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「と、とにかく、私に新しい婚約者は早すぎます!」
「ならば、婚約者候補として、考えてくれないか」
「わ、わかりました。時間をください。そしたら、落ち着いて考えます」
「うれしいよ」
「う、うれしい?」
「きゃ~♡」
「か、かっこいいですわ…ルドルフ様…」
アルセウムの顔は、見たこともない顔で笑った。
屈託のない笑顔。
今まで、笑った顔を見たことはあるけど、いつも嫌みったらしく、いじわるな顔で、笑うばかりだったアルセウムの顔が、本当にうれしいとでもいうように、優しかったからだ。
それを見た女生徒が、色めき立っている。
「あんな女になぜ…」
「もったいない…私だったら、すぐにオッケーしましたのに」
「そもそもなぜ、あの女に選ぶ権利が?」
「どこらへんがいいのかしら」
「やっぱり珍しいから?」
「……」
色々な意味で頭が痛い。
「アリシア!」
「おはよう、アンデス」
朝から、疲れた。
さっそく椅子に座り、ベターと机に突っ伏していると、アーサーが駆け寄ってきた。
そして、自然な動作で、隣に座った。
いや、もう別に何も言わないわよ。
「おはよう。アリシア。とってもいい朝だね…って聞いたよ!婚約破棄した上に寮の前で、待ち伏せされたんだって?」
「お話しが早いことですこと」
「僕も駆け付けられたらよかった。ごめんね。これからは、僕が送り迎えするよ!」
「だ、大丈夫よ。ご心配には及ばないから」
「でも、例の彼の家、今大変なことになっているらしいじゃないか」
「え?」
「詳しくは知らないけど、僕の父が言うには、そうとう厳しいみたい」
「そ、そうなの?」
だから、あんなに必死だったのね。
私の家の事業が失敗したという話は、嘘だと分かったのだろう。
おまけに婚約をしていた時に援助していたお金が、止められたのだろう。
今回は、向こうが婚約破棄をしたということで、多額の慰謝料も発生しているはずだ。
「だから、学校を中退するかもしれないって」
「中退?そんなにお金に困っているの?」
「うん。そうみたい」
この学校は、貴族が通う名門校というだけあって、学費がとても高いのだ。
それだけにこの学校に通うこと、卒業することは、それだけで平民にとっては、ステータスになる。
それなのに、貴族である彼がこの学校を中退するなんて、どれほど屈辱的なことだろう。
「彼、女子寮に忍び込んだらしいし、今回の騒動で、退学させられるかもしれないって噂も流れてる」
「噂って流れるの早いのねぇ…。でも、彼には新しい婚約者がいるから、大丈夫よ」
「うん…そうだといいけど」
「アーサー…」
地を這うような声。
その声にぎくりとする。
「ミア」
「おはよう。アーサー」
「んぐ」
私の間に無理やり入ってきたミア嬢。
体を無理やり押しやられて、苦しい。
「私、別の席にうつるわ」
「ええ。そうしてちょうだい」
つん、とそっぽを向いているミア嬢は、あいかわらずだ。
「ならば、婚約者候補として、考えてくれないか」
「わ、わかりました。時間をください。そしたら、落ち着いて考えます」
「うれしいよ」
「う、うれしい?」
「きゃ~♡」
「か、かっこいいですわ…ルドルフ様…」
アルセウムの顔は、見たこともない顔で笑った。
屈託のない笑顔。
今まで、笑った顔を見たことはあるけど、いつも嫌みったらしく、いじわるな顔で、笑うばかりだったアルセウムの顔が、本当にうれしいとでもいうように、優しかったからだ。
それを見た女生徒が、色めき立っている。
「あんな女になぜ…」
「もったいない…私だったら、すぐにオッケーしましたのに」
「そもそもなぜ、あの女に選ぶ権利が?」
「どこらへんがいいのかしら」
「やっぱり珍しいから?」
「……」
色々な意味で頭が痛い。
「アリシア!」
「おはよう、アンデス」
朝から、疲れた。
さっそく椅子に座り、ベターと机に突っ伏していると、アーサーが駆け寄ってきた。
そして、自然な動作で、隣に座った。
いや、もう別に何も言わないわよ。
「おはよう。アリシア。とってもいい朝だね…って聞いたよ!婚約破棄した上に寮の前で、待ち伏せされたんだって?」
「お話しが早いことですこと」
「僕も駆け付けられたらよかった。ごめんね。これからは、僕が送り迎えするよ!」
「だ、大丈夫よ。ご心配には及ばないから」
「でも、例の彼の家、今大変なことになっているらしいじゃないか」
「え?」
「詳しくは知らないけど、僕の父が言うには、そうとう厳しいみたい」
「そ、そうなの?」
だから、あんなに必死だったのね。
私の家の事業が失敗したという話は、嘘だと分かったのだろう。
おまけに婚約をしていた時に援助していたお金が、止められたのだろう。
今回は、向こうが婚約破棄をしたということで、多額の慰謝料も発生しているはずだ。
「だから、学校を中退するかもしれないって」
「中退?そんなにお金に困っているの?」
「うん。そうみたい」
この学校は、貴族が通う名門校というだけあって、学費がとても高いのだ。
それだけにこの学校に通うこと、卒業することは、それだけで平民にとっては、ステータスになる。
それなのに、貴族である彼がこの学校を中退するなんて、どれほど屈辱的なことだろう。
「彼、女子寮に忍び込んだらしいし、今回の騒動で、退学させられるかもしれないって噂も流れてる」
「噂って流れるの早いのねぇ…。でも、彼には新しい婚約者がいるから、大丈夫よ」
「うん…そうだといいけど」
「アーサー…」
地を這うような声。
その声にぎくりとする。
「ミア」
「おはよう。アーサー」
「んぐ」
私の間に無理やり入ってきたミア嬢。
体を無理やり押しやられて、苦しい。
「私、別の席にうつるわ」
「ええ。そうしてちょうだい」
つん、とそっぽを向いているミア嬢は、あいかわらずだ。
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