5 / 6
3話
しおりを挟む
あの部屋から転移した私はまず、一番近くのダンジョン付近へ転移し結界を張り直しに向かった。
約束したからには守らないと。
この街に来ても相変わらず私の白い髪を見ると嫌悪を隠そうとしない。
……めんどうね。
私は物陰で魔法を使い、白色の髪を茶色に変えてから歩き出した。
だが私はダンジョンにつくなり足を止めることになる。
…なに?
中からものすごい爆発音が聞こえてくる。
「それは置いておくとして、今のうちに結界を張り直さないと」
腕を前に広げて結界を構築していく。
幸い、ダンジョンの大きさは私が暮らしていた山とあまり変わらない大きさだったのですぐに張り直すことができた。
「ここまで来たんだし私も入ってみようかしら」
そんな出来心で私はダンジョンへと足を踏み入れたのだった。
ここは王都より東に位置するダンジョンだ。
「たしかこのダンジョン、貴重な薬草がそろってるって有名だったはずよね?」
だが中を見ると、薬草がちぎられた跡が多くあった。
…それに燃えてる?
魔法を使える人が中にいるということね。
周りには焼かれた魔物があちこちに転がっている。
奥に進むにつれてその有様はだんだんひどくなっている。
やっぱりおかしい、普通の冒険者のパーティーはこんな戦い方をしない。
それに知性がある中ランクや高ランクの魔物まで倒されている。
並大抵の実力者じゃないわね。
普通ダンジョンには5人のパーティーを組み連携して戦う。
それ以上人数を増やすことはギルドで禁じられているし、連携も取りにくい。
足跡も多すぎる…。
私は慎重に奥に進んだ。
そして見えてきたのは国の騎士団がこの森のボスであるシルバーヴォルぺを集団攻撃していることだった。
「っ…なんてことを」
その人数はおよそ50といったところか、さすがのシルバーヴォルぺでもかなりの傷を負っている。
私の目にはそれが討伐ではなく、集団でいじめをしているようにしか映らなかった。
あの人たちは弱っているシルバーヴォルぺを見てあざ笑っている。
こんなこと絶対してはいけないはず、生態系が壊れてダンジョン自体がつぶれてしまう。
だからギルドは人数に制限を付けているのだ。
ダンジョンのボスが狂ってしまった時でしか集団討伐は行わない。
それなのに国の騎士団がこんなことをするなんてありえない。
このダンジョンに来たのも戦争で使う薬草を採取しに来たからだろう。
それもすごく雑だったし、ここまでする必要はないはず。
よく見るとシルバーヴォルぺの後ろには他の魔物が集まっている。
そうか、あの子たちを守ってるから反撃できなかったんだ…。
そこで私はもう怒りを我慢することはできずに前へ飛び出した。
「やめなさい!」
「誰だお前!」
「邪魔をする気か!」
「俺たちは国の騎士だ、歯向かっていいと思っているのか!」
権力をかさに着て一人を、いえ、一匹を集団攻撃するなんて極悪非道もいいところだわ。
「そんなの、いいに決まっている!」
私はレイピアを抜き、風を操り加速した。
「なんだこの女!」
「邪魔する者は切り捨てる!」
一人、また一人と地面に倒れていく。
「っ?!この女強すぎる!」
「なに女相手にてこずってやがるんだ!」
「うぐっ!」
「ば、化け物だっ!」
我に返ると全員地面に伸びていた。
「……ちょっとやりすぎたかしら」
まあこのくらいがちょうどいいでしょう。
あなたたちがした行為、私は絶対に忘れない。
こんな人たちを守る価値なんてないと思うのだけど…。
本当にオレリア様の気持ちがわからないわ。
私はシルバーヴォルぺたちに向き直り、ヒールをかけた。
苦しそうに息をしていたシルバーヴォルぺたちはみるみる傷がふさがり元気になってくれた。
よかった…。
そのとき私は自然と笑えていた気がする。
そんなわけないか……。
そのとき、いきなり頭上から声が降ってきた。
「私たちとこの森を助けていただき感謝する」
その声はこの森のボスであるシルバーヴォルぺからだった。
「気にしないで、私が好きでしたことよ」
「それでも助けていただいたことは事実。この森を代表して礼を言う。本当にありがとう」
「とっても律儀な狐さんね、どういたしまして」
シルバーヴォルぺは白銀に輝き九つの尾をもっている。
「できればあなたの名前を聞かせてくれないか?」
「いいけど、私はアイリーン。あなたの名前は?」
聞かれるとは思ってなかったのだろう、目が丸くなっている。
「すまないが私には名がないのだ」
悪いことを聞いたわね…。
「そう気にするな」
「じゃあ私がつけてもいい?」
名前がないと不便だしね。
「ああ」
「今日からあなたはシリウスよ」
その瞬間、私とシリウスの体が光りだした。
なにっ…?
次第に光は収まりいつもどおりに戻っていた。
「これで眷属の契約は済んだな」
「そんなこと聞いてないわよ」
「?知らなかったのか?」
「…知ってるわけないでしょう」
こんなこと、一度も聞いたことはなかった。
「こんな大事なこと簡単に決めていいの?私があなたの主になるのよ?」
だが彼は満足そうに微笑んだ。
「そなたがいいのだ」
…っ少しうれしいと思ってしまった。
もうこんな感情なんて残ってないと思ってたのに。
私がシリウスに感謝しないとね…。
「…ありがと」
すこしそっけなくなってしまったがお礼を言うことができた。
すると、私たちのやり取りを見ていたほかの魔物たちがシリウスの後ろから出てきた。
「ボスの主は俺たちの主ってことだよな?」
「これからよろしくね~」
「助けてくれてありがとな!」
「何か困ったことがあったら次はこの森の住民たちが力になるぜ!」
……どうやらこのダンジョンの魔物たちに好かれてしまったらしい。
まあ、悪い気はしないけど…。
ダンジョンに住んでいるものは魔物と呼ばれているがほとんどのものが知性を持っている。
基本人間が侵略さえしてこなければ穏やかなのだ。
「じゃあ私はそろそろ帰るわね」
ここは居心地がいいけど、今日の宿も探さないといけないしそろそろ出ないと。
「私もついていく」
「え?」
いきなりそんなことを言い出したシリウスを見るとなぜか人間の姿になっている。
「その恰好、どうしたの?」
「ボスクラスになると魔力を使い人間や半獣の姿になることなど簡単だぞ?サイズも自由に変えられる」
そんなことがあっていいのかしら?
まあそれは置いておこう。
「でもこの森のボスがいなくなるじゃない、また攻め込まれたらどうするの?」
「心配いらない。薬草は十分採取しているだろうし、この状態だとまともな反撃はできないだろう」
シリウスは地面に伸びたままの騎士たちに目線を映しながら答えた。
「それもそうね」
この人たちを片付けないと…、ついでに一応オレリア様に報告しましょう。
それにシリウスから、あきらめる気がまったく感じられない…。
「じゃああなたたちのボスを借りるわね」
「主がいいなら大丈夫だよ~」
「ボスをよろしく頼みます!」
「ええ」
そして私とシリウスは騎士団全員を連れてもう一度オレリア様のところへと転移した。
約束したからには守らないと。
この街に来ても相変わらず私の白い髪を見ると嫌悪を隠そうとしない。
……めんどうね。
私は物陰で魔法を使い、白色の髪を茶色に変えてから歩き出した。
だが私はダンジョンにつくなり足を止めることになる。
…なに?
中からものすごい爆発音が聞こえてくる。
「それは置いておくとして、今のうちに結界を張り直さないと」
腕を前に広げて結界を構築していく。
幸い、ダンジョンの大きさは私が暮らしていた山とあまり変わらない大きさだったのですぐに張り直すことができた。
「ここまで来たんだし私も入ってみようかしら」
そんな出来心で私はダンジョンへと足を踏み入れたのだった。
ここは王都より東に位置するダンジョンだ。
「たしかこのダンジョン、貴重な薬草がそろってるって有名だったはずよね?」
だが中を見ると、薬草がちぎられた跡が多くあった。
…それに燃えてる?
魔法を使える人が中にいるということね。
周りには焼かれた魔物があちこちに転がっている。
奥に進むにつれてその有様はだんだんひどくなっている。
やっぱりおかしい、普通の冒険者のパーティーはこんな戦い方をしない。
それに知性がある中ランクや高ランクの魔物まで倒されている。
並大抵の実力者じゃないわね。
普通ダンジョンには5人のパーティーを組み連携して戦う。
それ以上人数を増やすことはギルドで禁じられているし、連携も取りにくい。
足跡も多すぎる…。
私は慎重に奥に進んだ。
そして見えてきたのは国の騎士団がこの森のボスであるシルバーヴォルぺを集団攻撃していることだった。
「っ…なんてことを」
その人数はおよそ50といったところか、さすがのシルバーヴォルぺでもかなりの傷を負っている。
私の目にはそれが討伐ではなく、集団でいじめをしているようにしか映らなかった。
あの人たちは弱っているシルバーヴォルぺを見てあざ笑っている。
こんなこと絶対してはいけないはず、生態系が壊れてダンジョン自体がつぶれてしまう。
だからギルドは人数に制限を付けているのだ。
ダンジョンのボスが狂ってしまった時でしか集団討伐は行わない。
それなのに国の騎士団がこんなことをするなんてありえない。
このダンジョンに来たのも戦争で使う薬草を採取しに来たからだろう。
それもすごく雑だったし、ここまでする必要はないはず。
よく見るとシルバーヴォルぺの後ろには他の魔物が集まっている。
そうか、あの子たちを守ってるから反撃できなかったんだ…。
そこで私はもう怒りを我慢することはできずに前へ飛び出した。
「やめなさい!」
「誰だお前!」
「邪魔をする気か!」
「俺たちは国の騎士だ、歯向かっていいと思っているのか!」
権力をかさに着て一人を、いえ、一匹を集団攻撃するなんて極悪非道もいいところだわ。
「そんなの、いいに決まっている!」
私はレイピアを抜き、風を操り加速した。
「なんだこの女!」
「邪魔する者は切り捨てる!」
一人、また一人と地面に倒れていく。
「っ?!この女強すぎる!」
「なに女相手にてこずってやがるんだ!」
「うぐっ!」
「ば、化け物だっ!」
我に返ると全員地面に伸びていた。
「……ちょっとやりすぎたかしら」
まあこのくらいがちょうどいいでしょう。
あなたたちがした行為、私は絶対に忘れない。
こんな人たちを守る価値なんてないと思うのだけど…。
本当にオレリア様の気持ちがわからないわ。
私はシルバーヴォルぺたちに向き直り、ヒールをかけた。
苦しそうに息をしていたシルバーヴォルぺたちはみるみる傷がふさがり元気になってくれた。
よかった…。
そのとき私は自然と笑えていた気がする。
そんなわけないか……。
そのとき、いきなり頭上から声が降ってきた。
「私たちとこの森を助けていただき感謝する」
その声はこの森のボスであるシルバーヴォルぺからだった。
「気にしないで、私が好きでしたことよ」
「それでも助けていただいたことは事実。この森を代表して礼を言う。本当にありがとう」
「とっても律儀な狐さんね、どういたしまして」
シルバーヴォルぺは白銀に輝き九つの尾をもっている。
「できればあなたの名前を聞かせてくれないか?」
「いいけど、私はアイリーン。あなたの名前は?」
聞かれるとは思ってなかったのだろう、目が丸くなっている。
「すまないが私には名がないのだ」
悪いことを聞いたわね…。
「そう気にするな」
「じゃあ私がつけてもいい?」
名前がないと不便だしね。
「ああ」
「今日からあなたはシリウスよ」
その瞬間、私とシリウスの体が光りだした。
なにっ…?
次第に光は収まりいつもどおりに戻っていた。
「これで眷属の契約は済んだな」
「そんなこと聞いてないわよ」
「?知らなかったのか?」
「…知ってるわけないでしょう」
こんなこと、一度も聞いたことはなかった。
「こんな大事なこと簡単に決めていいの?私があなたの主になるのよ?」
だが彼は満足そうに微笑んだ。
「そなたがいいのだ」
…っ少しうれしいと思ってしまった。
もうこんな感情なんて残ってないと思ってたのに。
私がシリウスに感謝しないとね…。
「…ありがと」
すこしそっけなくなってしまったがお礼を言うことができた。
すると、私たちのやり取りを見ていたほかの魔物たちがシリウスの後ろから出てきた。
「ボスの主は俺たちの主ってことだよな?」
「これからよろしくね~」
「助けてくれてありがとな!」
「何か困ったことがあったら次はこの森の住民たちが力になるぜ!」
……どうやらこのダンジョンの魔物たちに好かれてしまったらしい。
まあ、悪い気はしないけど…。
ダンジョンに住んでいるものは魔物と呼ばれているがほとんどのものが知性を持っている。
基本人間が侵略さえしてこなければ穏やかなのだ。
「じゃあ私はそろそろ帰るわね」
ここは居心地がいいけど、今日の宿も探さないといけないしそろそろ出ないと。
「私もついていく」
「え?」
いきなりそんなことを言い出したシリウスを見るとなぜか人間の姿になっている。
「その恰好、どうしたの?」
「ボスクラスになると魔力を使い人間や半獣の姿になることなど簡単だぞ?サイズも自由に変えられる」
そんなことがあっていいのかしら?
まあそれは置いておこう。
「でもこの森のボスがいなくなるじゃない、また攻め込まれたらどうするの?」
「心配いらない。薬草は十分採取しているだろうし、この状態だとまともな反撃はできないだろう」
シリウスは地面に伸びたままの騎士たちに目線を映しながら答えた。
「それもそうね」
この人たちを片付けないと…、ついでに一応オレリア様に報告しましょう。
それにシリウスから、あきらめる気がまったく感じられない…。
「じゃああなたたちのボスを借りるわね」
「主がいいなら大丈夫だよ~」
「ボスをよろしく頼みます!」
「ええ」
そして私とシリウスは騎士団全員を連れてもう一度オレリア様のところへと転移した。
0
あなたにおすすめの小説
傷物の大聖女は盲目の皇子に見染められ祖国を捨てる~失ったことで滅びに瀕する祖国。今更求められても遅すぎです~
たらふくごん
恋愛
聖女の力に目覚めたフィアリーナ。
彼女には人に言えない過去があった。
淑女としてのデビューを祝うデビュタントの日、そこはまさに断罪の場へと様相を変えてしまう。
実父がいきなり暴露するフィアリーナの過去。
彼女いきなり不幸のどん底へと落とされる。
やがて絶望し命を自ら断つ彼女。
しかし運命の出会いにより彼女は命を取り留めた。
そして出会う盲目の皇子アレリッド。
心を通わせ二人は恋に落ちていく。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
お飾りの婚約者で結構です! 殿下のことは興味ありませんので、お構いなく!
にのまえ
恋愛
すでに寵愛する人がいる、殿下の婚約候補決めの舞踏会を開くと、王家の勅命がドーリング公爵家に届くも、姉のミミリアは嫌がった。
公爵家から一人娘という言葉に、舞踏会に参加することになった、ドーリング公爵家の次女・ミーシャ。
家族の中で“役立たず”と蔑まれ、姉の身代わりとして差し出された彼女の唯一の望みは――「舞踏会で、美味しい料理を食べること」。
だが、そんな慎ましい願いとは裏腹に、
舞踏会の夜、思いもよらぬ出来事が起こりミーシャは前世、読んでいた小説の世界だと気付く。
【長編版】この戦いが終わったら一緒になろうと約束していた勇者は、私の目の前で皇女様との結婚を選んだ
・めぐめぐ・
恋愛
神官アウラは、勇者で幼馴染であるダグと将来を誓い合った仲だったが、彼は魔王討伐の褒美としてイリス皇女との結婚を打診され、それをアウラの目の前で快諾する。
アウラと交わした結婚の約束は、神聖魔法の使い手である彼女を魔王討伐パーティーに引き入れるためにダグがついた嘘だったのだ。
『お前みたいな、ヤれば魔法を使えなくなる女となんて、誰が結婚するんだよ。神聖魔法を使うことしか取り柄のない役立たずのくせに』
そう書かれた手紙によって捨てらたアウラ。
傷心する彼女に、同じパーティー仲間の盾役マーヴィが、自分の故郷にやってこないかと声をかける。
アウラは心の傷を癒すため、マーヴィとともに彼の故郷へと向かうのだった。
捨てられた主人公がパーティー仲間の盾役と幸せになる、ちょいざまぁありの恋愛ファンタジー長編版。
--注意--
こちらは、以前アップした同タイトル短編作品の長編版です。
一部設定が変更になっていますが、短編版の文章を流用してる部分が多分にあります。
二人の関わりを短編版よりも増しましたので(当社比)、ご興味あれば是非♪
※色々とガバガバです。頭空っぽにしてお読みください。
※力があれば平民が皇帝になれるような世界観です。
本物の聖女なら本気出してみろと言われたので本気出したら国が滅びました(笑
リオール
恋愛
タイトルが完全なネタバレ(苦笑
勢いで書きました。
何でも許せるかた向け。
ギャグテイストで始まりシリアスに終わります。
恋愛の甘さは皆無です。
全7話。
【完結】濡れ衣聖女はもう戻らない 〜ホワイトな宮廷ギルドで努力の成果が実りました
冬月光輝
恋愛
代々魔術師の名家であるローエルシュタイン侯爵家は二人の聖女を輩出した。
一人は幼き頃より神童と呼ばれた天才で、史上最年少で聖女の称号を得たエキドナ。
もう一人はエキドナの姉で、妹に遅れをとること五年目にしてようやく聖女になれた努力家、ルシリア。
ルシリアは魔力の量も生まれつき、妹のエキドナの十分の一以下でローエルシュタインの落ちこぼれだと蔑まれていた。
しかし彼女は努力を惜しまず、魔力不足を補う方法をいくつも生み出し、教会から聖女だと認められるに至ったのである。
エキドナは目立ちたがりで、国に一人しかいなかった聖女に姉がなることを良しとしなかった。
そこで、自らの家宝の杖を壊し、その罪を姉になすりつけ、彼女を実家から追放させた。
「無駄な努力」だと勝ち誇った顔のエキドナに嘲り笑われたルシリアは失意のまま隣国へと足を運ぶ。
エキドナは知らなかった。魔物が増えた昨今、彼女の働きだけでは不足だと教会にみなされて、姉が聖女になったことを。
ルシリアは隣国で偶然再会した王太子、アークハルトにその力を認められ、宮廷ギルド入りを勧められ、宮仕えとしての第二の人生を送ることとなる。
※旧タイトル『妹が神童だと呼ばれていた聖女、「無駄な努力」だと言われ追放される〜「努力は才能を凌駕する」と隣国の宮廷ギルドで証明したので、もう戻りません』
追放聖女の再就職 〜長年仕えた王家からニセモノと追い出されたわたしですが頑張りますね、魔王さま!〜
三崎ちさ
恋愛
メリアは王宮に勤める聖女、だった。
「真なる聖女はこの世に一人、エミリーのみ! お前はニセモノだ!」
ある日突然いきりたった王子から国外追放、そして婚約破棄もオマケのように言い渡される。
「困ったわ、追放されても生きてはいけるけど、どうやってお金を稼ごうかしら」
メリアには病気の両親がいる。王宮で聖女として働いていたのも両親の治療費のためだった。国の外には魔物がウロウロ、しかし聖女として活躍してきたメリアには魔物は大した脅威ではない。ただ心配なことは『お金の稼ぎ方』だけである。
そんな中、メリアはひょんなことから封印されていたはずの魔族と出会い、魔王のもとで働くことになる。
「頑張りますね、魔王さま!」
「……」(かわいい……)
一方、メリアを独断で追放した王子は父の激昂を招いていた。
「メリアを魔族と引き合わせるわけにはいかん!」
国王はメリアと魔族について、何か秘密があるようで……?
即オチ真面目魔王さまと両親のためにお金を稼ぎたい!ニセモノ疑惑聖女のラブコメです。
※小説家になろうさんにも掲載
婚約者を処刑したら聖女になってました。けど何か文句ある?
春夜夢
恋愛
処刑台に立たされた公爵令嬢エリス・アルメリア。
無実の罪で婚約破棄され、王都中から「悪女」と罵られた彼女の最期――
……になるはずだった。
『この者、神に選ばれし者なり――新たなる聖女である』
処刑の瞬間、突如として神託が下り、国中が凍りついた。
死ぬはずだった“元・悪女”は一転、「聖女様」として崇められる立場に。
だが――
「誰が聖女? 好き勝手に人を貶めておいて、今さら許されるとでも?」
冷笑とともに立ち上がったエリスは、
“神の力”を使い、元婚約者である王太子を皮切りに、裏切った者すべてに裁きを下していく。
そして――
「……次は、お前の番よ。愛してるふりをして私を売った、親友さん?」
清く正しい聖女? いいえ、これは徹底的に「やり返す」聖女の物語。
ざまぁあり、無双あり、そして……本当の愛も、ここから始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる