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新しい友達(2)
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女の子は恐怖で震えていた。そして股間から雫がぽたぽたと落ちているのがわかった。おしっこ漏らしたんだとエルンは思った。
そのままじっとしているとグリフスの足音が近づいてきた。大きなグリフスだ。馬ほどもある巨体に赤い目をしたグリフスだ。噛まれたらひと噛みで大人でもお腹を食い破られて死んでしまうほどの強力な顎だ。
グリフスは一旦、近くで止まって辺りをきょろきょろと見回していた。すぐ近くだった。グリフスの息遣いが聞こえてる。
しかし、グリフスは二人には気付かずどこかへと走り去った。
二人は安堵の吐息を吐いた。
「行っちゃったね」
「どうして?」
女の子は震えながらもエルンに聞いた。
「僕はたぶん魔法で守られてるんだ。僕の下にいたからグリフスには見つからなかったんだ」
「君、すごいね。魔法使いなんだね」
「僕がすごいんじゃないよ。僕もよくわからないんだけど。誰かが守ってくれたんだ、それをおすそ分けしただけだよ」
女の子はようやく微笑んだ。そしてそのとき、おしっこを漏らしたことに気付いた。
女の子は顔を真っ赤にして股間を押さえた。
「黙っててね」
「何を?」
エルンはとりあえず気付いていない振りをした。
「あなた、エルンでしょ。鍛冶屋のゲオルクのところの」
「そうだよ」
「わたし、フィリア。お父さんは馬具を作ってるの。馬小屋がある家」
「知ってる。村の南の方だね」
フィリアはエルンより少し背が高くて青い目がくりくりしていて、栗色の巻き毛がかわいい。
「帰り道、わかる?」
フィリアが聞いた。
「ああ、わかるよ。でも、今から帰ると暗くなっちゃうね。家の人心配するだろうね」
エルンは一緒に歩こうとすると「前を歩いて、お願いだから」とフィリア。
「うん、わかった。ちゃんと付いてきてね」
歩きながらエルンはフィリアに話しかけた。
「どうして森に入ったの? ひとりで?」
「うん。薬草を取りに来たの。うちの馬がお腹を壊したから、それに効く薬草を探していたの。探しているうちに道に迷ってしまって。そのうちにグリフスに見つかってしまって。ほんとうに怖かった」
「でも、この辺ってグリフスなんていないって聞いたけど」
「そうなの、以前はいなかったのよ。でも、最近、この辺りで見る人が多くなったみたい。隣村では殺された人もいるのよ」
「そうなんだ……」
エルンはなんだか複雑な気持ちになった。まさか自分のせいではないだろうかと。
ようやく広い道に出たところで、イルゼが迎えに来ていた。そして、フィリアのお父さんも来ていた。二人とも心配して迎えに来たのだった。
「早く帰りなさいて言ったでしょ」
イルゼの一発目の叱責だった。
「ごめんなさい」とエルン。
「フィリアと一緒だったの?」
「君がさそったのか?」
フィリアのお父さんが怖い顔で睨んだ。
「違うわ、森の中で会ったのエルンは私をグリフスから助けてくれたのよ。叱らないで」
フィリアが庇った。
「そうかグリフスが出たのか」
フィリアのお父さんが驚いて大きな声を出した。
「そう、馬ほどもあるのが三頭も」
「早く村の人に知らせんといかんな……とりあえず今日は帰ろう。話はあとで聞くから」
エルンは家に戻ると小一時間ほどお説教を食らった。
しかし、エルンは悪い気分ではなかった。フィリアと友達になれたこと。キノコを採取できたこと。何より叱ってくれる人がいること。エルンには過去の記憶がない。きっと、本当の両親もこんな風に叱ってくれたんだろうと想像してみた。いつか思い出すのだろうか、それともずっとこのままなのだろうか。
イルゼの叱責を聞きながらそんなことを思っていた。
自室に戻るとエルンは今日の収穫を確かめてみた。
袋の中身を全部出して検分する。
魔導書によると、どちらのキノコも天日で数日乾かして細かくし、それを煎じて飲めば効果があるということだ。やり方はそれほど難しくない。明日の仕事として今日は寝ることにした。
そのままじっとしているとグリフスの足音が近づいてきた。大きなグリフスだ。馬ほどもある巨体に赤い目をしたグリフスだ。噛まれたらひと噛みで大人でもお腹を食い破られて死んでしまうほどの強力な顎だ。
グリフスは一旦、近くで止まって辺りをきょろきょろと見回していた。すぐ近くだった。グリフスの息遣いが聞こえてる。
しかし、グリフスは二人には気付かずどこかへと走り去った。
二人は安堵の吐息を吐いた。
「行っちゃったね」
「どうして?」
女の子は震えながらもエルンに聞いた。
「僕はたぶん魔法で守られてるんだ。僕の下にいたからグリフスには見つからなかったんだ」
「君、すごいね。魔法使いなんだね」
「僕がすごいんじゃないよ。僕もよくわからないんだけど。誰かが守ってくれたんだ、それをおすそ分けしただけだよ」
女の子はようやく微笑んだ。そしてそのとき、おしっこを漏らしたことに気付いた。
女の子は顔を真っ赤にして股間を押さえた。
「黙っててね」
「何を?」
エルンはとりあえず気付いていない振りをした。
「あなた、エルンでしょ。鍛冶屋のゲオルクのところの」
「そうだよ」
「わたし、フィリア。お父さんは馬具を作ってるの。馬小屋がある家」
「知ってる。村の南の方だね」
フィリアはエルンより少し背が高くて青い目がくりくりしていて、栗色の巻き毛がかわいい。
「帰り道、わかる?」
フィリアが聞いた。
「ああ、わかるよ。でも、今から帰ると暗くなっちゃうね。家の人心配するだろうね」
エルンは一緒に歩こうとすると「前を歩いて、お願いだから」とフィリア。
「うん、わかった。ちゃんと付いてきてね」
歩きながらエルンはフィリアに話しかけた。
「どうして森に入ったの? ひとりで?」
「うん。薬草を取りに来たの。うちの馬がお腹を壊したから、それに効く薬草を探していたの。探しているうちに道に迷ってしまって。そのうちにグリフスに見つかってしまって。ほんとうに怖かった」
「でも、この辺ってグリフスなんていないって聞いたけど」
「そうなの、以前はいなかったのよ。でも、最近、この辺りで見る人が多くなったみたい。隣村では殺された人もいるのよ」
「そうなんだ……」
エルンはなんだか複雑な気持ちになった。まさか自分のせいではないだろうかと。
ようやく広い道に出たところで、イルゼが迎えに来ていた。そして、フィリアのお父さんも来ていた。二人とも心配して迎えに来たのだった。
「早く帰りなさいて言ったでしょ」
イルゼの一発目の叱責だった。
「ごめんなさい」とエルン。
「フィリアと一緒だったの?」
「君がさそったのか?」
フィリアのお父さんが怖い顔で睨んだ。
「違うわ、森の中で会ったのエルンは私をグリフスから助けてくれたのよ。叱らないで」
フィリアが庇った。
「そうかグリフスが出たのか」
フィリアのお父さんが驚いて大きな声を出した。
「そう、馬ほどもあるのが三頭も」
「早く村の人に知らせんといかんな……とりあえず今日は帰ろう。話はあとで聞くから」
エルンは家に戻ると小一時間ほどお説教を食らった。
しかし、エルンは悪い気分ではなかった。フィリアと友達になれたこと。キノコを採取できたこと。何より叱ってくれる人がいること。エルンには過去の記憶がない。きっと、本当の両親もこんな風に叱ってくれたんだろうと想像してみた。いつか思い出すのだろうか、それともずっとこのままなのだろうか。
イルゼの叱責を聞きながらそんなことを思っていた。
自室に戻るとエルンは今日の収穫を確かめてみた。
袋の中身を全部出して検分する。
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