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ゆめ4
四
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「行くぞ」
立ち上がる。
「食事ですか?」
津山さんが訊いてきた。
「二人で今後の打ち合わせがある」
奥村さんは、そう言ったかと思ったら、もう私たちに背中を向けて歩き始めた。
「じゃあ、また後で続きを」
奥村さんを追いかける。
追いついたら「白衣」と言われた。慌てて脱ぎに戻る。研究室の表にあるパイプハンガーにかけた。
奥村さんの後ろをついていく。私がときどき使う学食とは方向が違う。
時計塔のとなりにある高めのレストランに入ろうとしている。学内にあるが、コース料理が出る。
「ここですか?」
「たまにはいいだろう」
たまにもなにも、入ったことはない。ランチに三千円近く払うなんてできない。
「俺が出すから心配するな」
出してもらうのも気が引ける。
「こんな服で良いんですか?」
「ここ、松本教授の行きつけだぞ」
あの変人で有名な‥…いつも髪の毛がボサボサでよれよれのシャツを着ている。
「学内で営業してる時点で、教授連中なんてタイプこそ違うが変人ぞろいだ。許容できなければやっていけない。清潔感さえあれば十分だ」
レストランはチャペルのような形をしている。奥村さんは短めの階段を上りはじめる。
「待ってください。それでもここは……」
「お前、こういうところに縁がなさそうだからな」
皮肉なわらいを浮かべられる。せっかく遠慮してあげているのに、むっとした。
奥村さんは階段を上がりきり、扉を開けた状態で待っている。
仕方なく階段を上がり始めた。
中にはいると、円形のテーブルが8つほどあって、白いクロスがかかっている。
窓際の席に松本教授の後ろ姿があった。
後は老夫婦と、マダム風の3人組だけだった。
席へ案内された。学内とはいえ、高級レストランの手順を踏まれる。
ランチメニューは三種類で、二千五百円、三千五百円、五千円だ。
一番安いのを頼もうとしたのに「デザートは、あった方がいいだろう。一番上のは時間がかかるからな」と、真ん中のを注文された。
二人あわせれば、私の一週間分の食費だ。
勤務中なので、食前酒は断った。前菜を目の前にしてからは、遠慮なんてものは消え去った。
「どうだ? 津山」
奥村さんに訊かれた。
「まあ、熱心で優秀な感じはしますけど……」
「何か問題でもあるか?」
パーソナルスペースが狭いことを、奥村さんに言ってもしょうがない気がした。
サラダ、スープと続いていく。
「まだ、あいつは若いからなあ」
奥村さんが唐突に言った。
「礼儀なんかは、それほど気になりませんよ」
「いや、そういうことじゃない」
じゃあ、どういうこと?
「まあ、気をつけとけよ」
わからないのに、気をつけようがない。
「お前って、ほどよく無防備なのになあ」
さっきから何が言いたいのか謎だ。
立ち上がる。
「食事ですか?」
津山さんが訊いてきた。
「二人で今後の打ち合わせがある」
奥村さんは、そう言ったかと思ったら、もう私たちに背中を向けて歩き始めた。
「じゃあ、また後で続きを」
奥村さんを追いかける。
追いついたら「白衣」と言われた。慌てて脱ぎに戻る。研究室の表にあるパイプハンガーにかけた。
奥村さんの後ろをついていく。私がときどき使う学食とは方向が違う。
時計塔のとなりにある高めのレストランに入ろうとしている。学内にあるが、コース料理が出る。
「ここですか?」
「たまにはいいだろう」
たまにもなにも、入ったことはない。ランチに三千円近く払うなんてできない。
「俺が出すから心配するな」
出してもらうのも気が引ける。
「こんな服で良いんですか?」
「ここ、松本教授の行きつけだぞ」
あの変人で有名な‥…いつも髪の毛がボサボサでよれよれのシャツを着ている。
「学内で営業してる時点で、教授連中なんてタイプこそ違うが変人ぞろいだ。許容できなければやっていけない。清潔感さえあれば十分だ」
レストランはチャペルのような形をしている。奥村さんは短めの階段を上りはじめる。
「待ってください。それでもここは……」
「お前、こういうところに縁がなさそうだからな」
皮肉なわらいを浮かべられる。せっかく遠慮してあげているのに、むっとした。
奥村さんは階段を上がりきり、扉を開けた状態で待っている。
仕方なく階段を上がり始めた。
中にはいると、円形のテーブルが8つほどあって、白いクロスがかかっている。
窓際の席に松本教授の後ろ姿があった。
後は老夫婦と、マダム風の3人組だけだった。
席へ案内された。学内とはいえ、高級レストランの手順を踏まれる。
ランチメニューは三種類で、二千五百円、三千五百円、五千円だ。
一番安いのを頼もうとしたのに「デザートは、あった方がいいだろう。一番上のは時間がかかるからな」と、真ん中のを注文された。
二人あわせれば、私の一週間分の食費だ。
勤務中なので、食前酒は断った。前菜を目の前にしてからは、遠慮なんてものは消え去った。
「どうだ? 津山」
奥村さんに訊かれた。
「まあ、熱心で優秀な感じはしますけど……」
「何か問題でもあるか?」
パーソナルスペースが狭いことを、奥村さんに言ってもしょうがない気がした。
サラダ、スープと続いていく。
「まだ、あいつは若いからなあ」
奥村さんが唐突に言った。
「礼儀なんかは、それほど気になりませんよ」
「いや、そういうことじゃない」
じゃあ、どういうこと?
「まあ、気をつけとけよ」
わからないのに、気をつけようがない。
「お前って、ほどよく無防備なのになあ」
さっきから何が言いたいのか謎だ。
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