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うつつ5
一
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昨夜は、終わるとすぐ家に帰った。
和明は風呂を済ませると「明日は早い」と、自分のベッドに入った。和明の目的は、単純に車の中ですることにあったようだ。
今日は、亮がこちらについたらすぐに、家具屋にでかけることになっている。
運転は亮がする。
和明は言っていたように、いつもより1時間ほど早く出かけた。理由はきいていない。
亮がこちらにつくのは昼過ぎらしい。
それまで、WEB小説を読むことにした。最近、前ほどには読みあされなくなった。なんとなく、大学ものを読み続けている。
やはりひかりは奥村が気に入っていた。元の奥さんの影がちらついてはいるが、引きずっている感じはしない。仕方なく実験に協力しているようなことを言っていても、かなり、主人公に気持ちがあるように見受けられる。
主人公はまだまだ、教授しかみていないようだ。
別に官能だけを目的にしているわけではないが、何か、だらだらと日常業務について書かれていて、少し飽きてしまった。しおりを挟んで、他のものにうつる。
亮から京都駅に着いたと連絡があった。ここまではバスで来るという。
運転がまともにできれば、迎えにいけたのだが、滅多にこんな機会はない。上達するはずがない。
和明はすぐ行くように言ってたが、コーヒーくらいは飲むだろうか。
亮に訊ねると「おりといて」と言われた。
バスを降りたら連絡をくれることになった。
車の鍵を持って待機していた。手持ち無沙汰なので、Web小説を読み進んだ。とにかく津山という院生は嫌いだ。
亮からの電話で中断した。
マンションの前で待っていた。亮が駆け寄ってくる。
早速、車に案内した。
助手席に乗り込んだ瞬間、ひかりは、あれの臭いを嗅ぎ取った。亮をみたが、シートを合わせているだけで特に気づいていないようだ。
昨日、こぼれたのだろうかとひかりは気が気では無かった。
まさかと思い後部座席のゴミ箱に目をやる。
溢れそうなほど丸まったティッシュが捨ててあった。
「ちょっと待ってて」
ひかりは、いったん車から降りた。後部座席のドアを開けてゴミ箱を取った。すぐにバッグをのせて中を隠した。
「いったん、家に戻るわ。すぐ終わるから」
亮とは目を合わせずに、逃げるように持ち帰った。
和明に、うっかりなんてことがあるとは思えない。だとするとわざと置いていたことになる。
ふと、昨夜の言葉がよみがえる。
「今夜ここですることに意味がある」
どんな意味があったのかわからない。亮に知らせたいのだろうか。
二人は夫婦だ。性交渉をすることぐらい、亮もわかっているはずだ。
――私が車の中でも受け入れる女だと知られたとして……。
亮が気づいたかはわからない。気づいたとしてどう思うかもわからない。
ひかりは、ゴミ箱の中身を、レジ袋に入れて口を縛った。念のため、もう一枚重ねて縛る。
ひかりは臭いを落とすために、手を丁寧に洗った。
ゴミ箱は後日戻すことにした。あまり待たせてはいけないと思い車へ急ぐ。
亮は、スマートフォンで何かをみているようだった。
「走らなくても良かったのに」
亮は笑いかけてくる。こちらは、気まずい。
「先生、今日は出張だから、夜は二人でどこかへ食べに行ったらって言ってたし……」
初耳だった。出張だから早く出たようだ。
「どこへ……」
「名古屋ってきいた」
ひかりはため息をついた。荷物も少なかったので日帰りだと信じたい。
「俺は昼もまだだから、どっか寄りたい」
ひかりも食べていなかった。
「とにかく、大阪へ向かう途中で適当でいいよな?」
亮は、大阪へ行くつもりらしい。
「先生から、ひかりをイケアに連れていって欲しいって頼まれた」
和明はひかりを喜ばせたいと思ってくれたのだろう。しかし、ひかりは嬉しくなかった。
和明は風呂を済ませると「明日は早い」と、自分のベッドに入った。和明の目的は、単純に車の中ですることにあったようだ。
今日は、亮がこちらについたらすぐに、家具屋にでかけることになっている。
運転は亮がする。
和明は言っていたように、いつもより1時間ほど早く出かけた。理由はきいていない。
亮がこちらにつくのは昼過ぎらしい。
それまで、WEB小説を読むことにした。最近、前ほどには読みあされなくなった。なんとなく、大学ものを読み続けている。
やはりひかりは奥村が気に入っていた。元の奥さんの影がちらついてはいるが、引きずっている感じはしない。仕方なく実験に協力しているようなことを言っていても、かなり、主人公に気持ちがあるように見受けられる。
主人公はまだまだ、教授しかみていないようだ。
別に官能だけを目的にしているわけではないが、何か、だらだらと日常業務について書かれていて、少し飽きてしまった。しおりを挟んで、他のものにうつる。
亮から京都駅に着いたと連絡があった。ここまではバスで来るという。
運転がまともにできれば、迎えにいけたのだが、滅多にこんな機会はない。上達するはずがない。
和明はすぐ行くように言ってたが、コーヒーくらいは飲むだろうか。
亮に訊ねると「おりといて」と言われた。
バスを降りたら連絡をくれることになった。
車の鍵を持って待機していた。手持ち無沙汰なので、Web小説を読み進んだ。とにかく津山という院生は嫌いだ。
亮からの電話で中断した。
マンションの前で待っていた。亮が駆け寄ってくる。
早速、車に案内した。
助手席に乗り込んだ瞬間、ひかりは、あれの臭いを嗅ぎ取った。亮をみたが、シートを合わせているだけで特に気づいていないようだ。
昨日、こぼれたのだろうかとひかりは気が気では無かった。
まさかと思い後部座席のゴミ箱に目をやる。
溢れそうなほど丸まったティッシュが捨ててあった。
「ちょっと待ってて」
ひかりは、いったん車から降りた。後部座席のドアを開けてゴミ箱を取った。すぐにバッグをのせて中を隠した。
「いったん、家に戻るわ。すぐ終わるから」
亮とは目を合わせずに、逃げるように持ち帰った。
和明に、うっかりなんてことがあるとは思えない。だとするとわざと置いていたことになる。
ふと、昨夜の言葉がよみがえる。
「今夜ここですることに意味がある」
どんな意味があったのかわからない。亮に知らせたいのだろうか。
二人は夫婦だ。性交渉をすることぐらい、亮もわかっているはずだ。
――私が車の中でも受け入れる女だと知られたとして……。
亮が気づいたかはわからない。気づいたとしてどう思うかもわからない。
ひかりは、ゴミ箱の中身を、レジ袋に入れて口を縛った。念のため、もう一枚重ねて縛る。
ひかりは臭いを落とすために、手を丁寧に洗った。
ゴミ箱は後日戻すことにした。あまり待たせてはいけないと思い車へ急ぐ。
亮は、スマートフォンで何かをみているようだった。
「走らなくても良かったのに」
亮は笑いかけてくる。こちらは、気まずい。
「先生、今日は出張だから、夜は二人でどこかへ食べに行ったらって言ってたし……」
初耳だった。出張だから早く出たようだ。
「どこへ……」
「名古屋ってきいた」
ひかりはため息をついた。荷物も少なかったので日帰りだと信じたい。
「俺は昼もまだだから、どっか寄りたい」
ひかりも食べていなかった。
「とにかく、大阪へ向かう途中で適当でいいよな?」
亮は、大阪へ行くつもりらしい。
「先生から、ひかりをイケアに連れていって欲しいって頼まれた」
和明はひかりを喜ばせたいと思ってくれたのだろう。しかし、ひかりは嬉しくなかった。
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