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第一部 第五章 拗らせとすれ違いの先は……
18 愛する貴方の為に出来る事 リーヴァイSide
しおりを挟む当時10歳の俺は様々な、それこそ多岐に渡るだろう数多のあらゆる学問を学んだのだ。
魔導力から始まれば魔法や未だ解明されてはいない属性毎にある膨大な魔法陣についてもだった。
何が貴女の過去何度も繰り返された悍ましい運命へ繋がるのかがわからないからね。
それに知識を得る事はとても興味深くまた面白い。
俺は寝食を忘れる程に勉学と魔導や剣の鍛錬へのめり込んでいく。
またその時間の合間を掻い潜れば貴女の参加するお茶会へ未成人の俺でも参加出来るものは全て参加し、貴女とのスキンシップは絶対に外さなかった。
貴女は俺より何とかそう少しでも距離を取ろうと足掻いている様だったけれどもだ。
生憎狙い定めたる愛らしい獲物が目の前で逃げようなんてすれば、余計にその後を追い掛けてしまいたくなるのは自然の摂理と言うものだよ。
全く俺の愛しい貴女は男心を理解出来ない程に純真無垢なのだからね。
まあそこがとても愛しくもあり少々歯痒くでも俺が迎えに行くまではどうかその無垢のままでいて欲しい。
俺は昔とは違い何処までも自分勝手で貪欲な男だからね。
愛する貴女を得られる為ならば何だってしてみせるよ。
そして絶対に貴女を逃がしはしない。
貴女が無駄な足掻きをしている間に俺は六年の歳月をかけて漸く一つの答えを見出したのだよ。
だが何度でも言うがこれはあくまでも対症療法でしかない。
それは加護除けの黄金づくりのシンプルな腕輪。
この腕輪を身に着けた者は少なくとも無自覚無意識に放たれる貴女の祝福を受け取る事はない。
そう貴女の命を吸い取る事はないのだ。
本当はもっと確実に貴女の身の安全を図れるものを開発したかったのだが、何しろ時間を余りかけられなかったのだよ。
三年前に貴女へ求婚した辺境伯。
俺の使えるだけの権力やコネ、当然その中には大公である父上や伯父の皇帝陛下の力も計算内だ。
その全てを使い貴女より遠ざけたと言うのにも拘らずあいつはまだ本当の意味で貴女を諦めきれてはいない。
そう、何かの折にミルワード侯爵……貴女の父上と何とか関係を持とうと画策しているらしい。
だから俺は簡易的ではあるけれどもそれを引っ提げれば16歳……成人となるには一年早い事は十分理解しているけれどももう我慢が出来なかったのだよ。
何としても愛する貴女をこの腕の中へ抱き締めたい!!
最初のプロポーズは、いや七年後の婚儀を挙げる前に貴女を事実上屋敷内へ監禁してしまったけれどもだ。
その間色々と紆余曲折を繰り返してきたけれども何とか貴女を妻へ迎える事が出来て俺はとても果報者だと思う。
婚姻後に漸く帝国全土、ああ帝国の支配の及ぶ範囲は大空へ放った貴女の加護除けの極大魔法陣によってそれより以降は貴女の生命が吸い取られる心配は今のところはない。
しかしまだ根本的な解決は未だなされてはいない。
俺は仕事の合間に何とか貴女の呪いとも言えるその力いや、そう遠くない未来に貴女を中心にして俺達はまた再び集結するのだろう。
さすれば否が応にも貴女はそれに巻き込まれ……いや今はまだ考えずにおこうか。
全てが無事に終えれば今は帝国の支配権しか自由には出歩けないだろうがだ。
何時の日か何処へ出掛けても安全である事を貴女に伝えたいのだよ。
最初は対症療法で作った黄金の腕輪をどう広めようかと思案していた頃、屋敷に仕える者達に俺の貴女への執着は既に知られていた事もあり、皆進んで右腕に腕輪を嵌めてくれたよ。
勿論ミルワード侯爵家の方も二つ返事で了承してくれたと言うよりもだ。
貴女の身体でその様な事態になっている事へ驚愕を隠しきれない様子だったよ。
まあそれも魔法陣が完成するまでの間なのだけれどね。
でも今でも貴女を慕う者達は貴族平民問わず優しい貴女を想い、未だに金の腕輪をしている者が多いと聞く。
だが俺は腕輪をしてはいない。
それもそうだろう。
俺と貴女は夫婦だからね。
そこは腕輪ではなくより強力な力を込めた貴女との対となる結婚指輪として生涯身に着けているからね。
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