もう一度君と…

海津渚

文字の大きさ
上 下
13 / 35
1-2 遠崎佳奈

高2スタート

しおりを挟む
 天沢国際高校に入学して1年が経ち、私は2年になった。
 いつものように家を出発し、電車に乗って学校へ向かう。

 今日は1年生の入学式。
 自分が先輩になると思うと心配だけど楽しみだ。
 素敵な後輩ができるといいな…ま、もう1人はいるけど。

 学校に着くと、親友の楓と朝陽がいた。
「おはよう!」
「おはよ~」
 楓は妄想好きで勉強が苦手だけど、すごく元気でおもしろい。朝陽は優等生でしっかりとしていて、お兄さんのような存在。
 2人とは同じ小説部を通して仲良くなり、すぐに意気投合した。楓と朝陽は幼馴染だそうで、幼稚園からずっと一緒らしい。すごいな。
 自分と朝陽は国際科、楓は普通科である。

「今年さ、文化祭実行委員一緒にやらない?」
 楓が提案してきた。
「いいね!楽しそうだし~」
「僕もそう思うー」
 絶対楽しいはずだもん。気持ちが上がっていて、あんなことが起こるなんて思ってもなかった。

 朝陽と2年5組の教室に向かう。国際科の生徒は5、6組なのだ。
「朝陽くんってかっこいいよね~」
「話してみたいよね~」
 女子がこそこそ話しているのが聞こえる。
 朝陽は優しいし、顔面も良いため、裏では女子からモテている。
 いいなあモテて。でも彼は告白されてもいつも断っている。好きなやつでもいるのだろうか。

「あの、一ノ瀬くん。ちょっといいかな。」
 青い名札の人が声をかけてくる。3年生か。
「いいよ。ごめん、佳奈。先に教室行ってて。」
 モテる人は大変だ。

 教室ワークを解いていると、楓がやってきた。
「暇だったから来た~」
 そう言っていつものようにおしゃべりをする。

 少しすると朝陽が戻ってきた。
「告られたけど振った。」
 彼はドスンと椅子に座る。どうやら今回の子は結構強引だったらしい。
「ねえ、なんでいっつも断るのよーかわいい子もいるのに。」
 楓は不満そうに言う。
「朝陽が付き合ったらさ、いっぱい恋話聞けるのにー」
 彼女は部活で恋愛小説を書いている。イケメンと恋愛話を聞くことが大好きなのだ。
「佳奈もさーなんで恋愛興味ないの?」
 
 恋愛。興味がないわけではない。
 タイプだなと思う人も学年には何人かいるし、恋愛小説を読んだらキュンとするし。
 でも怖いのだ。恋愛は怖い。
「佳奈は恋愛が苦手だってずっと言ってるじゃん。彼女の気持ちを尊重しようよ。」
 朝陽がため息をつく。
 自分は周りに恋愛が苦手だと公表している。
 でもほんとは思いっきり恋愛をしてみたい。
 素敵な人と結ばれたい。
 
 運命の人と出会えたらな、なんて。
しおりを挟む
1 / 5

この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!

優秀な妹と婚約したら全て上手くいくのではなかったのですか?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:128,356pt お気に入り:2,249

ド変態お姉ちゃんは無自覚えっちな妹と結ばれますか?

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:14pt お気に入り:20

さて、このたびの離縁につきましては。

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:2,699pt お気に入り:10

桜の季節

恋愛 / 完結 24h.ポイント:99pt お気に入り:7

貴方達から離れたら思った以上に幸せです!

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:206,982pt お気に入り:12,404

継母の心得

恋愛 / 連載中 24h.ポイント:68,111pt お気に入り:23,356

メイドを妊娠させた夫

恋愛 / 完結 24h.ポイント:1,945pt お気に入り:251

処理中です...