ガチャガチャ戦記~ブラックなスキル持ち達の解放戦争~

AKISIRO

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第69話 伝説を巻き戻せ

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 幼い頃、国の王となった。
 王となった時、隣国が攻めてきた。だから滅ぼした。
 また隣国が攻めてきた。また滅ぼした。
 何度も何度もそれを繰り返していった。
 そうすると、自分に付き従ってくれていた人たちが1人また1人と死んでいった。
 涙を流して嘆いていた気がする。
 それでも終わる事のない戦争。
 いつしかこの世界を統一していた。
 だが平和は訪れない。
 内乱がはじまる。
 さらに別の世界からも人がやって来てまた争いが生まれる。 
 ライル・オリゲートは若い頃に絶望して死んだ。
 だが、今、ライル・オリゲートはなぜかよく分からないが全員が化物に見える。
 生き物全てが化物に見える。

 だから、パリィで弾くしかない。
 弾いて弾いて弾きまくるしかない。
 そうすれば、化物は遥か地平線の先で死んでくれるはずだからだ。

 巨大な船?
 いや巨大な化物。
 巨大な城?
 いや巨大な化物。

 あの巨大な化物を倒す方法がない。
 いくらパリィで弾こうとも建物を吹き飛ばす事が出来ない。
 いや建物なのだろうか?
 化物だろう?

 空を飛ぶ化物から人がぱらぱらと降りてくる。
 いや化物がばらばらと降りてくる。
 きっとこちらに攻撃してくるだろうから、パリィを使って吹き飛ばしてやろう。

 なぜか、分からない。
 その化物を見た時、いつか見た自分の息子、いや赤子の息子にしか見えなかった。
 だがそれは唐突に化物になり替わってしまう。

「はて? みな化物にしか見えぬが」

「だからよ、お前、ライル・オリゲートだから、俺はお前の子孫だから」

「はて? 我には子供はいたが、そんな化物ではない」

「いや、無駄だろうな」

「なぜだ、王者ラバーン」

「恐らく、奴には我ら全員が化物に見えているのだろうな、ここはまかせろ、これでも不老長寿の酒を飲んだ男だ。そう簡単には死なない」

「まぁまて、飛ばされたら何もかも終わるぞ、だから少数精鋭で相手しようって作戦だったんだろうさ」

「先程から化物がうるさい、今殺してやる」

 ライル・オリゲート、レベル99999が動き出す。
 大地が揺れ動き、のっそりと地面に足跡を陥没させながら。
 ドシンドシンと脈動させながら。
 大地を蹴った瞬間、爆発するかのように大地が吹き飛んだ。

 化物の1人に攻撃が当たらなかった。
 そいつはぎりぎりのラインで避けるという事をした。
 その後方から先程不老長寿を飲んだとされる化物が細長い棒で体を押さえつけようとしてくる。

「グレイドル!」

 その声と共に、空より何かが飛翔してくる。
 それは化物ではなくドラゴンであった。

「ドラゴン?」

「どうやら、モンスターとかは逆に化物に見えずにドラゴンはドラゴンに見えるらしい」

 何かさっきの攻撃を避けた化物が叫んでいる。
 
「手はあるのか」

 空に無数の箱が浮いている。
 そこに1人の化物が立っている。

「ライル・オリゲートを説得する方法はドラゴンだ。ドラゴンが話せればなんとか、王者ラバーンなんとかならんか」

「何とかして見せるさ」

 化物がドラゴンに乗った。
 それだけでも異様な光景なのに。 
 ドラゴンと化物が融合していく。
 そして、ドラゴンそのものが化物にはならずにドラゴンのままであった。

「おおい、聞こえるか、俺はドラゴンだ」

「ほう、昔のドラゴンは話をしたと聞いたことがあるが」

「話を聞いてくれるか」

「まぁ、聞いてよいが、あそこにいる化物どもを掃除してからだな」

「そっちは放っておいてくれ」

「なぜ?」

「後で掃除するからだ」

「そうか、なら、ドラゴンよなぜ、話をしたい」

「まず、名前はグレイドルだけど、中身は王者ラバーンだ。人間だ」

「ほう、先程の化物か、だが、ドラゴンの姿をしているから信用しよう」

「こちらは、まったく、ライル・オリゲートと戦うつもりはないという事だけを証明したい」

「なぜ、戦わぬ」

「この世界がそれどころじゃなくなってるからだ」

「まぁ、とんでもない化物はいくつか見かけてきたが」

「そうだ。それでだ。お前の遠いい孫であるカイル・オリゲートがいるんだが、ライルから見たら化物のようにしか見えてない。良いかお前は、現在モンスター以外を化物としか認識できていない」

「どおりでな」

「だから、攻撃するのをやめてくれ、その正気を失った状態を解く方法があるはずだ。頼むから目隠しをして、行動してくれないか、ライル・オリゲートなるものなら目が見えなくても行動に支障がないはずなんだ」

「良いじゃロウ、だが不信な動きをしたら即座に殺すからな」

「それは気を付けよう」

 ライル・オリゲートは白い布のようなもので目を隠していく。

「すまん、ライル。俺はカイル・オリゲートだ」

「遠いい子孫よ、申し訳ない事をしたな」

「まず、ライルの正気を失った状態を解放する方法を探す。じゃないとこっちもクエストガチャが出来ない」

「クエストガチャ?」

「そういうスキルがあるってだけだ」

「なるほどな、我のパリィと似ているところもあるのかもしれないな」

 ライルはゆっくりと歩く。
 目で見えなくても、どこに何があり、どのような気配を持っているのか知覚する事が出来る。
 それは歴戦の猛者だからこそ出来る芸当でもあり。
 果てしなく、どこまでもどこまでも修練を続けた人物でしか習得出来ない技術もであったのだ。

 その日、ファイガスタ帝国は滅びずには済んだ。
 





















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