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1章 新しい家族

21話  パーティーへ①

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 ───パーティー当日───

 僕は今シェナとリュナに着替えを手伝ってもらっていた。

「リディ、くれぐれも王女様との婚約バレてはダメよ。発表前にバレると後々めんどくさいらしいわよ。ねリュナ。」

「えぇ。私も聞いたことある。特にリディの髪色を知っている人からすると余計にね。」

リュナもシェナも僕のことを心配しているのは伝わってきて嬉しくなった。

「ありがとう二人とも。バレ無いように努力するよ。それに、練習の成果が出るように振る舞ってくる。」

僕は今日のパーティーに向けて沢山練習をした。二人も練習に付き合ってくれたりもした。
 ところで、二人とも他に人がいるときはメイドと主人みたいな感じなのに僕とリュナ、シェナの三人になったとたんに口調が変わるのはすごいな。自分から言い出したことなのに驚いてしまうことが多い。

「さ、出来たよ。完璧!
どう?シェナ。」

「問題ない。謁見の時の服もよかったけどこっちの方がかっこいい。」

そう、謁見の時は王様との謁見と言うことで堅苦しい服装をしていたけど今日はパーティー。動くことも考えて謁見の時よりも少しラフな格好をしている。それでも充分堅苦しいと感覚が庶民の僕は思う。生地も良いから値段も高そうだ。
そもそも貴族は1度着た服をまた着たりはしないらしい。勿体無いなと思う。




 準備が出来た僕は姉様達のところへ行った。みんな既に集まっていた。

「きゃ~!リディカッコいいよ~。」

姉様は叫んでいるがいつもより元気が無いように感じる。理由を聞くと母様が教えてくれた。
 
「女性はね、コルセットを着けるのよ。それがとっても苦しいの。そのせいではないかしらね。」

そう教えてくれたが母様はなんともないような気がする。僕がそれを言うと「慣れね~」と言ったが姉様は「こんなの慣れないよ~」と泣きそうになりながら言っていた。僕は男の子で良かったと心底思った。


 馬車に乗り王宮まで行くと案内の人が控え室まで案内してくれた。

「少し早くつきすぎてしまったな。入場は男爵から順番にしていくから俺達は後の方だ。」

父様がそう言っていたので僕は少し落ち着こうと深呼吸をした。実は王宮についてから心臓の音が周りに聞こえてしまうのではないかと思うくらいドキドキしてるのだ。今までで1番緊張している気がする。


 ___コンコン___

 僕が一人深呼吸をしているとノックの音が聞こえてきた。誰が来たのか僕にはわからなかったが一番に兄様が反応したので兄様のお客様なのだろう。

「いいよ、入って。」

兄様がそう声をかけると中に入ってきた人は頬を赤く染めながら静に入ってきた。
初めて見る人に僕は緊張してしまっていたが姉様に「リディ自己紹介しないと。」と言う声で我に返った。

「は、はじめまして。フォール侯爵家へ養子に入ったリディルと言います。よろしくお願いします。」

僕が自己紹介をするとお姉さんはフワッと微笑んで自己紹介してくれた。

「ふふっ、可愛いわね。はじめまして。私はアリネ・フリーク。フリーク伯爵家の次女です。」

お姉さんはアリネと言うらしい。アリネさんの自己紹介に兄様が補足をした。

「リディ、アリーは僕の婚約者なんだ。入場の時に僕はアリーをエスコートするから来てもらったんだ。」

僕はアリネさんが兄様の婚約者と言うことに驚いた。てっきり少し黒いところがある兄様の婚約者はしっかりとした人だと思っていたからアリネさんのようなホワワンとした人だと知って僕は驚きを隠せなかった。

「驚いてるねリディ。アリーは普段はホンワリしてるけどいざというときはとってもしっかりしてるんだよ。僕は何度も助けられてるんだ。」

兄様の言葉を聞いて僕は人は見かけによらないな。等と考えていた。


 パーティーはパートナー同伴が普通だ。婚約者がいる人は婚約者と夫婦の人はそのまま夫婦で。いない人は家族の誰がパートナーになる。しかし僕の場合はまだ発表されていないからパートナーは姉様がしてくれる。姉様は婚約をことごとく断っているようで婚約者は居ないと言っていた。




 アリネさんを含めて家族で話していると使用人が呼びに来た。

「フォール侯爵家の方々。並びにアリネ伯爵令嬢様お時間です。」

僕はその言葉を聞きまた緊張してきたが姉様と少し話したら落ち着いてきた。


 大きな扉の前に行くと二人の兵士が扉を開けた。同時に宰相様の声が聞こえてきた。

「フォール侯爵家並びに伯爵令嬢、アリネ・フリーク嬢入場。」

父様は母様を。兄様はアリネさんを。僕は姉様をエスコートして会場の中に入った。








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