ガチャガチャ戦記~ブラックなスキル持ち達の解放戦争~

AKISIRO

文字の大きさ
40 / 70

第40話 ファイガスタ帝国VSアララスタ王国①

しおりを挟む
 ダイル・オリゲートは1万の軍勢を率いて陣を築いていた。
 アララスタ王国が西側に位置するアララスタ城門。
 鋼で製造されたその城門と城壁は屈強な防御力を誇る。

 バナレス卿率いる5万の軍勢。それはほとんどがアラス王の私兵である。
 バナレス卿の軍は自分の息子カイルの餌食になったと聞いている。

 バナレス卿が馬上からこちらを睨んできているのを察する事が出来る。
 
「ダイル領主よ、よくぞ参った。カイル・オリゲートの件、こたびの戦が終わりしだい討伐いたす。息子を討伐させる事申し訳なく思う」

「陛下、そのような心遣いは遠慮無用というものですぞ、このダイル、陛下に忠誠を誓う者なのですから」

 アラス王が金毛の馬にまたがりながら、兵士達に撃を飛ばしている。
 そこへバレスダ領地のバレスダ領主がやってきた、その軍勢は3万であった。
 
 アガリ領地からもアガリ領主の軍勢3万。バルクト領地からもバルクト領主の軍勢1万。

「バルクト領地の者の軍勢が少ないのは気のせいだろうか?」
 
 すると部下の1人が声をかけてくれる。

「エルレイム王国へ侵攻して、返り討ちにあったのだそうです」

「そのような事があったのか、ガイラルド将軍の姿も見えぬし」

「将軍は腕をちぎられて診療所に入院中との事ですよ」

「ふむ、あの勇猛な将軍がか」

 ずずずと空から何かが動く音が響き渡る。
 空気が振動している音なのだと知覚する事が出来た。

「王者ラバーン様が参られた!」

 空の都、そこには王者ラバーン達がいる。
 王者ラバーンのスキル:竜使いにより、ワイバーンとの契約を成功させる事が出来る。それは他の人間に対してもだ。

 空に無数に飛び上るワイバーンの群れ。
 その数1000はくだらない。

「12翼がいなくなった今、一体どうすればよいというのか」

 1人の兵士がぼそりと呟いた。
 だが、すぐに、アラス王が激を飛ばし始める。

「良いか、こちらは、当初の予定より軍勢が集まった。その軍勢で、ファイガスタ帝国の兵士たかだか2万を打ち破ろうではないか!」

「おおおお」
「おおおおおおおお」
「おおおおおおおおおおおおおおおお」

 兵士達が盾に武器を当てて鼓舞を始めていく。

 先程から、地面が揺れている。
 どうやら地震のようだが、それは本当に微動する程度の物であった。
 奥深い地層から何かが動いているのだろう。

 眼の前に土煙が見えてくる。
 兵士の大群だ。
 だが、2万程度。
 馬の上に1人の子供が立っている。

「鑑定士!」

 鑑定士が即座に鑑定する。

「15将軍が1人流星ガキであります! レベル8000」

「やはりか」

 レベル8000もあれば、1万の軍勢など取るに足りない。

 ただ。レベル8000の敵を倒すのには、軍勢2万いれば十分。
 どのような人間であれ、四方から繰り出される無数の弓矢と剣には防御不可能だし。

 ダイル領主自身もレベル3000なのだから。

 レベル5000の差は兵士の数で何とかする事が出来るかもしれない。

 アラス王がじきじきに流星ガキと対面する事となった。
 それをひやひやしながら各領主達が馬の上から眺めている。

「これは、どういう事ですかな? あなたはとっくの昔に死んでいたと聞いておりますが」

「それは勝手に君達が認識していただけさ、こうして15人の天使族と引き換えに舞い戻ってきただけだ。さてと、帝王ラッドン様からのお告げがある」

「あのラッドンも蘇っているのか!」

「いかようにでも、認識しろ、無条件に降伏せよ、さすれば命だけは助ける。だが奴隷となる事は拒否できぬ」
「はは、それを頷けるほどわしも朦朧しておらぬわ」

「すでに、何もかも終わっているとだけ告げよう、後ろを振り返るといい」
「そうやって高速でわしの首を落とすつもりじゃろう、流星ガキとは流星のように動くと聞いた事が……」

 だがその時。
 大地震のように地面が揺れた。
 
「な」

「あああ」

「城壁が」

「城がああああああ、街がああああああ」

 アラス王は訳が分からず振り返ってしまった。
 そこにあった光景は、城壁が地面に崩れ去り、城門が崩壊し、さらに城そのものが地面に引きずり込まれ、大勢の兵士達、その数数える事が不可能かと思える程の人間が群れて、無防備な民を襲い始めている。

「卑怯な地下からだとおおおお」

「遅いですねぇ、あなたが言った事ですよ、流星のように動く、それが流星ガキです」

 アラス王の首が落下したのはその時だった。

 即座に、戦争が勃発した。

「アラス王の亡骸を」
 
 と叫ぼうとしたダイルは絶句した。
 なぜなら、アラス王の首が光輝いて、復元されていたからだ。

「わしはなぁ、不死身なんじゃよ、だからと言ってゾンビではないがのう」

「まったく、この世界は不条理だ」

 流星ガキが馬の上からジャンプした。

「ダイル領主は国を護れ、即座に撤退、他の部隊もだ。我らアラス王の部隊だけで、このくそ生意気なガキを殺してくれようて」

【御意】

 その時空より、ワイバーンの群れが、地表目掛けて滑空してきた。
 そうして、ファイガスタ帝国とアララスタ王国の戦争が勃発した。













しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

大和型戦艦、異世界に転移する。

焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。 ※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。

男女比1対5000世界で俺はどうすれバインダー…

アルファカッター
ファンタジー
ひょんな事から男女比1対5000の世界に移動した学生の忠野タケル。 そこで生活していく内に色々なトラブルや問題に巻き込まれながら生活していくものがたりである!

S級スキル『剣聖』を授かった俺はスキルを奪われてから人生が一変しました

白崎なまず
ファンタジー
この世界の人間の多くは生まれてきたときにスキルを持っている。スキルの力は強大で、強力なスキルを持つ者が貧弱なスキルしか持たない者を支配する。 そんな世界に生まれた主人公アレスは大昔の英雄が所持していたとされるSランク『剣聖』を持っていたことが明らかになり一気に成り上がっていく。 王族になり、裕福な暮らしをし、将来は王女との結婚も約束され盤石な人生を歩むアレス。 しかし物事がうまくいっている時こそ人生の落とし穴には気付けないものだ。 突如現れた謎の老人に剣聖のスキルを奪われてしまったアレス。 スキルのおかげで手に入れた立場は当然スキルがなければ維持することが出来ない。 王族から下民へと落ちたアレスはこの世に絶望し、生きる気力を失いかけてしまう。 そんなアレスに手を差し伸べたのはとある教会のシスターだった。 Sランクスキルを失い、この世はスキルが全てじゃないと知ったアレス。 スキルがない自分でも前向きに生きていこうと冒険者の道へ進むことになったアレスだったのだが―― なんと、そんなアレスの元に剣聖のスキルが舞い戻ってきたのだ。 スキルを奪われたと王族から追放されたアレスが剣聖のスキルが戻ったことを隠しながら冒険者になるために学園に通う。 スキルの優劣がものを言う世界でのアレスと仲間たちの学園ファンタジー物語。 この作品は小説家になろうに投稿されている作品の重複投稿になります

地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした

有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

S級クラフトスキルを盗られた上にパーティから追放されたけど、実はスキルがなくても生産力最強なので追放仲間の美少女たちと工房やります

内田ヨシキ
ファンタジー
[第5回ドラゴンノベルス小説コンテスト 最終選考作品] 冒険者シオンは、なんでも作れる【クラフト】スキルを奪われた上に、S級パーティから追放された。しかしシオンには【クラフト】のために培った知識や技術がまだ残されていた! 物作りを通して、新たな仲間を得た彼は、世界初の技術の開発へ着手していく。 職人ギルドから追放された美少女ソフィア。 逃亡中の魔法使いノエル。 騎士職を剥奪された没落貴族のアリシア。 彼女らもまた、一度は奪われ、失ったものを、物作りを通して取り戻していく。 カクヨムにて完結済み。 ( https://kakuyomu.jp/works/16817330656544103806 )

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

処理中です...