ガチャガチャ戦記~ブラックなスキル持ち達の解放戦争~

AKISIRO

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第63話 スライムの戦いってのは気持ち悪いんだよ

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「しってっか、スライムの戦いってのはすげー気持ち悪いんだぜ?」

 ロイのその発言と共に。
 彼の周囲でスライムがうごめきだす。
 体を纏っていたスライムが大地へと落下していく。
 現在ロイの体にはスライムが纏っていない。

 地面のスライムがさらにぐにょぐにょと蠢きだし。
 スライムの分身も融合していく。
 そうして、スライムの壁が出現した。

 次に、スライムが津波のように蠢きだし。

「これ喰らったらトラウマもんだろ閻魔」

「ほう、ちょっときもちわりーな」

 スライムのぶよぶよとした津波が、ゆっくりとゆっくりと増殖を繰り返し。

「こりゃーきいてねーわ」

 閻魔の目が大きく見開く。

 スライムの津波がゴミ王国の城よりも巨大化していく。

「我ながらに思うぜ、俺はどんだけスライムの核を食っちまったんだろうなってな」

 スライムの津波が閻魔に降り注ぐ。
 閻魔の体がスライムにまみれていく。

 閻魔は茫然と立ち尽くしている。
 ちなみに全身がべとべとになっているだけ。

「で?」

「あぁ?」

「だから、これで、どうなるんだ?」

「きもちわりーだろ」

 閻魔の両こぶしがぶるぶると震える。

「人を舐め腐るのもいい加減にしろ」

「いんやなめてねーよ」

 ロイはスライムシューズによって瞬時に閻魔の至近距離に辿り着いていた。
 閻魔の腹の所にて拳を固めて。

「スライムの拳っての、めちゃいてーぜ」

 ロイの拳にはスライムが纏われており。

「あ、ちなみに、お前の体スライムに塗れてるだろ、そのおかげで、こっちのスライムの攻撃が直に通るんだぜ、スライムはスライムを通せってね」

「はったりを」

 だが、次の瞬間。
 あまりにも物凄い衝撃音が轟いた。
 巨大な壁をただの拳で破壊する音。
 バキィッと音が鳴りひびいて。
 閻魔のあばら骨が粉砕される音。
 次にべとべとしているせいで吹き飛ぶことが出来ない。

「かは」

「ちなみに、一発で終わる程、俺は甘くねーぜ」

 次は左の拳をぶち当てる。
 さらに、次の拳をぶち当てる。
 爆発する音と、骨が粉砕される音が響き渡る。

「かはぁ」

 閻魔の口から血が吐き出る。

「骨ごときなど」

 閻魔が手元に金棒を瞬時に引き寄せると。
 ブンと振り回す。
 だが、ロイはそれをスライムの纏いではなく、地面に落下しているスライムを操作して壁に転じる。

 スライムの壁がロイの体を守る。
 棍棒がスライムの壁に沈んでいくと、衝撃がスライムの壁を通して空気としてロイの左半分を襲う。
 ロイの体が吹き飛びそうになるが、ロイ自身の足もスライムによって動かなくさせている為吹き飛ぶことがない。

「痛みを堪えるのは苦手だが、そんな事構ってる暇ねーんだよ、ばーか」

 次なる拳。
 次なる拳、拳。
 止まらぬ拳。

 ロイの右手のスライムの纏いがさらに厚くなるたびに。
 閻魔のあばら骨を何度も粉砕し。
 それでも閻魔は逃げる事も倒れる事も許されない。

「も、もう、勘弁してくれ」

「おいおい、神様がそんなんでいいのかよ、俺はとても悲しいぞ」

 それでも無情なのか、ロイは何度も何度も殴り続ける。
 もはや閻魔の胸は穴だらけになっており。 
 少しずつ光の粒となって消滅していくのであった。

「ふぅ、皆はどうなってるかな」


 ドリームは1冊の本を開いている状態で眼の前のコアトリクエの顔を見ていた。
 ドーマスは全身を狼のような毛で逆立てており、顔も狼のそれであった。

「なぁ、相棒、僕の知っているドーマスではないのかな?」

「そのお前の知っているドーマスではないさきっと」

「だが、その額には6角の文様があるんだが?」

「きっとパラレルワールドでも繋がってるんだろうさ」

「まぁ良い、僕としてはキミがドーマスである事には変わりない事だ。さて、問題なのだが、眼の前の複雑な形をした神様をなんとかしたい」

「それは同感だ」

「そもそも、この世界にはいくつの神様がいるのだろうかと疑問に思わないか、本などでよく出てくるような話ではないか、シヴァとか、ゼウスとかオーディンとか、色々な本で出てきている。それが本当に存在している時点で不思議だとは思わないか?」

「そうかもしれないな」

「だが、ふと、考える事がある。神とはどういう意味で、どういう可能性を意味しているのだろうかと、人が神と崇めているだけで、生き物と同義なのではと」
「俺にはよくわからないが、神が本当にいるなら、このオオカミ人間化を封印して欲しいものだな」

「それが出来れば苦労はしないよ」

「そうかもしれん」

 その時、コアトリクエが動いたかのように見えたのだが。
 微動だにせずこちらをじっと見ている。

 何か色々な動物なのか分からないが複合的に融合している感じなのだ。

 ドリームが背後を見た時、そこにはコアトリクエが悠然と立ち尽くしていた。
 眼の前から消滅したのだ。

「ふぅ、知覚出来たか? ドーマス」

「いや無理だ。あれは移動ではないな」

「ではなんだ?」

「鏡のように反射でずらしたような感じだ」

「ふぅ、どう攻略するかだが、このフィールドの建物、どこか地球みたいだな」

「それは俺には分からない」

「それはすまない事をしたな」

 いつの間にかコアトリクエが10体にまで増えていた。

「見えたか?」

「なんとかな、ほぼ瞬きする一瞬で増え続けたぞ」

「かもしれないな」

「だが、攻撃はしてこないな」

 ドリームとドーマスが相手の様子を見ていると。
 
「いや、既に攻撃されていたのか」

「そのようだな、ドリーム」

「ああ、キミが、コアトリクエか」

「ふ、そのようだな」

 ドリームの脳内で思考が巡らされる。
 ドーマスの体にコアトリクエが寄生した訳ではない。
 ドリームの意識の中のドーマスがコアトリクエになったのだ。

 つまり、今ドリームが見ている景色そのものが幻覚または幻想である可能性が出てくる。
 では、ドーマスはどうなっているのか、きっと同じ状態で、ドリームの事をコアトリクエだと認識しているだろう。そうでなければ殺されているか幻想の中に包まれて永遠に出れないかだ。

「ふぅ、コアトリクエ、キミがとても複雑な神様だという事は認識したよ」

「ふ、そうか」

「ドーマスという体を使っている事を後悔させてあげよう、なぜなら僕はドーマスに切れたいことがあってね」

「はは、このオオカミ人間の体も面白いかもしれないな」

 いつしか、コアトリクエの複雑な体が消滅していた。
 眼の前にはドーマスというコアトリクエが立ち尽くしていたのだから。

 ドーマスのずらりと並んだ牙がちらついた時。
 彼の四肢が地面を蹴った。
 こちらに向かって獣のように走ってくる。
 次の瞬間、ドリームに噛みつこうとしたまさにその時。
 ドリームは何もない空間から剣を出現させ、容赦なくドーマスの顎を貫いた。

「一応、武器の転送は出来るみたいだね、夢世界から」

「どういうことだ。この幻想の世界は君の意識の中だというのに」

「良い事を教えてあげよう、僕ら夢の住民は夢の中で武具を作る。そこにはサイクロプスと呼ばれる昔の嫁であり、最高の妻、ザイドロン・カナリエがいる。彼女は僕の心の中に住んでいるようなものだ。だから、意識の中だろうと、どこであろうと、はたまたあの世であろうと、僕と夢世界は繋がっている。だから、武具なんて簡単に転送できるのさ」

 ドリームの体が緑色の甲冑に包まれた。
 右手には巨大なランスが握りしめられているが。
 そのランスの配列するように、ずらりと一列に並びつくされている100本のランス。

「ありえぬ」

「これが、僕のお気にいりの武器でね、これで刺し貫かれれば確実に死ぬ」

「ふ、お前に出来るのか友達を殺す事が」

「これは思考の中の話だろう、現に今僕は君を一度殺したが死んでない。まぁ殺すには意識から除外する必要があるのだろうね、まるで風邪の菌のようにね」

 ドリームは眼の前に向かってランスをかざす。
 一瞬の静寂の後。
 放たれるロケットランス。
 次から次へと発射されていくが、そのスピードはとても遅かった。

 ドーマスの姿をしたコアトリクエは軽々とよけたはずだったのだが。
 
「あ、ちなみに、それ、分裂しますよ」

「なん」

 羅列のように分裂したランスが次から次へと、コアトリクエの全身を貫く。
 ドーマスの体が人形のようにのたうち回ってぶっ倒れるのだが。

「あ、ちなみに、それ爆発しますよ、死んだふりしてもダメです」

「な」

 最後までいう事が出来ず。コアトリクエの体が爆発と炎に包まれていく。
 その炎の中を緑の甲冑を身に着けたドリームがゆったりと歩きながら。

「ちなみに、この甲冑は火を通しません、そんなハエのように小さくなっても無駄ですよ」

 ドーマスのランスが小さくなったコアトリクエを刺し貫いた時。
 幻覚ではなく幻想から解き放たれる。
 眼の前には既に幻覚または幻想のコアトリクエを殺したであろうドーマスが悠然と不敵に笑っている。

「どうやら」
「終わりましたね」

 もうこの世界にはコアトリクエは存在していなかった。







 
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