逆ハーレムエンドは凡人には無理なので、主人公の座は喜んで、お渡しします

猿喰 森繁

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何度かループを乗り越えて、ようやく私は防御魔法を覚え、日常的に使うことができるようになっていた。
反射で魔法を防ぐことも出来るようになり、自分の身どころか今では他の生徒を守ることも出来るようになっていた。もちろん、そう簡単にはいかなかった。何度も死亡エンドを乗り越えた経験があってこそ、今では生徒の魔法ごときで死亡することはなくなったというだけだ。っていうか、教師も生徒を守れないくらいなら、こんな実技授業なんてしないでほしい。どう考えても、教師のキャパを超えているのが原因なのだから。まあ、それはともかく。

ある日、教師に呼ばれ、中級魔法演習を卒業することができた。本来ならば、もっと期間を掛けて習得するものを、短期間でクリアしたためだ。その結果、私には別の実技に参加することになっていた。

「レインハルト。お前には、上級生と一緒にダンジョン探索実習に参加してもらう」
「……本当ですか?」

思わず声が震えた。教師の表情に嘘はなさそうだ。中級魔法演習で優秀な成績を収めたから、ついに許可が下りたのだ。上級生のダンジョン探索実習への参加権が。
「ただし」教師は厳しく付け加える。

「あくまで見学。およびサポート要員としてだ。主戦力ではない。危険を察知したら即時撤退。これは絶対だ」
「はい!」

胸が躍る。ダンジョンーーそれはループの中で一度も足を踏み入れたことのない未知の領域だ。前回の魔法暴発事故で受けた致命傷の記憶がまだ鮮明だが……。
それでも教師の提案に、私は内心でガッツポーズをした。ダンジョン探索。それは今までのループでは経験したことのないイベントだった。もしかしたら、このダンジョン探索で新たな情報や攻略ヒントを得られるかもしれない。
それに何より、

――ここを突破できれば、「ゲームクリア」に近づけるかもしれない。

そう思った。
今の私は今までの私とは違う。自分の命だけじゃない。他の人の命を守れるようになった。
足手まといには、ならない。
訓練用のダンジョンは、安全を謳われている。

そこは実際に上級生が模擬戦を行う場所だが、すべての魔物は結界と制御魔法で安全化されていると聞いている。
死ぬことは絶対にない。そう説明されている。
だが、それは本当だろうか。
実技授業でさえ、生徒の魔法の影響で死ぬことがあるこの世界で、絶対の安全があるのだろうか?

案内された施設は想像以上に巨大だった。学園の地下に作られた人工のダンジョン。通称「迷宮模擬演習場」。入り口には「安全制御装置作動中」とのプレートが光っている。

「すべての魔物は結界魔法で弱体化・行動制限されています」説明役の教師が告げる。「さらに特別な魔術による感知システムによって即死する可能性のある攻撃は自動で遮断されます」

(つまり、理論上は死ぬことはない?)

「それでも警戒は怠らないように」

別の教師の鋭い声が飛ぶ。

「過去に模擬訓練中に事故死した例もある。慢心こそ最大の敵だ」

その言葉にずっこけそうになる。

――全然安全じゃないじゃん!

でも、行くしかないんだ。
ループを繰り返し、今まで幾度も「安全なはず」の状況で死を経験してきた。教師や設備が完璧だからといって安心できないことを思い知らされてきた。
それでも足を踏み入れるしかない。冷たい石の床、湿った空気、遠くで魔物の咆哮らしき声。
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