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領地へも追いかけよう

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「悪いわね、フリーシア。大事な時期に戻らせるようなことになって。」


床に伏せる母は、顔に血色がなく髪もやつれて以前の美しさが失われている。



「わたくしにとって、お母様よりも大事なものなんてございませんわ。」


「でも......王太子殿下へのお返事もしないままなんでしょう?さすがに一年以上お待たせするのはよくないわ。
王太子殿下は大きくなられてからご立派になられて、民を思いやるいい王になられるはずだわ。
元々侯爵家が貴族派だったのは貴女のお爺様の代よ。今は中立派だし、貴女さえよければお受けすればいいのよ。お父様も言われていたでしょう?」


「わたくしは......分からないのです。王太子殿下から多くの愛を受けて、あの方と結婚をすれば幸せになれるでしょう。ですが、」


「不安なのね、フリーシア。」


「そうなのかもしれません。」



王太子妃という高い位に就くこと。

王太子殿下の愛を受け入れた後、本当に幸せになれるのかどうか。




するとその時、ダダダッと廊下を走る音が聞こえ......



コンコンコンっ


「失礼いたします。大変でございます。王太子殿下がお見えになられましたっ。」


「なんですって!?」

「お母様、急に起きられると体に良くないですわ」

「貴女はいつも動じなさすぎるのよ......」



お母様を部屋に残し、急いで支度をして貴賓室へと向かう。


それにしても公務を差し置いて、こんな辺境までやってこられたのかしら。



「失礼いたします。」

「フリーシアっ。」


私が部屋に入ると、ダッと立ち上がり私の元へ駆けるようにやってきた王太子殿下。



「君が別の者からも求婚状を送られたと聞いていてもたってもいられなくなったんだ!」

「そうなのですか?私はまだ聞いていないので父のところで返されたのではないでしょうか。」

「それは良かった。......ああ、母君の体調が悪いと聞いて、腕のいい医者も連れてきたんだ。」


「感謝致しますわ。」



「それで......僕が来た理由は、君から返事を貰うためだ。」


真剣な眼差しで私を貫く王太子殿下。




「はい。私からの返事は......」




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