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勘違いΩの終わりと始まり
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「ぅう、」
まだ昨日のことが色濃く残っている姫乃は,布団から出るのも億劫になっていた。
(でも今日の講義でなきゃ、単位落とす)
おそるおそる起き上がると,ずきんと腰が痛んだ。
尻もまだかなり痛い。
このまま大学に行っても大丈夫だろうか。
そんなことを考えていると,ふと恐ろしい二文字が頭をよぎった。
『妊娠』
あり得なくはない、あんななりをしているが相手は一応αだ。
急に腹がゴロゴロと痛くなった。
昨日散々中出しされたせいだろう。
姫乃の全身から血の気が引いていくのがわかる。
さっきまで重くて動かせなかった体を無理やり起こして、以前出会ったとあるαからもらったピルを呑む。
こんなもの必要ないと思っていたが、備えあれば憂いなしとはこのことだ。
その後,昨日ことが何度かフラッシュバックし,姫乃はトイレで盛大に嘔吐したが、なんとか大学まで行くことができた。
(午前の講義出たら帰る、)
そう自分自身に言い聞かせて,なんとか乗り切ることができた。
姫乃は,昼食を食べる余裕すらない状態で,大学前でタクシーを拾って帰ろうとした。
普段は大学から家まで歩いて30分の距離でわざわざタクシーなんて使わないが,今回ばかりは仕方がないと自分に言い訳をした。
(早くタクシー来い,早くタクシー来い)
なんて心の中で繰り返していると,ふと誰かに声をかけられた。
「姫乃くん、、、だよね?」
こんな時になんだよと,少々苛立ちを覚えながら姫乃は振り返った。
そこには、姫乃に負けず劣らずの美青年が立っていた。
姫乃より少し上背があり,全体的に綺麗な筋肉のつき方をしていた。
そして、Ωの姫乃には無い、α独特の惹きつけられるフェロモン。
今までたくさんのαを見てきた姫乃にはわかる。
この男、αだ。
それも、αの中でもさらにトップクラスの方の部類の人間だ。
そんな奴が自分になんのようだ。
姫乃は具合の悪さも相まって,常日頃心がけている愛想を忘れていた。
「あのさ、俺のこと覚えている?」
これでも姫乃の記憶力は悪くない。
こんなα,ひと目見たら忘れないだろう。
覚えている限りで、この男に会ったことはない。
だがなぜだろう、どこかでこの男に会った気がするのだ。
それもずっと昔。
姫乃が思考を巡らせていると、男の方から話し出した。
「俺、姫乃くんと小学校同じだった、野々村、野々村芳樹なんだけど。」
そう言われた瞬間、姫乃の小学生の頃の記憶が蘇った。
まだ自分自身がαだと思っていた頃に虐めていた野々村。
忘れもしない、バース判定でまさかのクラス唯一のαだった。
姫乃は、己の具合の悪さがどうでも良くなる程に、気味の悪い脂汗をかいた。
(まさか、どうして同じ大学に?いや待て,たまたま声をかけただけかもしれない。そもそもこいつは俺がΩだって分かっても復讐してこなかったじゃないか。)
「あ、あぁ、覚えているよ。俺に何か用?」
なんとか繕った笑みで姫乃が尋ねた。
野々村は,おもむろにズボンのポケットからスマホを取り出し、姫乃に向かってそっと画面を向けた。
「これ、姫乃くんだよね?」
そこには、昨日散々犯されて失神している姫乃の姿があった。
当然、気絶していて気づいていなかった姫乃は、パニックに陥った。
「なんで、なんでこんなもの。」
すると、野々村は、姫乃の顔を覗き込むように少ししゃがみ込んだ。
「これ、レイプの可能性も考えたんだけど,ホテルっぽいし拘束もされてないし,多分合意だよね?そう思って俺,色々調べたんだ。そしたら姫乃くん,いろんな相手と関係持ってるみたいでさ、お金に困っているの?」
ひどく優しい声だったが、その目は笑っていなかった。
(復讐だ。これは、野々村の俺に対する復讐だ)
姫乃の人生は、かつて自分が虐めていた相手にあった瞬間、格下だと思っていた人間がαだった瞬間、この男に弱みを握られた瞬間に,終わってしまったのだ。
まだ昨日のことが色濃く残っている姫乃は,布団から出るのも億劫になっていた。
(でも今日の講義でなきゃ、単位落とす)
おそるおそる起き上がると,ずきんと腰が痛んだ。
尻もまだかなり痛い。
このまま大学に行っても大丈夫だろうか。
そんなことを考えていると,ふと恐ろしい二文字が頭をよぎった。
『妊娠』
あり得なくはない、あんななりをしているが相手は一応αだ。
急に腹がゴロゴロと痛くなった。
昨日散々中出しされたせいだろう。
姫乃の全身から血の気が引いていくのがわかる。
さっきまで重くて動かせなかった体を無理やり起こして、以前出会ったとあるαからもらったピルを呑む。
こんなもの必要ないと思っていたが、備えあれば憂いなしとはこのことだ。
その後,昨日ことが何度かフラッシュバックし,姫乃はトイレで盛大に嘔吐したが、なんとか大学まで行くことができた。
(午前の講義出たら帰る、)
そう自分自身に言い聞かせて,なんとか乗り切ることができた。
姫乃は,昼食を食べる余裕すらない状態で,大学前でタクシーを拾って帰ろうとした。
普段は大学から家まで歩いて30分の距離でわざわざタクシーなんて使わないが,今回ばかりは仕方がないと自分に言い訳をした。
(早くタクシー来い,早くタクシー来い)
なんて心の中で繰り返していると,ふと誰かに声をかけられた。
「姫乃くん、、、だよね?」
こんな時になんだよと,少々苛立ちを覚えながら姫乃は振り返った。
そこには、姫乃に負けず劣らずの美青年が立っていた。
姫乃より少し上背があり,全体的に綺麗な筋肉のつき方をしていた。
そして、Ωの姫乃には無い、α独特の惹きつけられるフェロモン。
今までたくさんのαを見てきた姫乃にはわかる。
この男、αだ。
それも、αの中でもさらにトップクラスの方の部類の人間だ。
そんな奴が自分になんのようだ。
姫乃は具合の悪さも相まって,常日頃心がけている愛想を忘れていた。
「あのさ、俺のこと覚えている?」
これでも姫乃の記憶力は悪くない。
こんなα,ひと目見たら忘れないだろう。
覚えている限りで、この男に会ったことはない。
だがなぜだろう、どこかでこの男に会った気がするのだ。
それもずっと昔。
姫乃が思考を巡らせていると、男の方から話し出した。
「俺、姫乃くんと小学校同じだった、野々村、野々村芳樹なんだけど。」
そう言われた瞬間、姫乃の小学生の頃の記憶が蘇った。
まだ自分自身がαだと思っていた頃に虐めていた野々村。
忘れもしない、バース判定でまさかのクラス唯一のαだった。
姫乃は、己の具合の悪さがどうでも良くなる程に、気味の悪い脂汗をかいた。
(まさか、どうして同じ大学に?いや待て,たまたま声をかけただけかもしれない。そもそもこいつは俺がΩだって分かっても復讐してこなかったじゃないか。)
「あ、あぁ、覚えているよ。俺に何か用?」
なんとか繕った笑みで姫乃が尋ねた。
野々村は,おもむろにズボンのポケットからスマホを取り出し、姫乃に向かってそっと画面を向けた。
「これ、姫乃くんだよね?」
そこには、昨日散々犯されて失神している姫乃の姿があった。
当然、気絶していて気づいていなかった姫乃は、パニックに陥った。
「なんで、なんでこんなもの。」
すると、野々村は、姫乃の顔を覗き込むように少ししゃがみ込んだ。
「これ、レイプの可能性も考えたんだけど,ホテルっぽいし拘束もされてないし,多分合意だよね?そう思って俺,色々調べたんだ。そしたら姫乃くん,いろんな相手と関係持ってるみたいでさ、お金に困っているの?」
ひどく優しい声だったが、その目は笑っていなかった。
(復讐だ。これは、野々村の俺に対する復讐だ)
姫乃の人生は、かつて自分が虐めていた相手にあった瞬間、格下だと思っていた人間がαだった瞬間、この男に弱みを握られた瞬間に,終わってしまったのだ。
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