しあわせのあしどり

伊澄(ism)

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「で、今日は、先生に渡したいものがあります。」

「え、おれからなにか欲しいんじゃないのか?」

「うーん、強いて言うなら言うこと聞いて"欲しい"。」

む、難しいことを言い始めたぞ。
高橋理人は背負ってきたショルダーバッグからなんとも高級そうな包みを取りだした。

「プレゼントを受け取って欲しいなって。」

その包みを腰かけるベッドの2人の合間に置いた。え、どうしたらいいの。
しばしの沈黙。

「……受け取ってくれない?」

高橋理人が心配そうに顔をのぞきこんできた。
ちがう、ちがくって、プレゼントなんて貰ったことないからどうしたらいいか分からない。

「う、受け取りたいけど、触っていいの?」

「もう、俺の手を離れた時点で先生の物なんだから触っていいんだよ。」

「あり、がとう……。」

受け取ってから一向に動かないおれを見兼ねて高橋理人が開けてみてくれる?とそっと声をかける。

「開けていいの……?」

混乱してきた。
いや、もうずっと混乱してるんだけれど。

「どうぞ、開けて?」

そっとテープを剥がし、包みを開く。箱が入ってる……。この箱も開けるのかな?開けていいのかな?
目で高橋理人の顔色を伺う。優しい顔で見てる。失敗してないみたいだ。
箱を開けると何か革のような手触りのケースがでてきた。蝶番が付いていてパカッとホタテみたいに開くように出来ているみたい。
えいっと、開けてみる。
中には革製のブレスレットが入っていた。

「ほんとうはカラーにしようかと思ってたんだけど……、授業中もつけてもらいたくて、バングルにした。デザインも気に入っちゃったし!」

「……。」

「お、俺のと同じやつだよ!お揃い!あ、あと、これ、裏に名前入ってるんだ!」

裏返してみせる。

【Kouta,S】

「こ……うた。」

「俺のはほら!【Rihito,T】ね。」

じっと箱の中のバングルを見つめるおれに戸惑う高橋理人。

「気に入らなかった……?」

「……!」

ブンブンと首を横に振る。

「気に、気に入った!すごく!」

「はぁぁあ、よかったぁあ!」

じゃぁ、付けてあげる。手首出して。
そう言われたので迷った末左手首を差し出した。これをつけている間は自分で自分を傷つけたりしないで済みそうだから。

「サポーターの上からでいいの?」

「良い。」

わかった。と言って高橋理人はそっと手首にバングルをはめてくれた。すこし緩いけれどすっぽ抜けたりはしなさそう。

左手に付けたバングルは、高橋理人の右手首につけたそれと同じで、並べるとなんだか繋がってるみたいな錯覚を覚えた。
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