彩光の詩 ~Eternal Echoes~

絹咲メガネ

文字の大きさ
25 / 29
1st STAGE ~Eternal Echoes~

第25話【雪の日の手紙】後編

しおりを挟む
────────────────――――
 走り出した彩花を、りんが追いかけ、強く抱きしめた。

 凛の温もりが、凍てついた心を溶かし、れいの腕が再び愛を確かめる。

 雪の夜、情熱と優しさが彩花を救う――

 そして、一通の手紙が、未来を照らし始める。
────────────────――――

・雪の日の手紙・

 ある週末の朝、彩花は郵便受けにシンプルな白い封筒を見つける。

 れいの繊細で力強い筆跡で「彩花へ」と書かれ、心臓が高鳴る。

 部屋に戻り、震える指で封を開けると、怜の真摯で熱い想いが綴られていた。

「彩花、いつもそばにいてくれてありがとう。
誤解のことで、彩花を傷つけたこと、ほんとにごめん。
彩花の涙を見た時、俺、彩花を絶対守りたいって、改めて思った。
彩花の笑顔、彩花の音楽、彩花の全部……俺、すごく愛してる。
これからも、ずっと一緒にいたい。
バレンタインデーの夕方、いつものスタジオで、ちゃんと話したい。」

 怜の手紙の端には、怜が描いた小さなキーボードとギターのイラストが、愛らしいアクセントとして添えられていた。

怜……こんな熱い気持ち、書いてくれて……

 彩花の目が潤み、胸が熱くなる。

 彼女は手紙を胸に抱き、決意を固める。

次のスタジオ……怜に、私の全部を伝えたい……


・愛の聖域

 バレンタインデーの夕方、彩花と怜は貸しスタジオで再会する。

 雪が降りしきる冬の街の喧騒を背に、狭い部屋は防音の壁と柔らかな照明に包まれ、二人の情熱の聖域となる。

 彩花はオフホワイトのシャツにデニムのスカート、シルバーのメガネをかけ、髪を下ろす。

 潤んだ大きな瞳が、冬の光に映えて怜の心を奪う。

 怜は紺色のコートを脱ぎ、カジュアルなシャツとジーンズで現れ、穏やかな笑顔が優しさを際立たせる。

「怜……手紙、読んだよ。ありがとう……」

 彩花は頬を染め、照れながら微笑む。

怜の気持ち…… こんなに熱くて…… 

 怜は少しぎこちなく笑い、「彩花、読んでくれて…… なんか、めっちゃ恥ずかしいけど、ほんと、そう思ってる。彩花のこと、ずっと大切にしたい……」

 二人は新曲「Twilightトワイライト Serenadeセレナーデ」のアレンジに没頭する。

 彩花が「このメロディ、もっと柔らかくしてみたら?」と提案すると、怜は微笑み、「いいね、彩花の音、ほんと心に響く……」と弦を爪弾く。

 キーボードとギターの音が重なり、冬の星空を思わせる美しい旋律が広がる。

 二人の心がハーモニーを奏でるようだった。


・雪桜の素顔:愛の告白・

 練習の後、二人はソファに寄り添う。

 彩花は震える指でメガネをそっと外し、髪を下ろした素顔で怜を見つめる。

 冬の光が彼女の瞳に溶け、雪の結晶のように揺れる。

 まるで冬の星空に桜が咲いたような美しさに、怜の心臓が強く打ち、その無垢な輝きに息を呑む。

 彩花の心がざわめく。

これが本当の私……
影も、迷いも、全部さらけ出して、怜に愛して欲しい……

 彼女は静かに、しかし強く呟く。

「怜……この素顔、本当の私を見て欲しい。」

 怜は彩花の瞳に吸い込まれ、彼女の手を握り締める。

 彩花は怜の胸に顔を寄せ、心が温かく満たされる。

怜……私の全部を受け止めてくれる……

 怜は彩花の額に優しくキスをし、そっと抱きしめる。

「彩花……俺、彩花のこと、ずっと愛してる。」

彩花……俺の光……

 彩花の素顔が雪の光に照らされ、冬の桜のように輝く。

 彼女は怜の頬にそっと手を添え、微笑む。

「怜…… 私、こんな幸せ、初めて……。大好き……」

 雪の夜の静寂が、二人の絆を優しく包む。

 怜は彩花の髪を撫で、頬に軽くキスを返す。

「彩花、俺も…… 君とこうやって、ほんと幸せ。ずっとそばにいるよ。」

 冬のスタジオは、二人の愛で温かく響き合い、雪の光がその瞬間を永遠に刻む。


・静かに燃える情熱:新たな絆へ・

 怜の手紙が、彩花の心に愛の確信を刻んだ。

 凛への想いは音楽で繋がる友情として、優奈への想いは応援し合う絆として整理され、彩花は自分の心を受け入れる。

 そして、この雪の夜は、彩花の内に静かな革命を呼び起こす。

これまで、私は自分の一番のアンチだった……

凛の炎に、怜の愛に、優奈の笑顔に気圧されて、いつも自分を影に閉じ込めてきた…… 

迷いと涙が、ずっと心を縛っていた。

でも、もう違う。

凛の温もりが、怜の言葉が、優奈の光が教えてくれた――

私こそが、自分自身の一番のファンにならなくてはいけないと。

私が自分を信じなければ、どんな音も、どんな愛も、輝けない……


 彩花は雪の降る窓を見上げ、深呼吸する。

この素顔で、この心で、私は自分を信じる。

 彼女の心に、力強い鼓動が響く。

「私は必ず、光輝くキーボーディストになる! 私の音で、みんなの心に光を届けたい!」

 雪が舞う中、彼女の声は静かだが揺るぎない。

私の影は、もう怖くない。

私の音は、私だけの光だから……

 雪の夜、怜との愛、凛との友情、優奈との絆は、彩花の心に新たなメロディを刻む。

 桜の蕾が春を待つように、「BlossomEchoブロッサムエコー」のストリートソニックへと続く未来が、静かに輝き始める。

────────────────――――
・次回予告:第26話「青春の光 前編」

 霧咲シティプラザの煌びやかな照明と桜色の音色! 運命的なストリートライブで、彩花の音はどんな光を放つのか? 
 霧咲高校の学園祭が生んだ「BlossomEcho」が、地元、霧咲の代表として大イベントに臨む。
 次回、「青春の光 前編」、二人のハーモニーが新たなドラマを切り開く!

・読者の皆さまへ

 彩花の嫉妬と凛の温かい抱擁、怜の手紙、彩花の心に芽生えた静かな革命、どの瞬間があなたの心を震わせましたか? 
 ストリートライブでのBlossomEchoの晴れ舞台、彩花の決意、どんなドラマを期待しますか? 
 ぜひその想いを聞かせてください。どんな小さな言葉でも、すごく嬉しいです。
 次回はいよいよ、第一部の最終章を飾る「霧咲ストリートソニック」本番、ぜひ一緒に見守ってください。
────────────────――――
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

妻からの手紙~18年の後悔を添えて~

Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。 妻が死んで18年目の今日。 息子の誕生日。 「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」 息子は…17年前に死んだ。 手紙はもう一通あった。 俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。 ------------------------------

愛していました。待っていました。でもさようなら。

彩柚月
ファンタジー
魔の森を挟んだ先の大きい街に出稼ぎに行った夫。待てども待てども帰らない夫を探しに妻は魔の森に脚を踏み入れた。 やっと辿り着いた先で見たあなたは、幸せそうでした。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

【完結】あなたに知られたくなかった

ここ
ファンタジー
セレナの幸せな生活はあっという間に消え去った。新しい継母と異母妹によって。 5歳まで令嬢として生きてきたセレナは6歳の今は、小さな手足で必死に下女見習いをしている。もう自分が令嬢だということは忘れていた。 そんなセレナに起きた奇跡とは?

【完結】精霊に選ばれなかった私は…

まりぃべる
ファンタジー
ここダロックフェイ国では、5歳になると精霊の森へ行く。精霊に選んでもらえれば、将来有望だ。 しかし、キャロル=マフェソン辺境伯爵令嬢は、精霊に選んでもらえなかった。 選ばれた者は、王立学院で将来国の為になるべく通う。 選ばれなかった者は、教会の学校で一般教養を学ぶ。 貴族なら、より高い地位を狙うのがステータスであるが…? ☆世界観は、緩いですのでそこのところご理解のうえ、お読み下さるとありがたいです。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

無能なので辞めさせていただきます!

サカキ カリイ
ファンタジー
ブラック商業ギルドにて、休みなく働き詰めだった自分。 マウントとる新人が入って来て、馬鹿にされだした。 えっ上司まで新人に同調してこちらに辞めろだって? 残業は無能の証拠、職務に時間が長くかかる分、 無駄に残業代払わせてるからお前を辞めさせたいって? はいはいわかりました。 辞めますよ。 退職後、困ったんですかね?さあ、知りませんねえ。 自分無能なんで、なんにもわかりませんから。 カクヨム、なろうにも同内容のものを時差投稿しております。

父が再婚しました

Ruhuna
ファンタジー
母が亡くなって1ヶ月後に 父が再婚しました

処理中です...