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第二十六章
第百十六話:鎮魂歌(6)
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投稿が不定期で申し訳ありません。
最後の方になると、なかなか内容がまとまらず難産でした。
********************************************
◇
自爆音が聞こえてから一時間も経過して、初めて首が届いた。しかも、3本同時にという素晴らしい成果だ。
その達成者はなんと!! 私の可愛い教え子である三人組だった。この三人より実力の高い冒険者も居た。ギルド幹部の子息も交えれば間違いなく下から数えた方が早い実力なのに・・・素晴らしい。
その手口は実に鮮やかである。
「流石に、その発想は無かった」
本当に褒めてやりたい。
「これも先生の教育のおかげです。最小の努力で最大の成果・・・これが私達三名が考え出した方法です」
この三名・・・この会議室がある部屋の少し手前に勝手に受け付けを作り上げて、『お疲れ様です。こちらにお名前と首名をお書きください。首は、我々がお届け致しますので隣の待合室でお待ちください。飲み物と簡単なお食事を用意しております』といって見事に首を巻き上げたのだ。
しかも、厨房を占拠している蟲達に手土産まで持ってきて毒入りの飲み物や料理を用意させたのだ。最初の達成者であるはずの首を持ってきたギルド幹部の子息達を見事に毒殺している。死体も蟲達のランチとして提供するあたり本当に見込みのある連中だ。
「どのような方法をとっても構わないさ。首を安置した者こそ達成者だ。では、報酬を渡そう。一代貴族を選ぶ場合には、どちらの国がよいか言うが良い。金の場合は、些か大金になるので希望する時間と場所で引き渡そう。即金で渡すのは持ち合わせが無いので、換金用の貴金属でよければ数億程度を前金で渡そう」
いくら私がお金持ちだとは言え数百億単位のお金を持ち歩くことは無い。実家に帰れば、ギルドから巻き上げたお金が掃いて捨てるほどあるのだがね。
「私達三名は、『神聖エルモア帝国』の一代貴族と現金100億セルを望みます」
「分かった。直ぐに、手配しよう。色々と、サインして貰うことになるから待合室で待っているが良い。私の可愛い蟲達がもてなしてくれよう」
モキュ(えー、本日の案内役を務めます絹毛虫です。ささ、私の後に付いて・・・って、誰ですか持ち上げるのは!! あら、貴方は!?)
「きゃーー、プレートなんて掲げて可愛い!! 先生、この子を私にください」
「あぁ? この私と一戦交えて、一撃でも攻撃を当てることが出来ればいいだろう」
冗談を交えて言ったつもりだが、絹毛虫ちゃんを抱きしめて真っ青な顔をしている。・・・あっ、思わず魔力を乗せてしまったか。この私とした事が力んでしまった。
でも、君達も悪いんだぞ。私の可愛い絹毛虫ちゃんをくださいなんて言うから、思わず『娘が欲しくば、この私を倒してからにしてもらおうか』と言いたくなるだろう。
「せ、先生!! 仲間が失礼いたしました」
「申し訳ありません」
ズゴン
神速の土下座であった。しかも、本気で床に頭を叩きつけており、非常に良い音が響いた。お陰で、どれだけ誠意がこもっていたかよく分かる。
「いいや、気にするな。こちらも反射的に魔力を込めてしまったからね。ゆっくり休むと良い・・君達の安全はこの私が保証しよう」
此度の達成者である君達に報酬を渡すまではこの私の責任で安全を守る義務がある。どのような方法をとったにせよ、私の依頼をこなしたのだ。よって、ここからは私が約束を守る番である。
さて、次に首を持ってくるのは誰だろうね。
・・・・・・・・・
・・・・・・
・・・
ピッピ(ご報告致しますお父様。残り届いていない首の数は5名になります。その内、2本の所在は確認が取れております。ゼルシアとルーシアという者達が狙っていた首になります)
ピーー(残りの2本は・・・自爆に巻き込まれて瓦礫に埋もれてしまっております。現在、ステイシスを筆頭に数十匹の蟲達が掘り起こしておりますのでしばらくお待ちください)
「でかい口を叩いていた割に、こんなに時間をかけるとはね・・・ゼルシア君とルーシア君には失望したよ。やはり、私の手で改造を施さなければ難易度が高かったという事なのだろうか」
この私が自ら改造した者達の成功率は非常に高かった。人間では不可能な動きを再現し、たとえ体半分を失っても動けるほどの強靱な肉体に仕上げたのだ。更に、血縁的に近しい者の肉を食べることで体は再生する優しさ溢れる作りにしてあげている。無論、対価として人である部分がどんどん削られて、蟲へと変化していく。
だから、私は首だけ持ってくればいいと優しいプランを提示したのさ。例えダメージを負ってもその場で回復する事が可能なようにね。
ギギ(そうですよね。お父様の手によって生まれ変わった者達は涙を流しながら首を持ってきましたから、余程うれしかったのでしょう・・・生き残れることが)
「ゼルシア君とルーシア君がしくじった場合も考えて、まだ首が持ってこれていない冒険者や幹部の子息達に情報をリークしなさい。後、所在が不明になった1名は誰だ?」
正直に言えば、ある程度予想は付いている。
ピー(キース・グェンダルになります。あの者だけが、地下通路から逃げずに我々の監視から逃れて逃亡しました。現在、捜索中です)
悪い意味で予想通りだ。
「だが、私の蟲達の監視網から逃げ切った。更に言えば、それ以降見つかっていないとなれば簡単だ・・・見失った場所から察するに逃げ込んだのだよ。この『アームズフェント』にある迷宮にな」
迷宮という逃げ場の無い場所に逃げ込む事などあり得ないと普通なら考える。だが、だからこそ盲点になるのだ。
モナ(直ぐに迷宮入り口を封鎖致します。それから、ステイシス大隊を低層に派遣して虱潰しで探索してまいります)
人間誰にも得手不得手があるように蟲達にもある。ステイシスの戦闘力は非常に高いが・・・ギルド幹部が極めて高度な変装をしていた場合やステイシスの知覚を上回る精度で隠密行動を行える場合には見逃す可能性もある。かといって、索敵に優れた蟲は、戦闘力が低い。私が敵ならば、索敵に優れた弱い蟲から始末するだろうね。
私の記憶が確かなら中々の腕前の魔法使いがキース・グェンダルの側近で居た。ジュラルドには劣るが、この私が目を凝らさなければ分からない程の精密な魔法を使っていた。それに、キース・グェンダル自身の能力も決して低くは無いであろう。
よって、負けないであろうが蟲達への被害の規模がわからない。
「入り口だけ封鎖すれば構わない。ここの迷宮はギルドの不正の温床だ。何が仕掛けられていても不思議じゃ無い。この私自らでよう」
あそこは、レベリング牧場や赤子すり替えで攫ってきた者達を育てる育成場所にもなっているのでそれなりの戦力が揃っている。だが、私の障害になり得るほどの戦力があるとも思えないね。
ドン
席を立とうとした時に、会議室の扉が開けられた。全身傷だらけで、片腕が無いゼルシア君が生首だと思われる袋を二個ぶら下げて、ルーシア君を背負っている。その背負われているルーシア君は、背中からざっくりと切られた傷があり出血死もまもなくであろうと言えるほどの状況だ。
ふーーん、なるほどね。
「はぁはぁ・・・どういう事だあぁぁぁ!! 」
「何がかね?ゼルシア君」
「ふざけるな!! 俺達を襲ってきた冒険者についてだ。最初から約束なんぞ守る気がなかったのだろう」
「冒険者については私がギルド幹部が賞金首になっている事を教えてあげて、移動経路や護衛の情報をリークしただけだ。後、ちゃんと約束は守るぞ。現に、隣の控え室には君のお仲間である子息達が何名かいる。まぁ、既に人であるかは微妙なところだがね」
首を持ってこの場に来た幹部の子息達の中は既に人の域を外れている者もいる。融合した蟲の力に頼りすぎた事と肉体を再生させる為に血肉を食らった事が主な原因だ。そのお陰で生きてここにこれたのだがね。
「くっそったれが!! 」
「あぁ、そうそう・・・私に対して悪口を言う余裕なんて無いと思うぞ」
なんせ、君達は襲ってきた冒険者を撃退又は始末したと思っているだろうが・・・甘いね。ルーシア君を絶妙に殺さずに戦闘不能にし、君が衰弱するのを待っている者達がいるのだからさ。
ズシャリ
廊下の先から人影が出てきて腕を振るった。その瞬間、ゼルシア君とルーシア君が綺麗に真っ二つになった。対象まで10m以上もあるのに魔法では無く、物理的な攻撃で切断したのだ。
利用された武器は、ガイウス皇帝陛下に献上した筈の瀬里奈ウエポンの一つ蛇腹剣だ。ロマン武器が故に使い手を選ぶ者である。ちなみに、私はセンスが無かった。モンスターを刻む前に自分が刻まれてしまってたという恥ずかしい過去がある。
「首を安置するまでが勝負だというのに気を抜くとは冒険者として二流ですかね」
男女二名組の冒険者・・・私が最初に交渉を持ちかけた者達だ。男の方は珍しい無手の使い手だ。実を言うと私も無手なので親近感がわく。まぁ、そんな事より女性の方が問題なのだ。
最初に交渉を持ち掛けた時は、正直驚いたよ。
いくら、次期皇帝が決定したからといってこのような場所で会う人物ではないからな。女性の冒険者は何を隠そう・・・『神聖エルモア帝国』のガイウス皇帝陛下の長女に当たるエヴァ様だ。
出会った際は、思わず頭を垂れるところだったが止められた。
『神聖エルモア帝国』に残っていても良かったのだが・・・次期皇帝が決定して以上、無用ないざこざが起きないようにするために国を出たらしい。確かに、次期皇帝の身に何かあればエヴァ様が繰り上げ皇帝になるだろうし、それを警戒してエヴァ様を暗殺に走る輩も居るだろう。
というのは、表向きな理由。
事実は・・・エヴァ様は国の為に生涯を捧げる覚悟もあり、いつかは国内の誰かに嫁ぐものだと非常に立派なお考えをお持ちでいた。ガイウス皇帝陛下もその予定で色々動かれていたのだが、有るとき歯車が狂ったらしい。
昨今は・・・『儂の義理の息子ともいえるいい男が居る!! だが、身持ちが固くお前を嫁がせることは出来ないだろう。その年まで婚約もさせることが出来ずにすまなかった』とガイウス皇帝陛下に言われたらしい。
・・・・・・・・・これ、私悪くないよ!! 絶対だからね!! お願いだからそんな目で私を見ないでくれ。だって、仕方が無いじゃん。他に好きな人がいるんだからさ!!
この世界標準でいかず後家と言われる年までエヴァ様が未婚なのは私が原因じゃない・・・よね!? 確かに、ガイウス皇帝陛下から押し倒しても構わんと猛プッシュを受けていたよ。だけど、もうお嫁さん二人もいる私にこれ以上どうしろと!!
よって、自力で女の幸せをつかむ旅に出たそうだ。当然、ガイウス皇帝陛下もそれを応援して選別に瀬里奈ウェポンを託したそうだ。ちなみに、そこら辺の事は相方だと思われる男性冒険者には伏せているらしい。
身分の高い男性が素性を隠して一般の女性と恋に落ちる話はこの世界でもよくあるシンデレラストーリーの一つだ。だが、ソレの真逆をやる破天荒な性格は、ガイウス皇帝陛下にそっくりだと思う。目元も似ているしね。
「獲物が弱るまでジワジワと嬲り殺しといったところかね。まぁ、気を抜いたこの者達が愚かだったというだけさ。さて、報酬の件だが・・・一代貴族を望まない場合には、追加で100億出す。まぁ、他でもいいがね。色々と迷惑をかけていたようだから」
男の方は素性は知らないが・・・エヴァ様が見つけた男だから、いい男なのだろう。悪い男に引っかかるほど愚かでは無い。というか、ガイウス皇帝陛下からエヴァ様に男がいるなんて聞いたこと無いぞ。もしかして、後から私が報告しないといけないのか。
嫌だなその役目。
第一声でなんと言われるか想像も付かない・・・事もないな。きっと、『なんだと!! そいつは一大事だ。どこの馬の骨か分からない奴に娘を渡せるか。殴り込みにいくぞレイア!!』って流れになる気がする。完全に部外者である私も巻き込まれると見て間違いないだろう。
「報酬の件は、エヴァに一任するよ」
「ありがとうクロイツ。えっと、追加報酬で私達を鍛えてもらうのはあり?」
面倒な希望だな。こういう漠然とした報酬を望まれるとこちらとしても困る。鍛えたところでそれが身につくとは限らないし・・・エヴァ様を物理的に傷物にしたらガイウス皇帝陛下に恨まれそうで怖い。
「十分実力はあるように感じますけどね。ちなみにどの程度になるまで?」
「あーー、ほら・・・私の父が『娘が欲しければ、儂を倒してからにしてもらおう』とか言い出しそうでしょ。できれば、そのあたりまで」
よく分かってるじゃ無いか。
だが、エヴァ様も冒険者としてある程度の力量があるからこそ・・・ガイウス皇帝陛下の実力を理解しているはずだ。数年で届く領域には居ない。ガイウス皇帝陛下の冒険者歴は長い。それに密度も非常に高い。『神聖エルモア帝国』でも上から数えた方が強い程の実力を持っている。
「なるほど。貴方程の冒険者に鍛えて貰えるのならば、エヴァのお父上を倒せる望みがでてきそうです。聞けば相当な実力者のようで」
クロイツと呼ばれている冒険者・・・エヴァ様のお父上がガイウス皇帝陛下としったらどんな顔をするか楽しみだ。だが、考えようによっては私は自らの手でガイウス皇帝陛下の敵を育てるのに手を貸すと言うことにならないだろうか。
これは、ガイウス皇帝陛下の臣下として重大な裏切り行為ではないだろう。でも、私が言い出した報酬且つ陛下のお子様からのお願いとなってはね・・・いい女の手助けをするのは紳士の勤めというガイウス皇帝陛下のありがたいお言葉もあるし、仕方が無い。多少手助けは、許されるであろう。
「この私自ら三ヶ月付きっ切りで鍛えてやろう。『モロド樹海』での三ヶ月間ブートキャンプだ。それでどこまで成長するかは君達次第・・・運が良ければ、一撃くらい良い攻撃を与えられる程度にはなれるであろう」
「ソレで構わないわ。クロイツもそれでいいわよね」
「問題ないさエヴァ。日取りなどは全て一任致しますのでご都合が良い時期にお願いします」
二人はそれぞれ首を持ち上げて、指定した座席に安置した。これにより、一名の幹部と瓦礫に埋もれた二名を除き全員の首が出そろった。
「あぁ、スケジュールを作成した後に展開しよう。では、隣の待合室で待っていてくれ・・・こちらは少し野暮用で席を外す。何か重大な問題が起こった場合には、ここに居る蟲達の指示に従ってくれ、待避するように」
「えぇ・・・後、いつも頂いている香水など一式余っていましたら売っていただけませんか?」
定期的にガイウス皇帝陛下にお届けしている蟲印のお化粧セットの事であろう。家を出たエヴァ様が入手する事は難しいだろうね・・・あれは、蟲カフェに来た人や私が懇意にしている人にしか渡していない非売品だ。
「生憎売り物でないので、今回だけは特別に譲ろう。後ほど、届けさせる。次回からは、私が経営している蟲カフェに来ると良い。そこのスタンプ景品で用意している」
蟲達が地図と招待状をその場で書き上げて二人に渡した。それをみて、この営業日が短いですねとさりげなく文句を言われた。仕方が無いだろう・・・趣味の副業でやっていることなのだからさ。
ガイウス皇帝陛下の元には定期的にお届けしているので・・・定期的に、実家に帰って問題は解決する。
「ありがとうございます。必ず伺わせていただきます。それでは、また後ほど」
待合室に向かった二人を見送った。
では!! 私も動くとしよう。ギルド幹部の残数から考えるに、この都市の包囲は必要ないだろうから郊外に展開している全員回収した後に迷宮へと出陣する。後、万が一のために保険もかけておこう。
「久しぶりの迷宮だ・・・楽しませてくれよ」
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ギルド幹部ブチ殺し隊の出陣です。
最後の方になると、なかなか内容がまとまらず難産でした。
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自爆音が聞こえてから一時間も経過して、初めて首が届いた。しかも、3本同時にという素晴らしい成果だ。
その達成者はなんと!! 私の可愛い教え子である三人組だった。この三人より実力の高い冒険者も居た。ギルド幹部の子息も交えれば間違いなく下から数えた方が早い実力なのに・・・素晴らしい。
その手口は実に鮮やかである。
「流石に、その発想は無かった」
本当に褒めてやりたい。
「これも先生の教育のおかげです。最小の努力で最大の成果・・・これが私達三名が考え出した方法です」
この三名・・・この会議室がある部屋の少し手前に勝手に受け付けを作り上げて、『お疲れ様です。こちらにお名前と首名をお書きください。首は、我々がお届け致しますので隣の待合室でお待ちください。飲み物と簡単なお食事を用意しております』といって見事に首を巻き上げたのだ。
しかも、厨房を占拠している蟲達に手土産まで持ってきて毒入りの飲み物や料理を用意させたのだ。最初の達成者であるはずの首を持ってきたギルド幹部の子息達を見事に毒殺している。死体も蟲達のランチとして提供するあたり本当に見込みのある連中だ。
「どのような方法をとっても構わないさ。首を安置した者こそ達成者だ。では、報酬を渡そう。一代貴族を選ぶ場合には、どちらの国がよいか言うが良い。金の場合は、些か大金になるので希望する時間と場所で引き渡そう。即金で渡すのは持ち合わせが無いので、換金用の貴金属でよければ数億程度を前金で渡そう」
いくら私がお金持ちだとは言え数百億単位のお金を持ち歩くことは無い。実家に帰れば、ギルドから巻き上げたお金が掃いて捨てるほどあるのだがね。
「私達三名は、『神聖エルモア帝国』の一代貴族と現金100億セルを望みます」
「分かった。直ぐに、手配しよう。色々と、サインして貰うことになるから待合室で待っているが良い。私の可愛い蟲達がもてなしてくれよう」
モキュ(えー、本日の案内役を務めます絹毛虫です。ささ、私の後に付いて・・・って、誰ですか持ち上げるのは!! あら、貴方は!?)
「きゃーー、プレートなんて掲げて可愛い!! 先生、この子を私にください」
「あぁ? この私と一戦交えて、一撃でも攻撃を当てることが出来ればいいだろう」
冗談を交えて言ったつもりだが、絹毛虫ちゃんを抱きしめて真っ青な顔をしている。・・・あっ、思わず魔力を乗せてしまったか。この私とした事が力んでしまった。
でも、君達も悪いんだぞ。私の可愛い絹毛虫ちゃんをくださいなんて言うから、思わず『娘が欲しくば、この私を倒してからにしてもらおうか』と言いたくなるだろう。
「せ、先生!! 仲間が失礼いたしました」
「申し訳ありません」
ズゴン
神速の土下座であった。しかも、本気で床に頭を叩きつけており、非常に良い音が響いた。お陰で、どれだけ誠意がこもっていたかよく分かる。
「いいや、気にするな。こちらも反射的に魔力を込めてしまったからね。ゆっくり休むと良い・・君達の安全はこの私が保証しよう」
此度の達成者である君達に報酬を渡すまではこの私の責任で安全を守る義務がある。どのような方法をとったにせよ、私の依頼をこなしたのだ。よって、ここからは私が約束を守る番である。
さて、次に首を持ってくるのは誰だろうね。
・・・・・・・・・
・・・・・・
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ピッピ(ご報告致しますお父様。残り届いていない首の数は5名になります。その内、2本の所在は確認が取れております。ゼルシアとルーシアという者達が狙っていた首になります)
ピーー(残りの2本は・・・自爆に巻き込まれて瓦礫に埋もれてしまっております。現在、ステイシスを筆頭に数十匹の蟲達が掘り起こしておりますのでしばらくお待ちください)
「でかい口を叩いていた割に、こんなに時間をかけるとはね・・・ゼルシア君とルーシア君には失望したよ。やはり、私の手で改造を施さなければ難易度が高かったという事なのだろうか」
この私が自ら改造した者達の成功率は非常に高かった。人間では不可能な動きを再現し、たとえ体半分を失っても動けるほどの強靱な肉体に仕上げたのだ。更に、血縁的に近しい者の肉を食べることで体は再生する優しさ溢れる作りにしてあげている。無論、対価として人である部分がどんどん削られて、蟲へと変化していく。
だから、私は首だけ持ってくればいいと優しいプランを提示したのさ。例えダメージを負ってもその場で回復する事が可能なようにね。
ギギ(そうですよね。お父様の手によって生まれ変わった者達は涙を流しながら首を持ってきましたから、余程うれしかったのでしょう・・・生き残れることが)
「ゼルシア君とルーシア君がしくじった場合も考えて、まだ首が持ってこれていない冒険者や幹部の子息達に情報をリークしなさい。後、所在が不明になった1名は誰だ?」
正直に言えば、ある程度予想は付いている。
ピー(キース・グェンダルになります。あの者だけが、地下通路から逃げずに我々の監視から逃れて逃亡しました。現在、捜索中です)
悪い意味で予想通りだ。
「だが、私の蟲達の監視網から逃げ切った。更に言えば、それ以降見つかっていないとなれば簡単だ・・・見失った場所から察するに逃げ込んだのだよ。この『アームズフェント』にある迷宮にな」
迷宮という逃げ場の無い場所に逃げ込む事などあり得ないと普通なら考える。だが、だからこそ盲点になるのだ。
モナ(直ぐに迷宮入り口を封鎖致します。それから、ステイシス大隊を低層に派遣して虱潰しで探索してまいります)
人間誰にも得手不得手があるように蟲達にもある。ステイシスの戦闘力は非常に高いが・・・ギルド幹部が極めて高度な変装をしていた場合やステイシスの知覚を上回る精度で隠密行動を行える場合には見逃す可能性もある。かといって、索敵に優れた蟲は、戦闘力が低い。私が敵ならば、索敵に優れた弱い蟲から始末するだろうね。
私の記憶が確かなら中々の腕前の魔法使いがキース・グェンダルの側近で居た。ジュラルドには劣るが、この私が目を凝らさなければ分からない程の精密な魔法を使っていた。それに、キース・グェンダル自身の能力も決して低くは無いであろう。
よって、負けないであろうが蟲達への被害の規模がわからない。
「入り口だけ封鎖すれば構わない。ここの迷宮はギルドの不正の温床だ。何が仕掛けられていても不思議じゃ無い。この私自らでよう」
あそこは、レベリング牧場や赤子すり替えで攫ってきた者達を育てる育成場所にもなっているのでそれなりの戦力が揃っている。だが、私の障害になり得るほどの戦力があるとも思えないね。
ドン
席を立とうとした時に、会議室の扉が開けられた。全身傷だらけで、片腕が無いゼルシア君が生首だと思われる袋を二個ぶら下げて、ルーシア君を背負っている。その背負われているルーシア君は、背中からざっくりと切られた傷があり出血死もまもなくであろうと言えるほどの状況だ。
ふーーん、なるほどね。
「はぁはぁ・・・どういう事だあぁぁぁ!! 」
「何がかね?ゼルシア君」
「ふざけるな!! 俺達を襲ってきた冒険者についてだ。最初から約束なんぞ守る気がなかったのだろう」
「冒険者については私がギルド幹部が賞金首になっている事を教えてあげて、移動経路や護衛の情報をリークしただけだ。後、ちゃんと約束は守るぞ。現に、隣の控え室には君のお仲間である子息達が何名かいる。まぁ、既に人であるかは微妙なところだがね」
首を持ってこの場に来た幹部の子息達の中は既に人の域を外れている者もいる。融合した蟲の力に頼りすぎた事と肉体を再生させる為に血肉を食らった事が主な原因だ。そのお陰で生きてここにこれたのだがね。
「くっそったれが!! 」
「あぁ、そうそう・・・私に対して悪口を言う余裕なんて無いと思うぞ」
なんせ、君達は襲ってきた冒険者を撃退又は始末したと思っているだろうが・・・甘いね。ルーシア君を絶妙に殺さずに戦闘不能にし、君が衰弱するのを待っている者達がいるのだからさ。
ズシャリ
廊下の先から人影が出てきて腕を振るった。その瞬間、ゼルシア君とルーシア君が綺麗に真っ二つになった。対象まで10m以上もあるのに魔法では無く、物理的な攻撃で切断したのだ。
利用された武器は、ガイウス皇帝陛下に献上した筈の瀬里奈ウエポンの一つ蛇腹剣だ。ロマン武器が故に使い手を選ぶ者である。ちなみに、私はセンスが無かった。モンスターを刻む前に自分が刻まれてしまってたという恥ずかしい過去がある。
「首を安置するまでが勝負だというのに気を抜くとは冒険者として二流ですかね」
男女二名組の冒険者・・・私が最初に交渉を持ちかけた者達だ。男の方は珍しい無手の使い手だ。実を言うと私も無手なので親近感がわく。まぁ、そんな事より女性の方が問題なのだ。
最初に交渉を持ち掛けた時は、正直驚いたよ。
いくら、次期皇帝が決定したからといってこのような場所で会う人物ではないからな。女性の冒険者は何を隠そう・・・『神聖エルモア帝国』のガイウス皇帝陛下の長女に当たるエヴァ様だ。
出会った際は、思わず頭を垂れるところだったが止められた。
『神聖エルモア帝国』に残っていても良かったのだが・・・次期皇帝が決定して以上、無用ないざこざが起きないようにするために国を出たらしい。確かに、次期皇帝の身に何かあればエヴァ様が繰り上げ皇帝になるだろうし、それを警戒してエヴァ様を暗殺に走る輩も居るだろう。
というのは、表向きな理由。
事実は・・・エヴァ様は国の為に生涯を捧げる覚悟もあり、いつかは国内の誰かに嫁ぐものだと非常に立派なお考えをお持ちでいた。ガイウス皇帝陛下もその予定で色々動かれていたのだが、有るとき歯車が狂ったらしい。
昨今は・・・『儂の義理の息子ともいえるいい男が居る!! だが、身持ちが固くお前を嫁がせることは出来ないだろう。その年まで婚約もさせることが出来ずにすまなかった』とガイウス皇帝陛下に言われたらしい。
・・・・・・・・・これ、私悪くないよ!! 絶対だからね!! お願いだからそんな目で私を見ないでくれ。だって、仕方が無いじゃん。他に好きな人がいるんだからさ!!
この世界標準でいかず後家と言われる年までエヴァ様が未婚なのは私が原因じゃない・・・よね!? 確かに、ガイウス皇帝陛下から押し倒しても構わんと猛プッシュを受けていたよ。だけど、もうお嫁さん二人もいる私にこれ以上どうしろと!!
よって、自力で女の幸せをつかむ旅に出たそうだ。当然、ガイウス皇帝陛下もそれを応援して選別に瀬里奈ウェポンを託したそうだ。ちなみに、そこら辺の事は相方だと思われる男性冒険者には伏せているらしい。
身分の高い男性が素性を隠して一般の女性と恋に落ちる話はこの世界でもよくあるシンデレラストーリーの一つだ。だが、ソレの真逆をやる破天荒な性格は、ガイウス皇帝陛下にそっくりだと思う。目元も似ているしね。
「獲物が弱るまでジワジワと嬲り殺しといったところかね。まぁ、気を抜いたこの者達が愚かだったというだけさ。さて、報酬の件だが・・・一代貴族を望まない場合には、追加で100億出す。まぁ、他でもいいがね。色々と迷惑をかけていたようだから」
男の方は素性は知らないが・・・エヴァ様が見つけた男だから、いい男なのだろう。悪い男に引っかかるほど愚かでは無い。というか、ガイウス皇帝陛下からエヴァ様に男がいるなんて聞いたこと無いぞ。もしかして、後から私が報告しないといけないのか。
嫌だなその役目。
第一声でなんと言われるか想像も付かない・・・事もないな。きっと、『なんだと!! そいつは一大事だ。どこの馬の骨か分からない奴に娘を渡せるか。殴り込みにいくぞレイア!!』って流れになる気がする。完全に部外者である私も巻き込まれると見て間違いないだろう。
「報酬の件は、エヴァに一任するよ」
「ありがとうクロイツ。えっと、追加報酬で私達を鍛えてもらうのはあり?」
面倒な希望だな。こういう漠然とした報酬を望まれるとこちらとしても困る。鍛えたところでそれが身につくとは限らないし・・・エヴァ様を物理的に傷物にしたらガイウス皇帝陛下に恨まれそうで怖い。
「十分実力はあるように感じますけどね。ちなみにどの程度になるまで?」
「あーー、ほら・・・私の父が『娘が欲しければ、儂を倒してからにしてもらおう』とか言い出しそうでしょ。できれば、そのあたりまで」
よく分かってるじゃ無いか。
だが、エヴァ様も冒険者としてある程度の力量があるからこそ・・・ガイウス皇帝陛下の実力を理解しているはずだ。数年で届く領域には居ない。ガイウス皇帝陛下の冒険者歴は長い。それに密度も非常に高い。『神聖エルモア帝国』でも上から数えた方が強い程の実力を持っている。
「なるほど。貴方程の冒険者に鍛えて貰えるのならば、エヴァのお父上を倒せる望みがでてきそうです。聞けば相当な実力者のようで」
クロイツと呼ばれている冒険者・・・エヴァ様のお父上がガイウス皇帝陛下としったらどんな顔をするか楽しみだ。だが、考えようによっては私は自らの手でガイウス皇帝陛下の敵を育てるのに手を貸すと言うことにならないだろうか。
これは、ガイウス皇帝陛下の臣下として重大な裏切り行為ではないだろう。でも、私が言い出した報酬且つ陛下のお子様からのお願いとなってはね・・・いい女の手助けをするのは紳士の勤めというガイウス皇帝陛下のありがたいお言葉もあるし、仕方が無い。多少手助けは、許されるであろう。
「この私自ら三ヶ月付きっ切りで鍛えてやろう。『モロド樹海』での三ヶ月間ブートキャンプだ。それでどこまで成長するかは君達次第・・・運が良ければ、一撃くらい良い攻撃を与えられる程度にはなれるであろう」
「ソレで構わないわ。クロイツもそれでいいわよね」
「問題ないさエヴァ。日取りなどは全て一任致しますのでご都合が良い時期にお願いします」
二人はそれぞれ首を持ち上げて、指定した座席に安置した。これにより、一名の幹部と瓦礫に埋もれた二名を除き全員の首が出そろった。
「あぁ、スケジュールを作成した後に展開しよう。では、隣の待合室で待っていてくれ・・・こちらは少し野暮用で席を外す。何か重大な問題が起こった場合には、ここに居る蟲達の指示に従ってくれ、待避するように」
「えぇ・・・後、いつも頂いている香水など一式余っていましたら売っていただけませんか?」
定期的にガイウス皇帝陛下にお届けしている蟲印のお化粧セットの事であろう。家を出たエヴァ様が入手する事は難しいだろうね・・・あれは、蟲カフェに来た人や私が懇意にしている人にしか渡していない非売品だ。
「生憎売り物でないので、今回だけは特別に譲ろう。後ほど、届けさせる。次回からは、私が経営している蟲カフェに来ると良い。そこのスタンプ景品で用意している」
蟲達が地図と招待状をその場で書き上げて二人に渡した。それをみて、この営業日が短いですねとさりげなく文句を言われた。仕方が無いだろう・・・趣味の副業でやっていることなのだからさ。
ガイウス皇帝陛下の元には定期的にお届けしているので・・・定期的に、実家に帰って問題は解決する。
「ありがとうございます。必ず伺わせていただきます。それでは、また後ほど」
待合室に向かった二人を見送った。
では!! 私も動くとしよう。ギルド幹部の残数から考えるに、この都市の包囲は必要ないだろうから郊外に展開している全員回収した後に迷宮へと出陣する。後、万が一のために保険もかけておこう。
「久しぶりの迷宮だ・・・楽しませてくれよ」
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ギルド幹部ブチ殺し隊の出陣です。
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