78 / 85
世界の終わりを君に捧ぐ
世界の終わりを君に捧ぐ 破 1
しおりを挟む
ホテルのすぐ目の前に停車していたジープに乗り込む。
「昨日とは違う車なんですね?」
「場所が場所ですからね。昨日みたいな普通車だと、色々と問題がありますから」
アルマさんは、運転手に何か指示を出しながら、僕の呟きに返答する。
「ところでーー尾張さんのその格好は・・・・・・」
「何か問題ありますか?」
アルマさんは、首を傾げながら、
「動き辛くないですか? いざという時、慣れない格好だと大変だと思いますよ?」
そういうアルマさんの格好も一見、民族衣装のようだが、所々動きやすいように布を削っているようだった。
「お気遣いありがとうございます。でも、私は大丈夫です」
尾張さんは、ヒラヒラと布をたなびかせながら、返答する。
尾張さんは、もう死んでるから、現代兵器とか意味をなさないし。危険といっても、同じ幽霊が襲ってきたときぐらいだろうなぁ。
僕のそんな視線に気づいたのか、尾張さんが、
「何か言いたいことがあるのかしら。紀美丹君?」
と冷たい笑顔を向けてくる。
「いえ、ちょっとした疑問なんですが、この国にも幽霊っているんですかね?」
「幽霊、ですか?」
アルマさんが聞き覚えのない単語を聞いたというような顔をしていた。
幽霊を知らない?
話を聞いてみると、どうやらこの国の宗教観では、人が死んだあと霊体になって勝手に動き出すという事はありえないらしい。
いや、日本でも空想上の存在ではあるはずなんだけど。
目の前に実物がいる状況で、幽霊は存在しない。という考え方を聞くのはどうにもおかしな気分になった。
「ただ時々、死んでも戦い続ける兵士がいるという話をする人はいます」
「どういうことですか?」
僕の疑問にアルマさんは、
「大戦中に亡くなった人が、未だに紛争が起こると現れて、敵の兵士と戦ってくれる。って退役した軍人の人が言ってました」
その人、酔っ払いでしたけど。とアルマさんが付け足す。
「ただその人は、こうも言ってました」
曰く、奴らは厄介だ。奴らを見つけても、トラウマだとか、薬の副作用だとか言われて取り合ってもらえない。だから、相手にしないに限る。
「まぁ、酔っ払いの妄言なので、信頼性は低いですけど」
そういうアルマさんは、懐かしい記憶を思い出しているのか、遠くを見つめながら微笑んでいた。
二時間程かかって、目的の場所に着いた。
「外に出ても大丈夫ですか?」
「今は、一時的に戦闘が止んでるみたいですので問題ないかと。ただ、いつまた戦闘が始まるかわかりません。細心の注意を払って行動してください」
わかりました。と言いながら、カメラを準備して車外に出る。
そこは、過去に民家が複数存在したであろうことが窺える廃虚だった。
廃墟の壁面には、戦闘の名残であろう弾痕の跡が生々しく残り、その苛烈さをものがたっていた。
「住民は見当たらないですね」
「その辺の廃虚に隠れてたりするんじゃないかしら?ーーこの裏とか」
尾張さんは無遠慮にその辺の廃虚の中を覗く。
「あ、いた」
「え?」
そこにいたのは、小さな男の子だった。
「昨日とは違う車なんですね?」
「場所が場所ですからね。昨日みたいな普通車だと、色々と問題がありますから」
アルマさんは、運転手に何か指示を出しながら、僕の呟きに返答する。
「ところでーー尾張さんのその格好は・・・・・・」
「何か問題ありますか?」
アルマさんは、首を傾げながら、
「動き辛くないですか? いざという時、慣れない格好だと大変だと思いますよ?」
そういうアルマさんの格好も一見、民族衣装のようだが、所々動きやすいように布を削っているようだった。
「お気遣いありがとうございます。でも、私は大丈夫です」
尾張さんは、ヒラヒラと布をたなびかせながら、返答する。
尾張さんは、もう死んでるから、現代兵器とか意味をなさないし。危険といっても、同じ幽霊が襲ってきたときぐらいだろうなぁ。
僕のそんな視線に気づいたのか、尾張さんが、
「何か言いたいことがあるのかしら。紀美丹君?」
と冷たい笑顔を向けてくる。
「いえ、ちょっとした疑問なんですが、この国にも幽霊っているんですかね?」
「幽霊、ですか?」
アルマさんが聞き覚えのない単語を聞いたというような顔をしていた。
幽霊を知らない?
話を聞いてみると、どうやらこの国の宗教観では、人が死んだあと霊体になって勝手に動き出すという事はありえないらしい。
いや、日本でも空想上の存在ではあるはずなんだけど。
目の前に実物がいる状況で、幽霊は存在しない。という考え方を聞くのはどうにもおかしな気分になった。
「ただ時々、死んでも戦い続ける兵士がいるという話をする人はいます」
「どういうことですか?」
僕の疑問にアルマさんは、
「大戦中に亡くなった人が、未だに紛争が起こると現れて、敵の兵士と戦ってくれる。って退役した軍人の人が言ってました」
その人、酔っ払いでしたけど。とアルマさんが付け足す。
「ただその人は、こうも言ってました」
曰く、奴らは厄介だ。奴らを見つけても、トラウマだとか、薬の副作用だとか言われて取り合ってもらえない。だから、相手にしないに限る。
「まぁ、酔っ払いの妄言なので、信頼性は低いですけど」
そういうアルマさんは、懐かしい記憶を思い出しているのか、遠くを見つめながら微笑んでいた。
二時間程かかって、目的の場所に着いた。
「外に出ても大丈夫ですか?」
「今は、一時的に戦闘が止んでるみたいですので問題ないかと。ただ、いつまた戦闘が始まるかわかりません。細心の注意を払って行動してください」
わかりました。と言いながら、カメラを準備して車外に出る。
そこは、過去に民家が複数存在したであろうことが窺える廃虚だった。
廃墟の壁面には、戦闘の名残であろう弾痕の跡が生々しく残り、その苛烈さをものがたっていた。
「住民は見当たらないですね」
「その辺の廃虚に隠れてたりするんじゃないかしら?ーーこの裏とか」
尾張さんは無遠慮にその辺の廃虚の中を覗く。
「あ、いた」
「え?」
そこにいたのは、小さな男の子だった。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】婚約破棄はお受けいたしましょう~踏みにじられた恋を抱えて
ゆうぎり
恋愛
「この子がクラーラの婚約者になるんだよ」
お父様に連れられたお茶会で私は一つ年上のナディオ様に恋をした。
綺麗なお顔のナディオ様。優しく笑うナディオ様。
今はもう、私に微笑みかける事はありません。
貴方の笑顔は別の方のもの。
私には忌々しげな顔で、視線を向けても貰えません。
私は厭われ者の婚約者。社交界では評判ですよね。
ねぇナディオ様、恋は花と同じだと思いませんか?
―――水をやらなければ枯れてしまうのですよ。
※ゆるゆる設定です。
※名前変更しました。元「踏みにじられた恋ならば、婚約破棄はお受けいたしましょう」
※多分誰かの視点から見たらハッピーエンド
優しい雨が降る夜は
葉月 まい
恋愛
浮世離れした地味子 × 外資系ITコンサルのエリートイケメン
無自覚にモテる地味子に
余裕もなく翻弄されるイケメン
二人の恋は一筋縄ではいかなくて……
雨降る夜に心に届いた
優しい恋の物語
⟡☾·̩͙⋆☔┈┈┈ 登場人物 ┈┈┈ ☔⋆·̩͙☽⟡
風間 美月(24歳)……コミュニティセンター勤務・地味でお堅い性格
雨宮 優吾(28歳)……外資系ITコンサルティング会社勤務のエリートイケメン
12年目の恋物語
真矢すみれ
恋愛
生まれつき心臓の悪い少女陽菜(はるな)と、12年間同じクラス、隣の家に住む幼なじみの男の子叶太(かなた)は学校公認カップルと呼ばれるほどに仲が良く、同じ時間を過ごしていた。
だけど、陽菜はある日、叶太が自分の身体に責任を感じて、ずっと一緒にいてくれるのだと知り、叶太から離れることを決意をする。
すれ違う想い。陽菜を好きな先輩の出現。二人を見守り、何とか想いが通じるようにと奔走する友人たち。
2人が結ばれるまでの物語。
第一部「12年目の恋物語」完結
第二部「13年目のやさしい願い」完結
第三部「14年目の永遠の誓い」←順次公開中
※ベリーズカフェと小説家になろうにも公開しています。
訳あり冷徹社長はただの優男でした
あさの紅茶
恋愛
独身喪女の私に、突然お姉ちゃんが子供(2歳)を押し付けてきた
いや、待て
育児放棄にも程があるでしょう
音信不通の姉
泣き出す子供
父親は誰だよ
怒り心頭の中、なしくずし的に子育てをすることになった私、橋本美咲(23歳)
これはもう、人生詰んだと思った
**********
この作品は他のサイトにも掲載しています
君が見た春をもう一度
sika
恋愛
高校時代、ひとつの誤解で離れた二人。
十年後、東京で再会した彼女は、もう誰かの「恋人」になっていた。
置き去りにした想い、やり直せない時間、そしてそれでも止まらない心。
恋と人生のすれ違いを描く、切なくも温かい再会ラブストーリー。
靴屋の娘と三人のお兄様
こじまき
恋愛
靴屋の看板娘だったデイジーは、母親の再婚によってホークボロー伯爵令嬢になった。ホークボロー伯爵家の三兄弟、長男でいかにも堅物な軍人のアレン、次男でほとんど喋らない魔法使いのイーライ、三男でチャラい画家のカラバスはいずれ劣らぬキラッキラのイケメン揃い。平民出身のにわか伯爵令嬢とお兄様たちとのひとつ屋根の下生活。何も起こらないはずがない!?
※小説家になろうにも投稿しています。
~春の国~片足の不自由な王妃様
クラゲ散歩
恋愛
春の暖かい陽気の中。色鮮やかな花が咲き乱れ。蝶が二人を祝福してるように。
春の国の王太子ジーク=スノーフレーク=スプリング(22)と侯爵令嬢ローズマリー=ローバー(18)が、丘の上にある小さな教会で愛を誓い。女神の祝福を受け夫婦になった。
街中を馬車で移動中。二人はずっと笑顔だった。
それを見た者は、相思相愛だと思っただろう。
しかし〜ここまでくるまでに、王太子が裏で動いていたのを知っているのはごくわずか。
花嫁は〜その笑顔の下でなにを思っているのだろうか??
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる