ガチャガチャ戦記~ブラックなスキル持ち達の解放戦争~

AKISIRO

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第67話 勇者ラヴィはレベル1億×100億

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 エルレイム王国の城の客間にて、勇者ラヴィはがっつがっつとトマト料理を平らげていた。

「それにしたって、なんでこんなにトマト料理ばっかりでるんでい」

「そうか、ジーバ執事長が持ってきた馬鈴薯と玉蜀黍があったな」

 ナルデラがそう呟くと、ジャン老人が馬鈴薯を蒸かして持ってきてくれた。
 それを勇者ラヴィはがっつがっつと食べていく。

「上品に食べれませんか? 勇者ラヴィ」

「うっせーもう何年もまともな料理食ってない気がしてんだよ、女神フレイヤもちゃんと食べないと絶対後悔するぞ」

「後悔はしませんわ、なぜならもう食べているからですわ」

「あっそ、ごっくん、で、なんでハゲスダンジョンを出たら、こんなよくわからない世界なんだ?」

「それはこちらも分からない事なんだが」

 すると、空間に亀裂そのものが入った。
 そこから金色の髪の毛をしたしわくちゃな老人が現れたではないか。
 その場の全員が臨戦態勢を取るのだが。

「まぁまぁて、わしは3老人が1人守衛のキリクじゃ、話をしに来た」

「3老人だと」

 そう反応したのはジャン老人だった。

「世界をまたにかけて暴れまわる伝説の3人だと聞いたことがあるのう」

 ラガディーが髭を撫でながらそう呟く。

「さてと、まぁ、勇者ラヴィよキミは簡単に言うと、下層から中層を超えて上層へとやってきたのさ、下層はハゲスダンジョンの地下深くで、中層がキミにとっての地上世界、そしてさらなる上層が、この別の地上世界という事だ」

「あーそういうの勘弁してくれ、頭はいい方じゃないからな」

「君が探す100人の村人だったかな? 彼等は中層を通り越して上層、つまりこの世界にやってきているのさ」

「ほほう、あいつらはフルボッコにしないと気が済まないんでな」

「まぁよい、わしは、それだけを伝えに来ただけじゃ、それと、リサイクルガチャ、ゴミガチャ、レベルガチャ、貧乏ガチャ、クエストガチャ、この5つは鍵となるから覚えておくように」

 そう言いながら、金髪の老齢の守衛キリクは異空間を通して消え去っていった。

「よくわからんが、トマトを食うぞおおおおおお」

 勇者ラヴィはひたすら食べ続けていた。

「ふぅ、お腹がいっぱいになった事だし、レベルでも確認すっかなー女神フレイヤ、今の俺のレベルはいくつだ」

「はい、ゼロを数えるのが面倒くさいので、1億×100億です」

「ふむーそれがよくわからない数字ではあるけど、まぁ良いか」

 ナルデラ達が目をきょとんとして驚愕の表情を浮かべているも。

「そうだ。ナルデラさん達、金貨があればガチャが出来るんだが、金貨くれね?」

「いや、働けや」

 ピエロトがそう言いながらげらげら笑っている。

「ふむーそうなんだよなー働かないといけないかーじゃあ仕事でも探しに旅に出るかな」

「いつでも戻って来いよ」

 ナルデラが朗らかに呟くが。

「そうだな、俺とあんたらきっとどこかで出会う気がするぜ」

 勇者ラヴィはアイテムボックスをぽんぽんと叩きながら。

「飯の借りはいつか必ず返してやるからよ」

 勇者ラヴィはにこやかに笑いながらその場を立ち去った。
 その背中を追いかけるようにして女神フレイヤ―がとぼとぼとついていった。
 一応、ナルデラ達に会釈をしてくれた。



 勇者ラヴィと女神フレイヤは周りを見渡す。

「それにしても、このエルレイム王国の住民は皆希望にあふれてるなー」

「それだけ、ロイという国王が良い人なのでしょうね、どこかの誰かさんと違って」

「フレイヤよそれは酷いたとえというものだ。俺に王の器はないよ、そもそも勇者だぜ、独りぼっちで、賢者はギャンブルに負けて奴隷になって、戦士と僧侶は子供作って、盗賊は俺のアイテムボックス盗んで。ハゲスダンジョンの最下層で生きてんだろうけどさ」

「だと良いですね」

「なんだよその意味深な発言はさ」

「確かにハゲスダンジョンのラスボスは倒したわ、沢山のガチャ品達を犠牲にしてね、まぁ元の世界に戻ったと思っていいのだろうけど、ただね、攻略したはずのダンジョンが今もエルレイム王国に残っている。それが謎なのよ、普通攻略されたダンジョンは消滅していくはずだもの」

「それもそうなんだが、あれじゃないか、ある種のここへの入口となってるから、残ってるのではないか?」

「その可能性も大きいわね、ハゲスダンジョンと呼ばれているけど本当は別な役割なのではないかしら」

「それはなんだろう」

「階層を昇るときに、沢山みかけたでしょう、機械の部品だったり、色々、まるで、そう、まるで乗り物のようだったわ、巨大な船のような」

「その可能性が高いとしてだ。その乗り物をどうするってんだよ」

「宇宙にでも旅立つんじゃないのかしら」

「まぁ、考え過ぎってもんだ。これから俺達は旅をして、また1から国でも作るか? いや国は面倒だ。ガチャで何か当てて、騎士団でも設立してやろうぜ、ガチャの騎士団だ」

「それも悪くないわね」

 女神フレイヤは優しく微笑んでくれていたが、銀色のきめ細かい髪の毛が、女神フレイヤの優しい感情を表しているようでもあり、時には冷たくなるぞという感情を表しているようだった。

 勇者ラヴィ。
 遥か地平線を見据える。
 その遥か地平線の先に何が待っていようとも。
 ただひたすら前へ前へと突き進む。
 目標は100人のレベル9999の村人をフルボッコする事。
 隣にはいつも突っ込み役の女神フレイヤ。
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