ガチャガチャ戦記~ブラックなスキル持ち達の解放戦争~

AKISIRO

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第58話 ヒポクラテスとマーリン

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 マーリンが軽く呼吸をすると。

「魔法とはこういう風に使うのですよ、第一次元突破、第二次元突破。そうして、大三次元突破。次元の狭間の相手を見つけ出す事など容易な事です。そもそも、次元とは魔法で言うところの基礎的な部分でしてね、こいつですね、可愛らしい姿をしている子犬さんじゃーないですか」

「お、姿が見えた」

 アレキサンダー大王が逃げながら方向転換して。
 後ろを振り返り。
 剣を上段に構える。

「キングキラーでも食らってろおおおお」

「そいつは犬だから、ドックキラーじゃぞ」

「いらねーよ突っ込み爺」

 フェンリルの体が縦に半分に両断されて、まるで空気のように蒸発していく。
 まるで作り物のようにシャボン玉をまき散らしながら消滅していく。

「では、次の魔法講座ですね、でかい物にはでかい魔法という基礎的なものがありますが、残念な事に俺の魔法は真っ直ぐに貫く槍のようなのですよ、まぁ、その槍でも棒のようなものですがね」

 マーリンが高速で呪文を唱える。

「さて、無詠唱などと言うチートは使いませんよ、無詠唱使うと疲れますからねー頭の中で魔法理論を構築するのは疲れます疲れます」

 無数の光の棒が投擲される。
 張り付けにされるように、グロテスクな姿のロキの体のあちこちに突き刺さる。

「この魔法には動きを停止させる効果があるのですよ、いわゆるストップと言う魔法です、ではヒポクラテスさんよろしくお願いします」

「治療を開始する」

 老人がゆっくりと腰を曲げながらロキの巨大すぎる足を登る。

 それも90度によくわからない角度で、足の裏に何か吸着しているかのように。

 アーサー王は足の裏からぎりそれが見えたが。

「てか、爺、そこにいると、重量増すからやめてくんねーかな」

「わしの体重は57.8999キログラムじゃぞ」

「何気に詳しかったし」

 ぼきっと音が鳴った。

「ここに凝りが見られるのう、この塊が邪魔をしているようじゃ」

 またぼきっと音が鳴る。

「いってえええし」

 ロキの足が真上に飛ぶように跳ね上がる。

「ここは膝の壺みたいな物でのう、叩くと足が上に向くんじゃぞ」

「お、助かったし」

 アーサー王が走り出す。
 足がまた落下してくる。
 地面に何度も足が雨のように飛来する。

「あっぶねー」

 それを何なく勘でアーサー王は避け続ける。

「よっしゃー」

 足のすねから走りながら腿を辿り、さらに腰を辿り、肩にまで登り。

「てか、爺はえーし」

「首のこりを治そうか、お、これは詰まってるのうう」

「ぐぎゃ」

 ヒポクラテスの拳がグロテスクのロキの首にめきりとめり込んだ。
 そのまま、ぼきっと音がなり。

「この塊をほぐすと血行がよくなるんじゃぞ」

「何気に本当に治療してるしいいい、くそ爺、俺はとっとと、ぶっ殺すぜ」

「医者は基本的に治療しかせぬぞ」

「なんで敵を治療してるんだよ」

 アレキサンダー大王が地上から見上げて叫ぶ。

「魔法講座の第3幕ですが、光の棒はずっと永続は出来ません、それはなぜか、空気中に光元素が分散してしまい、しばらくすると空気と同一になるからです。ですので」

「うおりゃああ、とどめえええ」

「アーサー王逃げたほうが良いですよ」

「おっせんだよおおおおおおお」

 突如動き出したグロテスクなロキが頭を振り乱す。
 そのまま吹き飛ばされてしまうアーサー王、雲の上を彷徨いながら、何度も雲の中に潜っては、息をなぜか止めてしまう。
 
 雲から出た瞬間。
 そのまま大地に向かって落下していく。

「あーあ死ぬかなーでも、こういう時こそマーリンは」

「魔法とは空を飛ぶ為に使う物ではありませんが、こういう緊急の時こそ面倒くさい構築理論を脳内で繰り返す無詠唱魔法を使うものですよ」

 アーサー王の体が浮遊する。

「よっしゃ」

「後3秒で落下するので、光の橋を設置しました」

「お、助かる」

 アーサー王が光の橋の端から走り出す。
 
「ちなみに、触れたら橋は落下するので、即座に走ってください」

「うおおおおおおおおおお」

 アーサー王が全力疾走で今までの人生経験を懐かしむ。

「あーあランスロットとか皆ー元気かなー」

 エクスカリバーの大剣を大きく振り乱し。
 最後の光の橋が崩壊していくと。

 ロキの頭にアーサー王の剣が突き立った。

 ぼきりと音を立てて。エクスカリバーが折れた。

「なんだってええええええええええええええ」

 アーサー王の悲壮感溢れる声が口から飛び出るように吐き出される。

「あーあ死んじゃった」

 ロキの体が光の粒の用になって消滅していく。
 少しずつ少しずつ消えていく中で。
 ロキのグロテスクな体が1人の子供の姿に戻り。
 消え去る瞬間。
 天使のような笑みを浮かべた。

「って、これ落下するやつうううう」

 アーサー王は折れたエクスカリバーを何とか2つ掴むと。
 そのまま体が落下していく。

「これはいつか飯をおごってくださいよ」

 マーリンがまた浮遊魔法を何度もかけてくれて。
 アーサー王は地面に着地した。

「まったく、患者を殺しおって」

「いやあんた何しに来たんだよ」

 アレキサンダー大王がヒポクラテスに心から突っ込むのだが。

 アーサー王は膝を屈してしくしくと瞳から大量の水滴を垂らしていた。

「気持ち悪いですよアーサー王、鼻水まで垂らして」

「だって、大事なエクスカリバーがああああ」

 アーサー王の嘆きの声が辺りを支配した。
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