてっ、~~っ!!」
 シロ様も、いていた。かおをくしゃくしゃにして、どもみたいに。ぼくのくびすじに、シロ様のあたたかいなみだがぽたぽた、とつたった。

「私はあなたがおもうような、『立派りっぱ』なおとこじゃない……」
 あおけのぼくのむねにもたれかかって、すすりくシロ様。ぼくは、こころしんじられないほどきゅうっとなって、がつくと、シロ様のうしあたままわし、やさしくなでていた。でもそれは、ぼくにとっては、どもをあやすような意味いみではなくて。
 ああ、やっぱりぼく、このひとのこと――。
「っ……く、ろ?」
「――シロ様は、かわいい、よ」
「……え」
「ぼくね、ずっとおもってたよ。シロ様は、かっこいいけれど、かわいい。それがすごく『いとおしい』」
 おどろいた様子ようすかおをあげたシロ様に、ぼくもおそろいのあかれた目で、にこっとわらいかける。
「でも、やっぱり全部ぜんぶは『わからない』から……今日きょう、ちょっとだけれてうれしい」
「――……」
「ね、シロ様――ぼくだって、『立派りっぱ』じゃないこと、いっぱいおもってる。あなたがじゃないなら、ってほしいな……」
 鎖骨さこつうえにあったシロ様のをとって、ちゅぅっ、とう。すこずかしかったけれど、『意図いと』が、つたわるように。


 シロ様は、へにゃっと、せつなそうにわらった。
が、くるいそう……」

 瞬間しゅんかん、くちびるがふかかさなり、シロ様のながい、きれいな白色しろいろかみがさらり、とぼくのほおちる。
 しんじられないくらいしあわせで、ちるよるが、はじまった。


✿✿✿✿✿


 翌朝よくあさ
 太陽たいようがまぶしくて、自然しぜんあふれるもりは『はるらんまん』だったけれど。いまはきれいな花々はなばなも、とりたちのきとおるような歌声うたごえも、たのしめる余裕よゆうなんてなかった。
大丈夫だいじょうぶですか? クロ」
「ふぁい……」
 まだ、からだががくがくしている。
 知識ちしきは(シロ様にこいをしてからがんばって調しらべたので)あったけれど、実際じっさいにだれかと『むつみあう』のははじめてだったし、その……、昨晩さくばんのシロ様が、本当ほんとうに……、『すごかった』、から。

 ぞくぞくするほどいろっぽくて、はげしくて。
 おもいだすと、またかお火照ほてって、まわってくる。

 でもシロ様は、むしろまえよりもっときしていて。いまもにこにこしながら、ぼくをお姫様ひめさまだっこでお屋敷やしきはこんでくれている。
「シロ様は、すごく元気げんきだね……?」

「私としては、あと三日さんにち余裕よゆうでイけました♡♡」
「それ、『絶●』っていうんだよね!!? ごほんいてあった!!」
 シロ様は、とろけるようなみをかべているけれど、ぼくはさおになった。これ以上はこわれちゃう……!!
「ふふ、無理むりもないことかと。……『おもい』が、かなったのですから」
「シロさ……」

「――さて、婚約式こんやくしきはいつにしましょうか、クロ?♡」
「ふえっ!?」

 当然とうぜんのことのように、シロ様は言う。
「この国は同性婚どうせいこんOKじゃないですか」
 たしかに鬼の国は、オス同士どうしでもメス同士どうしでも結婚けっこんできる、とても素敵すてきなところだ。でも。
「そ、それはってるけれど! シロ様は『だめ』、でしょ……!?!」
「なぜ?」
 だって、だってシロ様は。
「シロ様は『王子様おうじさま』だもん!! ぼくじゃどうがんばっても、つぎ王子様おうじさまめないもん!!」
 わかっている。だれとこいをしてもシロ様は、最後さいごはメスとむすばれて、『世継よつぎ』をつくらなくちゃいけない。とくに『よそもの』で『けがらわしい』ぼくは、あいしてもらえただけで、うれしいっておもわなきゃ、『だめ』。
 シロ様は、そうさけんできそうなぼくをしばらくきょとん、とつめ、あっけらかんとはなった。
おしえていませんでしたっけ? 鬼の国は、世襲制せしゅうせいじゃないですよ?」

「せしゅ……? 、じゃない……??」
「ええと、おう代々だいだい、|国を必要ひつようはないんです」
「……え。ええぇえぇええ!!?」
 が、てんになる。

「20ねんに1度開どひらかれる、『鬼の国天下一武道会てんかいちぶどうかい』の優勝者ゆうしょうしゃが、その都度つど国をおさめるしきたりです☆」
格闘かくとうものかな!!?」
「ほぼ妖術テクニックでなんとかしたんですが……当時未成年とうじみせいねんだったので、いまだに『王子おうじびなんですよねー」←現在げんざい22さい
「ふえっ……ふぇえっ……??」
 あたま整理せいりいつかなくて、よくわからないこえてしまう。

 シロ様は、そんなぼくを、一度いちどしゃがんでひざせなおすと、ぼくの指先ゆびさきにくちびるをつけてささやいた。

「――いとげるのないものを、あんなどろどろにあいしたりしません♡」
「! ……あ、あの、それにぼくは」
「?」
「『よそもの』、で……」
「ああ、そんなこと」
 しどろもどろになるぼくに、シロ様はくすっと、『嗜虐的しぎゃくてき』にんだ。

「私の『最愛さいあい』をえら権利けんりは、私だけのもの――異論いろんなどみとめるものか。……ねえ、クロ。あなたの『おもい』さえたしかならば。私の伴侶ただひとりに、なってくれますか?」
 ――シロ様は、ずるい。
 かわいかったり、やさしかったり。いまはちょっと『ためす』ようなかおをして、ぼくを上目遣うわめづかいにつめている。
 でも、そんなシロ様を。
「~~もちろん、です!」
 ぼくはもう、どうしようもなく、あいしてしまっているんだ。


✿✿✿✿✿


【おまけ】

 王家おうけ屋敷やしきかえ途中とちゅう
 シロはクロをふたたび、お姫様ひめさまだっこしながら、なんのなしにたずねる。
「そういえば、が|国では17になるまで婚姻こんいんむすべませんが……クロはあと何年なんねんほどてばいいのでしょう?」
「あっ、それなら大丈夫だいじょうぶだよ!」
 クロは、極上ごくじょう笑顔えがおこたえた。
ただしいのはわからないけれど、まれてからすくなくとも、30ねんってるとおもうから!」
「へぇー! そうなんですかー✿✿」

 そのシロは、無理むりをさせたクロを自室じしつかせ、やさしくくちづけたのちに、クレナイのもとまでけてゆき、
「クレナイ、かくかくしかじかで……合法ごうほうどころか……年上としうえだった……!」←22さい
総評そうひょうして『エエ……(ふるえ)?』ってかんじだが、よかったな……」
 『やはりかみつくりたもうた奇跡きせきだな……!?!』とかがやかせながら、クロのミラクルなとうとさをかたりたおしたという。

 一方いっぽう自身じしんよわい22であるクレナイは、とりあえずお赤飯せきはんき、『いままでいぬっころってんですみませんでした……』と、後日ごじつクロへ、こし垂直すいちょくげるレベルの謝罪しゃざいをしたらしい。



✿✿✿おわり✿✿✿
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

BL団地妻-恥じらい新妻、絶頂淫具の罠-

おととななな
BL
タイトル通りです。 楽しんでいただけたら幸いです。

騙されて快楽地獄

てけてとん
BL
友人におすすめされたマッサージ店で快楽地獄に落とされる話です。長すぎたので2話に分けています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

上司、快楽に沈むまで

赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。 冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。 だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。 入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。 真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。 ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、 篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」 疲労で僅かに緩んだ榊の表情。 その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。 「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」 指先が榊のネクタイを掴む。 引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。 拒むことも、許すこともできないまま、 彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。 言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。 だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。 そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。 「俺、前から思ってたんです。  あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」 支配する側だったはずの男が、 支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。 上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。 秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。 快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。 ――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。

邪神の祭壇へ無垢な筋肉を生贄として捧ぐ

BL
鍛えられた肉体、高潔な魂―― それは選ばれし“供物”の条件。 山奥の男子校「平坂学園」で、新任教師・高尾雄一は静かに歪み始める。 見えない視線、執着する生徒、触れられる肉体。 誇り高き男は、何に屈し、何に縋るのか。 心と肉体が削がれていく“儀式”が、いま始まる。

従僕に溺愛されて逃げられない

大の字だい
BL
〈従僕攻め×強気受け〉のラブコメ主従BL! 俺様気質で傲慢、まるで王様のような大学生・煌。 その傍らには、当然のようにリンがいる。 荷物を持ち、帰り道を誘導し、誰より自然に世話を焼く姿は、周囲から「犬みたい」と呼ばれるほど。 高校卒業間近に受けた突然の告白を、煌は「犬として立派になれば考える」とはぐらかした。 けれど大学に進学しても、リンは変わらず隣にいる。 当たり前の存在だったはずなのに、最近どうも心臓がおかしい。 居なくなると落ち着かない自分が、どうしても許せない。 さらに現れた上級生の熱烈なアプローチに、リンの嫉妬は抑えきれず――。 主従なのか、恋人なのか。 境界を越えたその先で、煌は思い知らされる。 従僕の溺愛からは、絶対に逃げられない。

番を拒み続けるΩと、執着を隠しきれないαが同じ学園で再会したら逃げ場がなくなった話 ――優等生αの過保護な束縛は恋か支配か

雪兎
BL
第二性が存在する世界。 Ωであることを隠し、平穏な学園生活を送ろうと決めていた転校生・湊。 しかし入学初日、彼の前に現れたのは―― 幼い頃に「番になろう」と言ってきた幼馴染のα・蓮だった。 成績優秀、容姿端麗、生徒から絶大な信頼を集める完璧なα。 だが湊だけが知っている。 彼が異常なほど執着深いことを。 「大丈夫、全部管理してあげる」 「君が困らないようにしてるだけだよ」 座席、時間割、交友関係、体調管理。 いつの間にか整えられていく環境。 逃げ場のない距離。 番を拒みたいΩと、手放す気のないα。 これは保護か、それとも束縛か。 閉じた学園の中で、二人の関係は静かに歪み始める――。

処理中です...