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第6章「讃洲旺院非時陰歌」
第97話「破れ草履も粗末にするな お米育てた藁じゃもの」
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ムゥチに使った麻酔薬は、トリカブトやダチュラの根を乾燥させ、細かく砕いた後、煎じたもの。飲めばたちまち効くというようなものではないが、陽が6分の1程、角度を変えるくらいの時間があれば覿面に効き、やや毒性の高い植物を使っている事もあって、そう簡単に意識は戻らない代物である。
だがムゥチが人間ではなく頑丈なコボルトであった事が幸いしてか、この段階で意識を取り戻す事ができた。
しかし麻酔薬の効果を知り尽くしているキン・トゥは目を白黒させ、連れてきたレスリーに怒鳴る。
「ムゥチを連れてきたのか! 無茶じゃぞ!」
意識が戻る事と、身体が動く事はイコールではない。意識が戻っても、いつも通りに動けるようになるには、丸一晩かかる事もあるくらいだが、レスリーもムゥチの望むままに行動させているのには理由がある。
「根負けです」
レスリーの弁明はそれだ。意識が戻ったムゥチは、これでもかと捲し立てたが、それでもレスリーが一人で看ていたのならば撥ねつけてる。
「子供を味方に付けられて、キン・トゥ卿とて撥ねつけられまい?」
レスリーが指差す頭上に、キラキラと月の光を浴び、その名の通り輝いて飛翔するライジングムーンがあった。
最も大きな理由は、ザキがムゥチの見方をしてレスリーを根負けさせた事である。
故に今、コバックが娘の精剣を抜いた。狙いは、追撃しようとしたグリューを牽制。
「仲間を呼んだの!?」
忌ま忌ましさに顔を歪めたグリューは、飛来するライジングムーンを飛び退いて躱した。
弧を描いて戻るライジングムーンを受け止めるコバックに、もう一投はない。コバックにとって、この精剣は武器ではなく娘。元来、家族意識の強いオークの女が娘を使役するのは、家族同然の者を救う時だけだ。
入れ替わりに突入するインフゥは、水平に構えたバウンティドッグを突き出す。
着地するその瞬間を捉える鋭敏な感覚を、精剣を通して得たホッホの嗅覚、聴覚から察知した。
ファンから教わり、ただ半日に過ぎないがキン・トゥから補弼されたインフゥの動きは淀みが消えていた。
「水の子よ立て、火の子よ守れ!」
グリューは慌てた声で魔法を完成させる。
「ポップアップシールド」
インフゥと自分の間に出現するのは、青く透き通った魔法の盾。
もしも水が盾となったならば、こういう感触になるのだろうと思わされる柔らかさでインフゥの精剣は阻まれた。急所を狙う犬の狩りを反映されているインフゥは、無駄と分かっている追撃はできない。
「三人目……!」
次に来るのはヴィーかと見開かれた目を向けるグリューだったが、ヴィーは攻撃には転じていなかった。それぞれ片手で剣と盾を持っているヴィーは、御流儀が使えないし、鎧に覆われた身体は動きを阻害されている。
「ファン、お師匠! エル!」
転落した三人に手を貸す方へ回っていた。
1秒か2秒程の余裕が双方に生まれ、グリューもネーへと視線を振り向かせられる。
「エルフさん!」
だがネーを振り向いたグリューは、そこで見開いた目を真っ赤にさせられた。
「ネー、起きやしょうや」
フラフラのムゥチが、ネーへ近づこうとしているではないか!
「精剣を宿しても、何にもなりやせんよ……。あの二人が、何をどうしてくれるてんです?」
ネーへと手を伸ばすムゥチであるが、その手は思っている以上に震え、意志通りになってくれなかった。キン・トゥのいう通り、コボルトであっても身体が自由になるのは明日の朝までかかる。
「ムゥチ……」
ネーの目に映るムゥチは、必死さの中にも優しさを湛え、
「精剣を宿しても、どこかの剣士に囲われるだけでやすよ」
グリューとフォールは、レア以上の精剣を宿した女を無下に扱う剣士はいないといったが、それこそ世間を知らないだけだ。フミの領地にいた剣士は、Hレアのプロミネンスを持った剣士ですら、宿している女を隷属させていた。
「汚い手を離せ!」
駆け寄ってきたグリューがムゥチの頬に拳を炸裂させた。
「ゲッ」
カエルが潰れたような声を上げたムゥチは、文字通り崩れ落ちるように地に伏し、そこへグリューはもう一度、顔を踏みつけにする。
「乞食にさせ、奴隷として生きるしかなくしたお前に、何かいう資格はないわ!」
喋るなと怒鳴りながら。
「ルベンスホルンは、能力によって人を評価する! この子は、そこで、立派な剣士の――」
踏み付けながら聞かされていたムゥチにとって、唯一の救いは麻酔薬が完全に切れていないため、痛みが殆ど感じられない事か。
「間違ってやすね」
だからいえた。
「あんた方、戦乱で親兄弟を亡くしやしたか? だから、そのルベンスホルンの領主にいわれて信じちまいやしたか。戦乱の頃は能力で評価されるのは正しいでやすが、今、平和な時代には、能力だけで評価したんじゃ話にならねェんでやすよ」
青い血で汚れた顔に薄笑いを浮かべて見上げるムゥチに対し、グリューは苛立ちしかない。
「奴隷商人のいいそうな事ね。能力により、誰もがなりたい自分になる。それ以外に正しい世の中なんてないわ!」
グリューは兎に角、ムゥチの顔を踏み付ける。
ムゥチの顔から薄笑いすらも消えてしまうが、それは顔面を踏まれる屈辱からではなく、ムゥチの矜恃からだ。
「平和な時代に必要な評価は、能力と人格でやす」
その言葉だけは揺るぎない。
「そもそも、誰もがなりたいものになれたとしたら、全員が全員、騎士になりたい、剣士になりたいといいだしたら、誰が野菜や小麦を作るんでやす? 誰が魚を取り、牛や豚を育てるんでやす? そんな世の中、できっこないんでやすよ」
ムゥチは口の中に血の味を感じながら捲し立てる。
「あんた方が作ろうとしてる世の中ってのは、あんた方に従わない連中を倒し、踏み付けにしないとできない世の中でやす」
殴られ、踏み付けられながら、それでもムゥチはいい続けた。
「本当に……本当に必要な世の中は、なりたい自分になるために努力できる世の中だ!」
そこでムゥチは必死にネーと、そしてファンとエルへ目を向けようとする。
「騎士になる努力ができる。騎士は、その能力と人格で選ばれる。選ばれた後も不断の努力ができる人格を備えた騎士がいるなら、奮戦空しく騎士になれなかった人も、努力した事を誇りできる。だから、その騎士たちが食べる野菜や小麦、肉や魚を作れる」
もう腫れ上がった瞼では周囲は見えず、折れた頬骨では声を出すのも辛いが。
「そんな世の中が、本当は必要なんだろ!?」
能力しか評価基準を持たず、それしか是としないならば、グリューとフォールは、二人がどういおうとも戦乱の世に逆戻りさせたいだけだ。
「こいつらがしたい事は、自分たちが奪われたものを、他の人からも奪いたいってだけじゃないか! ネーを連れてきたんだって、生きる希望の薄いネーなら、格の高い精剣が宿りやすいし、その後も剣士に隷属させやすいからだ!」
「黙れ!」
グリューは手にしたジリオンを、もう一度、ムゥチの脾腹に突き刺した。
「――!」
ムゥチからは悲鳴も上がらなかった。
だが、上げられなかったのではない。
ムゥチの矜恃が上げなかったのだ。
「ネー、あんたに必要な事は、いつもいつも諦めたような顔をするの止めて、自分のために必死になってくれる人のために、必死になる事を憶える事でやすよ」
自分のために必死にれる人とは、ムゥチの事ではない。
――あたしなんて、精々、ネーを出汁にヘンドするしかない身でやすよ。あたしじゃない。あたしじゃなく、大して親しくなる理由も何もないのに、ただ袖すり合っただけの理由でも、非道に対し、来てくれる人たちの事でやすよ……。
それはいえなかった。
今、ネーを取り戻しに来てくれている、本来ならば無関係なファンたちがいるのに、何もかもを諦めた顔をして座っていないでくれ――ムゥチがいいたかった最後の言葉は、察してもらうしかない。
「黙れ!」
グリューがジリオンを引き、切り裂いた。
いや、引こうとしたが、ファンの声が打つ。
「エル、エル! 剣を寄こせよ! 」
終ぞエルを怒鳴ったことのないファンである。
エルは身体を震わせ、そして気付いた。
――ファンが旅芸人を選んだのは、ムゥチさんのいった誇りになる努力のため?
想像でしかないが、当たらずとも遠からず、だ。
――バカでしょ。何でバカな道を選ぶの。
その努力がどういう花を咲かせ、どういう実をつけるか知らないが、そんな腹芸、誰が理解するというのか。
バカの二文字がよく似合う。
よく似合うが、
「男は本当は情けなくて、バカで、どうしようもない。でも――」
結論が出た。
――愛さずにはいられない。
ファンがプロミネンスをくれてやるといわれた時、いい返した通りだ。
――誰も見つけられなかった俺の長所を見つけてくれた。それを好ましいと認めてくれた人がいた。
エルは、バカとしかいいようがないとしても、平和な世の中のために努力できる事を模索し、笑顔である事を選べたファンを好ましいと思っている。だから精剣を宿す役目を選び、ともに旅をする事にしたのだ。
――その人に宿ってる剣だ。俺にとっては伝説級だ。
ファンはそういったのだから、エルもいう。
「私にとって、伝説級の人です」
信頼関係が、戻った。
「抜剣」
ファンの声と共に、その手に非時が宿る。
しかしもう一つ。
――昇現。
エルの声と共に、非時は変わる。
「讃洲旺院非時陰歌」
変化した精剣だ。
だがムゥチが人間ではなく頑丈なコボルトであった事が幸いしてか、この段階で意識を取り戻す事ができた。
しかし麻酔薬の効果を知り尽くしているキン・トゥは目を白黒させ、連れてきたレスリーに怒鳴る。
「ムゥチを連れてきたのか! 無茶じゃぞ!」
意識が戻る事と、身体が動く事はイコールではない。意識が戻っても、いつも通りに動けるようになるには、丸一晩かかる事もあるくらいだが、レスリーもムゥチの望むままに行動させているのには理由がある。
「根負けです」
レスリーの弁明はそれだ。意識が戻ったムゥチは、これでもかと捲し立てたが、それでもレスリーが一人で看ていたのならば撥ねつけてる。
「子供を味方に付けられて、キン・トゥ卿とて撥ねつけられまい?」
レスリーが指差す頭上に、キラキラと月の光を浴び、その名の通り輝いて飛翔するライジングムーンがあった。
最も大きな理由は、ザキがムゥチの見方をしてレスリーを根負けさせた事である。
故に今、コバックが娘の精剣を抜いた。狙いは、追撃しようとしたグリューを牽制。
「仲間を呼んだの!?」
忌ま忌ましさに顔を歪めたグリューは、飛来するライジングムーンを飛び退いて躱した。
弧を描いて戻るライジングムーンを受け止めるコバックに、もう一投はない。コバックにとって、この精剣は武器ではなく娘。元来、家族意識の強いオークの女が娘を使役するのは、家族同然の者を救う時だけだ。
入れ替わりに突入するインフゥは、水平に構えたバウンティドッグを突き出す。
着地するその瞬間を捉える鋭敏な感覚を、精剣を通して得たホッホの嗅覚、聴覚から察知した。
ファンから教わり、ただ半日に過ぎないがキン・トゥから補弼されたインフゥの動きは淀みが消えていた。
「水の子よ立て、火の子よ守れ!」
グリューは慌てた声で魔法を完成させる。
「ポップアップシールド」
インフゥと自分の間に出現するのは、青く透き通った魔法の盾。
もしも水が盾となったならば、こういう感触になるのだろうと思わされる柔らかさでインフゥの精剣は阻まれた。急所を狙う犬の狩りを反映されているインフゥは、無駄と分かっている追撃はできない。
「三人目……!」
次に来るのはヴィーかと見開かれた目を向けるグリューだったが、ヴィーは攻撃には転じていなかった。それぞれ片手で剣と盾を持っているヴィーは、御流儀が使えないし、鎧に覆われた身体は動きを阻害されている。
「ファン、お師匠! エル!」
転落した三人に手を貸す方へ回っていた。
1秒か2秒程の余裕が双方に生まれ、グリューもネーへと視線を振り向かせられる。
「エルフさん!」
だがネーを振り向いたグリューは、そこで見開いた目を真っ赤にさせられた。
「ネー、起きやしょうや」
フラフラのムゥチが、ネーへ近づこうとしているではないか!
「精剣を宿しても、何にもなりやせんよ……。あの二人が、何をどうしてくれるてんです?」
ネーへと手を伸ばすムゥチであるが、その手は思っている以上に震え、意志通りになってくれなかった。キン・トゥのいう通り、コボルトであっても身体が自由になるのは明日の朝までかかる。
「ムゥチ……」
ネーの目に映るムゥチは、必死さの中にも優しさを湛え、
「精剣を宿しても、どこかの剣士に囲われるだけでやすよ」
グリューとフォールは、レア以上の精剣を宿した女を無下に扱う剣士はいないといったが、それこそ世間を知らないだけだ。フミの領地にいた剣士は、Hレアのプロミネンスを持った剣士ですら、宿している女を隷属させていた。
「汚い手を離せ!」
駆け寄ってきたグリューがムゥチの頬に拳を炸裂させた。
「ゲッ」
カエルが潰れたような声を上げたムゥチは、文字通り崩れ落ちるように地に伏し、そこへグリューはもう一度、顔を踏みつけにする。
「乞食にさせ、奴隷として生きるしかなくしたお前に、何かいう資格はないわ!」
喋るなと怒鳴りながら。
「ルベンスホルンは、能力によって人を評価する! この子は、そこで、立派な剣士の――」
踏み付けながら聞かされていたムゥチにとって、唯一の救いは麻酔薬が完全に切れていないため、痛みが殆ど感じられない事か。
「間違ってやすね」
だからいえた。
「あんた方、戦乱で親兄弟を亡くしやしたか? だから、そのルベンスホルンの領主にいわれて信じちまいやしたか。戦乱の頃は能力で評価されるのは正しいでやすが、今、平和な時代には、能力だけで評価したんじゃ話にならねェんでやすよ」
青い血で汚れた顔に薄笑いを浮かべて見上げるムゥチに対し、グリューは苛立ちしかない。
「奴隷商人のいいそうな事ね。能力により、誰もがなりたい自分になる。それ以外に正しい世の中なんてないわ!」
グリューは兎に角、ムゥチの顔を踏み付ける。
ムゥチの顔から薄笑いすらも消えてしまうが、それは顔面を踏まれる屈辱からではなく、ムゥチの矜恃からだ。
「平和な時代に必要な評価は、能力と人格でやす」
その言葉だけは揺るぎない。
「そもそも、誰もがなりたいものになれたとしたら、全員が全員、騎士になりたい、剣士になりたいといいだしたら、誰が野菜や小麦を作るんでやす? 誰が魚を取り、牛や豚を育てるんでやす? そんな世の中、できっこないんでやすよ」
ムゥチは口の中に血の味を感じながら捲し立てる。
「あんた方が作ろうとしてる世の中ってのは、あんた方に従わない連中を倒し、踏み付けにしないとできない世の中でやす」
殴られ、踏み付けられながら、それでもムゥチはいい続けた。
「本当に……本当に必要な世の中は、なりたい自分になるために努力できる世の中だ!」
そこでムゥチは必死にネーと、そしてファンとエルへ目を向けようとする。
「騎士になる努力ができる。騎士は、その能力と人格で選ばれる。選ばれた後も不断の努力ができる人格を備えた騎士がいるなら、奮戦空しく騎士になれなかった人も、努力した事を誇りできる。だから、その騎士たちが食べる野菜や小麦、肉や魚を作れる」
もう腫れ上がった瞼では周囲は見えず、折れた頬骨では声を出すのも辛いが。
「そんな世の中が、本当は必要なんだろ!?」
能力しか評価基準を持たず、それしか是としないならば、グリューとフォールは、二人がどういおうとも戦乱の世に逆戻りさせたいだけだ。
「こいつらがしたい事は、自分たちが奪われたものを、他の人からも奪いたいってだけじゃないか! ネーを連れてきたんだって、生きる希望の薄いネーなら、格の高い精剣が宿りやすいし、その後も剣士に隷属させやすいからだ!」
「黙れ!」
グリューは手にしたジリオンを、もう一度、ムゥチの脾腹に突き刺した。
「――!」
ムゥチからは悲鳴も上がらなかった。
だが、上げられなかったのではない。
ムゥチの矜恃が上げなかったのだ。
「ネー、あんたに必要な事は、いつもいつも諦めたような顔をするの止めて、自分のために必死になってくれる人のために、必死になる事を憶える事でやすよ」
自分のために必死にれる人とは、ムゥチの事ではない。
――あたしなんて、精々、ネーを出汁にヘンドするしかない身でやすよ。あたしじゃない。あたしじゃなく、大して親しくなる理由も何もないのに、ただ袖すり合っただけの理由でも、非道に対し、来てくれる人たちの事でやすよ……。
それはいえなかった。
今、ネーを取り戻しに来てくれている、本来ならば無関係なファンたちがいるのに、何もかもを諦めた顔をして座っていないでくれ――ムゥチがいいたかった最後の言葉は、察してもらうしかない。
「黙れ!」
グリューがジリオンを引き、切り裂いた。
いや、引こうとしたが、ファンの声が打つ。
「エル、エル! 剣を寄こせよ! 」
終ぞエルを怒鳴ったことのないファンである。
エルは身体を震わせ、そして気付いた。
――ファンが旅芸人を選んだのは、ムゥチさんのいった誇りになる努力のため?
想像でしかないが、当たらずとも遠からず、だ。
――バカでしょ。何でバカな道を選ぶの。
その努力がどういう花を咲かせ、どういう実をつけるか知らないが、そんな腹芸、誰が理解するというのか。
バカの二文字がよく似合う。
よく似合うが、
「男は本当は情けなくて、バカで、どうしようもない。でも――」
結論が出た。
――愛さずにはいられない。
ファンがプロミネンスをくれてやるといわれた時、いい返した通りだ。
――誰も見つけられなかった俺の長所を見つけてくれた。それを好ましいと認めてくれた人がいた。
エルは、バカとしかいいようがないとしても、平和な世の中のために努力できる事を模索し、笑顔である事を選べたファンを好ましいと思っている。だから精剣を宿す役目を選び、ともに旅をする事にしたのだ。
――その人に宿ってる剣だ。俺にとっては伝説級だ。
ファンはそういったのだから、エルもいう。
「私にとって、伝説級の人です」
信頼関係が、戻った。
「抜剣」
ファンの声と共に、その手に非時が宿る。
しかしもう一つ。
――昇現。
エルの声と共に、非時は変わる。
「讃洲旺院非時陰歌」
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