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第4章・北方諸国漫遊と、契約の精霊と
第166話・寒さ対策と空腹を紛らわせる方法とは
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フォートレスタートルさんに話を伺うために、私たちは超隊商の護衛を務める冒険者さんに同行して貰い、タートルさんの頭まで向かいました。
そこで光の精霊経由、雪の精霊からのフォートレスタートルさんというややこしい通訳を挟んで会話を試みたところ、『寒さで動きたくない、お腹が減った、眠いからここで冬眠する』という話を聞くことができました。
「……つまりは、このフォートレスタートルは寒さと空腹で動きたくないって事か。それを解決したら、動いてくれるんだよな?」
「はい、そこは条件さえクリアしたら移動してくれるそうですけれど。食べ物とか暖かくとか、それって可能ですか?」
同行して冒険者さんに説明しましたところ、これは一旦、超隊商の責任者さんに報告したほうがいいということになりました。
「光の精霊ルクスさん。私たちは一旦戻って対策を練るので、それまでは冬眠しないでくださいって説明してもらって良いですか?」
『わかった~』
ルクスさんが雪の精霊に話をして、そこからフォートレスタートルさんは伝言。どうやら口をモゾモゾと動かしていますから、何か返答は得られたと思います。
『もう少しは起きていられるけれど、あまり長いと寝ちゃうって』
「はい、ありがとうございます。それじゃあ、急ぎ戻りましょうか」
「ん~。寒さ対策とご飯……なかなかに難しいかも知れないし」
「そうですわね。この寒さで、動物やモンスターの類は南下してしまった可能性がありますから」
「う~ん。それをどうにかしないと、超隊商は動けませんからね。どうするかは、責任者さんの判断という事で」
という事で、再び街道まで戻り、先頭馬車の付近で待機している商人さんの元へ向かいます。そこに責任者のオットー・シャリバリアンさんもいらっしゃったので、全員に聞こえるように報告を行いました。
「……という事で、フォートレスタートルさんは空腹と寒さをどうにか出来たなら、移動してくれるそうですよ?」
「寒さと空腹……う~む」
「動けないのならいっそ、そのまま頭を飛ばして殺して仕舞えば良いのでは?」
「待て待て、殺したところで動かすには力が足りないぞ? そもぞフォートレスタートルの皮膚を貫ける魔剣を持っている冒険者はいるのか?」
「魔剣なんて、隊商護衛の冒険者がそうそう持っているはずがないだろう? 魔法はどうなんだ?」
「魔法は弾かれる。つまり、フォートレスタートルの対策としては、条件を飲むか飲まないかの二つに一つだ、さあ、どうしますみなさん?」
ここから先は、私よりも超隊商の皆さんの問題。
私自身は、最悪のパターンとしてエセリアルモードで遠回りすれば問題はありませんから。
ここで超隊商を断念して、折り返しガンバナニーワ王国へ戻るか、それともフォートレスタートルの願いを叶えるかで、相談は激化しています。
「そもそもだ、フォートレスタートルは生肉しか食べないのではないか? 我々が持っている肉は塩漬けか燻製、しかも自分たちの食料分しかないぞ」
「ここをベースキャンプとして、冒険者の方に狩猟依頼を出すとか?」
「寒さについては、魔導師の炎の魔術で周辺を温めるとか」
「その前にフォートレスタートルの周りの木を伐採しないと、森林火災にも繋がりかねん。それこそ冒険者の仕事ではないか?」
「フェイールさん、フォートレスタートルは生肉しか食べませんか?」
「え、ここで私に話を振りますか?」
いきなりオットーさんが私に聞いてきますけれど、話は魔物の知識についてはそれほど詳しくはないのですよ。
さて、どう返答したら良いのでしょうか。
「フォートレスタートルは生肉、それも新鮮なものしか食べません。参考までにですけれど、食べなくても一月ぐらいは生きていける魔物です。けれど、今回はその食べ物を要求しています。恐らくですが、ここ一月ほどは寒さで狩らができなかったのではないでしょうか?」
ノワールさんがオットーさんに説明します。
さすがはドラゴン、知識も豊富です。
「それと、この巨大なら最低でも100キログラムは生肉を用意しなくてはなりません。この寒さの中で、それだけの肉を用意するとなると時間もかかるかも知れませんし、その間に冬眠してしまう可能性もあります」
「うむむ……しかし、ここでガンバナニーワへ戻るとなると、来月に行われる大武術大会に間に合わないか……」
「誰でもいい、新鮮な肉を用意できないか!! ここにはアイテムボックス持ちの商人がいるのだろう?」
集まった商人さんの中でも、かなり良い衣服を着けている方が叫んでいます。
では、私はこの話し合いから少しだけ、離れることにします。
「ねぇクリスっち。型録通販のシャーリィって、生肉なんて売ってないし?」
「あはは~。加工されたハムとかベーコンというものはあるようですよ。ほら、ここに書いてあります」
離れた場所で、こっそりと柚月さんと【シャーリィの魔導書】を開いて確認します。
ほら、グルメのページには、ハム詰め合わせとか有名ファームの吊るしベーコンとかしかありませんよ。
吊るしベーコンってなんでしょう?
「あ~!!」
「うわ、どうしました」
いきなり柚月さんが叫んで、ある商品を指差します。
そこには『銀座松川・サーロインステーキ1キログラム』という表示がありますよ。でも、生肉ではないですよ?
「クリスっち、これは生のお肉だし。サーロインステーキ1キロだから、これを100キロ買うとどうにかできるし」
「えええ、そうなのですか!! では、今から発注して夕方には……ってふぁ?」
サーロインステーキ1キログラム、銀貨40枚、
これを100キログラムということはつまり、金貨40枚ですよ!!
嘘でしょ? 生のお肉に金貨40枚ですよ?
しかも私も柚月さんの声に、オットーさんも何があったのかとやってきましたよ?
「フェイールさん、いきなり叫んで何かありましたか?」
「い、いえ、あのですね、生肉100キログラムを調達できるかも知れませんが。その、予算がですね……」
「ほう、何の生肉かはわからないけれど、食用のリッツァなら一キログラムで銀貨2枚程度ではないか?」
「いえ、その……一キログラムで銀貨40枚なのですが。サーロインステーキという生肉でして、勇者様の世界のお肉ならご用意できるのですが」
オットーさんは私がフェイール商店の店主であることを知っています。
事情も知っているようですから、隠し立てすることなく説明しましたが、顔に手を当てて考え込んでしまいました。
「金貨40枚……たかがフォートレスタートルに食わせるために、そんな大金が必要なのか……」
「それと、すぐにはご用意できませんので。一日は時間が必要なので、その辺りも踏まえてご相談頂きたく思います。あと、私の馬車の能力は王城で見たと思いますのでご理解いただけると思いますが、私たちだけなら単独でここを越えることができますので」
最後の説明は保険です。
ここを変えるために必要な経費なら、フェイール商店も支払えと言われそうですから。
「いや、そうだな……少し考えさせてくれるか?」
「はい。それでは、私たちは馬車に戻っていますので」
ここから先は、皆さんの判断です。
いえ、流石に私が金貨40枚も皆さんのために奢るなんてあり得ませんからね? きっちりと精算してもらいますし、今のうちに他にお肉がないか調べたい気持ちもありますから。
そこで光の精霊経由、雪の精霊からのフォートレスタートルさんというややこしい通訳を挟んで会話を試みたところ、『寒さで動きたくない、お腹が減った、眠いからここで冬眠する』という話を聞くことができました。
「……つまりは、このフォートレスタートルは寒さと空腹で動きたくないって事か。それを解決したら、動いてくれるんだよな?」
「はい、そこは条件さえクリアしたら移動してくれるそうですけれど。食べ物とか暖かくとか、それって可能ですか?」
同行して冒険者さんに説明しましたところ、これは一旦、超隊商の責任者さんに報告したほうがいいということになりました。
「光の精霊ルクスさん。私たちは一旦戻って対策を練るので、それまでは冬眠しないでくださいって説明してもらって良いですか?」
『わかった~』
ルクスさんが雪の精霊に話をして、そこからフォートレスタートルさんは伝言。どうやら口をモゾモゾと動かしていますから、何か返答は得られたと思います。
『もう少しは起きていられるけれど、あまり長いと寝ちゃうって』
「はい、ありがとうございます。それじゃあ、急ぎ戻りましょうか」
「ん~。寒さ対策とご飯……なかなかに難しいかも知れないし」
「そうですわね。この寒さで、動物やモンスターの類は南下してしまった可能性がありますから」
「う~ん。それをどうにかしないと、超隊商は動けませんからね。どうするかは、責任者さんの判断という事で」
という事で、再び街道まで戻り、先頭馬車の付近で待機している商人さんの元へ向かいます。そこに責任者のオットー・シャリバリアンさんもいらっしゃったので、全員に聞こえるように報告を行いました。
「……という事で、フォートレスタートルさんは空腹と寒さをどうにか出来たなら、移動してくれるそうですよ?」
「寒さと空腹……う~む」
「動けないのならいっそ、そのまま頭を飛ばして殺して仕舞えば良いのでは?」
「待て待て、殺したところで動かすには力が足りないぞ? そもぞフォートレスタートルの皮膚を貫ける魔剣を持っている冒険者はいるのか?」
「魔剣なんて、隊商護衛の冒険者がそうそう持っているはずがないだろう? 魔法はどうなんだ?」
「魔法は弾かれる。つまり、フォートレスタートルの対策としては、条件を飲むか飲まないかの二つに一つだ、さあ、どうしますみなさん?」
ここから先は、私よりも超隊商の皆さんの問題。
私自身は、最悪のパターンとしてエセリアルモードで遠回りすれば問題はありませんから。
ここで超隊商を断念して、折り返しガンバナニーワ王国へ戻るか、それともフォートレスタートルの願いを叶えるかで、相談は激化しています。
「そもそもだ、フォートレスタートルは生肉しか食べないのではないか? 我々が持っている肉は塩漬けか燻製、しかも自分たちの食料分しかないぞ」
「ここをベースキャンプとして、冒険者の方に狩猟依頼を出すとか?」
「寒さについては、魔導師の炎の魔術で周辺を温めるとか」
「その前にフォートレスタートルの周りの木を伐採しないと、森林火災にも繋がりかねん。それこそ冒険者の仕事ではないか?」
「フェイールさん、フォートレスタートルは生肉しか食べませんか?」
「え、ここで私に話を振りますか?」
いきなりオットーさんが私に聞いてきますけれど、話は魔物の知識についてはそれほど詳しくはないのですよ。
さて、どう返答したら良いのでしょうか。
「フォートレスタートルは生肉、それも新鮮なものしか食べません。参考までにですけれど、食べなくても一月ぐらいは生きていける魔物です。けれど、今回はその食べ物を要求しています。恐らくですが、ここ一月ほどは寒さで狩らができなかったのではないでしょうか?」
ノワールさんがオットーさんに説明します。
さすがはドラゴン、知識も豊富です。
「それと、この巨大なら最低でも100キログラムは生肉を用意しなくてはなりません。この寒さの中で、それだけの肉を用意するとなると時間もかかるかも知れませんし、その間に冬眠してしまう可能性もあります」
「うむむ……しかし、ここでガンバナニーワへ戻るとなると、来月に行われる大武術大会に間に合わないか……」
「誰でもいい、新鮮な肉を用意できないか!! ここにはアイテムボックス持ちの商人がいるのだろう?」
集まった商人さんの中でも、かなり良い衣服を着けている方が叫んでいます。
では、私はこの話し合いから少しだけ、離れることにします。
「ねぇクリスっち。型録通販のシャーリィって、生肉なんて売ってないし?」
「あはは~。加工されたハムとかベーコンというものはあるようですよ。ほら、ここに書いてあります」
離れた場所で、こっそりと柚月さんと【シャーリィの魔導書】を開いて確認します。
ほら、グルメのページには、ハム詰め合わせとか有名ファームの吊るしベーコンとかしかありませんよ。
吊るしベーコンってなんでしょう?
「あ~!!」
「うわ、どうしました」
いきなり柚月さんが叫んで、ある商品を指差します。
そこには『銀座松川・サーロインステーキ1キログラム』という表示がありますよ。でも、生肉ではないですよ?
「クリスっち、これは生のお肉だし。サーロインステーキ1キロだから、これを100キロ買うとどうにかできるし」
「えええ、そうなのですか!! では、今から発注して夕方には……ってふぁ?」
サーロインステーキ1キログラム、銀貨40枚、
これを100キログラムということはつまり、金貨40枚ですよ!!
嘘でしょ? 生のお肉に金貨40枚ですよ?
しかも私も柚月さんの声に、オットーさんも何があったのかとやってきましたよ?
「フェイールさん、いきなり叫んで何かありましたか?」
「い、いえ、あのですね、生肉100キログラムを調達できるかも知れませんが。その、予算がですね……」
「ほう、何の生肉かはわからないけれど、食用のリッツァなら一キログラムで銀貨2枚程度ではないか?」
「いえ、その……一キログラムで銀貨40枚なのですが。サーロインステーキという生肉でして、勇者様の世界のお肉ならご用意できるのですが」
オットーさんは私がフェイール商店の店主であることを知っています。
事情も知っているようですから、隠し立てすることなく説明しましたが、顔に手を当てて考え込んでしまいました。
「金貨40枚……たかがフォートレスタートルに食わせるために、そんな大金が必要なのか……」
「それと、すぐにはご用意できませんので。一日は時間が必要なので、その辺りも踏まえてご相談頂きたく思います。あと、私の馬車の能力は王城で見たと思いますのでご理解いただけると思いますが、私たちだけなら単独でここを越えることができますので」
最後の説明は保険です。
ここを変えるために必要な経費なら、フェイール商店も支払えと言われそうですから。
「いや、そうだな……少し考えさせてくれるか?」
「はい。それでは、私たちは馬車に戻っていますので」
ここから先は、皆さんの判断です。
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