ガチャガチャ戦記~ブラックなスキル持ち達の解放戦争~

AKISIRO

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第53話 戦国の魔王

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「さっきお前、人間には神は殺せぬって言ってたよな、余は人間なのだろうか?」

 織田信長が立つ姿。
 全身を禍々しい鎧に包み。
 
「スキル:魔王の鎧だ、次にスキル:魔法の心臓」

 織田信長の心臓がどくんどくんと脈打つ。
 剣を構える。
 その構えは本当に適当だった。

「なぁ、余はとても嬉しい、神を殺せるのだからなぁ」

「ふ、どうせ、かかってこい」

 天照大神が余裕の姿を見せると織田信長の一撃はただ剣を思いっ切り振っただけだった。
 斬撃は天照大神に当たる事は無かったが、後ろの建物が吹き飛んだ。
 天照大神はゆっくりと振り返った。

「これは」

「魔王の心臓は心臓が脈打つたびに強くなる。ただ。死にそうなほど全身が痛い」

「では、次はこちらから」

 見えない斬撃。存在そのものを消すとされる剣戟に。織田信長は避ける事はしなかった。
 全身を切り刻まれたのだから。

「なぁ、痛くもかゆくもねーんだよ」

「なんだと」

「余は全身を燃え盛る炎にさらされて死んだ。こんな斬撃は痛くもかゆくもない、魔王の鎧が回復させてくれる」

「なら、首を落とすまでですよ」

 見えない斬撃がまた飛来してきた。

 だが、それも織田信長は避けようとしない。

 その時、天照大神の顔に恐怖が宿った。

「ば、けものか」

 天照大神がそう叫ぶ程、織田信長は生きるという事に執着していない。
 目が真っ直ぐに天照大神を貫き。

「さぁ、殺せとばかりに両手を広げている」

「お前バカなのか」

「殺したいのだろう、殺せばいい」

「はったりなのか」

「いいやはったりじゃないかもしれないぞ」

「い、意味が分からない」

「神は人を殺す事が怖いのか?」

「そんなはずはない」

「なら殺すと良い、スキル:水鏡」

「それはなんだ」

「さぁ、なんだろうな」

「スキル:反射鏡」

「だからなんなんだ」

「スキルが発動してるんだから、何かだろう、殺す事を進めるよ」

「きっと殺したら何かが返ってくるのだろう?」

「試してみたらいいだろう?」

「なんだと」

「神はそんなに人間のスキルが怖いのか?」

「お前は人間が持てるスキルの3個を超えている」

「そういう人間はいるんだろう?」

「1つははったりなのか?」

「だが現に発動してるだろう?」

「はぁはぁはぁはぁはぁはぁはぁ」

 天照大神の心が揺れ動いていた。

「動かないならこちらから動くぞ」

「く、くるな」

「なぁ、お前神だろう、人間が怖くないはずだろ?」
「違う、人間は」

「じゃあ、こちらから、動くだけだ」

 織田信長の剣が回りの湖に反射する。
 水鏡とは水を反射させる事、反射鏡とは反射させたものを剣戟として繰り出す事。
 別にカウンタースキルでもなんでもない。
 普通に天照大神が攻撃を仕掛けてきたらこちらが死ぬという事だったのだから。

 四方より繰り出される剣戟。

 天照大神の全身が切刻まれ、彼は動かなくなる。

「思い残すことは?」

「ありえぬ」

「ありえただろ」

「人間が神を殺すとは」

「そういう事もあるさ」

 織田信長は容赦せず、天照大神の首を両断していた。
 首がごろりと転がると、何かが消えていく。
 神が消え去ると。
 織田信長は宮本武蔵と佐々木小次郎の所にいき。

「立てるか?」

「なんとかな、傷も消えた」
「まぁ、仕掛けた人が死んだのですからねぇ」

「さすがは織田信長だ」

「まぁ、滅茶苦茶びびったがな」

 織田信長がげらげらと笑っていた。

 そこへ、天照大神がいなくなったことで、ハデスの悪魔軍勢が押し寄せてくる。

「まぁ、休憩はなさそうだ」

 3人はまた殺し合いを始めた。


 
 ゴイルは前方を見据えていた。
 まず、悪魔の軍勢が仲間達との連携を阻害するように動いていることが分かってきている。

 墓場の傭兵団が城の内部に侵入してこようとしている悪魔の軍勢の相手をしてくれているのだが。隣には団長のトパルと副団長のユウがいた。

「まずは、仲間を信頼する事ですね、ゴイル」

「そうなのだが」

 そこへエイプリルがやってくる。

「戦うには部が悪いから、取り合えず情報を伝える事だけはする。スキル:鷹の眼で色々と分かる。今、織田信長が神を1人殺した」
「おお」

 ゴイルがごくりと生唾を飲み込む。

「アキレウスとヘクトルが神と戦い始めてる。アーサー王とアレキサンダー大王も神と、クー・フーリンとジークフリートも神と、その他の英雄達はハデスの悪魔軍勢と戦っていて、墓場の傭兵団員は城の防備だ」

「よーし全て作戦通りですね」

「さすがはゴイル殿、いつの間に作戦を」

「いや、なんとなくですが、皆にスマホを持たせてるから、そうだ。団長達も持っててください、一応持ってきたので」

「なんか、恐ろしく準備が良いな」

「何が起こるか分からないので、操作方法は簡単です。これをこうやって押して通話にすれば連絡取れるので」
「なるほどな」

 その時スマホが鳴りひびいた。

「あ、えーと」

「お、なんか繋がったなーこちらラヴィ、勇者ラヴィ、あともうちょいでハゲスダンジョン攻略できちゃうちゃう、ただなんとなく適当に電話してみただけ、いたずら電話さー」

 ぷつんと何かが切れた。

「なんだったんだ今の?」

「さぁ、勇者ラヴィって誰か知らないんですが」

 ゴイルがなんとなく呟いていると。

 1人の人間がこちらにゆっくりと歩いてきた。
 その姿は伝説の勇者そのものだった。
 長髪に青い髪の毛、サークレットを頭に装備し、軽装備を着用している。
 腰には勇者の剣が装備されており。

「さぁ、ゲームを始めようか」

 そう言って、地面に勇者の剣を突き立てた。
 地面がよく分からない物に変換されていく。

 そして、ガチャが吐き出される。

「100000000000連ガチャ発動、神ガチャが当たるまで引かれる。代金は1億円消費」

「その数やばくないか?」

 ゴイルが思わず突っ込むと。
 次から次へとカプセルが流れ落ちてくる。
 それも数えきれない程の。
 自動でカプセルが開かれると。

「はい、はずれー次はずれーつぎー」

 ハズレはほぼ何も出てこない。

「やっぱし0.00000001%の確立はむじーな」

 全てのガチャが外れに終わると。

「よーし、神に頼らず、そこの雑魚を殺すとするか」

 伝説の勇者が地面に突き立つ勇者の剣を引きぬきざま、空の雲が割れた。

「俺様はこのアバターに10000億円も使ってんだよ、そう簡単に死なないぞ、レベルだってレベルアップポーションを購入して現在10000億レベルだぜ」

「アバター? 億円? どいう意味なんだ?」

「さぁ、異世界の言葉なのだろう」

「まず、レベルが10000億と言う時点で」

「どうせはったりでは?」
 
 ユウが告げるが。

「いや、はったりではないな、微細鑑定でそう表記されてる。ステータスもあり得ない事になってる」

「倒す方法は?」

「ないな」

「よっしゃいっくぜー」

 こちらに走ってこようとした瞬間、一瞬で至近距離、ゴイルの鼻と目の先に到達し。

 剣がからぶった。

 その場がしーんと静まった。

「あったらねー」

「いや止まってたから」

 その場の全員が悟った。
 いくらレベルが高かろうとステータスが異常だろうと、戦う技術が体に合っていないのではと。

 その場の全員が感じた。
 勝てると!
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