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第68話 全知全能ウィンター・トッド
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3老人の砦。
そこは全ての世界が繋がる箇所とされている。
3つの塔があり、真ん中に地下に続く階段が隠されている。
「何か……音が聞こえた気がした」
何かが扉を叩く音が聞こえた気がした。
だが、それは相当前の音だったかもしれない。
時の流れとは不思議なものだ。
だが、脳内に広がる盤には数名の人間がこちらに飛んできたのを知っている。
物凄い力で吹き飛ばされ沢山の人がその衝撃で死んでいる。
それでも生き残った彼等の名前はカイル・オリゲートとか、リラとかそう言ったもの達の様な気がする。
永遠とベッドに縛り付けられて眠る事すら出来ない。
頭の中には盤があり、幾多の世界の生命の動きを知覚する事が出来る。
どこに誰がいてとか、誰がこの世界に入って来てとか、どれくらい危険な生命が入ってきてしまったのかとか。
真・クロウガー、ヤマガルド、ライル・オリゲート、セフィロト、15大天使、タルタロス、七つの大罪。そして、遥か彼方から来る地球と呼ばれる怪物。
全てを知覚していても何もする事が出来ない。
それがウィンター・トッドという少年の生きる理由なのだから。
3老人は彼の事を奥の手と呼んだ。
だから、飲まず食わずでも生きていけるように魔法を施した。ホムンクルス状態と呼ばれるそれは、この塔から出たら消滅するという意味合いを持っている。
出る方法はホムンクルス状態から肉体を取り戻す事。
ただし、肉体は記憶の中に封じ込められておりそれを思い出す必要がある。
かつて友達がいた。16代将軍と呼ばれる人たち。
彼等はウィンターの事を主と呼んでくれた。帝王ラッドンそれが兄の名前。
彼等もこの近くに飛ばされている事を知覚している。
だが、彼等がここに辿り着く事が出来るのだろうか。
どうやって導けば良いのか。
ただ天に願いを捧げる事しかできない。
子供の頃、帝王ラッドンがウィンターの事を王にしてやると誓ってくれた事がある。
あれから何千年だろうか、どのくらいの期間人々の死を知覚して、人々の生命を感じて。
それの繰り返しだった。
涙などもう枯れてしまっている。
「なぁ、兄貴、俺はここにいるんだぜ」
「ダロウと思ったぜ」
その声が響いた時。
建物が吹き飛んだ。
そこにはかつて、失った友達がいた。
彼等はこちらを見て悠然と笑っていた。
「待たせたな若」
「まぁ、セフィロトの言いなりになったふりも大変だったがな」
「若を探す方法はこうやって輪廻転生するしかないんでさー」
「がっはっははあ」
「これが、セフィロトと約束を守る変わりの代価だ。俺達はセフィロトの為に働き、そしてお前の居場所を見つけて貰った。まぁライル・オリゲートが上手くここに飛ばしてくれる保障はなかったがな、セフィロトの絶対予知は使えるがあれは色々と面倒くさい条件があるらしいしな」
帝王ラッドンが涙を流していた。
ウィンター・トッドの記憶が塗り替わる。
記憶が生まれだす。
動き出す。体の記憶も取り戻す。
ホムンクルス状態から、フラスコの中に入っている場合ではないと教えてくれる。
それは塔の中の地下の中なのだけども。
でも果てしなく果てしなく。
心の鼓動を感じる。
「さぁてと」
ベッドがきしむ。
それは戒めなんかじゃない、それはある種のお守りだ。
体の記憶なんて、もう手に入れていたんだから。
「ウィンタラーそれが僕の名前だ」
立ち上がった。
雪のような真っ白い髪の毛。
背筋はまだ子供のようでありながら、大人びた視線。
帝王ラッドンがこちらを見てまだ涙を流している。
「流星ガキ、粉骨のヤリ、狂乱バルゼロ、闇丸道化師、包帯のミイラ、ゴーストセイガ、模型のバリー、死神のカラクリ、伝説おっさんのリギット、爆弾のオニ、賢者のリーチャン、小説家マハイ、無敵のマルハ、魔界王デンリン、そして帝王ラッドン、いや兄さん、あと裏切者だけど空箱のヴォルド、彼の事を許してあげて欲しい、彼も戻ってきているよ」
「そうか、それは許すしかないのかもしれないな」
ウィンタラーはふと周りを見回し、15将軍が全員無事で生きている事を確認したのちに。
「では、セフィロトを殺しにいこうじゃないか」
「我が弟ながらにそういうとは思っていたよ」
「兄貴はセフィロトに良いように扱われた、僕はそれが気に食わない」
「良いのか? 相手は絶対なる神だぞ、子供のような姿をしていて、簡単に人を殺せる」
「その為に、僕がいるんじゃないか、スキル:全知全能がね」
「違いない、だが、ここから、ファイガスタ帝国までの距離はとても遠いいぞ」
「その為の、15将軍だろう?」
「模型のバリー、僕の知識には地球に飛行機というものがあるんだが」
「ふふ、さすがは全知全能、その模型を出す事は出来るが、良いのか? この世界の均衡って奴が壊れるかもしれないぞ」
「バリー? もう君は出しているだろうし、もうこの世界は壊れかけている。均衡なんて気にする必要なんてないじゃないか、兄貴を良いように使ったセフィロトをぶちのめす。ただそれだけだ」
「だが、セフィロトにいいように使われないとお前を見つけることが叶わなかったんだけどな」
「それはそれこれはこれさ。さぁ、ウィンタラ―として僕は王になるよ、ファイガスタ帝国のね」
「それをサポートするのが」
【我ら15代将軍なり】
その日、3老人が封印していた1人の少年が旅に出た。
彼は15人の将軍を引き連れて、遥か遠くにあるファイガスタ帝国まで飛行機で発射した。
到着まで残り2日程度。
ウィンタラー
全知全能のスキル持ちであり。
どこまでも果てしなく、全ての世界の知識を持っている。
そして、全ての生命がどこにいるかを把握する事が出来る。
生きる世界マップと呼ばれる所以であり。
だが、ウィンタラ―には戦闘技術がない。
あるのは適格な頭脳と、膨大な知識であった。
そこは全ての世界が繋がる箇所とされている。
3つの塔があり、真ん中に地下に続く階段が隠されている。
「何か……音が聞こえた気がした」
何かが扉を叩く音が聞こえた気がした。
だが、それは相当前の音だったかもしれない。
時の流れとは不思議なものだ。
だが、脳内に広がる盤には数名の人間がこちらに飛んできたのを知っている。
物凄い力で吹き飛ばされ沢山の人がその衝撃で死んでいる。
それでも生き残った彼等の名前はカイル・オリゲートとか、リラとかそう言ったもの達の様な気がする。
永遠とベッドに縛り付けられて眠る事すら出来ない。
頭の中には盤があり、幾多の世界の生命の動きを知覚する事が出来る。
どこに誰がいてとか、誰がこの世界に入って来てとか、どれくらい危険な生命が入ってきてしまったのかとか。
真・クロウガー、ヤマガルド、ライル・オリゲート、セフィロト、15大天使、タルタロス、七つの大罪。そして、遥か彼方から来る地球と呼ばれる怪物。
全てを知覚していても何もする事が出来ない。
それがウィンター・トッドという少年の生きる理由なのだから。
3老人は彼の事を奥の手と呼んだ。
だから、飲まず食わずでも生きていけるように魔法を施した。ホムンクルス状態と呼ばれるそれは、この塔から出たら消滅するという意味合いを持っている。
出る方法はホムンクルス状態から肉体を取り戻す事。
ただし、肉体は記憶の中に封じ込められておりそれを思い出す必要がある。
かつて友達がいた。16代将軍と呼ばれる人たち。
彼等はウィンターの事を主と呼んでくれた。帝王ラッドンそれが兄の名前。
彼等もこの近くに飛ばされている事を知覚している。
だが、彼等がここに辿り着く事が出来るのだろうか。
どうやって導けば良いのか。
ただ天に願いを捧げる事しかできない。
子供の頃、帝王ラッドンがウィンターの事を王にしてやると誓ってくれた事がある。
あれから何千年だろうか、どのくらいの期間人々の死を知覚して、人々の生命を感じて。
それの繰り返しだった。
涙などもう枯れてしまっている。
「なぁ、兄貴、俺はここにいるんだぜ」
「ダロウと思ったぜ」
その声が響いた時。
建物が吹き飛んだ。
そこにはかつて、失った友達がいた。
彼等はこちらを見て悠然と笑っていた。
「待たせたな若」
「まぁ、セフィロトの言いなりになったふりも大変だったがな」
「若を探す方法はこうやって輪廻転生するしかないんでさー」
「がっはっははあ」
「これが、セフィロトと約束を守る変わりの代価だ。俺達はセフィロトの為に働き、そしてお前の居場所を見つけて貰った。まぁライル・オリゲートが上手くここに飛ばしてくれる保障はなかったがな、セフィロトの絶対予知は使えるがあれは色々と面倒くさい条件があるらしいしな」
帝王ラッドンが涙を流していた。
ウィンター・トッドの記憶が塗り替わる。
記憶が生まれだす。
動き出す。体の記憶も取り戻す。
ホムンクルス状態から、フラスコの中に入っている場合ではないと教えてくれる。
それは塔の中の地下の中なのだけども。
でも果てしなく果てしなく。
心の鼓動を感じる。
「さぁてと」
ベッドがきしむ。
それは戒めなんかじゃない、それはある種のお守りだ。
体の記憶なんて、もう手に入れていたんだから。
「ウィンタラーそれが僕の名前だ」
立ち上がった。
雪のような真っ白い髪の毛。
背筋はまだ子供のようでありながら、大人びた視線。
帝王ラッドンがこちらを見てまだ涙を流している。
「流星ガキ、粉骨のヤリ、狂乱バルゼロ、闇丸道化師、包帯のミイラ、ゴーストセイガ、模型のバリー、死神のカラクリ、伝説おっさんのリギット、爆弾のオニ、賢者のリーチャン、小説家マハイ、無敵のマルハ、魔界王デンリン、そして帝王ラッドン、いや兄さん、あと裏切者だけど空箱のヴォルド、彼の事を許してあげて欲しい、彼も戻ってきているよ」
「そうか、それは許すしかないのかもしれないな」
ウィンタラーはふと周りを見回し、15将軍が全員無事で生きている事を確認したのちに。
「では、セフィロトを殺しにいこうじゃないか」
「我が弟ながらにそういうとは思っていたよ」
「兄貴はセフィロトに良いように扱われた、僕はそれが気に食わない」
「良いのか? 相手は絶対なる神だぞ、子供のような姿をしていて、簡単に人を殺せる」
「その為に、僕がいるんじゃないか、スキル:全知全能がね」
「違いない、だが、ここから、ファイガスタ帝国までの距離はとても遠いいぞ」
「その為の、15将軍だろう?」
「模型のバリー、僕の知識には地球に飛行機というものがあるんだが」
「ふふ、さすがは全知全能、その模型を出す事は出来るが、良いのか? この世界の均衡って奴が壊れるかもしれないぞ」
「バリー? もう君は出しているだろうし、もうこの世界は壊れかけている。均衡なんて気にする必要なんてないじゃないか、兄貴を良いように使ったセフィロトをぶちのめす。ただそれだけだ」
「だが、セフィロトにいいように使われないとお前を見つけることが叶わなかったんだけどな」
「それはそれこれはこれさ。さぁ、ウィンタラ―として僕は王になるよ、ファイガスタ帝国のね」
「それをサポートするのが」
【我ら15代将軍なり】
その日、3老人が封印していた1人の少年が旅に出た。
彼は15人の将軍を引き連れて、遥か遠くにあるファイガスタ帝国まで飛行機で発射した。
到着まで残り2日程度。
ウィンタラー
全知全能のスキル持ちであり。
どこまでも果てしなく、全ての世界の知識を持っている。
そして、全ての生命がどこにいるかを把握する事が出来る。
生きる世界マップと呼ばれる所以であり。
だが、ウィンタラ―には戦闘技術がない。
あるのは適格な頭脳と、膨大な知識であった。
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