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「それで、これは一体どういうことだ?」

私たちは、あのあと場所を移動して国王がいるという大広間に案内された。
ほかの人たちが頭を下げている中、私と隣の女子高生は気まずそうに立って、彼らが話しているのを待っている。

「ち、父上…違うのです。これは」
「我が国の未来がかかっているそんな状況の時、お前は何をしでかしたんだ、と聞いている」
「そ、それはあいつらが」
「あいつら?」

ぼそりとつぶやく。
あの王子様の本性は、ずいぶんと前から分かっていたけど、ろくでもない男なのは確定だった。見も知らない他人を、よくわからないところに、どういう方法でかは分からないが、呼びつけた挙句、この無作法。
王子と聞いて呆れる。
さぞかし、親の躾がよかったのだろう、と思う。
そんな先入観があるからか、私の王様に対しての印象は結構下がっている。
これ以上下がってほしくないとは思うけど、どうなんだろうか。

「あいつらが、私たちを脅してきたのです。いうことを聞かないと、この国を守らないとかなんとか……、私は何とか頭を下げ、この国のためと思い、言葉を返したら、あいつらはあろうことか雷を落として、我が愛する騎士たちを殺して」
「お言葉ですが」

私の言葉に一斉に皆の視線が集中する。
う゛……。
これまで、おとなしく目立たないように生きてきた私は、こんな国王、王子がいる前で、プレゼンテーションできるほど、度胸は据わっていないのだが、あまりにも王子がこちらを悪者扱いしてくるので、言いたくなったのだ。
ぐっと、手が震えるのを自覚する。
でも、ここで何かを言わないとこの先、不利になるのはこちらだ。
いつの間にか、あの王子様は騎士たちを殺害したといったのだ。殺人罪なんてどの国、どの世界も罪が重いに決まっている。
もしかしたら、牢屋になんて入れられるかもしれない。
このよくわからない状況で、もっとよくわからない状況になるのはまずい。
だから、ここで私が王子が私たちに対して、失礼なことをしたから、何かよくわからないが、雷が落ちてきたんだと、言わなければいけないのに、中々言葉が出てきてくれない。

「どうした。威勢がいいのは口だけか?私たちに何か言いたいことがあるんじゃないのか?」

くそ。このくそ王子。私がこの緊張感に震えていることに気づいて、なんだか余裕だ。どう言い訳しても自分が不利になることはないと思っているのだ。
私が怖気づいていることに気づいた隣の女子高生が私の手を握ってきてくれていた。
その時、私の手に何か冷たくて、やわらかいものが触れた。

隣に立っていた女子高生が私の手を握ってくれていた。
彼女の手は、緊張からか冷たくなっていて、私と同じように震えていた。

「わ、私たちは何もしていません。あの人が私を無理やり触ろうとして、それでこの人が庇ってくれました。私が何度イヤって言ってもあの人が近づいてきたのが、怖くて……でも、でもっ!本当に私たちは何もしていません!!!雷が落ちてきたのも……っ!」

騎士たちの姿を思い出してしまったのだろう。
死体を見るのは、私も初めてだが、子どもの彼女はもっとショックが大きいだろうから。
彼女の瞳からは、ぽろぽろと涙が落ちていく。
小さな背をさすりながら、私も一つ深呼吸する。

―大丈夫だ。
この世界には、少なくとも私ともう一人いるんだから。

「彼女のいうことは本当です。私たちは、何もしていません。それどころか、何の説明もされていません。気づいたら、あの部屋にいました。私たちは、あの部屋にいた人たちに説明を求めました。でも、誰も答えてくれる人間はいませんでした。あそこの王子は、この国の名前だけ、私たちに教えてあとはなにもありませんでした。失礼ですが、王子とかそれ以前に人としての礼儀がなっていないのではありませんか?」
「なんだと?」
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