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転生の章 決戦篇
第39話 総攻撃
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コボルド族の若者はボクを尊敬、崇拝し、見習って一族の女性を快楽の道具にするかもしれない。
他の鬼族は今はボクを恐れているが、そのうちに反乱を起こすかもしれない。
一族がボクを見限って謀反してしまうかもしれない。
親友であるクロの気持ちが離反している。
そんな気持ちがグルグルと交錯してボクの精神状態は完全に不安定となった。
なんとか挽回出来ないものか?
チビの言うことももっともだ。そればかりを考えていたが、今更側室やコノハをどうすることもできないし、敗戦した結果をどうすることもできない。
今のボクには武での統率。
目の前の城を取ることで尊敬の回復を望むことしかない。
まずはそれに集中しよう。そこに集中するんだ。
数日後、ゴブリンの副団長より知らせが来た。
穴攻の算段が整ったのだ。
つまりいよいよ決戦の日だ!
我々が正面から総攻撃をかける。
それは、人間たちを城壁、城門に集中させるためだ。
城の中央は手薄になるだろう。
ゴブリン部隊200名、コボルド部隊50名は穴から進んで時間を見計らい、夕方あたりに城内の中央から顔を出し、攪乱の上に城門に近づき跳ね橋を落とすと言う作戦だ。
人間たちは突然の来訪者に驚いて大パニックに陥るだろう。
穴攻をする250人の決死隊を広場に集めた。
強い風が我々のマントや旗をバタバタとはためかせた。
並みいる副団長、大部隊長が彼らに敬礼をした。
ボクは、250人の決死隊にそれぞれ酒を注いで握手をした。
義父シルバーもボクの後に続いて一人一人に「すまん。生きて帰ってくれ」と声をかけた。
時刻は昼。彼らが食事をすませて穴の中に入って行った。我々は攻城兵器10基を出して、城より1.5キロメートルの平原に整列した。
義父シルバーがボクの方に顔を向けた。
「では、団長閣下。号令を!」
ボクも義父の方を向いてコクンとうなづいた。
「全軍! 突撃ィィーーーーッ!!」
総攻撃だ。
突然の総攻撃に人間は驚いたのであろう。
たくさんの兵士が壁に登っているのが見えた。
我々の動向を見ているのであろう。
砂煙を上げて城には15分ほどで到着、それぞれが攻城兵器で攻撃を仕掛けた。
壁が揺れ、足場が悪い中、人間勢は矢を射かけてきたが、それを盾で防御した。
こちらも矢や投石で攻撃した。
しばらくしてだった。我々にとんでもない幸運が訪れた。
攻城兵器に耐えられなくなった跳ね橋が、ザブンと音を立てて堀に落ちたのだ。ボクは思わず叫んだ。
「落城だぁぁーーー!!」
我々の士気は大きく高まった。
攻城兵器を扱っていたオーク兵は、跳ね橋の前にある攻城兵器が城内に入ることを妨げると思い、それを前に押して堀の中に入れてしまった。
しかし、木で作ったものだから浮く。
却って侵入の邪魔になった。
ホブゴブリン10名が手に持っている丸太を橋としてかけて中に侵入しようとするが、丸太の橋だ。足元がおぼつかないところを、人間に槍で刺されてしまう。
弓矢で撃たれて堀に落ちてしまう。
ボクはじれったくなって立ち上がった。
しかし、義父シルバーに腰のベルトをつかまれ座るように指示された。
そうこうしていると、門にホブゴブリンの死体が積み重なってしまった。
巨体のホブゴブリンは我々の進退の邪魔となった。
攻めあぐねていると、人間たちは器用にホブゴブリンの遺体の上に土嚢を投げ込み、隙間をきれいさっぱり埋めてしまった。
幸運が潰えた。ボクは体を震わせて悔しがったが、義父シルバーは冷静だった。
「仕方ありません。他の門へ移動しましょう」
「う、うん……。しかし、惜しかった」
「しかし作戦の要は穴攻です。まだまだ余裕があります。団長の悔しがる姿は人間の目には穴攻があるとは思わせないでしょう。いい興奮ぶりでした」
「そ、そうかな? うん、そうだよね。うん。そうだ」
ここで、人間の方も最終兵器を出してきた。
城の中から、四角い石がボン! ボン! と飛んでくるのだ。
おそらく城の城壁の内側をくずし、投石機と言うものを使っているのであろうと義父は言った。
あれが直撃したら、小さいゴブリンやコボルドは一撃で死んでしまうだろう。
しかし、義父は城壁の下には落とせないらしいのでそのまま攻めましょう。と提案した。
まさにその通りだったが、逆に遠巻きにいる部隊長一名に直撃して討ち死にしてしまった。
「軌道を読めばどうということはない。皆、城壁周辺に寄れ! 人間のちょこざい矢なぞ盾で充分に避けれる!」
と義父が号令すると、みんな城壁に集中して、城を囲む形となった。
そうなると人間に打つ手はない。
野戦に持ち込もうと例の重騎兵が出てきた。
今回はこちらも総攻撃と言うこともあり二千騎ほどだ。
ホブゴブリンに相手をさせようとしたが、馬を駆って距離をつけられてしまう。
そうこうしているうちに我々の軍は分散してしまった。
そこを目ざとい人間は狙ってゴブリンやコボルドを襲い始めた。
「団長閣下。これは旗色が悪うございます」
「ええ。我々も打って出ましょう!」
ボクと義父は馬に跨がって彼らを追うことにした。
他の鬼族は今はボクを恐れているが、そのうちに反乱を起こすかもしれない。
一族がボクを見限って謀反してしまうかもしれない。
親友であるクロの気持ちが離反している。
そんな気持ちがグルグルと交錯してボクの精神状態は完全に不安定となった。
なんとか挽回出来ないものか?
チビの言うことももっともだ。そればかりを考えていたが、今更側室やコノハをどうすることもできないし、敗戦した結果をどうすることもできない。
今のボクには武での統率。
目の前の城を取ることで尊敬の回復を望むことしかない。
まずはそれに集中しよう。そこに集中するんだ。
数日後、ゴブリンの副団長より知らせが来た。
穴攻の算段が整ったのだ。
つまりいよいよ決戦の日だ!
我々が正面から総攻撃をかける。
それは、人間たちを城壁、城門に集中させるためだ。
城の中央は手薄になるだろう。
ゴブリン部隊200名、コボルド部隊50名は穴から進んで時間を見計らい、夕方あたりに城内の中央から顔を出し、攪乱の上に城門に近づき跳ね橋を落とすと言う作戦だ。
人間たちは突然の来訪者に驚いて大パニックに陥るだろう。
穴攻をする250人の決死隊を広場に集めた。
強い風が我々のマントや旗をバタバタとはためかせた。
並みいる副団長、大部隊長が彼らに敬礼をした。
ボクは、250人の決死隊にそれぞれ酒を注いで握手をした。
義父シルバーもボクの後に続いて一人一人に「すまん。生きて帰ってくれ」と声をかけた。
時刻は昼。彼らが食事をすませて穴の中に入って行った。我々は攻城兵器10基を出して、城より1.5キロメートルの平原に整列した。
義父シルバーがボクの方に顔を向けた。
「では、団長閣下。号令を!」
ボクも義父の方を向いてコクンとうなづいた。
「全軍! 突撃ィィーーーーッ!!」
総攻撃だ。
突然の総攻撃に人間は驚いたのであろう。
たくさんの兵士が壁に登っているのが見えた。
我々の動向を見ているのであろう。
砂煙を上げて城には15分ほどで到着、それぞれが攻城兵器で攻撃を仕掛けた。
壁が揺れ、足場が悪い中、人間勢は矢を射かけてきたが、それを盾で防御した。
こちらも矢や投石で攻撃した。
しばらくしてだった。我々にとんでもない幸運が訪れた。
攻城兵器に耐えられなくなった跳ね橋が、ザブンと音を立てて堀に落ちたのだ。ボクは思わず叫んだ。
「落城だぁぁーーー!!」
我々の士気は大きく高まった。
攻城兵器を扱っていたオーク兵は、跳ね橋の前にある攻城兵器が城内に入ることを妨げると思い、それを前に押して堀の中に入れてしまった。
しかし、木で作ったものだから浮く。
却って侵入の邪魔になった。
ホブゴブリン10名が手に持っている丸太を橋としてかけて中に侵入しようとするが、丸太の橋だ。足元がおぼつかないところを、人間に槍で刺されてしまう。
弓矢で撃たれて堀に落ちてしまう。
ボクはじれったくなって立ち上がった。
しかし、義父シルバーに腰のベルトをつかまれ座るように指示された。
そうこうしていると、門にホブゴブリンの死体が積み重なってしまった。
巨体のホブゴブリンは我々の進退の邪魔となった。
攻めあぐねていると、人間たちは器用にホブゴブリンの遺体の上に土嚢を投げ込み、隙間をきれいさっぱり埋めてしまった。
幸運が潰えた。ボクは体を震わせて悔しがったが、義父シルバーは冷静だった。
「仕方ありません。他の門へ移動しましょう」
「う、うん……。しかし、惜しかった」
「しかし作戦の要は穴攻です。まだまだ余裕があります。団長の悔しがる姿は人間の目には穴攻があるとは思わせないでしょう。いい興奮ぶりでした」
「そ、そうかな? うん、そうだよね。うん。そうだ」
ここで、人間の方も最終兵器を出してきた。
城の中から、四角い石がボン! ボン! と飛んでくるのだ。
おそらく城の城壁の内側をくずし、投石機と言うものを使っているのであろうと義父は言った。
あれが直撃したら、小さいゴブリンやコボルドは一撃で死んでしまうだろう。
しかし、義父は城壁の下には落とせないらしいのでそのまま攻めましょう。と提案した。
まさにその通りだったが、逆に遠巻きにいる部隊長一名に直撃して討ち死にしてしまった。
「軌道を読めばどうということはない。皆、城壁周辺に寄れ! 人間のちょこざい矢なぞ盾で充分に避けれる!」
と義父が号令すると、みんな城壁に集中して、城を囲む形となった。
そうなると人間に打つ手はない。
野戦に持ち込もうと例の重騎兵が出てきた。
今回はこちらも総攻撃と言うこともあり二千騎ほどだ。
ホブゴブリンに相手をさせようとしたが、馬を駆って距離をつけられてしまう。
そうこうしているうちに我々の軍は分散してしまった。
そこを目ざとい人間は狙ってゴブリンやコボルドを襲い始めた。
「団長閣下。これは旗色が悪うございます」
「ええ。我々も打って出ましょう!」
ボクと義父は馬に跨がって彼らを追うことにした。
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