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2章
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窓から外を見てみると、この国の人たちが興味深そうに立っているのが見えた。
さすがに兵士たちの後ろに立っているから、よく見えないけど、人の数は多そうだ。突然、地震が起きたかと思えば、王子様が変な女を連れてきたと驚いているのかもしれない。
それにこの国の建物にビルがなかった。私の世界でよく見かける高層ビルのような高い建造物は、なにもない。馬車から見られる範囲なので、もしかしたらあるかもしれないが、今のところは分からない。遠目で見ても日本ではあまり見かけないデザインの家が立ち並んでいる。ヨーロッパ風の建物といえばいいのだろうか。
建物は、皆白い。ただ、屋根や窓枠が鮮やかなエメラルドグリーンやレンガのような赤で塗られている。屋根の形も不思議な形をしており、日本ではまず見られないデザインだ。
それなのに、喋っている言語は私の耳にはお馴染みの日本語なのだから、どうにも頭がおかしくなりそうだ。まるで、洋画の日本語吹き替え版を見ているような奇妙ささえ感じてしまう。
しばらく馬車は走り続けると、ついに城まで来たらしい。
大きな門が開かれても馬車は止まることなく、木々が生い茂る森の中を走り続けた。
「国の中に森があるんですか…?」
「そうなんだ。まだここから少し走るよ」
なぜ城の前に森?と思ったが、まぁ色々とあるのだろう。
自然公園みたいなものなのかもしれない。確かに道路は整備されていて、揺れもなく、車内は快適だ。遠くに鹿の親子を見つけて、ぼんやりと見ていると逃げてしまった。
どうやらこの森には、野生動物もいるらしい。
そして、しばらくしてようやく馬車が止まった。ここからは歩くらしい。
「さぁ聖女。陛下が待っている」
「は、はい……」
馬車を下りると、本当に城があって驚いた。遠目で見た時よりはるかに迫力がある。その城の後ろには山があり、ずいぶんと自然豊かな場所にあるんだなと思った。
真っ白なレンガか何かで出来た城と、後ろの緑の山々のコントラストは、とても美しい。それと同時にやはりここは日本ではないことが分かる。
本当に私、異世界に来てしまったんだな、と。
だとしたら、本当に私は聖女というやつなのだろうか。聖杯で呼ばれたと言っていたが、本当にそんなもので呼び出されたのだろうか。この国の奇跡にふさわしい人間だとは、とても思えない。それなのに、この国の王様に会って大丈夫なんだろうか。
「あの、私本当に普通の人間でして、今さらなんですけど」
「知っている」
「それでですね。陛下に会う前に、その礼儀作法的な、マナーてきなものを教えてもらってから、お会いすることとか可能ですか?ってか、出来ればそうしてもらえると、とてもありがたいんですけど……」
「時間がない。それに陛下はそんなことを気にするような小さい人間ではないから大丈夫だろう」
「本当ですか?なにか失礼にあたるような言動をして、牢屋に入れられたりとかありませんか?」
「呼んだのはこちらなのだから、別に構わないだろう。……それにしても先ほどの神官たちへの態度と比べるとずいぶんと殊勝なものだな」
「先ほどの人たちが失礼すぎましたので」
「はは。なるほど」
どうやら礼儀作法なんて教えてくれることはないらしい。
とりあえず、大人しくして、言われたことに返事をすれば大丈夫だろうか。
さすがに兵士たちの後ろに立っているから、よく見えないけど、人の数は多そうだ。突然、地震が起きたかと思えば、王子様が変な女を連れてきたと驚いているのかもしれない。
それにこの国の建物にビルがなかった。私の世界でよく見かける高層ビルのような高い建造物は、なにもない。馬車から見られる範囲なので、もしかしたらあるかもしれないが、今のところは分からない。遠目で見ても日本ではあまり見かけないデザインの家が立ち並んでいる。ヨーロッパ風の建物といえばいいのだろうか。
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それなのに、喋っている言語は私の耳にはお馴染みの日本語なのだから、どうにも頭がおかしくなりそうだ。まるで、洋画の日本語吹き替え版を見ているような奇妙ささえ感じてしまう。
しばらく馬車は走り続けると、ついに城まで来たらしい。
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「国の中に森があるんですか…?」
「そうなんだ。まだここから少し走るよ」
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そして、しばらくしてようやく馬車が止まった。ここからは歩くらしい。
「さぁ聖女。陛下が待っている」
「は、はい……」
馬車を下りると、本当に城があって驚いた。遠目で見た時よりはるかに迫力がある。その城の後ろには山があり、ずいぶんと自然豊かな場所にあるんだなと思った。
真っ白なレンガか何かで出来た城と、後ろの緑の山々のコントラストは、とても美しい。それと同時にやはりここは日本ではないことが分かる。
本当に私、異世界に来てしまったんだな、と。
だとしたら、本当に私は聖女というやつなのだろうか。聖杯で呼ばれたと言っていたが、本当にそんなもので呼び出されたのだろうか。この国の奇跡にふさわしい人間だとは、とても思えない。それなのに、この国の王様に会って大丈夫なんだろうか。
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