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閑話:エドガーとオレリア様
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彼女が転移した後、部屋の中が静まり返った。
沈黙が耳に痛いな……。
俺は彼女が言ったことに反論できなかった。
この国の国王であるアルベルト陛下は、アイリーンが考えていたようにいざとなったら戦地へ行かせるといったのだ。
それにアイリーンの力が敵国へ渡ったらと考えるとこの国は確実に終わってしまう。
それを恐れ同じ聖女であるオレリア様に説得を頼んだのだ。
オレリア様が陛下の言葉に逆らえないとわかっていてっ…!
オレリア様がアルベルト陛下に恋心を抱いていたのは本人も知っているだろう。
だがアルベルト陛下はオレリア様を妃に迎えず、ずっと利用し続けている…。
それでも、オレリア様の力が弱まり代替わりが必要なのは本当だった。
いつも、何に変えてもこの国の人たちの笑顔を守て続けてきたのは誰でもないオレリア様自身なのだから。
「アイリーンの言ったことは正しいわ」
いきなりオレリア様が口を開いた。
「彼女は聖女としてダンジョンの結界を張りなおすと宣言してくれた、そして隣国の問題は本当ならアルベルトが解決すべきことなのよ。私たちは彼女を聖女だと呼びすべての問題を彼女に押し付けようとしていたのね」
「……はい」
俺はそれしか言えなかった。
アイリーンは必要なことだけを見極め役目を果たそうとしている。
「聖女だといってもついさっきまで一般庶民の少女だったはずなのに…」
「ええ、それに彼女はあの髪の色をしているわ。今まで生きるのが大変だったはずよ」
「その彼女が人を助けたくないと思っても仕方のないこと」
両親はすでに亡くなったといっていた。
今までずっと一人であの山に?
感情を表に出さず、誰にも頼らないで生きてきたのか。
いや頼らなかったんじゃなくて頼れなかったのか…。
出会ったときの様子を考えるとあの山を出ようとしているようだった。
彼女はやっと自分の意志で動き出そうとしていた、それなのに……。
「俺たちはもう十分傷ついた彼女をもっと傷つけ、かごの中の鳥にしようとしていた…」
オレリア様は無言でうなずいている。
「……彼女が聖女だと公表しましょう」
いきなり言い出したオレリア様に少し驚いた。
「あの髪色が聖女の証といえば少しは彼女に向けられる嫌悪のまなざしが和らぐと思うの」
確かに、この国の人たちは異様なほど聖女様をあがめている。
「アイリーンはダンジョンに向かったはずよ、なら私たちは私たちのできることをしましょう」
「はい」
異様な速さで準備を整え、その日の午後には白い髪の少女アイリーンが聖女であると国中の人たちに知らせたのだった。
沈黙が耳に痛いな……。
俺は彼女が言ったことに反論できなかった。
この国の国王であるアルベルト陛下は、アイリーンが考えていたようにいざとなったら戦地へ行かせるといったのだ。
それにアイリーンの力が敵国へ渡ったらと考えるとこの国は確実に終わってしまう。
それを恐れ同じ聖女であるオレリア様に説得を頼んだのだ。
オレリア様が陛下の言葉に逆らえないとわかっていてっ…!
オレリア様がアルベルト陛下に恋心を抱いていたのは本人も知っているだろう。
だがアルベルト陛下はオレリア様を妃に迎えず、ずっと利用し続けている…。
それでも、オレリア様の力が弱まり代替わりが必要なのは本当だった。
いつも、何に変えてもこの国の人たちの笑顔を守て続けてきたのは誰でもないオレリア様自身なのだから。
「アイリーンの言ったことは正しいわ」
いきなりオレリア様が口を開いた。
「彼女は聖女としてダンジョンの結界を張りなおすと宣言してくれた、そして隣国の問題は本当ならアルベルトが解決すべきことなのよ。私たちは彼女を聖女だと呼びすべての問題を彼女に押し付けようとしていたのね」
「……はい」
俺はそれしか言えなかった。
アイリーンは必要なことだけを見極め役目を果たそうとしている。
「聖女だといってもついさっきまで一般庶民の少女だったはずなのに…」
「ええ、それに彼女はあの髪の色をしているわ。今まで生きるのが大変だったはずよ」
「その彼女が人を助けたくないと思っても仕方のないこと」
両親はすでに亡くなったといっていた。
今までずっと一人であの山に?
感情を表に出さず、誰にも頼らないで生きてきたのか。
いや頼らなかったんじゃなくて頼れなかったのか…。
出会ったときの様子を考えるとあの山を出ようとしているようだった。
彼女はやっと自分の意志で動き出そうとしていた、それなのに……。
「俺たちはもう十分傷ついた彼女をもっと傷つけ、かごの中の鳥にしようとしていた…」
オレリア様は無言でうなずいている。
「……彼女が聖女だと公表しましょう」
いきなり言い出したオレリア様に少し驚いた。
「あの髪色が聖女の証といえば少しは彼女に向けられる嫌悪のまなざしが和らぐと思うの」
確かに、この国の人たちは異様なほど聖女様をあがめている。
「アイリーンはダンジョンに向かったはずよ、なら私たちは私たちのできることをしましょう」
「はい」
異様な速さで準備を整え、その日の午後には白い髪の少女アイリーンが聖女であると国中の人たちに知らせたのだった。
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