感じさせて……。

紫倉 紫

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うつつ4

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 和明が運転席を後ろに下げ、金属同士のぶつかる鈍い音がした。それから座席を少し倒した。
 ひかりはシートベルトを外された。
 和明がひかりの手を取る。導かれるままに股間に触れる。硬くなっているのがわかったが、どう反応していいのかわからない。
「君は、本当にかわらない」
 和明がひかりの手を強くこすりつける。生地越しでも形がわかった。思わずため息がこぼれる。
「どうすれば良いんですか」
 ひかりは、言葉にしたあと、恥ずかしくなって俯いた。
 和明の左手が伸びてきて、ひかりの顎に触れる。親指が唇を押さえた後で、こじ開けた。歯や舌を指の腹で撫でられた。
「君が僕しか知らないなら、したことないだろう?」
 和明の声が低く響く。ひかりは、だらしなく口を開いたまま目を閉じた。小さく頷く。 
「君は……」
 和明はそう言って、ため息ともとれる強さで息をついだ。
「もっとふさわしい場面がありそうだ」
 ひかりの口から指を抜いた。
「少し、シートを倒して」
「はい」
 ひかりは、正面を向いた。遠くに小さな明かりが見えるだけで、暗闇だった。どこなのか、周りに何があるかもわからない。うつむいて左手でレバーをひく。背中で押すとシートが傾いていく。和明が身を乗り出して、シートを手で押した。驚いて、レバーを離してしまった。座っているとも寝ているともつかない中途半端な角度でとまった。
「このくらいがちょうどいいだろう」
 シートを後ろに下げるように言われた。やり方がわからない。
「そっちに行くよ」
 いくら和明が痩せているからといって、二人で並ぶには狭い空間だ。
 戸惑っているうちに、和明が移ってこようとしている。
 慌てて、ドアの方へ寄った。和明が、シートに膝をかけて、足下を探っている。シートが後ろにずれた。
 和明は助手席に奥深く腰掛けた。向かい合わせで重なるように体勢をかえられ、コートをぬがされた。和明は無造作に後部座席へとコートをおいやった。
「ここでしかできないことをしよう」
「ここでしかできないことですか?」
 答えるかわりに和明の手がスカートの中に入ってきた。脚を這い上がってくる。
「随分、着込んでいるね」
 和明が何をしようとしているのかひかりにも察しがついた。周りは暗いけれど、いつ誰が来るかわからない場所でなんて、とても無理だ。
「暗闇でも、君の狼狽えている顔が見える」
 ひかりにも、和明の顔もぼんやりとだが見えている。
「エアコンを止めれば、窓が曇る。その代わりに車内は冷えていく。このままと、どちらがいいかい?」
 どちらも嫌だった。
「ブーツは、邪魔だな」
 耳元でささやかれる。有無をいわさない響きだった。
 仕方なく体を起こす。膝立ちで体をひねってブーツのファスナーに手を伸ばす。下ろしにくい。
「むこうを向いて、僕の膝に座るといい」
 言われたとおりに座り直した。前屈みになって、ブーツを脱ぐ。和明がひかりからとりあげ、運転席の足下によけた。
 スカートの中にまた手を入れられる。
「次はこれをどうするかだ」
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