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1章
向かう彼ら
しおりを挟む「父上!母上!、やっとですね!!」
ソフィアの記憶の中にも出てくるあの男の子が馬車の中で声を張り上げて喜んでいます。
「あぁ!そうだな。ついに、この時が来たのだな!!」
「えぇ!この時が来たのですね!!」と、彼の父と母も喜んでいます。
まさか、彼らが帝国の皇族......
ましてや、皇帝、皇妃、皇太子なんてライラット王国の者達は気づかないでしょう。
なぜ彼らがこんなにも喜んでいるかというと、
全ての〝神・精霊・妖精〟の王が寵愛している、可憐で美しい大切な女性を今から、迎えに行くからです。
ここまで来れば気づく人もいるでしょう。
そう、彼らが迎えに来たのは公爵家の嫡子ソフィア・アメリア・リリアンなのです。
まだ、彼らは、ソフィアが公爵家の者によって傷つけられてしまったことを知りません。
なので、ソフィアが傷つけられたことを知り、愛しい子の変わり果てた姿を見た彼らがどれだけ怒り狂うか......
実はソフィアが生まれた時、父と母と髪と瞳の色が異なったのは、全ての神に愛されているから。
しかも、ソフィアの元家族が失明させた金色の瞳は、神達が直接与えたとても大切な、寵愛を受けている証で
ソフィアを人々に認めさせる〝印〟でもあったのです。
ライラット王国はそれを自らの手で.........
最低なことをやらかしたライラット王国は、このあと、大変な目に遭うことを想像もしていないでしょう。
だって、ライラット王国の者達は自分達の行動がどれだけ、神を侮辱している行為なのかすらも、気づいていないのですから。
馬車は、ゆっくりとライラット王国へと近づいていきます。
皇太子である、あの男の子は
「ソフィアとお揃いで使いなさい。」と神達がプレゼントしてくれた、ソフィアの瞳と同じ、金色と水色のピアスをさわりながら、
「ソフィ......」と甘い声で小さく囁きました。
そんな息子の様子を見た、皇帝と皇妃は、互いに笑みを浮かべていました。
やはり2人とも、ソフィアのことだけを考えているようで、ライラット王国へと着くまでずっとソフィアの話をしているのです。
また、デーヴィド帝国から皇帝達、皇族を護衛してきた騎士達も、〝ソフィア姫〟と会えることを楽しみにしながら、護衛を続けるのでした。
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