丘の上のお姫様~姫島 皐月の場合~

よしき

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丘の上のお姫さま~姫島皐月の場合~ 4

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  さて、私・木崎珠子がエステサロンに通い出して、ひと月が過ぎた頃のこと。
  いつものように私は体も心も揉みほぐされていた。
「月島さんは、本当に施術がお上手ですね。」
私は、何気なくそう誉めた。
「いえ、フランスで少しだけエステを勉強しましたが...自分ではまだまだ未熟者です。」
  豪華な部屋は、バラの香りで満たされているためか、二人は話が弾んだ。
「...実は、オーナー(皐月さん)が、フランスに滞在中に僕が担当して、よくエステをしていたんです。その関係で、僕は引き抜かれたのと同時に、このお店を任されることになって。」
「すごい。皐月さんが認めた腕前って事ですよね。」
月島さんは、首を降った。
「いいえ。素晴らしいスタッフやハード面は、確かにオーナーが揃えてくれました。それをいかにお客様に満足してもらえるように生かせるかが、腕の見せどころです。」
月島さんは、一息ついた。そのときの表情は、やや影を落としていた。
「しかし、僕にはそこまでの力量が不足しています。今回のウエディングのエステは、オーナーのためにも、自分の成長のためにも、成功させたいんです。」
「素敵・・・それって、何だか皐月さんに恋しているみたいですね!」
  私が、何気ない事を口にすると月島さんは、少しだけ頬を赤らめた。どうやら、皐月さんのことは、好意がある様だ。
「もしかして・・・月島さんは、皐月さんのことを⁉」
「そんな、おそれおおいい・・・」
あわてふためく、月島さんを私は、微笑ましく思えた。
「あら、そんなことを言ったら、私だって。本当は、そこら辺にいる人だったんだもの。」
「そんなことは、ないかと思いますよ。あなたは、とてもチャーミングで、エーデルワイスの花のように純心です。」
  わたしは、思わず顔を真っ赤にしてしまった。
「でも、皐月さんには叶わないな。」
「あはは。オーナーは、バラですからね。それも野生の強さと温室で洗練された美しさ・・・きやすく触れば、こちらもタダではいられない・・・」
月島さんのの表情は、やはり暗い影を落としている。何か力になれないかしら
「あ、あの・・・」
私が声をかけようとしたとき。
「そろそろタマちゃん、帰らないかい?」
目の前にいたのは、
「聖さん‼」
  私の最愛の人だった。
「聖さん?どうしてここに⁉」
「たまには、タマちゃんと一緒に帰るのも悪くないかと思ってね。」
聖さんは、そのまま私のもとまでやって来た。そして、私を包容する。
「やっと、時間を空けることができたから。今日は、タマちゃんと一緒にいようと思ってね。」
  私は、嬉しさのあまりモジモジしてしまった。だって、いつでも聖さんは、サプライズな贈り物を贈ってくれるのだもの。
  そして、聖さんは月島さんに目をやった。
「いつも私の婚約者が世話になっているみたいだね」
「いえ、こちらこそ。木崎様に施術をおこなわしていただいて、光栄です。」
  経ち二人の立ち一位の違い・・・その差に気が付かない訳ではないが。私は、その場の空気が、何となく嫌だった。だから・・・
「あのね聖さん。よかったら、肩を月月島さんにもんでもらわない?」
   私がそう言うと、男二人が私を見つめる。そして聖さんは、ため息をつく。
「月島さん、お願い出来ますか?」
  聖さんは、折れてくれたかのように施術台の上に座った。
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