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お役所でひと騒動(2)
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たちまち、六名の警備隊員が集まってきて三人を取り囲んだ。
「この人たちです。不正受給者です」
「どうして僕が不正受給だというんですか?」
エルンが担当者を睨みつけた。
「マッケンゼン一家をあんた一人で捕まえたって、そんなことができるわけないでしょ。
あの一家、男一人、女三人といってもすごく狡猾で凶暴なんですよ」
「じゃあここに書いてあることは嘘とでも言うんですか? それとも偽物とでも?」
担当者は目を凝らして書類を見た。
「書類は本物のようです……では聞きますが。この書類を作成したエルドリック隊長とはどんな人でしたか?」
エルンは戸惑いながらその時の様子を思い出そうとした。
「どんな人? 大きな人です。鎧を着ていました」
「当たり前です」
担当の女は鼻で笑った。
「そう、右目の下に三センチくらいの刀傷のようなものがありました」
「刀傷? そんなのあったかしら」
ひとりの警備隊員が言った。
「あったぞ。右目の下に。模擬戦で負傷したんだ」
そうだ、そうだ、と他の警備隊員も認めた。
「しかしね……」と担当者はそれでも信じようとしない。
「おい、エルン。お前の魔法で、こいつらふっ飛ばしちゃえよ。そしたら信じてくれるぞ」
ガルディが言う。
「そうだ、やっちまえ」とシモンが煽った。
「いや、それは……」とエルンは躊躇した。「けが人が出たら困るでしょ」
「おいおい、ガキが俺たちにケガだと? おもしれえじゃねえか」
「やれよエルン。信じねえこいつらが悪いんだ。甲冑も着ていることだし、手加減してやればケガなんてしねえよ。ちょっとくらいはするかもしれねえが。いいんだろ」とガルディ。
「やってもらおうじゃねえか」
六人の警備隊員が口々に小馬鹿にしたように言う。
「じゃあ、それを見せたらちゃんとお金を払ってくれるんですよね」
「ああ、いいですよ。払いましょう」と窓口の女。
了解を取り付けたとき、後ろの方から聞き覚えのある声がした。
「マチルデさん。払ってやりなよ。俺がサインしてるんだ」 声はエルドリック隊長だった。勤務を終えてちょうど帰還したとのこと。「何事かと思ったら……エルンとそこの者が言ってることは本当だ。森の中でベアツァーカーが三頭死んでいるのを確認してきた。一頭は胸を撃ち抜かれ風穴があいていた。そして左耳が切り取られていた。二頭は頭が吹き飛んでいた。すべて事実だ。すげーよエルン」
隊長はエルンの頭を撫でた。
「ほんとかいそりゃ」と警備隊員が顔を見合わせる。
「お前らがまともに攻撃を受けたら役所の外まで吹き飛ばされてたぞ。役所の修理も大変だったぞ」
その場の空気がざわついた。
エルドリック隊長のおかげでなんとか信じてもらえて、ガルディの十万デリラとエルンの三十万デリラの支払いを受けることができた。
役所を出たところで「エルン、お前賞金稼ぎで生きていけるぞ。俺と手を組まねえか」と誘われたが、エルンは丁重に断った。
「どうせ危なくなったら、僕を見捨てて逃げるんでしょ」
「この人たちです。不正受給者です」
「どうして僕が不正受給だというんですか?」
エルンが担当者を睨みつけた。
「マッケンゼン一家をあんた一人で捕まえたって、そんなことができるわけないでしょ。
あの一家、男一人、女三人といってもすごく狡猾で凶暴なんですよ」
「じゃあここに書いてあることは嘘とでも言うんですか? それとも偽物とでも?」
担当者は目を凝らして書類を見た。
「書類は本物のようです……では聞きますが。この書類を作成したエルドリック隊長とはどんな人でしたか?」
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「当たり前です」
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「あったぞ。右目の下に。模擬戦で負傷したんだ」
そうだ、そうだ、と他の警備隊員も認めた。
「しかしね……」と担当者はそれでも信じようとしない。
「おい、エルン。お前の魔法で、こいつらふっ飛ばしちゃえよ。そしたら信じてくれるぞ」
ガルディが言う。
「そうだ、やっちまえ」とシモンが煽った。
「いや、それは……」とエルンは躊躇した。「けが人が出たら困るでしょ」
「おいおい、ガキが俺たちにケガだと? おもしれえじゃねえか」
「やれよエルン。信じねえこいつらが悪いんだ。甲冑も着ていることだし、手加減してやればケガなんてしねえよ。ちょっとくらいはするかもしれねえが。いいんだろ」とガルディ。
「やってもらおうじゃねえか」
六人の警備隊員が口々に小馬鹿にしたように言う。
「じゃあ、それを見せたらちゃんとお金を払ってくれるんですよね」
「ああ、いいですよ。払いましょう」と窓口の女。
了解を取り付けたとき、後ろの方から聞き覚えのある声がした。
「マチルデさん。払ってやりなよ。俺がサインしてるんだ」 声はエルドリック隊長だった。勤務を終えてちょうど帰還したとのこと。「何事かと思ったら……エルンとそこの者が言ってることは本当だ。森の中でベアツァーカーが三頭死んでいるのを確認してきた。一頭は胸を撃ち抜かれ風穴があいていた。そして左耳が切り取られていた。二頭は頭が吹き飛んでいた。すべて事実だ。すげーよエルン」
隊長はエルンの頭を撫でた。
「ほんとかいそりゃ」と警備隊員が顔を見合わせる。
「お前らがまともに攻撃を受けたら役所の外まで吹き飛ばされてたぞ。役所の修理も大変だったぞ」
その場の空気がざわついた。
エルドリック隊長のおかげでなんとか信じてもらえて、ガルディの十万デリラとエルンの三十万デリラの支払いを受けることができた。
役所を出たところで「エルン、お前賞金稼ぎで生きていけるぞ。俺と手を組まねえか」と誘われたが、エルンは丁重に断った。
「どうせ危なくなったら、僕を見捨てて逃げるんでしょ」
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