113 / 282
第4章・北方諸国漫遊と、契約の精霊と
第191話・大バザールが始まりました。
しおりを挟む
さて。
気を取り直して、フェイール商店の準備をしなくてはなりません。
急ぎ商品の陳列を行おうとしましたのですが、既に終わっているのですけれど。
しかも、おすすめ品コーナーとか、温かい飲み物の試飲コーナーなども準備されていて、今は柚月さんとノワールさんが商品の値付けの準備をしていますよ。
はぁ。
店長として不甲斐なし、穴があったら入りたい。
「あ、クリスっちが戻ってきたし。妄想タイムは終わったし?」
「も、も、妄想ってなんですか!! 私はペルソナさんから頂いたプレゼントについて、どうお答えするべきか考えていただけで、妄想なんてしていませんよ!」
「本当?顔がまだ赤いし。それに、さっきからペルソナさんから貰ったプレゼントを、大切そうに抱きしめているし。それ,食べ物なら溶けているかも知れないよ?」
「はぅあ!! そ、それはいけません!」
慌ててアイテムボックスを開いて、急ぎ【大切なもの】フォルダーを作ります。
そこにペルソナさんから受け取ったプレゼントを仕舞っておきます。
何が送られてきたのか気にはなりますけれど、今はお店の準備をしなくてはなりませんからね。
「クリスティナさま。こちらの試飲コーナーですけれど、どちらを使用しますか? いつものように異世界の紅茶とやらで宜しいので?」
「ちょっと待ってくださいね。身体の芯から暖まる飲み物を注文していたのですよ」
こんなこともあろうかと。
勇者語録にあるサナダさんの名言です。
異世界では『備えあれば憂いなし』という諺がありまして、それを簡単に説明するための言葉が、先程の『こんなこともあろうかと』だそうです。
はい、ノワールさんも柚月さんも笑っていませんから、これは本当ですね。
「ええっと……そうそう、これですよ、これ!!」
──シュンッ
アイテムボックスから取り出したのは、『里中養蜂場ハチミツ漬けレモン』と『トワイライト・ティーセット』、そして『AGDのスティックカフェ・オ・レ』です。
「ん? これはいつもの物と違うのですね?」
「はい。まずは木のマグカップにハチミツ漬けをスプーンでひと匙いれまして。そこにティーセットのスティックティーの中身を一本入れてから、熱々のお湯を注いでクルクルと」
説明しつつ実演しますと、紅茶とレモンの香りが店内に広がっていきます。
その匂いに釣られてなのか、店の前には人が集まり始めていますよ。
そして販売前に鑑定眼で確認したところ、【型録通販のシャーリィ】から購入した商品ですから、やっぱり魔法的効果も付与されていました。
「ふむ、こちらの効果は『保温』と『安眠』、それと『身体活性化・小』ですね。それに少しだけ『鎮静化』も付与されていますから、飲むだけで心も身体も落ち着き、暖かい気持ちになるようですよ」
とりあえず私と柚月さん、ノワールさんの分を作って手渡します。
クリムゾンさんの分も作ろうと思ったのですけれど、店内には見当たりません。
今の説明も木札に書き込んで商品と一緒に置いておけば、買いやすくなりますよね。
「そういえば、クリムゾンさんはどちらへ?」
「大武道会の本戦のために、鈍った体を鍛え直すとかで冒険者ギルドに向かいましたわ。本当に、護衛の立場もすっかり忘れて……あとでしっかりと〆ておきますので」
「あはは~。ま、まあ、クリムゾンさんの目的は優勝ですから、少しだけ大目に見てあげてください。大切なものを取り返すためですから、寧ろ応援してあげないと」
「にしし。クリスっちの言う通りだし。それよりも、こっちのスティックカフェ・オ・レも一緒に販売するし?」
そう聞きながら、柚月さんがお代わりとしてスティックカフェ・オ・レを作っています。
「ええ、そうですけど? なにか特殊な効果とかありましたか?」
「んー。カフェオレって、そもそもコーヒーが原料でね。あーしたちの世界では眠気や疲労感を取り除いたり、あとは集中力を高めたり……それと運動機能を高めるっていう効果があるんだけれど……それがもろにでているし。多分、他のメーカーよりも成分が強いんじゃないかとおもうし」
「ふむふむ、つまりは?」
「戦闘時にバフがかかるし。具体的には、身体能力が2割ほど高くなるってかんじだし」
「ええっと……まあ、冒険者さんが飲むぶんには気にしないでよいかとおもいますし……効果時間はどれぐらいかな……と、へ?」
『身体機能の活性化および能力向上20%アップ、疲労軽減、魔術の発動率上昇、睡眠障害。効果時間は6時間』
あ~、これはいけませんね。
販売するときは注意しないとならない代物ですよ。ということで、初日のラインナップからは外しましょう。
「はい、商品棚から全て撤去です、代わりにエンゼルココアを販売しましょう。ミルクを買ってきて温めて、それでココアを溶かすとよいそうですから」
はい、カフェオレからミルクココアに変更です。
ですが、今の私たちの話を聞いていたらしいお客さんが、どこかに走っていきましたよ。
ええ、これは嫌な予感しかしませんね。
「ココアなら、血行が良くなって体温の保温効果とかも高まるし、ちょうどいいかもしれないし」
「はい、決定です。では、試飲およびホットドリンクは蜂蜜レモンいり紅茶とココアで!! あとは普段通りの食品とか衣料品、装飾品の販売で!!」
「かしこまりました」
「了解だし」
これでどうにか商品も決定しまして。
ようやく開店準備も完了し、ロシマカープ王国王都でフェイール商店の営業開始です。
あとはクリムゾンさんが無事に優勝できたら万々歳ですね。
………
……
…
──王都・冒険者ギルド
「おいおい、あの話を聞いたか?」
「ああ、なんでも大バザールにできた新しい店で、ブーストポーションが販売されているらしいぞ」
「ブーストポーションだって? あれを作るための素材は、もうこの北方じゃ手に入らないんじゃないのか? ヴェルディーナ王国でしか栽培されていない特殊な植物を使うんだろ?」
「ああ。うちのメンツがな、その店の前で聞いてきたから間違いはない。そのポーションを買い占めて横流ししたら、一攫千金間違いないんじゃないか? その店だってそんなに多く売っているとは思えないからな」
「そうそう。それによ、大武術会に参加する、ほら、隣国の王子だったか? あいつが優勝するために良質な武具を求めているっていうじゃないか。そいつに売り飛ばせば、もっと稼げるとは思わないか?」
そんな噂が、冒険者ギルドのあちこちで広がっている。
そしていち早く手に入れようと考えた冒険者がフェイール商店を訪れても、販売されているのは保温効果ある飲み物とかばかりで、ブーストポーションというものは販売していなかった。
そしてこの噂が、王都に根付いている闇ギルドに届くまではそれほど時間は必要なかったという。
気を取り直して、フェイール商店の準備をしなくてはなりません。
急ぎ商品の陳列を行おうとしましたのですが、既に終わっているのですけれど。
しかも、おすすめ品コーナーとか、温かい飲み物の試飲コーナーなども準備されていて、今は柚月さんとノワールさんが商品の値付けの準備をしていますよ。
はぁ。
店長として不甲斐なし、穴があったら入りたい。
「あ、クリスっちが戻ってきたし。妄想タイムは終わったし?」
「も、も、妄想ってなんですか!! 私はペルソナさんから頂いたプレゼントについて、どうお答えするべきか考えていただけで、妄想なんてしていませんよ!」
「本当?顔がまだ赤いし。それに、さっきからペルソナさんから貰ったプレゼントを、大切そうに抱きしめているし。それ,食べ物なら溶けているかも知れないよ?」
「はぅあ!! そ、それはいけません!」
慌ててアイテムボックスを開いて、急ぎ【大切なもの】フォルダーを作ります。
そこにペルソナさんから受け取ったプレゼントを仕舞っておきます。
何が送られてきたのか気にはなりますけれど、今はお店の準備をしなくてはなりませんからね。
「クリスティナさま。こちらの試飲コーナーですけれど、どちらを使用しますか? いつものように異世界の紅茶とやらで宜しいので?」
「ちょっと待ってくださいね。身体の芯から暖まる飲み物を注文していたのですよ」
こんなこともあろうかと。
勇者語録にあるサナダさんの名言です。
異世界では『備えあれば憂いなし』という諺がありまして、それを簡単に説明するための言葉が、先程の『こんなこともあろうかと』だそうです。
はい、ノワールさんも柚月さんも笑っていませんから、これは本当ですね。
「ええっと……そうそう、これですよ、これ!!」
──シュンッ
アイテムボックスから取り出したのは、『里中養蜂場ハチミツ漬けレモン』と『トワイライト・ティーセット』、そして『AGDのスティックカフェ・オ・レ』です。
「ん? これはいつもの物と違うのですね?」
「はい。まずは木のマグカップにハチミツ漬けをスプーンでひと匙いれまして。そこにティーセットのスティックティーの中身を一本入れてから、熱々のお湯を注いでクルクルと」
説明しつつ実演しますと、紅茶とレモンの香りが店内に広がっていきます。
その匂いに釣られてなのか、店の前には人が集まり始めていますよ。
そして販売前に鑑定眼で確認したところ、【型録通販のシャーリィ】から購入した商品ですから、やっぱり魔法的効果も付与されていました。
「ふむ、こちらの効果は『保温』と『安眠』、それと『身体活性化・小』ですね。それに少しだけ『鎮静化』も付与されていますから、飲むだけで心も身体も落ち着き、暖かい気持ちになるようですよ」
とりあえず私と柚月さん、ノワールさんの分を作って手渡します。
クリムゾンさんの分も作ろうと思ったのですけれど、店内には見当たりません。
今の説明も木札に書き込んで商品と一緒に置いておけば、買いやすくなりますよね。
「そういえば、クリムゾンさんはどちらへ?」
「大武道会の本戦のために、鈍った体を鍛え直すとかで冒険者ギルドに向かいましたわ。本当に、護衛の立場もすっかり忘れて……あとでしっかりと〆ておきますので」
「あはは~。ま、まあ、クリムゾンさんの目的は優勝ですから、少しだけ大目に見てあげてください。大切なものを取り返すためですから、寧ろ応援してあげないと」
「にしし。クリスっちの言う通りだし。それよりも、こっちのスティックカフェ・オ・レも一緒に販売するし?」
そう聞きながら、柚月さんがお代わりとしてスティックカフェ・オ・レを作っています。
「ええ、そうですけど? なにか特殊な効果とかありましたか?」
「んー。カフェオレって、そもそもコーヒーが原料でね。あーしたちの世界では眠気や疲労感を取り除いたり、あとは集中力を高めたり……それと運動機能を高めるっていう効果があるんだけれど……それがもろにでているし。多分、他のメーカーよりも成分が強いんじゃないかとおもうし」
「ふむふむ、つまりは?」
「戦闘時にバフがかかるし。具体的には、身体能力が2割ほど高くなるってかんじだし」
「ええっと……まあ、冒険者さんが飲むぶんには気にしないでよいかとおもいますし……効果時間はどれぐらいかな……と、へ?」
『身体機能の活性化および能力向上20%アップ、疲労軽減、魔術の発動率上昇、睡眠障害。効果時間は6時間』
あ~、これはいけませんね。
販売するときは注意しないとならない代物ですよ。ということで、初日のラインナップからは外しましょう。
「はい、商品棚から全て撤去です、代わりにエンゼルココアを販売しましょう。ミルクを買ってきて温めて、それでココアを溶かすとよいそうですから」
はい、カフェオレからミルクココアに変更です。
ですが、今の私たちの話を聞いていたらしいお客さんが、どこかに走っていきましたよ。
ええ、これは嫌な予感しかしませんね。
「ココアなら、血行が良くなって体温の保温効果とかも高まるし、ちょうどいいかもしれないし」
「はい、決定です。では、試飲およびホットドリンクは蜂蜜レモンいり紅茶とココアで!! あとは普段通りの食品とか衣料品、装飾品の販売で!!」
「かしこまりました」
「了解だし」
これでどうにか商品も決定しまして。
ようやく開店準備も完了し、ロシマカープ王国王都でフェイール商店の営業開始です。
あとはクリムゾンさんが無事に優勝できたら万々歳ですね。
………
……
…
──王都・冒険者ギルド
「おいおい、あの話を聞いたか?」
「ああ、なんでも大バザールにできた新しい店で、ブーストポーションが販売されているらしいぞ」
「ブーストポーションだって? あれを作るための素材は、もうこの北方じゃ手に入らないんじゃないのか? ヴェルディーナ王国でしか栽培されていない特殊な植物を使うんだろ?」
「ああ。うちのメンツがな、その店の前で聞いてきたから間違いはない。そのポーションを買い占めて横流ししたら、一攫千金間違いないんじゃないか? その店だってそんなに多く売っているとは思えないからな」
「そうそう。それによ、大武術会に参加する、ほら、隣国の王子だったか? あいつが優勝するために良質な武具を求めているっていうじゃないか。そいつに売り飛ばせば、もっと稼げるとは思わないか?」
そんな噂が、冒険者ギルドのあちこちで広がっている。
そしていち早く手に入れようと考えた冒険者がフェイール商店を訪れても、販売されているのは保温効果ある飲み物とかばかりで、ブーストポーションというものは販売していなかった。
そしてこの噂が、王都に根付いている闇ギルドに届くまではそれほど時間は必要なかったという。
217
あなたにおすすめの小説
【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く
ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。
5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。
夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…
夫から『お前を愛することはない』と言われたので、お返しついでに彼のお友達をお招きした結果。
古森真朝
ファンタジー
「クラリッサ・ベル・グレイヴィア伯爵令嬢、あらかじめ言っておく。
俺がお前を愛することは、この先決してない。期待など一切するな!」
新婚初日、花嫁に真っ向から言い放った新郎アドルフ。それに対して、クラリッサが返したのは――
※ぬるいですがホラー要素があります。苦手な方はご注意ください。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
仕事繁忙期の為、2月中旬まで更新を週一に致します。
カクヨム(吉野 ひな)様にも投稿しています。
冷遇王妃はときめかない
あんど もあ
ファンタジー
幼いころから婚約していた彼と結婚して王妃になった私。
だが、陛下は側妃だけを溺愛し、私は白い結婚のまま離宮へ追いやられる…って何てラッキー! 国の事は陛下と側妃様に任せて、私はこのまま離宮で何の責任も無い楽な生活を!…と思っていたのに…。
結婚式後に「爵位を継いだら直ぐに離婚する。お前とは寝室は共にしない!」と宣言されました
山葵
恋愛
結婚式が終わり、披露宴が始まる前に夫になったブランドから「これで父上の命令は守った。だが、これからは俺の好きにさせて貰う。お前とは寝室を共にする事はない。俺には愛する女がいるんだ。父上から早く爵位を譲って貰い、お前とは離婚する。お前もそのつもりでいてくれ」
確かに私達の結婚は政略結婚。
2人の間に恋愛感情は無いけれど、ブランド様に嫁ぐいじょう夫婦として寄り添い共に頑張って行ければと思っていたが…その必要も無い様だ。
ならば私も好きにさせて貰おう!!
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
レベル1のフリはやめた。貸した力を全回収
ソラ
ファンタジー
勇者パーティの荷物持ち、ソラ。
彼はレベル1の無能として蔑まれ、魔王討伐を目前に「お前のようなゴミはいらない」と追放を言い渡される。
だが、傲慢な勇者たちは知らなかった。
自分たちが人間最高峰の力を維持できていたのは、すべてソラの規格外のステータスを『借りていた』からだということを。
「……わかった。貸していた力、すべて返してもらうよ」
契約解除。返還されたレベルは9999。
一瞬にして力を失い、ただの凡人へと転落しパニックに陥る勇者たち。
対するソラは、星を砕くほどの万能感を取り戻しながらも、淡々と宿を去る。
静かな隠居を望むソラだったが、路地裏で「才能なし」と虐げられていた少女ミィナを助けたことで、運命が変わり始める。
「借金の利息として、君を最強にしてあげよう」
これは、世界そのものにステータスを貸し付けていた最強の『貸与者』が、不条理な世界を再定義していく物語。
(本作品はAIを活用して構成・執筆しています)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。