もう一度君と…

海津渚

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1-3 上杉拓斗

悠太の家

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 球技大会がやってきた。種目はドッチボール。第1試合から出ることになってしまった。
 ほんとは悠太と出たかったが、彼は足の怪我を心配していて卓球を選んだ。
 試合は相手は同じ国際科の6組。5組は運動神経が良い人が多く、圧勝した。俺自身も3人当て、貢献できた。
 悠太に報告しに行こう!活躍できた幸せに浸っていると、目を真っ赤にした悠太が戻ってきた。
「え!悠太!!どうしたん!?」
「ごめん、俺しんどいから帰るわ。」
 何があったんだ。まさか、例の遠崎さんと話したのか!?
 心の声を読み取ったかのように彼は小さく呟いた。
「…話した。もっと嫌われた。」
 彼は涙をいっぱい溜めた目を手で覆った。
「ごめんな、拓斗。球技大会で楽しんでる途中に…。俺の分も楽しんで。」
 悠太はそれだけ言い残し、帰ってしまった。

 球技大会で5組は学年で2位を勝ち取ったが、思うように喜べなかった。
 遠崎佳奈。彼女は悠太にとってどれだけ大きな存在なんだろう…。

 悠太のことが気になってしかたない。今から会いにいこうかな。
 彼と初めて出会った日に虹岡というところに住んでいるとは聞いたが、住所は知らないので担任に聞いた。
 虹岡町は行ったことがない。調べてみると虹岡咲さんという人物のことばかり出てきた。全くわからない。
 とりあえず、スマホの地図アプリを用いて、悠太の家へ向かった。
 知らない電車。知らない景色。世界は広いな。まだまだ知らないところがいっぱいあるんだろうな。

 着いた。Ihara と書かれた表札が飾られていて、茶色と肌色のシンプルな見た目の家だった。家の前にはマーガレットとブルースターが植えられていた。ドアはこげ茶で青色のミラーガラスがついている。
 俺はインターフォンを押す。
 すると予想外に悠太のお姉さんが出てきた。
「こんにちは!」
「こんにちは。いつもお世話になっております。悠太のクラスメイトの上杉拓斗です。」
「あー!拓斗くんね。悠太から聞いているわ。いつも仲良くしてくれてありがとね。」
 悠太のお姉さんは大人っぽくて綺麗な方だった。
「悠太の調子はどんな感じですか。」
「ぐったりしている。ちょっと元気つけてあげて。あがってあがって。」
「わかりました。ではおじゃまします…。」
 友人宅に入るのは小学校ぶりな気がする。
 床はぴかぴかで、壁や天井に金や銀の飾りつけがされていた。そしてリビングには大きなピアノがあった。
 豪華すぎる!すごいな~
「悠太の部屋はそこのリビングの階段上がって右奥にあるよ。」
 言われた部屋へ行く。何も音がしない。そっとドアを開けると中には布団にうずくまった井原がいた。
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