ガチャガチャ戦記~ブラックなスキル持ち達の解放戦争~

AKISIRO

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第65話 ゴミ王国とエルレイム王国

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 ゴイルは眼の前に佇んでいるロイという青年を見ていた。
 いつか会った事があると記憶に残っていた。
 確か、冒険者パーティーに入っていた時に、エルレイム王国に寄ったことがあり、その時に王子であった彼と話をした事があったはずだ。

「あの時はお忍びだったからさ」

 ロイがにやにやしながら微笑んだ。

「ロイ、キミと出会えて俺は嬉しいよ」

「まぁな、それより、王国作っちまったんだな」

「キミこそ、国を再建したそうじゃないか」

「まぁ、お互い様だ。そんで、同盟結ばないか」

「そりゃー願ったりだけど」

 そこへ、1人の青年が歩いてやってきた。

 名前をガルフ・ライクド。
 リサイクルガチャスキルの持ち主であった。

「その同盟、俺も参加させてくれないか?」

「彼は?」

 ロイが尋ねると、ゴイルが事情説明していく。

「なるほど、異世界の扉から来たのか、氷の大地は寒かっただろう」

「まぁそうでもない」

 ガルフが頷き。

「そうだ。ヤマガルドについては聞いている、あれは俺達が倒し損ねた責任だ」

「問題が山住だな」

 ロイがそう呟くと。

 そこへ、空より1人の老人が降ってきた。
 本当にそのまんまに空から降ってきたのだ。

 大地に着地すると、彼はゴイルを見て、次にロイを見て、次にガルフを見て。

「さてと、ちょっとこい」

 老人はゆっくりと3人をゴミ王国の門の所まで案内した。

「まずはわしは、3老人が1人神速のルーム・クラフじゃ」

 3人がごくりと生唾を飲み込む。

「全ての世界を統合して5個のガチャスキルがあるとされている。それに選ばれた5名を探しておったのだが、神ガチャはあれはチートで例外じゃがな」

「あのー意味が分からないのですが」

「ゴミガチャ、リサイクルガチャ、レベルガチャ、貧乏ガチャ、クエストガチャ」

 老人がそう呟きながら。

「この5個のスキル持ちがいつも世界を狂わせるからわしがそれを見つけて殺すのが役目じゃった」

 その場が凍り付いた。

「じゃが、そうもいかぬようじゃのう」

 神速のルーム・クラフは不適に笑う。

「お前達の力が必用じゃから、取り合えず、感じた通りに生きれば良い、どうせ災厄はめぐってくるんじゃろうからのう、達者でな」

 そう言って老人は一瞬で消えた。

「どういう意味だ?」

 ゴイルが尋ねると、ロイが腕組みをしてガルフが剣に触って。

「まぁ、ぶっころしゃーいいんじゃね?」

「先程と態度が変わりすぎなんだが?」

「ロイ、彼はそう言う気質らしい」

「じゃあ、どうすっかは分からないけど、ゴミ王国は大分これで大丈夫だとして、俺達はどうすっかな」

「まぁ、ゆっくりしていってくれ、これから色々とゴミ王国を整理しないといけないから」

「そうさせてもらおうよ、色々と見学したいしね」

 ロイがふふふと笑いながあ、辺りを見回して興味深そうに眺めている。

 ロイが立ち去ると、ガルフが残り。

「キミがくれた領地、なんとかリサイクルガチャで発展させる事が出来た。1度失った仲間と民もガチャで戻す事が出来た」

「どうりで、バカでかくなったな、あの領地」

「今回の戦いに参加出来なくて申し訳ない」

「そりゃー良いさ」

「正確には何をどうしたらいいか分からなかった。敵味方がいりみだってどちらのミカタをすればいいかがだな」

「まぁ、今回ので、敵味方は分かったと思うから」

「まぁ、勉強にはなったな、さてと、こちらは魔王ヤマガルド討伐に向けて動くとしよう」

「こっちは伝説の勇者をなんとかしたい、それが復讐みたいなものだからな」

「そうか、俺達の未来は交差するかもな」

「だな」

 ゴイル、ロイ、ガルフ。
 3つのガチャスキル持ち達がそれぞれの道を歩もうとしていたのだが。


 エルレイム王国にて、ナルデラ、ザーコック、ピエロト、ジャン老人、ラガディは眼の前で震えているメロムメロカのダンジョンを眺めていた。

「なんかやばい気がするんだが?」

 ザーコックの問い掛けに、ナルデラが腕組みしている。

「ダンジョンブレイクか?」
「少し違うようだな」

 ジャン老人が槍を構えている。
 ラガディは小柄な体をいかして隙間から奥深くを見ようとしているが。

「うーむ暗くて、見えないな」

「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお」

 何かが猛然と走ってきた。

「敵かな、ひゃっはっはあ」

 ピエロトが笑うが。
 そこからやってきたのはおっさんが1名と女性が1名だけだった。

「ガチャで当てた奴等全員逝っちまったが、俺と女神フレイヤしか生き残れてねーし」

「あらま、勇者ラヴィ様は相当お疲れになっていますのね、皆死んだのではなく元の世界に戻っただけですわよ」

「るーせ」

「お、ここがハゲスダンジョンの最上階のようですね、攻略おめでとうございます」

「まじか、ってめちゃ強そうな奴等に取り囲まれているし」

「良い事を教えてあげましょう」

「それはなんでしょう、フレイヤ様」

「様はつけないでください、まず、彼等は敵ではないようですよ」


 ナルデラがおそるおそる前に進むと。
 勇者ラヴィと呼ばれたおっさんがこちらにやってくる。

「俺はナルデラだ。そちらは?」

「俺は勇者ラヴィだ。100人の村人を殺すためにやってきた」

「100人の村人ってなんなんだ?」

「そうだな、レベルが9999で、滅茶苦茶せこい奴等で、俺をはめてフルボッコにしたやつらだ」

「そ、そうか、出来ればメロムメロカのダンジョンの話を聞かせてくれ」

「ああ、いいぜ、俺達は最後のボスのレベル1兆の奴をぶっ倒した。本当に大変だったんだからなぁ」

「そ、そうか」

 ナルデラは、彼等がきっと頭でもおかしくなったのだろうと思ったのだが。

「ふぅ、アイテムボックスからこれをっと、神秘の秘剣と絶対の盾と終わりの槍とか、これつかえんのかよ」

「ちょ、ちょっとまて、それは、伝説級のアーティファクトだぞ」

 ラガディがモノクルの眼鏡を使って観察を始めていく。
 
「鑑定しても測定不能じゃ」

 勇者ラヴィはそこに突然ぶっ倒れた。

「あー彼、1年近くラスボスと戦ってたら、体力切れたのかもね」

「い、1年も戦ってたのか?」

「だから、さっきも言ったでしょ、敵はレベル1兆を超す物凄いラスボスだったって」

 ナルデラの脳裏に、それがどれくらい物凄いのか想像を絶するものであり、伝説級のアーティファクトを見せられては信じるしかなく。

「そうか、宿を用意しよう、後ほど話を聞かせてくれ」

「もちろんよ、私もくったくたでさ」

 女神フレイヤが勇者ラヴィを背負いながら運び出そうとしている。
 ナルデラはメロムメロカのダンジョンがハゲスダンジョンと呼ばれている事に不思議さを感じたのであった。







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