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本編
11 アーシュラ ④
しおりを挟む結果から言えば誰もアーシュラを窘める事は出来なかったわ。
先ずアーシュラと同じ年齢の東のキングスリー山脈地帯を守護し、尚且つ隣の龍人達の住まう蒼龍王国との国境を護る大魔女ロレッタ様。
漆黒の髪に紫紺の瞳を持つ物静かで年齢よりも少し大人っぽい雰囲気を持つ少女。
幼いながらも大魔女としてキングスリーの山脈を護っていた。
当然公爵家の令嬢としての教育もだが、元来大人しい性格故に愛する山脈の中で静かに暮らす事を好んでいた。
そんなロレッタ様が傲慢不遜で明らかにロレッタ様を下だと見なしているアーシュラに太刀打ち出来る筈がない。
しかし大人しくとも大魔女である。
ロレッタ様なりに頑張ってアーシュラへ忠告したけれども無視をされてしまった。
次に5歳年上のプリシラ様よ。
西の海と大地を護る大魔女。
金色の髪に紺碧の瞳を持つややふっくらとした体形もだけれど、彼女こそ慈愛の名に相応しい女性よ。
優しく微笑まれるだけで心がぽかぽかと温まるの。
私自身何度となくプリシラ様の笑顔に救われた事だろう。
諍いを厭われる方だけれど、この時だけはアーシュラを窘めていたわ。
それなのにアーシュラは彼女の体型を見て思い切り馬鹿にしていたわ。
本当に同じ血を引いているとは思いたくない!!
最後に南のソウルの大森林と隣接する獣人国リナレスより守護をするのは長老格とされる大魔女クラリッサ様。
滝のように流れる銀色の髪と菫色の瞳を持つ御方。
外見は二十代の美しいまま。
実年齢はこの時で確か74歳だった筈。
今でもお元気過ぎて、お年寄りな言葉遣いと外見のギャップが……ね。
でも慣れれば問題なし。
そんなクラリッサ様は最初は優しく、でもアーシュラが全く改善しないとわかれば仕方なく行動で示されたの。
勿論魔法で……ね。
年齢を重ねられている分クラリッサ様の魔法は強大。
とは言えクラリッサ様の方は子供を諭す為に魔法を行使しただけ。
一方攻撃されたアーシュラは持って生まれた性格もだけれど、子供故に力を抑える事なんて考えてはいなかった。
また成長期だった事もありいえ、アーシュラの魔力は圧倒的にクラリッサ様を上回っていたのよ。
それでも何とか対抗されていたわ。
ただクラリッサ様とアーシュラは根本的に違った。
クラリッサ様の殺させないと命を奪う事すら厭わないアーシュラ。
大怪我を負われたクラリッサ様へアーシュラが追撃の魔法を唱えた瞬間、プリシラ様とロレッタ様が防御結界で何とかクラリッサ様は一命をとりとめる事が出来たわ。
その後何とか場を納められたけれども、これが切っ掛けで王家と公爵家、大魔女によるヒエラルキーのトップにアーシュラが立ってしまった。
だけどそれでも第二王子は頑なにアーシュラを拒み続けたわ。
譬え一人きりになってもアーシュラを受け入れない、妃にはしないと殿下は静かに戦っておられたわ。
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