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三人とも転生者
しおりを挟むすると、会場の別の方でも私が浮気をしているとほのめかす方がいた。
「ですけど、こんなに素敵な王太子様を差し置いて、別の方といるなんてっ。私なら絶対にそんなことしませんっ。」
私の婚約者の前でそんなことを言っているのは聖女ソフィー。まさかこの子も転生者なの?
小説の中の聖女ソフィーは、仮にそんな噂を聞いても周りに広めるような低俗な方ではなかったもの。
別の人格が入ってるとしか思えないわ。
すると、王太子が私が見ていることに気が付いたのかこちらに歩みよってきた。
浮気しているのかと詰め寄られるのかしら……
「やぁ、マリア。今日も美しいね。一緒に来れたら良かったんだけど、父上との会議が押してしまってね。」
「ご機嫌よう、ルイス王太子殿下。国を左右させる会議の方が勿論大事ですものお気になさる必要などございませんわ。」
「こんな美人で理解のあるご令嬢は世界を見渡してもなかなかいないな。」
「まぁ殿下ったら。」
何を考えているのかしら。何も聞かないの?
不服そうな聖女ソフィーを横目に、私達は人目のないバルコニーに移動する。
「何も聞かれないのですか?」
「君が浮気しているという根も葉もない噂かい?勿論私には君がそんな不徳をしていないことくらい分かっているさ。」
「微塵も?」
「ああ。それになにがあっても僕の横にいるのは君だけだよ。」
そう言って素敵スマイルを見せる王太子殿下。
信じてくれるのはありがたいけれど、これ以上あの二人に変な噂を流させるのは癪よね。
二人とも時間軸を考えずに、私がもう浮気したと確信を持ってしまっているし。
「私は……」
「婚約者の件、私は君がいいと父上に伝えてきた。」
「殿下っ。」
「君以外僕には考えられない。どうか断らないで欲しい。」
「断るなんてそんなこと……」
家臣の身分で、王族からの求婚を断ることなど出来ない。殿下は気持ちのことを言っているのだわ。私が迷っていることに気付いていらっしゃるのね。
だけど、ここは小説の世界。
ストーリーがある世界に登場人物の心情がそれだけ影響を及ぼすのか分からないわ。
「殿下、わたくしは……聖女ソフィーが殿下にはふさわしいと存じますわ。」
だから貴方と私は婚約しないほうがいいの。
根本からストーリーをねじ曲げるのよ。
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