ガチャガチャ戦記～ブラックなスキル持ち達の解放戦争～

第４４話 カイル・オリゲートの暴走は狂乱バルゼロの軍略を崩壊させる

　狂乱バルゼロは１５将軍が見えない何かに追い払われていくのを目撃していた。

「ラッドン様、これはどういう」

「ダイル・オリゲートが死んだ辺りから、皆が何かから逃げまとっています」

「連絡役の賢者のリーチャンはいるか」

「御意でございますわ」

「一体何事だ」

　帝王ラッドンが尋ねると。

「スキル：サーチアイで確認したところ、レベル１００以下の青年が暴れていますわ」

「はい？」

「だから、レベル１００以下の青年が次から次へとファイガスタ帝国の兵士をクワで殺していますわ、さらに、圧倒的な強さで包帯のミイラと模型のバリーが撤退をよぎなくされていますわ」

「あの２人がかりでもか」

「次に、伝説おっさんのリギットも撤退していますわ、死んでいないだけましかと」

「一体どうなってる、狂乱バルゼロ、お前の作戦はいつも成功するはずなのだが」

「予定外というか、レベル１００以下の超人は作戦に組み込まれていません」

「ではどうする？」

「なら、作戦を練ればいいのですよ、帝王様」

　狂乱バルゼロは意味深に笑った。

　流星ガキはアララスタ王国の王アラス王との戦いに明け暮れている。
　なぜなら、アラス王は不死身かしており、倒すのに四苦八苦しているようだ。

「全ての駒を、このレベル１００以下のイレギュラーにあてるのですよ、ぐひひ」

「さすがはえげつない事をするな」

　帝王ラッドンは狂乱バルゼロを見ていて笑った。

★　
「で、えーと全員俺に殺されるつもりってことか？」

　カイルの眼の前には１１人の将軍が立っていた。

　彼等を追いかけて、仲間達もやって来ていた。

「リラ、鑑定を頼む」

　傍にリラメイド長がいる事を悟ったカイルは尋ねた。
　彼女がこくりと頷く。

「粉骨のヤリ、闇丸道化師、包帯のミイラ、ゴーストセイガ、模型のバリー、死神のカラクリ、伝説おっさんのリギット、爆弾のオニ、小説家マハイ、無敵のマルハ、魔界王デンリン」

　記憶を整理する。
　全てが名だたる１５将軍たちメンバーであることを知っている。
　
　こちらは、歌歌のアイ、金狼ジェイバ、ゴーストイーター、裏世界キャンベル、死別ダマスカ、ミハミハ、コルク、音楽家ジージージ、ユーゴ、時間経過ガムン。そしてリラメイド長。

「へぇ、主の危機って奴には来るんだねい」

　闇丸道化師が皮肉ぶった顔で笑うと。

「おめーはもう分身いねーだろうがよ」
　
　カイルが叫ぶと。

「ザーんねん、分身がいなくても戦えるのが将軍クラスって奴でしょ」

　徒手空拳のポーズを取る闇丸道化師。

「まったく、道化はいつもこれだから嫌なのよね」

「粉骨のねぇさんはそれでいいかもしれないけどさ」

　粉骨のヤリが笑う。

「いくらお仲間が現れようとも、目的はそこのレベル１００だけだ。他はさっさと死んどけバーカ」

　闇丸道化師達が一瞬にして消えたと思った瞬間。

「バカなのは君達のほうだろう？」

　死別ダマスカが嘆いている仮面を外していた。

　そこには幾多の拷問の後があり。

「スキル：笑顔、これを見た者はルールに縛られる、ルールを破った者は問答無用に死ぬ」

「どうせ、はったりさね」

「いや、まて、本当だ」

　ゴーストセイガという、全身がゴーストの男が言った。

「魂に刻まれている。ルールを破ると死ぬぞ」

「なんだと」

「これは、対象以外にも適応され、この死別ダマスカもルールを破れば死ぬ、ルールは１人１個までしかスキルを使用出来ない」

「これは、笑顔を見ていない者には適応されないって、カイル様何見てるんですか」

　死別ダマスカの思わずの突っ込みに、カイルは真っ青になる。

「だけどさ、俺スキルってろくなのねーぜ、ほぼ肉体で戦ってるし」

「……」

　その場が沈黙に包まれている中。

「よーしおれちゃんたちは見ていないから大丈夫っと」

「このルールひどすぎるでしょー」

　粉骨のヤリが怒りをあらわにするが。

「じゃあ、死別ダマスカを先にやっちゃえばいいじゃん」

　と粉骨のヤリが死別ダマスカにターゲットを絞ろうとするも。

「そうはさせないってのがおれちゃん達のスタイルでげすよー」

　全員が死別ダマスカを守るように動き出した。

　だが、１人だけ、本当の馬鹿がいた。

「なぁ、おめーらさっきから話進めてんじゃねーよ、俺が皆殺しにしてやっからそこ待ってろ」

「カイル様、無理です。さすがにファイガスタ１５将軍を１１人相手どるのは」

「なぁ、聞いて良いかリラ、俺は剣帝になる男だろ？」

「クワから剣にしてから言ってください」

「剣帝じゃねークワ帝になってやんよ」

「意味が分かりませんから」

「うぉい、そこで漫才してねーでやり合おうぜ」

　模型のバリーが叫ぶ。

　一瞬の沈黙の間、その場の全員が消失した。
　それがファイガスタ帝国とアララスタ王国の激闘が開始された瞬間であった。