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丘の上のお姫様~姫島皐月の場合~11
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私達がエステの施術を終え、個室から出てきたとき。そこにいたのは皐月さん一人だった。
皐月さんは、他のエステティシャンや職員を既に返したあとであり、店内は静まり返っていた。
「月島さん・・・今日のエステは、少しお時間が借りすぎではありませんの⁉」
皐月さんは相変わらず凄むと迫力があって美しい。多分エステなんかしなくても、結婚式は美しいのだろう。
「皐月さん、すみません。私が少し月島さんに相談事があったもんですから。」
私は素直にそう言って謝った。いつもの皐月さんならば、それで済むのだが。今日は、いつもと違っているように見えた。
「そうですの?でも、店長として時間を守らないのは、少し問題があるのではなくて!」
時計を見ると、20分程であろうか。確かに施術時間を越えていたのが分かった。
「すみませんでした、姫島様。次回からは注意致します。」
月島さんも、同様に感じたのだろうか。すぐに皐月さんに頭を下げる。皐月さんは冷静にみえたが、なんと言ったらよいのか・・・いつもの『おおらかさ』と言うか。余裕と言うか・・・とにかく、何かが成を潜めてしまっていた。
そして皐月さんは、少し不審そうに私と月島さんを見つめると、次の言葉を口にした。
「何のご相談をされていたのかしら。このサロンの事?それとも数日後の結婚式のお話ですかしら?・・・それなら、私にも教えてくださらない?」
私が話をしようとすると、月島さんがそれを制止した。
「結婚式の話でも、サロンの話でもなく、私事の相談ですので。」
月島さんは、やんわりとそう言った。それに対して皐月さんは、眉をひそめる。
「仕事中に、そんな話をするなんて。あまりよろしくないと言うことは、お分かりですわよね?」
「その事に関しては本当に申し訳ありませんでした。」
月島さんは、再び謝った。
私はなんとも言えないこの場の空気を何とかしようとするのだが。何故か話が二人のラリーの様に進んでいってしまう。
「私には話せなくて、珠子さんにはお話で来る内容ですの?!」
「ですから、姫島様がお気になさるような事ではありませんので。」
そんな会話の応酬をして、話はらちが明かない。 仕方なく私は話に割って入った。
「皐月さん。少し話を聞いてください。実は、先日のお義母様とのお話を月島さんにしていたんです。」
私の声に皐月さんは、すぐに反応をした。私はそれを続けた。
「月島さんが承諾をしてくたさったので、私と聖さんの結婚式の後にお見合いをもうける話を伝えていたんです。」
私がそう告げると、皐月さんの顔はまるで能面のように真っ白く、静かな怒りをたたえているように見えた。
「・・・そう、分かったわ。私の出る幕ではないと言うことですのね。」
「ち、違います!」
「もう結構ですわ。」
皐月さんは、クルリと私達に背を向けると、無言のまま店内から出ていってしまった。
私は後を追おうとしたが、それを月島さんが止めた。
「これで良かったんです。私も改めて、お見合いを受ける甲斐があると言うものです。」
「でも、何だか難しい事に・・・」
月島さんは、不思議な表情を浮かべていた。そして、私にニッコリと笑いかけた。
「さあ、あまり遅くなると、王様がご心配されますよ。私がヘリポートまでお送りしますよ。」
「でも、皐月さんは⁉」
「心配しないでください。きっと、大丈夫ですよ。」
私は後数日に迫る私達の結婚式に、皐月さんが来てくれなくなるのではと、猛烈に心配した。
しかし、月島さんはと言うと、私に優しく微笑みかけてくれて・・・
結局、私は月島さんのご厚意に甘えて、皐月さんの代わりにヘリポートのある、帝国ホールディングス本社まで車で送ってもらうこととなった。
皐月さんは、他のエステティシャンや職員を既に返したあとであり、店内は静まり返っていた。
「月島さん・・・今日のエステは、少しお時間が借りすぎではありませんの⁉」
皐月さんは相変わらず凄むと迫力があって美しい。多分エステなんかしなくても、結婚式は美しいのだろう。
「皐月さん、すみません。私が少し月島さんに相談事があったもんですから。」
私は素直にそう言って謝った。いつもの皐月さんならば、それで済むのだが。今日は、いつもと違っているように見えた。
「そうですの?でも、店長として時間を守らないのは、少し問題があるのではなくて!」
時計を見ると、20分程であろうか。確かに施術時間を越えていたのが分かった。
「すみませんでした、姫島様。次回からは注意致します。」
月島さんも、同様に感じたのだろうか。すぐに皐月さんに頭を下げる。皐月さんは冷静にみえたが、なんと言ったらよいのか・・・いつもの『おおらかさ』と言うか。余裕と言うか・・・とにかく、何かが成を潜めてしまっていた。
そして皐月さんは、少し不審そうに私と月島さんを見つめると、次の言葉を口にした。
「何のご相談をされていたのかしら。このサロンの事?それとも数日後の結婚式のお話ですかしら?・・・それなら、私にも教えてくださらない?」
私が話をしようとすると、月島さんがそれを制止した。
「結婚式の話でも、サロンの話でもなく、私事の相談ですので。」
月島さんは、やんわりとそう言った。それに対して皐月さんは、眉をひそめる。
「仕事中に、そんな話をするなんて。あまりよろしくないと言うことは、お分かりですわよね?」
「その事に関しては本当に申し訳ありませんでした。」
月島さんは、再び謝った。
私はなんとも言えないこの場の空気を何とかしようとするのだが。何故か話が二人のラリーの様に進んでいってしまう。
「私には話せなくて、珠子さんにはお話で来る内容ですの?!」
「ですから、姫島様がお気になさるような事ではありませんので。」
そんな会話の応酬をして、話はらちが明かない。 仕方なく私は話に割って入った。
「皐月さん。少し話を聞いてください。実は、先日のお義母様とのお話を月島さんにしていたんです。」
私の声に皐月さんは、すぐに反応をした。私はそれを続けた。
「月島さんが承諾をしてくたさったので、私と聖さんの結婚式の後にお見合いをもうける話を伝えていたんです。」
私がそう告げると、皐月さんの顔はまるで能面のように真っ白く、静かな怒りをたたえているように見えた。
「・・・そう、分かったわ。私の出る幕ではないと言うことですのね。」
「ち、違います!」
「もう結構ですわ。」
皐月さんは、クルリと私達に背を向けると、無言のまま店内から出ていってしまった。
私は後を追おうとしたが、それを月島さんが止めた。
「これで良かったんです。私も改めて、お見合いを受ける甲斐があると言うものです。」
「でも、何だか難しい事に・・・」
月島さんは、不思議な表情を浮かべていた。そして、私にニッコリと笑いかけた。
「さあ、あまり遅くなると、王様がご心配されますよ。私がヘリポートまでお送りしますよ。」
「でも、皐月さんは⁉」
「心配しないでください。きっと、大丈夫ですよ。」
私は後数日に迫る私達の結婚式に、皐月さんが来てくれなくなるのではと、猛烈に心配した。
しかし、月島さんはと言うと、私に優しく微笑みかけてくれて・・・
結局、私は月島さんのご厚意に甘えて、皐月さんの代わりにヘリポートのある、帝国ホールディングス本社まで車で送ってもらうこととなった。
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